遺言書の書き方と相続登記について

2022年8月ももう終わりですね。

東京もだいぶ涼しくなってきました。

前回は、相続税を申告・納付する義務者について書きましたが、今回は、遺言書の書き方と相続登記について書いてみようと思います。

相続全般を扱っていると、遺言書の作成のご相談も多くございます。

その中でも不動産をお持ちの方の遺言書の書き方については、注意が必要な点もございます。

遺言で不動産を推定相続人に渡したいという場合、「当該不動産を相続させる。」と記載するのが一般的ですが、「当該不動産を遺贈する。」と書いてある場合も散見されます。

「当該不動産を相続させる。」という記載の場合は、登記原因も「相続」となります。

この場合、当該相続人だけが相続登記の申請をすればよいことになります(「単独申請」といいます。)。

この書き方のメリットは、他の相続人の協力なしに不動産の名義変更が可能となる点にあります。

他方、遺言書の文言が「当該不動産を遺贈する。」となっている場合、受遺者が相続人であっても、登記原因は「遺贈」となるのが原則です。

遺贈を原因とする所有権移転登記手続をする場合、申請人は、受遺者本人と相続人全員とで共同で申請しなければならなくなるのが原則です(これを「共同申請」といいます。)。

この場合、非常に負担が大きくなりますので注意が必要です。

ただし、遺言書の中で遺言執行者を指定しておけば、相続人全員の関与は不要となり、受遺者と遺言執行者との共同申請で足りることになります。

遺言書で遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをすることも可能です。

このように、遺言書を作成する場合に注意すべき点は多いですし、相続発生後に手続を取ることで自分の負担を減らすことができる場合もあります。

ご不安な方は専門家にご相談されるとよいでしょう。

相続税を申告・納付する義務者はだれか

2022年7月ももう終わりですね。

東京もまだまだ暑いですね。

前回は、仮想通貨の相続手続について書きましたが、今回は、相続税を申告・納付する義務者について書いてみようと思います。

被相続人が亡くなった後、相続税の申告が必要だとしても、だれが相続税を支払うことになるのか、自分には相続税を支払う義務があるのかなどについて、よくわからないという方も多いのではないでしょうか。

相続税は、相続財産を取得した方が、その取得した財産の価額に応じて支払うべき税額を算出することになります。

ですので、相続人であれば必ず全員が相続税の納税義務者になるわけではなく、 被相続人の死亡に伴い相続財産を取得した人は、法定相続人でなくとも相続税の納税義務者になり得ます。

具体的には、①相続により相続財産を取得した相続人、②遺言によって財産を取得した受遺者、③死因贈与によって財産を取得した受贈者及び④相続時精算課税制度の利用者は、相続税の納税義務者となります。

もっとも、相続税の納税義務者であっても相続税を支払わなくてもよい場合もあります

納税義務者であっても相続税の申告が不要である場合もありますし、納税義務者であり相続税の申告が必要であっても最終的に相続税の納付が不要な場合もあります。

申告義務者であるにもかかわらず、申告も納税も不要となる場合というのは、課税価格の合計額が、基礎控除額の範囲内である場合です。

他方、課税価格の合計額が基礎控除額を超えた場合は、相続税の申告が必要です。

ただし、要件を満たしていれば、小規模宅地の特例、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除といった特例を利用することで税額がゼロになり、納税が不要となることもあります。

自分が相続税の納付義務者かどうか、相続税の納付が必要かどうかは、専門家に確認するとよいでしょう。

仮想通貨の相続手続

2022年6月ももう終わりですね。

1年の半分が終わってしまいました。

東京も異常な暑さが続いていますね。

前回は、相続税を適切に申告・納付しないとどうなるかついて書きましたが、今回は、仮想通貨の相続手続について書いてみようと思います。

ネットやニュースなどでビットコインなどの仮想通貨という言葉をお聞きになった方も多いのではないでしょうか。

現在、有名なビットコインを含めて様々な仮想通貨は発行されており、取引量の増加などに伴い、仮想通貨についての法体制が整いつつあります。

所得税法上の取扱いとしては、仮想通貨自体を使って得た利益について、原則「雑所得」になるという指針が公表されています。

それでは、仮想通貨の相続方法や相続税の取扱いはどうなっているのでしょうか。

そもそも仮想通貨に財産的価値があるのかという点が気になるのではないでしょうか。

この点については、資金決済に関する法律により、仮想通貨に財産的価値があることが規定されていますの。

したがって、仮想通貨に財産的価値があることが法律上認められているといえます。

仮想通貨の入手方法としては、①取引所で購入する、②他の人から送金を受ける、③マイニングをするという3つの入手方法がありますが、一般的には、①取引所で購入することが多いと思われます。

仮想通貨は、通常、「ウォレット」という財布の機能を有するものに保管されています。

「ウォレット」の形態は、パソコン上にあるものやウェブ上にあるものなど様々ですが、どの形態であっても、仮想通貨を相続する場合、相続人は仮想通貨を探すことから始める必要があります。

もし、被相続人が仮想通貨を購入していたということがわかったとしても、それがどこにあるかは問題となります。

仮想通貨は「ウォレット」に保管されていますが、「ウォレット」に入るためには、アドレスやパスワードが必要です。

「ウォレット」のアドレスやパスワードが分からないと、残高があるのに仮想通貨が使えない状況になります。

ご自身が仮想通貨を所有している場合は、相続のことを考え、家族等に「ウォレット」のアドレスやパスワードが分かるようにしておくことも検討しておいた方がよいでしょう。

それでは、仮想通貨を相続した場合に、相続税が課されるのでしょうか。

この点については、参議院の財政金融委員会において、国税庁の見解が示され、仮想通貨にも相続税が課されることが明らかとなりました。  

以上のように、仮想通貨の相続方法や税制については、相続税が課税されることが明らかになったものの、いまだ流動的な部分も多いところですので、今後も仮想通貨に関する政府の動きを注視することが重要です。

