後遺症逸失利益の計算における労働能力喪失率について

東京は少し涼しくなったかと思うと,また暑い日々が続いて大変ですね。

気温差に体がついていかなくなりがちなので,体調管理には気を付けたいところです。

 

前回は,後遺症逸失利益について書いてみましたが,今回はこの後遺症逸失利益の計算の中で問題となる労働能力喪失率について少し考えてみたいと思います(以下後遺症逸失利益を単に「逸失利益」といいます。)。

前回のおさらいになりますが,逸失利益の一般的な計算式は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力期間に対するライプニッツ係数であり,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮して算定されます。

上記の計算式の内,②労働能力喪失率とは,交通事故によって負ったお怪我が完治せずに残ってしまった後遺症によって失われた労働能力の程度をいいます。

たとえば,事故の前は100%の力で仕事ができたのに,後遺症の影響で70%の力でしか仕事ができなくなってしまったといった場合,この30%が労働能力喪失率ということになります。

自賠責保険における後遺障害等級表では,後遺障害等級14級は労働能力喪失率5%,12級は労働能力喪失率14%,飛んで1級から3級は労働能力喪失率100%と定められています。

このように等級表で決められているため,後遺障害等級認定=等級表上の労働能力喪失率と思われるかもしれません。

しかしながら,裁判所は等級表に定められた労働能力喪失率はあくまで参考値として,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位・程度,事故前後の稼働状況,所得の変動等を考慮して具体的に判断するとしています。

以上のとおり,交通事故でお怪我をされた場合,逸失利益の請求にあたって,労働能力喪失率ひとつ取っても様々な考慮要素があり,また,立証が難しい場合もあることから,逸失利益の請求をどのようにすればよいかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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