今年ももう終わりになりますね。本当にあっという間に1年が終わった感じがします。
北海道は寒波が来ているようですが,東京はそこまで寒くなりませんでしたね。
前回は,交通事故から3年経過してしまった場合,相手方に一切請求できなくなってしまうのかという点について検討してみましたが,今回は消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書いてみたいと思います。
最近,交通事故に遭われて加害者が任意保険に加入していないケースが少なからずございます。
そのような場合であっても,原則として全ての自動車について自賠責保険か自賠責共済の契約の締結が義務付けられておりますので,ほとんどの方が自賠責保険か自賠責共済に加入していると思われます。
被害者の自賠責保険会社に対する損害賠償請求権については,被害者の加害者に対する損害賠償請求権と同じく,「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から消滅時効が進行すると解されています。
そのため,交通事故から時効中断事由なしに3年以上経過した場合は,自賠責保険会社に対する被害者請求をすることができないと考えられます。
しかしながら,自賠責保険の被保険者である加害者が被害者に対して賠償金を支払った場合,加害者が自賠責保険会社に対して自賠責保険金の支払いを請求することができます(自賠法15条)。
これを加害者請求と言います。
加害者は,被害者に対し,実際に損害賠償額を支払った場合にのみ自賠責保険会社に対して自賠責保険金を請求することができるということになります。
そのため,加害者請求の消滅時効の起算点は,被害者請求の消滅時効の起算点とは異なり,事故発生時ではなく,被害者に損害賠償額を支払った時ということになります。
このような場合,加害者と交渉して,加害者が自賠責保険により受け取ることができる保険金の範囲内にとどめた金額を請求することで,加害者が任意に損害賠償金を支払う可能性が出てくるかもしれません。
交通事故に遭われて相手方が任意保険に加入していない場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。