相続税を適切に申告・納付しないとどうなるか

2022年5月も終わりが近づいてきました。

東京も蒸し暑くなってきましたね。

前回は、夫婦間の贈与について書きましたが、今回は、相続税を適切に申告・納付しないとどうなるかについて書いてみようと思います。

まずは相続税の申告期限を確認しましょう。

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

通常は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内ということになるでしょう。

次に、自分が相続税の申告が必要かどうかを確認しましょう。

自分が相続税の申告が必要かどうかを知るためには、相続財産の額が基礎控除額の範囲内か確認する必要があります。

相続税は、相続財産を取得した方が、その取得した財産の価額に応じて支払うべき税額を算出し、納付することになります。

被相続人の相続において、相続税の基礎控除という制度があり、相続財産の合計額がこの基礎控除額以下であれば、そこまでは相続税が課税されず申告の必要もありません。

基礎控除の金額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。

それでは、相続税の申告・納付をしなかった場合はどのようなペナルティがあるのでしょうか。

相続税を適切に申告・納付しなかった場合、①延滞税、②無申告加算税、③過少申告加算税、④重加算税といったペナルティが課される可能性があります。

①延滞税は、相続税を定められた期限までに納付しなかった場合に課されるものです。

②無申告加算税は、相続税の申告を行わなければならないのに、正当な理由がなく、申告期限までに申告を行わなかった場合に課税されるものです。

③過少申告加算税は、相続税の申告はしたものの、税額を少なく申告していた場合に課されるものです。

なお、自主的に申告した場合は、過少申告加算税は課されません。

④重加算税は、相続財産を意図的に隠したり、偽ったりした場合に課税される税です。

それぞれのペナルティによって課税されるパーセンテージも異なりますが、決して少額で収まるとは限りませんので、相続税を適切に申告・納付することが大切です。

夫婦間の贈与

2022年4月も終わりが近づいてきました。

東京の花粉症もやっと終わったでしょうか。

前回は、相続税の計算方法について書きましたが、今回は、夫婦間の贈与について書いてみようと思います。

そもそも贈与税はどのような場合にかかるのでしょうか。

贈与税は、贈与をした人にはかかりません。

贈与税は、贈与を受けた人に課される税金です。

贈与をすると必ず贈与税がかかるのでしょうか。

贈与税には110万円の基礎控除があり、110万円を超えた贈与額に課税されることになります。

それでは、夫婦間でも贈与税がかかるのでしょうか。

夫婦で一緒に生活をしていると、生活費を渡したり、自動車を買ったりする場合など、夫婦間のお金や物のやり取りはよくあることだと思います。

もっとも、夫婦間でも財産を無償で譲渡するという行為は贈与に当たりますので、原則として贈与税がかかるため注意が必要です。

ただし、夫婦間でも例外的に贈与税がかからない場合もあります。

まず、贈与税にも110万円の基礎控除がありますので、その範囲内であれば、夫婦間の贈与であっても贈与税はかかりません。

具体的には、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産額が、110万円以内の場合には、贈与税はかからず申告も不要です。

また、国税庁によると、「扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」には贈与税はかからないとされています。

「通常必要と認められるもの」とは何かというのが問題となりますが、日常生活に必要な生活費、学費、教材費や文具費といった教育費がこれにあたると解されています。

ただし、 あまりに高額な物品を譲り渡す場合は、嗜好品として通常必要とは認められず、贈与と評価される可能性があるため注意した方が良いでしょう。

他にも、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2000万円まで控除できるという特例が設けられています。

夫婦間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を検討されている方は、かなりの節税になる可能性がありますので、専門家にご相談されると良いと思います。

相続税の計算方法について

2022年3月も終わりが近づいてきました。

東京の花粉症のピークもそろそろ終わりでしょうか。花粉症は本当につらいですね。

前回は、被相続人が亡くなった後、相続税申告までの手続に関する期限にはどのようなものがあるかについて書きましたが、今回は、相続税の計算方法について書いてみようと思います。

相続税は、相続財産を取得した方が、その取得した財産の価額に応じて支払うべき税額を算出することになります。

被相続人の相続において、相続税の基礎控除という制度があります。

基礎控除の金額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。

相続財産の合計額がこの基礎控除額以下であれば、そこまでは相続税が課税されず申告の必要もありません。

他方、相続財産が基礎控除額を超えた場合は、相続税申告をする必要があり、課税遺産総額に対して相続税が課税されます。

相続税の計算方法は、以下のとおりです。

①各相続人の相続税の課税価格を算出します。

②相続税の総額及び各相続人の算出相続税額の計算をします。

③各相続人の納付すべき相続税額の計算をします。

細かい計算は、相続税の専門家に確認した方がよいでしょう。

このようにして計算した相続財産総額が基礎控除額の範囲にある場合は、相続税申告は不要です。

しかし、支払うべき相続税が0円の場合であっても、相続税申告が必要な場合もあります。

例えば、もともとの遺産総額は基礎控除額を超えていた場合で、配偶者控除や小規模宅地等の特例といった税の軽減措置を利用することによって相続税が0円となる場合も、相続税申告は必要になります。

また、相続税の申告と納税には、相続開始10か月以内という期限があります。 申告だけではなく、納税も含めて10か月以内に行わないといけない点に注意が必要です。

相続税の計算や申告の要否についての判断は複雑になりがちですので、難しいなという方や忙しくて自分で申告の準備をする時間がないという方は、相続を専門に扱っている弁護士や税理士に相談してみるとよいでしょう。

