相続財産のチェックリスト

2月は本当にあっという間ですね。

東京でも花粉が飛び始めていて,症状が出て大変です。

 

前回は,相続法の改正についてまとめてみました。

今回は,相続が開始したときに,相続財産を見落とさないようにするためのチェックリストを書いてみたいと思います。

もし,相続財産を見落としたまま遺産分割協議が終了した場合は,新しく見つかった財産の分割協議を行わなければならないため,負担が増えてしまうことになります。

そのようなことのないように,以下のチェックリストを参考にしていただければと思います。

 

1 自筆証書遺言書があるかどうか

2 公正証書遺言があるかどうか

3 預貯金があるかどうか

4 現金や小切手があるかどうか

5 公開・非公開の株式や社債などの有価証券があるかどうか

6 不動産があるかどうか

7 借家権があるかどうか

8 賃借権があるかどうか

9 敷金があるかどうか

10 未収家賃があるかどうか

11 ゴルフ会員権があるかどうか

12 自動車があるかどうか

13 貴金属や絵画などの動産があるかどうか

14 貸金庫があるかどうか

15 貸付金や売掛金があるかどうか

16 買掛金があるかどうか

17 未払いの税金があるかどうか

18 金融機関や個人からの借入金があるかどうか

 

これらの点を確認いただいて,方針をお決めいただくとスムーズかと思います。

相続でお困りの方は相続に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

相続に関するサイトはこちら

相続法改正について

平成31年に入って,もう1か月が経過しようとしています。

本当にあっという間ですね。

東京でもインフルエンザが流行しているそうなので,こまめに緑茶を飲むなどして気を付けています。

 

前回は,消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書きましたが,今回はがらっと内容を変えて,相続法の改正についてまとめてみたいと思います。

40年ぶりの大改正ということで,最近ではニュースやワイドショーでも取り上げられていますね。

改正の大きな目玉としては,以下の点になるのかなと考えています。

①配偶者居住権の新設

②義理の両親を介護した際,金銭で報われる場合がある

③自筆証書遺言の形式と保管方法が変わる

 

相続法改正に関する施行期日は以下のとおりになります。

①下記を除く原則的な施行期日:平成31年7月1日

②自筆証書遺言の方式を緩和する方策:平成31年1月13日

③配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等:平成32年4月1日

法務局における遺言書の保管等に関する法律:平成32年7月10日

 

 

相続は転換点を迎えておりますので,今後は,相続に関する運用等も変わってくることが予想されます。

相続でお困りの方は相続に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

東京で相続問題でお困りの方はこちらをご覧ください。

消滅時効について③

今年ももう終わりになりますね。本当にあっという間に1年が終わった感じがします。

北海道は寒波が来ているようですが,東京はそこまで寒くなりませんでしたね。

 

前回は,交通事故から3年経過してしまった場合,相手方に一切請求できなくなってしまうのかという点について検討してみましたが,今回は消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書いてみたいと思います。

 

 

最近,交通事故に遭われて加害者が任意保険に加入していないケースが少なからずございます。

そのような場合であっても,原則として全ての自動車について自賠責保険か自賠責共済の契約の締結が義務付けられておりますので,ほとんどの方が自賠責保険か自賠責共済に加入していると思われます。

被害者の自賠責保険会社に対する損害賠償請求権については,被害者の加害者に対する損害賠償請求権と同じく,「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から消滅時効が進行すると解されています。

そのため,交通事故から時効中断事由なしに3年以上経過した場合は,自賠責保険会社に対する被害者請求をすることができないと考えられます。

 

しかしながら,自賠責保険の被保険者である加害者が被害者に対して賠償金を支払った場合,加害者が自賠責保険会社に対して自賠責保険金の支払いを請求することができます(自賠法15条)。

これを加害者請求と言います。

加害者は,被害者に対し,実際に損害賠償額を支払った場合にのみ自賠責保険会社に対して自賠責保険金を請求することができるということになります。

そのため,加害者請求の消滅時効の起算点は,被害者請求の消滅時効の起算点とは異なり,事故発生時ではなく,被害者に損害賠償額を支払った時ということになります。

このような場合,加害者と交渉して,加害者が自賠責保険により受け取ることができる保険金の範囲内にとどめた金額を請求することで,加害者が任意に損害賠償金を支払う可能性が出てくるかもしれません。