相続に関する期限の整理

2022年2月も最終日ですね。

1年のうち6分の1が終わりました。早いですね。

東京も暖かくなってきまして、花粉が飛び交ってますね。

前回は、どのような理由でも相続放棄は認められるのかについて書きましたが、今回は、被相続人が亡くなった後、相続税申告までの手続に関する期限にはどのようなものがあるか整理してみました。

相続が発生すると、葬儀を行い、相続財産を把握し、相続税を支払う必要があるかどうか調査するなど様々なことをしなければなりません。

この中には、期限が決められているものが多くあります。

相続が発生してから、慌てて確認すると誤った対応をしてしまう危険性がありますので、お早めに確認しておくことをお勧めします。

まず、死亡届は、死亡後7日以内に提出する必要があります。

死亡届は、医師に作成してもらう死亡診断書と一体になっています。

死亡届と火埋葬許可申請書を市区町村役場に提出し、火葬許可証をもらいます。

この火葬許可証を葬儀社に提出して葬儀の申込みをします。

相続が発生した場合、通常の流れとして、遺言の有無の調査、相続人調査、相続財産調査を行います。

もし遺産の中に借金が含まれている場合、その借金も相続の対象になります。

特にプラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合は、相続人が借金を支払わなければならなくなってしまいますので、被相続人の借金を相続したくない場合は、相続放棄を検討することになります。

相続放棄には期限があります。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄をするかどうか決めなければなりません。

次に、相続人が被相続人の遺産を相続した場合、被相続人の生前の所得税を申告する必要がある場合があります。

これを、所得税の準確定申告といいます。

所得税の準確定申告とは、被相続人が所得税の申告義務を負っていた場合に、相続人が被相続人の代わりに確定申告を行うものです。

通常の確定申告は、対象年度の翌年の2月16日から3月15日までですが、準確定申告は、被相続人の死亡後4か月以内となっています。

もし、遺言があり、自分が全く相続財産をもらえない場合などは、遺留分侵害額請求をするかどうか検討する必要があります。

遺留分とは、相続人のうちの一部の方について、相続財産のうち一定の割合を認めるものです。

遺言や死因贈与などによって最低限の取得分である遺留分を侵害された場合、法定相続人は遺留分の侵害者に対し遺留分侵害額を請求することができます。

兄弟姉妹を除く法定相続人は、遺留分侵害額請求をできる場合がありますが、その期間は法律によって決められています。

遺留分侵害額請求をすることができるのは、被相続人の死亡と遺留分侵害の事実を知ってから1年以内です。

また、被相続人の死亡から10年が経った場合には、たとえ遺言や死因贈与などによる遺留分侵害の事実を知らなくても、遺留分侵害額請求ができなくなるので注意が必要です。 

  

被相続人の遺産の金額によって相続税が発生する場合があります。

相続税には基礎控除が定められているので、基礎控除の額までであれば相続税を支払う必要はありません。

他方、基礎控除額を越える遺産がある場合は、原則として相続税の申告と納税が必要になります。

相続税の申告と納税には、相続開始10か月以内という期限があります。 申告だけではなく、納税も含めて10か月以内に行わないといけない点に注意が必要です。

その他にも期限が定められているものがありますので、難しいな、わからないなという方は、相続を専門に扱っている弁護士や税理士に相談してみるとよいでしょう。

相続税申告の流れ

2022年1月も終わりが近づいてきました。

1年の内、もう残りが93%になってしまいました。

東京もまたコロナが急増してますね。

かからないように注意したいですね。

前回は、どのような理由でも相続放棄は認められるのかについて書きましたが、今回は、相続税申告の流れについて書いてみたいと思います。

相続が発生すると、葬儀を行い、相続財産を把握し、相続税を支払う必要があるかどうか調査するなど様々なことをしなければなりません。

しかも、やらなければならないことの中には、期限が決められているものが多くあります。

そのようなバタバタした状況の中で、被相続人が亡くなった後、そもそも相続税の申告が必要なのか、自分が相続税を支払うことになるのかなどについて、お悩みの方もおられるのではないでしょうか。

相続税は、相続財産を取得した方が、その取得した財産の価額に応じて支払うものです。

被相続人の相続において、相続税申告をする必要があるかどうかの目安として、相続税の基礎控除というものがあります。

相続税の基礎控除とは、相続財産の合計額がこの基礎控除額以下であれば、そこまでは相続税が課税されないという制度をいいます。

基礎控除の金額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されますので、まずは、被相続人の相続についての基礎控除額を計算してみると良いでしょう。

基礎控除の金額は、「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されますので、最初に法定相続人の数を確定させる必要があります。

相続人であれば、役所で戸籍謄本を取得することができますが、複雑な事案ですと自分で取得するのが難しい場合もあるため、専門家に依頼して調査してもらうこともできます。

また、被相続人にどのような相続財産があるかを確定する必要がありますので、その調査をしなければなりません。

相続財産を調査した後は、全ての相続財産の評価額と基礎控除額を比較してみましょう。

相続財産が基礎控除額の範囲内であれば相続税を支払う必要はありませんが、相続財産が基礎控除額を超える場合は、原則として相続税の申告と納税が必要になります。

相続税の申告と納税には、相続開始10か月以内という期限があります。

申告だけではなく、納税も含めて10か月以内に行わないといけない点に注意が必要です。

どのような理由でも相続放棄は認められるのか

2021年12月も終わりが近づいてきました。

そろそろ年末感が出てきましたね。

東京も乾燥がひどくなってきました。

風邪を引かないように注意したいですね。

前回は、相続人全員が相続放棄をするとどうなるかについて書きましたが、今回は、どのような理由でも相続放棄は認められるのかについて書いてみたいと思います。

被相続人が亡くなった後、相続人の方で相続放棄をするかどうか検討している方もおられるのではないでしょうか。

相続放棄は、相続人を最初から相続人ではなかったことにする手続です。

相続放棄をするにあたって、なぜ相続放棄をしたいと考えるのかは人それぞれではないかと思います。

相続放棄をするにあたって、自分が相続放棄をしたい理由によっては裁判所に認められないのではないかと心配されておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続放棄をする理由のうち典型的なものとしては、被相続人のプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い、被相続人の財産や借金が全くわからない、そもそも相続に関わりたくないというものが挙げられます。

結論からいうと、相続放棄をする理由や動機に限定はありません。

法律上も限定はありませんし、裁判実務上も相続放棄をする理由によって、相続放棄を認めたり、認めなかったりということはありません。

以下の場合は、相続放棄をするメリットが非常に大きいといえます。

・被相続人が生前に多額の借金を抱えており、被相続人のプラスの財産よりも借金の方が多い場合

・被相続人の生前に借金があったとは聞いていたものの、被相続人との関係が希薄だったため、被相続人が誰に対しどのくらいの負債を抱えているかがわからず、いつどのような請求をされるかわからないといった場合

また、他の相続人との関係性が良くなかったり、話し合いが難しい相続人がいるなどして遺産分割協議に関わりたくない場合や、被相続人の生前全く関わりがなかったため相続する意思が全く無い場合も、相続放棄をすることで、相続に関わらないという目的を達成することができます。

相続放棄をご検討されている方は、相続に詳しい専門家を探してみるとよいでしょう。

相続人全員が相続放棄をするとどうなるか

2021年10月も終わりが近づいてきました。

もう年末が見えてきましたね。

東京も急に寒くなってきました。

前回は、個人再生と生命保険の関係について書きましたが、今回は、相続人全員が相続放棄をするとどうなるかについて書いてみたいと思います。

被相続人が亡くなった後、相続放棄をするかどうか検討している方もおられるのではないでしょうか。

相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も一切放棄することを家庭裁判所に申述する手続です。

相続放棄が家庭裁判所に受理されると、相続放棄の申述をした相続人は、初めから相続人ではなかったことになります。

そうすると、法定されている次の順位の法定相続人が実際に相続人となることになります。

被相続人の配偶者は常に相続人になりますが、第1順位の子が全員相続放棄をした場合は、第2順位である被相続人の両親が相続人となります。

もし、被相続人の両親が既に亡くなっていた場合は、被相続人の祖父母が相続人となります。

そして、被相続人の両親や祖父母全員が相続放棄をした場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。     それでは、これら全ての相続人が相続放棄をした場合は、どうなるのでしょうか。

相続放棄は最初から相続人でなかったことになります。

それでは、被相続人の子が相続放棄をした場合、被相続人の孫(相続放棄をした者の子)は相続人となるのでしょうか。

この場合は、被相続人の孫は、相続放棄をした被相続人の子に代わって相続人となるわけではありません。

あくまで、被相続人の子が相続放棄をした場合は、第2順位の法定相続人が相続人となります。

他方、代襲相続とは、被相続人の死亡時に、本来相続人となるはずであった者が既に死亡している場合に、本来相続人となるはずであった者の子が代襲相続人として被相続人の財産を相続するという制度です。

被相続人の子が既に死亡しており、その後被相続人が死亡した場合、被相続人の孫が代襲相続人となるということです。

相続放棄と代襲相続は似ているため、勘違いをしやすいので注意が必要です。

相続人全員が相続放棄をしたため相続人がいなくなった場合、被相続人の財産は法人とみなされます。

そして、利害関係人が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立てをすることによって、相続財産管理人が選任されると、当該管理人が法人化された相続財産を管理、清算していくことになります。

個人再生での生命保険の取り扱いについて

2021年9月も終わりが近づいてきました。

今年も残り3か月です。

東京も暑さがだいぶ落ち着いてきましたね。

前回は、自己破産と相続放棄の関係について書きましたが、今回は、個人再生と生命保険の関係について書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生をする場合、原則として生命保険を解約する必要はありません。

個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。

ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。

そのため、生命保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。

もっとも、解約返戻金が多額の場合は最低返済額が大きくなるため、毎月の返済可能額を超えてしまう可能性があります。

そのような場合は、生命保険を解約して、解約返戻金を返済に充てなければならなくなる可能性があります。

生命保険の種類には、大きく分けて、掛け捨て型と貯蓄型があります。

掛け捨て型は、保険料を支払っている期間は保証を受けることができますが、解約返戻金はないため、保険を解約してもお金は戻ってきません。

これに対し、貯蓄型は、保険料の払込期間終了後に解約返戻金を受け取ることができます。

生命保険の解約返戻金とは、生命保険を解約した場合や保険料の払込期間終了後に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。

掛け捨て型の具体例としては、医療保険、がん保険などがあります。

貯蓄型の具体例としては、終身保険、養老保険、学資保険などがあります。

掛け捨て型の生命保険に加入している場合、個人再生の手続に影響はありません。

解約したとしても、解約返戻金がないわけですので、清算価値に含めるものがないからです。

他方、貯蓄型の場合は、今生命保険を解約したとして戻ってくる解約返戻金を財産として申告して、清算価値に含める必要があります。

低解約返戻金型保険のように、貯蓄型でありながら、通常の貯蓄型保険よりも保険料が安く設定されている代わりに、途中解約した場合の返戻率が低くなっている商品もあります。

このような低解約返戻金型保険に加入している場合は、清算価値に含める金額も小さくなりますので、個人再生後の返済額への影響は小さくなります。

しかし、通常の貯蓄型保険に加入されていて、もし既に10年以上保険料を払い続けている方は、おそらく今解約したとして戻ってくる解約返戻金は、支払った保険料の8割を超える可能性がありますので、このような場合は、注意が必要です。