 

交通事故に遭われて相手方が任意保険に加入していない場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

消滅時効について②

東京は急に寒くなりましたね。風邪には気を付けたいところです。

 

前回は,交通事故における消滅時効の基礎について書いてみましたが,今回は消滅時効についてもう一歩踏み込んで書いてみたいと思います。

前回,不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなかったときに時効期間が完成する(民法724条,自賠法4条)と説明をいたしました。

 

今回は,交通事故から3年経過してしまった場合,相手方に一切請求できなくなってしまうのかという点について検討してみます。

交通事故に遭った後で3年以上経ってしまった場合であっても,相手方が任意保険に加入している場合は,保険会社としては事故による被害者の損害を回復し,安全な社会の実現を図るという使命から,消滅時効の援用をしないケースもあるところです。

ただし,相手方保険会社が絶対に消滅時効の援用をしないという保証はないので,できるだけ3年経過する前に,時効中断措置や債務承認などの方策を取った方が良いと思います。

次回は,消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書いてみる予定です。

交通事故に遭われた場合,治療が長期にわたり交通事故から3年経ってしまった方もおられると思います。

そのような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

消滅時効について①

東京は涼しくなって過ごしやすくなってきましたね。

前回は,交通事故における物損と人損の過失割合について書いてみましたが,今回は消滅時効の基礎について書いてみたいと思います。

 

 

このブログをお読みになっている方も一度は「時効」という言葉は聞いたことがあるのではないかと思います。

交通事故による損害賠償請求権は,不法行為による損害賠償請求権と言い換えることができます。

この不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなかったときに時効期間が完成します(民法724条,自賠法4条)。

また,不法行為のときから20年の経過により除斥期間となります。

自賠責保険の被害者請求についても,事故から3年の経過により時効消滅します(自賠法19条)。

それでは,交通事故から3年経過してしまった場合は,相手方に一切請求できなくなってしまうのでしょうか。

この点については,次回に書いてみたいと思います。

交通事故に遭われた場合,治療が長期にわたり交通事故から3年経ってしまった方もおられると思います。

そのような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

物損と人損の過失割合

東京は雨が多いですね。

急に涼しくなったので体が慣れるまでに時間がかかって大変です。

 

前回は,後遺症逸失利益の計算の中で問題となる労働能力喪失率について書いてみましたが,今回は物損と人損の過失割合について書いてみたいと思います。

交通事故案件を多く扱っていてよくあるのが,以下のようなケースです。

 

【例】

被害者ご本人様で物損について相手方保険会社と交渉し合意した際に,過失割合についても併せて合意した(例えば,当方10:相手方90で合意した。)。

ただし,相手方保険会社には特に伝えてはいなかったが,自分としては修理費のみ当方10対相手方90のつもりで合意したし,相手方保険会社からも特に明確な説明がなかった。

なのに,いざ人損の交渉をしてみると,人損の過失割合も当方10対相手方90になっていた。

自分としては修理費のみの過失割合として考えていたのに納得いかない。

 

といったものです。

被害者様のお気持ちはとてもよくわかるところですが,争いがないことを前提とした場合,1つの交通事故においては事故態様は1つであり,合意した以上は過失割合も1つになります。

相手方保険会社と物損と人損の過失割合を別に考えるという明確な合意(書面を交わしているなど)があれば別ですが,基本的には物損で合意した過失割合が人損においても適用されます。

お怪我の治療は時間がかかることが多いため,通常は物損を先にまとめることが多いと思います。

その際は,過失割合についてどのように決めるかについて,相手方保険会社に確認をしておくとよいと思います。

 

 

以上のとおり,交通事故に遭われた場合,ご本人様で物損について交渉し合意をなさる方も多いと思いますが,合意の前に一度立ち止まって,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

後遺症逸失利益の計算における労働能力喪失率について

東京は少し涼しくなったかと思うと,また暑い日々が続いて大変ですね。

気温差に体がついていかなくなりがちなので,体調管理には気を付けたいところです。

 

前回は,後遺症逸失利益について書いてみましたが,今回はこの後遺症逸失利益の計算の中で問題となる労働能力喪失率について少し考えてみたいと思います(以下後遺症逸失利益を単に「逸失利益」といいます。)。

前回のおさらいになりますが,逸失利益の一般的な計算式は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力期間に対するライプニッツ係数であり,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮して算定されます。