また、生命保険の解約返戻金を担保として、生命保険会社からお金を借りている方もいるのではないでしょうか。

この制度のことを契約者貸付制度といいます。

解約返戻金の範囲でお金を借りることができ、利息も金融機関や消費者金融と比べるとかなり安く設定されているところが多いようです。

契約者貸付制度により借りている場合、もともと戻ってくる予定の解約返戻金の一部を先に受け取っているということになりますので、借金ということにはならないので、個人再生の対象にはなりません。

以上

自己破産と相続放棄の関係について

2021年8月も終わりが近づいてきました。

東京も暑さが落ち着いてくれるとよいですね。

前回は、リボ払いについて書きましたが、今回は、自己破産と相続放棄の関係について書いてみたいと思います。

相続が生じた場合で、被相続人に多額の借金があった場合、相続人は、通常、相続放棄を選択するのではないでしょうか。

相続放棄とは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述することによって、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続しないようにする手続のことをいいます。

相続放棄が認められると、申述人は初めから相続人ではなかったことになります。

他方、自己破産とは、債務者の現在の資産や収入では、すべての借金の返済を続けていくことが不可能な場合に、自ら裁判所に対して返済が不可能であることを申し立てて、最低限の生活に必要とはいえない財産や、不動産などの高価な財産を債権者への返済に充てる代わりに、一部の例外を除いて全ての債務の返済義務を法的になくす手続です。

このように、相続放棄も自己破産も借金がなくなるという点だけを見ると、同じような制度のようにも思えます。

相続放棄と自己破産の違いはどこにあるのでしょうか。

相続放棄と自己破産とでは、税金の滞納があった場合の取り扱いが異なります

相続放棄の場合は、被相続人が有していた一切のプラスの資産や権利関係はもちろん、借金も引き継がないことになります。

被相続人が滞納していた税金の支払義務についても、相続放棄によって相続人が引き継がなくてもよいことになりますので、被相続人の税金を支払う義務はありません。

自己破産は、債務者が支払不能になってしまったため支払うことのできない借金を、裁判所に特別に免責してもらう制度です。

ただし、自己破産の場合は、非免責債権といって、税金の支払い義務はなくなりません。

そのため、自己破産が認められたとしても、税金は支払わなくてはなりません。

他にもいろいろな違いがありますので、相続と債務整理に詳しい弁護士に相談してみると良いでしょう。

以上

リボ払いについて

2021年7月もあと数日ですね。

東京ではオリンピックが開かれましたね。

前回は、個人再生をする場合の自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて書きましたが、今回は、リボ払いについて書いてみたいと思います。

リボ払いの正式名称は、リボルビング払いといいます。

リボ払いの一番の特徴は、毎月の返済額を一定の金額に固定することにあります。

分割払いは支払回数を決めて支払っていく方法ですが、リボ払いは毎月の元金と利息を合わせた固定金額を支払っていく方法です。

リボ払いの種類は、残高スライド方式と定額方式が主なものになります。

残高スライド方式とは、あらかじめ設定されている支払残高によって毎月の支払額が変動する支払方法です。

定額方式は、支払残高が増えたとしても、毎月の支払額は変わらず固定のままとなる支払方法です。

ある月に大きな買い物をした場合、残高スライド方式だと毎月の支払額が変動する可能性があるのに対し、定額方式の場合は毎月の支払額に変更はありません。

もっとも、定額方式の場合、毎月の支払額を低く設定しすぎると元金の減りが遅くなりますので、その分手数料の負担が増えることになります。

キャッシングでもリボ払いができる会社もあります。

キャッシングリボ払いもショッピングリボ払いと同様に毎月設定された固定金額が引き落とされることになります。

リボ払いは、1回払いや分割払いとは異なり、高額商品を購入した場合でも、毎月の返済額は一定になるため、手もとにまとまったお金がないという場合でも支払いができるという特徴があります。

また、お金に余裕があるときは繰上げ返済ができるため、計画的に返済ができる場合は毎月の利息の支払額の割合が大きくなることを避けることができる可能性もあります。

リボ払いの問題点としては、リボ払いには金利が発生しますが、毎月の返済額が安く設定される傾向にあります。

そのため、支払期間が長期化し、結果金利の支払額が多額となってしまう危険性があります。

また、残高スライド方式の場合は、支払残高が一定額を超えると毎月の返済額も大きくなってしまいます。

そのため、ご自身で条件を把握していない場合は、突然毎月の返済額が大きくなってしまうため返済ができなくなってしまう可能性もあります。

リボ払いは、毎月の利用額と返済額との間に関連性がなく、利用額が多くても返済額が多くの場合一定のため、自覚なく利用しすぎてしまうことがあります。

カード会社としては、利息の支払いが一回払いと比べて多くなるリボ払いの方が自社にとっても有利なため、リボ払いの利用に誘導することもあります。

リボ払いにしていると、自覚なく毎月の返済額より多額の利用をしてしまうことがあり、そのようなことが続くと、毎月きちんと返済をしているにも関わらず、いつの間にかリボ払いの残高が多額になっていることがあります。

そして、リボ払いの残高が多額になると、今度は手数料の金額が多額になってしまいます。   

つまり、リボ払いの特徴として、意識しないうちに残高が増えてしまうことと、残高は増えてしまうと、毎月の返済額に内に占める手数料の額が多額になり、返済しても残高がなかなか減らないという点が挙げられます。

以上

個人再生での自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて

2021年6月もあと数日ですね。

東京ではオリンピックが開かれるのでしょうか。

前回は、個人再生後に一括返済や繰り上げ返済ができるかについて書きましたが、今回は、個人再生をする場合の自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生をする場合、原則として自動車保険や火災保険を解約する必要はありません。個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。

ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。

そのため、自動車保険や火災保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。

自動車保険の解約返戻金とは、自動車保険を解約した場合に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。