上記の計算式の内,②労働能力喪失率とは,交通事故によって負ったお怪我が完治せずに残ってしまった後遺症によって失われた労働能力の程度をいいます。

たとえば,事故の前は100%の力で仕事ができたのに,後遺症の影響で70%の力でしか仕事ができなくなってしまったといった場合,この30%が労働能力喪失率ということになります。

自賠責保険における後遺障害等級表では,後遺障害等級14級は労働能力喪失率5%,12級は労働能力喪失率14%,飛んで1級から3級は労働能力喪失率100%と定められています。

このように等級表で決められているため,後遺障害等級認定=等級表上の労働能力喪失率と思われるかもしれません。

しかしながら,裁判所は等級表に定められた労働能力喪失率はあくまで参考値として,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位・程度,事故前後の稼働状況,所得の変動等を考慮して具体的に判断するとしています。

以上のとおり,交通事故でお怪我をされた場合,逸失利益の請求にあたって,労働能力喪失率ひとつ取っても様々な考慮要素があり,また,立証が難しい場合もあることから,逸失利益の請求をどのようにすればよいかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

後遺障害について弁護士を東京でお探しの方はこちら

逸失利益の請求について

東京も暑い日々が続いて大変ですね。

本当に暑いので,裁判所に行くときなどは汗びっしょりになってしまいつらいです。

 

今日は,後遺症逸失利益について少し考えてみたいと思います(以下後遺症逸失利益を単に「逸失利益」といいます。)。

交通事故によって負ったお怪我が完治せずに後遺症が残ってしまった場合,被害者様は後遺症慰謝料や後遺症逸失利益を加害者に対して請求することになります。

後遺症逸失利益の一般的な算定式は以下のとおりです。

・後遺症逸失利益=①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力期間に対するライプニッツ係数

逸失利益は,労働能力の低下の程度,収入の変化,将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性,日常生活上の不便等を考慮して算定されます。

 

 

①基礎収入は,原則として事故前の被害者様の現実の収入を基礎としますが,将来,現実収入額以上の収入を得られる可能性が高く,その立証ができれば,その金額が基礎収入となる場合があります。

②労働能力喪失率とは,交通事故によって負ったお怪我が完治せずに残ってしまった後遺症によって失われた労働能力の程度をいいます。

③労働能力喪失期間とは,交通事故によって負ったお怪我が完治せずに残ってしまった後遺症により労働能力の一部または全部が失われる期間をいい,その始期は症状固定時,終期は原則67歳とされています。

もしかすると,被害者様の中には,労働能力喪失期間は症状固定日から67歳まで当然に認められると思っている方もおられるかもしれません。

ただし,67歳を労働能力喪失期間の終期とするのは,あくまで原則であって,被害者様の職業,地位,健康状態,能力等によって例外的な扱いをされることが多いです。

また,後遺症の中にはそもそも逸失利益自体が認められにくいものや,労働能力喪失期間が67歳まで認められにくいものもあります。

 

以上のとおり,交通事故でお怪我をされた場合,逸失利益の請求にあたって様々な考慮要素があり,また,立証が難しい場合もあることから,逸失利益の請求をどのようにすればよいかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

休業損害について

東京も梅雨が明けて,ものすごく暑い日が続いていますね。

だんだん寝苦しくなってくるので,体調管理に気を付けたいところです。

 

今日は,休業損害について考えてみたいと思います。

休業損害の賠償基準は,交通事故による怪我やその治療のために休業したことによる現実の収入額とされています。

休業損害の一般的な算定式は以下のとおりです。

・休業損害=1日当たりの基礎収入額×休業日数

ただし,治療が長期にわたる場合は,治療により怪我から回復していくと考え,一定期間ごとに損害額を漸減させる方法で休業損害額を計算する場合もあります。

 

自賠責保険の1日当たりの基礎収入額は原則5700円とされていますが,この金額を超えると認められる場合には,1万9000円を限度として,その実額を基礎収入額として認められることもあります。

 

被害者様が給与所得者である場合,被害者様の勤務先等が源泉徴収票や休業損害証明書の提出に協力してくだされば基礎収入額について争いになることはほとんどないと思われます。

 