もっとも、全ての自動車保険で解約返戻金が出るのでしょうか。

自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますので、分けて考える必要があります。

自賠責保険は、全ての自動車について、法律で加入が義務付けられています。

自賠責保険は自動車を所有している限り加入しなければならないものですので、廃車にした場合やナンバープレートを返納した場合を除いて、通常途中で解約することはできませんし、還付金もありません。

したがって、個人再生をするにあたって、自賠責保険の解約返戻金を清算価値に含める必要はありません。

他方、任意保険は強制加入ではなく中途解約も可能ですので、解約返戻金がある場合には、財産として清算価値に含める必要があります。

任意保険には、各損害保険会社が定めている返戻率がありますので、それに従って解約返戻金が決まることになります。

ただし、月額払いにしている場合は、解約返戻金が発生しないことが一般的ですので注意が必要です。

火災保険についても、解約返戻金がある場合は清算価値に含めることになります。

もっとも、住宅ローンが残っている場合、通常は住宅に抵当権が設定されています。

そのため、銀行としては、住宅ローンが残っている状態で、火事で住宅が全焼した場合、保険金を銀行の住宅ローンの返済に優先的に充ててもらう必要があります。

そこで、銀行は火災保険に質権を設定することがあります。

この場合、住宅ローンを完済するまでは銀行の承諾なくして火災保険を途中で解約することはできません。

したがって、火災保険の解約返戻金の見込額は0円と考えられますので、清算価値に含める必要はありません。

以上

個人再生後に一括返済や繰上げ返済はできるか

2021年5月もあと数日ですね。

東京では夏日の日もちらほら出てきてますね。

前回は、自己破産と相続との関係について書きましたが、今回は、個人再生後に一括返済や繰り上げ返済ができるかについて書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

小規模個人再生では、①100万円、②借金総額の5分の1、③清算価値のうち最も高い金額まで借金を減額し、原則として3年、特別な事情がある場合には5年で返済をすることになります。

返済は、あくまで裁判所に認可された返済計画に従って行うのが原則です。

個人再生をした後に、給与が上がるなどして収入が大幅に増えた場合や、相続によって遺産分割を受けてまとまった財産を取得した場合に、裁判所の認可を受けた返済計画どおりに継続的に支払いをするのではなく、債務を繰り上げて返済したり、一括で返済したいと考える方もいるのではないでしょうか。

個人再生の場合は債務に利息が付きませんので、返済期間を短縮しても利息が少なくなるメリットはありませんが、早く債務の支払義務から解放されたいと考える方も多いと思います。

一括返済とは、文字どおり、債務全額を1回で支払うことをいいます。

繰り上げ返済とは、毎月の返済に加えて債務額の一部または全部を返済することをいいます。

個人再生の繰り上げ返済では、返済期間を短くする方法が用いられます。

個人再生後の繰り上げ返済は、法律上禁止されていませんので、結論としては一括返済や繰り上げ返済は可能です。

ただし、債務整理をする場合、原則として債権者を平等に扱うべきという「債権者平等の原則」という考え方があります。

特に個人再生は裁判所を介する法的債務整理手続のため、「債権者平等の原則」が厳格に適用されます。

個人再生後に一括返済や繰り上げ返済を行うのであれば、一部の債権者に対してのみ一括返済や繰り上げ返済をすると他の債権者に不公平になりますので、全ての債権者に平等に返済しなければなりません。

このように、全ての債権者に平等に一括返済する場合は、基本的には問題ないとされています。

ただし、あくまで債権者が同意することが前提となります。

また、個人再生後に、圧縮された債務には利息が付きません。

そのため、一括返済や繰り上げ返済で債務の返済が早まることで債権者側に生じるデメリットはありません。

したがって、一括返済や繰り上げ返済を拒否する債権者はほとんどないと考えられます。

ただし、個人再生の手続開始からあまり日が経っていない場合には注意した方が良いと思われます。

債務者が返済不可能な状態にあったからこそ、裁判所に個人再生の申立てをし、債権者が債務を圧縮することに同意したにもかかわらず、裁判所の認可が出てすぐに一括返済や繰り上げ返済をするとなると、最初から借金の減額を目的にして不正な方法により不当に債務を免れることが目的だったのではないかと疑われる可能性が高くなります。

特に再生計画認可から半年も経過していない場合は、債権者が不満に思ったり、財産隠しを疑われる可能性もあります。

そのため、一括返済や繰り上げ返済をするのであれば、そのタイミングや債権者との交渉については、弁護士などの専門家に事前によく相談することが大切です。

自己破産と相続との関係について

2021年4月の終わりも見えてきましたね。

東京もだいぶ暖かくなってきて春を感じるようになってきました。

前回は、債務整理する場合の金融機関の口座の処理について書きましたが、今回は、自己破産と相続との関係について書いてみたいと思います。

 

自己破産すると相続ができなくなるのではないかとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、自己破産しても相続はできます。

相続には、「相続欠格」という制度があります。

相続欠格に当たる場合は民法で限定的に規定されており、該当する場合は相続権は永久に失われてしまいます。

具体的な例としては、故意に被相続人や他の相続人を死亡させた人や、詐欺や脅迫によって被相続人の遺言を、作成、撤回、取消し、変更することを妨げた人などがこれに当たります。

自己破産はこれらに該当しませんので、相続欠格にはなりません。

 

また、相続には、「廃除」という制度もあります。

相続人の廃除とは、被相続人への虐待行為があるなどの事情によって被相続人が自身の遺産を相続させたくない推定相続人がある場合に、家庭裁判所に相続排除の申立てをして相続権をはく奪することができる制度です。

被相続人が遺言の中で廃除する相続人を指定することよって、遺言執行者が相続廃除の申立てを行うこともできます。

このように、自己破産をしたこと自体は原則として廃除事由には該当しません。

 

それでは、自己破産をする場合に、相続が発生するタイミングによって、自己破産を申し立てる債務者の方(破産者)にどのような影響があるのでしょうか。

相続が発生する時期によって、手元に相続財産がどれくらい残るかが変わってきます。

 

自己破産を申し立てる前に相続が発生した場合は、他の相続人と同じ状況にありありますので、遺産分割協議をして遺産を相続し、必要があれば相続税を支払うことになります。

そして、取得した相続財産で借金を返済することになります。

相続財産では借金を返済しきれない場合は、改めて債務整理をするかどうか検討することになります。

この場合、相続財産は手元に残らないことになります。

 

自己破産の申立て後、破産手続開始決定が出る前に相続が発生した場合も、申立て前に相続が発生した場合と同様に、申立人は遺産を取得したことになります。

したがって、自己破産の手続の中で、遺産は借金の返済に充てられることになります。

破産者は、破産手続開始時に有する財産の財産管理権を失いますので、破産手続開始決定前に発生した相続による相続財産は破産手続の中に組み込まれ、債権者への返済に充てなければならなくなります。

もし相続によって実家を取得した場合は、実家を失ってしまう可能性が高いため、そのまま自宅に住み続けたいのであれば、自己破産以外の手続、たとえば任意整理や個人再生などで借金を減額できないかを検討することになります。

 

破産手続開始決定後に相続が発生した場合、申立人が取得した相続財産は、自己破産の後に新たに取得した財産になりますので、すべて破産者の財産になります。

そうすると、借金は免責決定によって支払義務がなくなり、かつ、相続財産も取得することができますので、債務者にとっては最も有利になります。

 

相続がいつ発生するかの予測は難しいですが、病気等で入院しているなど事前に予測できる場合もあるかと思います。

そのような場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。

債務整理する場合の金融機関の口座の処理について

2021年3月の終わりも見えてきましたね。

東京もだいぶ暖かくなってきて、桜も満開です。

前回は、過払い金の請求はいつすべきかについて書きましたが、今回は、債務整理する場合の金融機関の口座の処理について書いてみたいと思います。

 

弁護士に債務整理を依頼した場合、弁護士が債権者に対し、受任通知を発送します。

これにより、債務者に資力がないため、債務の支払をすることができないということが債権者に表示されることになります。

そうすると、借入のある金融機関の預金口座に残高がある場合、通常は、保証会社による代位弁済の直前に相殺がなされて残高が0円になります。

このように、弁護士から債権者に受任通知を発送する前に、自分の銀行口座の処理や、光熱費等の支払方法について検討して準備をしておく必要があります。

 

①債務整理をする債権者が銀行等の金融機関の場合、受任通知が到達した時点における預金が、借金と相殺されてしまいます。

また、債務整理をする銀行の系列の保証会社から代位弁済がされるまでは、口座が凍結されるため、入金、出金、口座振替(自動引落し)が原則としてできなくなります。

したがって、受任通知発送までには口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておく必要があります。

また、給与口座を変更したり、口座振替(自動引落し)にしている光熱費や携帯電話料金等の支払方法を振込みやコンビニ払いなどに変更する必要があります。

保証会社の代位弁済が終了すれば、借入のある金融機関であっても、法律上は、受任通知発送前と同じように預金取引ができます。

 

②債務整理をする債権者が消費者金融で、かつ、銀行等の金融機関の系列会社である場合、系列の金融機関の口座が凍結される可能性があります。

口座が凍結されてしまうと、系列の金融機関からの入金、出金、口座振替(自動引落し)ができなくなる可能性があります。

したがって、受任通知発送までには口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておいた方が無難です。

 

③債務整理をする債権者が銀行等の金融機関ではなく、銀行系列の消費者金融でもない場合、お持ちの金融機関の口座が凍結されることはありません。

しかし、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっている場合は、受任通知到達後も債権者のシステムの都合上、預金から引き落とされてしまうことがあります。

この場合、返金手続に時間がかかってしまったり、破産・再生手続においては偏頗弁済とされる可能性もあります。

このように、債務者側に不利益になる可能性がありますので、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっているかどうかをご確認いただきまして、債権者への支払方法が口座振替(自動引落し)になっている場合は、受任通知発送までにその口座の残高を0円(もしくは限りなく0円に近づけておく)にしておいた方が無難です。

 

④債務整理するクレジットカードで光熱費等の支払いをしている場合

債務整理するクレジットカードで光熱費等の支払いをしている場合、本来は、そのクレジットカードを使用してはいけません。

しかしながら、債権者のシステムの都合上、決済がされてしまう場合があります。

債務整理するクレジットカードで光熱費等が引き落とされた場合は、債権者が債権額を確定できなくなるため、手続の進行に支障が出ることがあります。

そのため、光熱費等の支払方法を振込みやコンビニ払いなどにする必要があります。

 

自分がどの口座で、どのように支払いをしているかわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合は、債務整理に詳しい弁護士に相談して、整理してみるとよいでしょう。

過払い金の請求はいつすべきか

2021年2月も終盤です。

2月はあっという間に終わってしまいますね。

東京の緊急事態宣言もそろそろ終わるのでしょうか。

 

前回は、過払い金返還請求をしたいが資料がない場合について書きましたが、今回は、過払い金の請求はいつすべきかについて書いてみたいと思います。

 

過払い金請求は、払い過ぎた利息が戻ってくるというものです。

既に借金を完済している人も、今まさに借金を返済中の人も、どちらの人にもメリットは大きいといえます。

また、過払い金を返せという権利は、一定の期間が過ぎると時効によって消滅してしまいます。

早めに請求をしていれば過払い金を支払ってもらえる可能性があったにもか かわらず、迷っていて権利を消滅させてしまうことはできるだけ避けるべきです。

そのため、過払いの相談は、すぐにでも行うべきです。

 

もっとも、完済後に過払い金返還請求をするにあたり、注意すべき点もあります。

 