被害者様が個人事業主である場合,現実の収入減があった場合に休業損害が認められるのが原則になります。

なお,個人事業主の休業中の固定費(家賃や従業員の給料等)の支出については,事業の維持・存続のために必要やむを得ないものについては,休業損害として認められる場合があります。

 

被害者様が会社役員の場合は,労務提供部分の対価と認められる部分については休業損害と認められる場合がありますが,企業経営者として受領する利益配当の実質を持つ部分については否定されることが多いといえます。

役員報酬について,被害者側は,報酬が減額された事実だけでなく,報酬減額と交通事故との間の因果関係の双方を立証しなければならず,この点については立証の難易度が高まるところです。

このように,休業損害の請求にあたって立証が難しい場合もあることから,加害者側の保険会社が被害者様の休業損害がゼロ円だと主張してくることも少なくありません。

 

交通事故でお怪我をされた場合,休業損害の請求をどのようにすればよいかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

入院した場合に休業損害が認められる期間については,こちらもご覧ください。

後部座席シートベルトと過失相殺

東京もだいぶ蒸し暑くなってきましたね。

これから梅雨時期になるので食中毒には気を付けたいものです。

 

今日は,シートベルトを着けずに自動車の後部座席に同乗していた人が交通事故に遭った際,どのような場合に,どの程度の過失相殺がなされるかについて考えてみたいと思います。

 

まず,道路交通法上,運転者,助手席同乗者及び助手席以外の同乗者について,全ての道路におけるシートベルトの装着義務が規定されています(道路交通法71条の3第1項,同第2項)。

道路交通法上,助手席同乗者や後部座席同乗者のシートベルト装着義務は運転者に課せられており,助手席同乗者や後部座席同乗者はシートベルト装着義務を負っておりません。

つまり,運転者が助手席同乗者や後部座席同乗者にシートベルトを装着させる義務を負っているということになります。

これらのシートベルト装着義務に違反した場合は,運転者には違反点数1点が付くことになります。

ただし,助手席以外の同乗者のシートベルト装着義務違反については,高速道路で自動車を運転する場合にのみ違反点数が付くことになります。

 

過失相殺の対象となる被害者の過失は,交通事故と損害の発生との間に因果関係がある必要があります。

したがって,シートベルトを付けなかったために,同乗者が怪我をするなど損害が発生した場合に過失が認められるということになります。

助手席におけるシートベルト不装着を理由とする過失相殺が問題となった裁判例を概観してみると,過失相殺を認めた裁判例が圧倒的多数を占めており,典型的なシートベルト不装着の事案ですと,同乗者の過失割合が5%から20%の範囲内に収まっているようです。

後部座席におけるシートベルト不装着を理由とする過失相殺が問題となった裁判例を概観してみると,過失相殺を認めた裁判例と過失相殺を否定した裁判例が半分半分の割合であり,典型的なシートベルト不装着の事案では,同乗者の過失割合は5%から10%の範囲内に収まっているようです。

たとえば,タクシーに乗っていて交通事故でお怪我をされた場合,だれにどのような請求をすべきかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

シートベルトを装着していなかった場合の過失割合については,こちらもご覧ください。

交通事故と公的保険

東京もやっと花粉症の季節が終わりましたね。

本当にうれしいです。

今回は,交通事故による治療に健康保険や労災保険を使用する場合を考えてみたいと思います。

まず,健康保険や労災保険を使った診療を「保険診療」といいます。

他方,健康保険や労災保険を使わない診療を「自由診療」といいます。

 

健康保険診療では,健康保険法に基づき診療行為ごとの診療報酬点数が定められており,1点当たり10円として診療報酬が算定されます。

労災保険診療では,1点当たり12円として診療報酬が算定されます。

 

これに対し,自由診療では,医師は患者との合意により,診療報酬を自由に定めることができます。

この場合,1点20円や30円に設定される場合が多いと思います。

 

交通事故が勤務中に発生した場合(業務災害)や通勤途中に発生した場合(通勤災害),労災保険によって治療を受けることができます。

労災保険によって治療を受けられる場合には,健康保険を使うことができないので注意が必要です。

交通事故が同時に労災事故である場合,労災保険を使うことには多くのメリットがあるのですが,これらのメリットについてはまた別の機会にお話したいと思います。

 

交通事故でお怪我をされた場合,体が痛いにもかかわらず相手方保険会社とやり取りをしなければならず,また,治療にあたってどのような保険を使用すればよいのかお悩みになられる方も多いと思います。