まず、過払い金はキャッシングでの借入れしか発生しませんが、過払い金の請求時に、もしショッピング枠に支払いが残っている場合は、キャッシング枠の過払い金が充てられます。

過払い金の充当してもショッピング枠の支払いが残ってしまった場合、債務整理扱いとなり、信用情報に登録される可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、ショッピング枠の利用状況を確かめておくとよいでしょう。

 

次に、過払い金請求する業者が吸収合併した業者に対する債務がないかどうかを確認する必要があります。

もし、業者①に過払い金請求する場合、業者①が吸収合併した業者②にも借金がある場合、完済とは認められず、債務整理扱いになる可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、業者①が吸収合併した業者②にも借金がないかどうかを確かめておくとよいでしょう。

 

最後に、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用しているかどうかを確認する必要があります。

もし、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用しているというように、関連する会社の借金がある場合、完済とは認められず、債務整理扱いになる可能性があります。

そのため、過払い金を請求する前に、過払い金請求する業者の保証会社のカードローンを利用していないかどうかを確かめておくとよいでしょう。

以上

過払い金返還請求をしたいが資料がない場合

2021年1月ももう終わりですね。

今年もあっという間に終わってしまいそうな気がしてしまいます。

東京のコロナの人数が増えてきていますね。

早くワクチンや治療薬ができるといいですね。

 

前回は、過払い金返還請求における取引の分断について書きましたが、今回は,過払い金返還請求をしたいが資料がない場合について書いてみたいと思います。

過払い金とは、簡単にいうと、借主が貸金業者等の貸主に返済しすぎたお金です。

利息制限法に定める上限利率を超える高い利率でお金を借りていた場合に、利息が払いすぎになっていることがあります。

この払いすぎた分が過払い金です。

過払い金が発生するためには、通常、5~7年間以上取引を継続していることが必要となります。

したがって、長期間の返済を経て、借金を返済し、その後に過払い金返還請求をすることになりますので、その間に契約書や取引明細書を紛失している方が多いのではないでしょうか。

もっとも、貸金業者には、各債務者の帳簿を保管し、全ての取引履歴を開示する法的な義務があります。

そのため、取引履歴の開示請求をして、開示された取引履歴をもとに過払い金の返還を請求することは可能です。

また、どこの金融業者から借入れをしたか覚えていなくても、債務者本人が信用情報機関に問い合わせることで、どこの金融業者から借入れをしていたのか把握できる場合もあります。

取引期間が非常に長期に及ぶ場合や借金を完済している場合には、貸金業者から全部の取引履歴が開示されない場合もあります。

そのような場合に、全ての取引履歴が開示されているかどうかをチェックするためにも、契約書等の資料が残っている方が望ましいといえます。

また、預貯金の通帳や取引履歴から、貸金業者の入出金記録を調査できる場合もあります。

過払い金返還請求にあたっては、一番最初に借入れをした時期と最後に返済した時期は大変重要な情報になりますので、できる限り借入当時のことを思い出せるようにしておくといいでしょう。

 

もし過払い金が発生していそうな場合で、資料を紛失してしまった方は、過払い金の分断の問題に詳しい弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。

過払い金返還請求における取引の分断について

年末ですね。今年もあと4日になりました。

東京もかなり寒くなってきてますね。体を冷やすといいことがないので、気を付けたいところです。

前回は、過払い金について書きましたが、今回は,過払い金返還請求における取引の分断について書いてみたいと思います。

 

過払い金とは、簡単にいうと、借主が貸金業者等の貸主に返済しすぎたお金です。

過払い金返還請求において、債権者からよく争われる問題が、取引の分断の問題です。

取引の一連性の問題と言われることもあります。

この取引の分断の主張が認められると、過払い金が返還されないことになるため、最も重要な問題とも言えます。

 

借金をいったん完済した後、再び同じ貸金業者から借入れをして取引を再開するということはよくあると思います。

この場合、最初の取引と次の取引が一つの取引であれば、両方の取引が連続しているものとして、一連で引き直し計算をすることになります。

しかし、この最初の取引と次の取引とが、まったく別個の取引として扱われた場合は、どのように引き直し計算をすべきでしょうか。

一連で計算する場合は、取引中断前に発生した過払い金を、取引中断後の借入金に充当して計算することができるため、取引が分断されたものとして各取引を個別に引き直し計算をする場合よりも、過払い金の金額が増えることが多くなります。

そのため、借主側からすれば、当然、一連で引き直し計算した結果を主張することになり、他方、貸主側は、2つの取引が別々のものとして取り扱うべきであるという主張をすることになります。

これが、いわゆる取引の分断と呼ばれる問題です。

 

分断した複数の取引を一連のものとして計算できるのかどうかを判断するにあたっては、債権者と債務者との間に過払金充当合意があるかどうかという点が問題となります。

過払金充当合意とは、取引中断前の取引で発生した過払い金を、取引中断後の借入金に充当させる旨の当事者間の合意のことをいいます。

もっとも、貸金業者が、契約締結の際に、もし過払いが発生した場合、取引中断後の借入金に充当することを認めるといった内容の契約をすることはないため、この過払金充当合意とは、あくまで裁判所が考え出した法的なフィクションのようなものです。

裁判所の考え方の根底には、取引が分断している以上、本来的には別々に計算をすべきだという考えがあります。

これに対して、分断した取引を一連で計算させるための理由づけとして、この過払金充当合意という擬制的な考え方を用いているのです。

 

取引の分断の問題は、空白期間があれば、債権者がほとんどの場合主張してくるため、多くの裁判例が積み重ねられ、最高裁判所の判例によって、一定の基準が定まってきています。

 

もし過払い金が発生していそうであって、ご自身の取引が分断している方は、過払い金の分断の問題に詳しい弁護士にご相談されるとよいのではないかと思います。