このような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

交通事故に遭い弁護士をお探しの場合はこちら

代車費用の相当性

東京はお花見シーズンが終わって,これから本格的に暖かくなってくる時期になりましたね。

この時期は気温の上がり下がりが激しいので,体調を崩さないように気を付けたいものです(私は今週崩してしまいましたが…)。

 

前回は,物損の損害賠償の中でも,解決困難な問題に発展しがちな代車費用に関する問題点の内,②代車利用期間の相当性について考えてみました。

今回は,③代車費用の相当性について考えてみたいと思います。

代車費用は,事故車両の代わりに利用する車両として相当であると認められる範囲内であれば賠償の対象となります。

この点について,代車の種類(いわゆるグレード)が問題となります。

通常は,事故車両と同程度以下のグレードの車両であれば相当性が肯定されることが多いと思います。

それでは,事故車両がキャデラックリムジン,メルセデス・ベンツ,ポルシェやフェラーリなどといった高級外車であった場合は,同程度のグレードの車両でも相当性が肯定されるでしょうか。

どこまでのグレードの代車が相当かどうかという点について,特に明確な基準があるわけではありませんが,一般的には,事故車両が上記で例示した高級外車の場合には,事故車両と同程度のグレードの高級外車を代車として利用しても必ずしも代車費用全額が賠償されるのではなく,国産高級車の代車費用の限度での賠償が認められるにとどまるといった傾向にあるようです。

自分に過失が全くない追突事故の被害者様の場合には,事故に遭わなければ自分の高級外車に乗り続けることができたにも関わらず,事故に遭ったことによってグレードの低い代車を利用せざるを得なくなってしまうことに憤りを感じられる方も多いと思います。

お気持ちは大変理解できるところなのですが,代車費用の相当性という判断枠組みがあるということも念頭において代車を選択されると,後々代車費用全額が賠償されないという状況を回避できると思います。

交通事故による代車費用についてはこちらもご覧ください。

代車利用期間の相当性

東京もそろそろ花粉症の季節に入りましたね。

目がかゆくなってきてつらいです。

 

前回は,物損の損害賠償の中でも,解決困難な問題に発展しがちな代車費用に関する問題点の内,①代車利用の必要性について考えてみました。

今回は,②代車利用期間の相当性について考えてみたいと思います。

 

代車利用それ自体の必要性,相当性が認められる場合であっても,代車使用の認められる期間は,現実に修理または買替えをするまでに要した期間ではなく,修理または買替えに要する「相当期間」になります。

そのため,交通事故によるお車の破損の修理または買替えに要する相当な期間を超えた部分については,賠償の対象外となる場合があります。

修理期間は,通常1週間から2週間程度であることが多いと思います。

もっとも,破損したお車の車種,年式,価格や破損の程度によって修理に要する相当な期間は異なりますので,修理に時間を要する合理的な理由が認められれば,その理由に応じた期間分の代車使用料が支払われる場合もあります。

 

また,買替えの場合は,通常3週間から1か月程度であることが多いと思います。

 

修理または買替えに要する一般的な期間を超える「相当期間」の判断に当たっては,具体的な事情を考慮する必要があります。

どの程度代車使用期間が認められるかご不安な方は,交通事故に詳しい弁護士をお探しになられるとよいと思います。

 

次回は,③代車費用の相当性について考えてみたいと思います。

代車の利用の注意点

東京も雪が降る季節になりましたね。

毎日寒くてつらいです。

 

今回は,物損の損害賠償の中でも,解決困難な問題に発展しがちな代車費用について考えてみたいと思います。

 

交通事故によって,被害者様の自動車が壊れてしまった場合,通常は修理や買替えをすることになると思います。

修理や買替えのための相当な期間中に,レンタカーを使用するなどして代車を利用した場合には,代車費用が認められることになります。

 

代車費用が認められるかどうかの考慮要素として,以下のものがあります。

① 代車利用の必要性

② 代車利用期間の相当性

③ 代車費用の相当性

上記で述べた3つの要素を総合考慮して代車費用が認められる一般的な期間は,修理の場合は1週間から2週間程度,買替えの場合は2週間から長くても1か月程度となります。

 

まずは,①代車利用の必要性について,考えてみたいと思います。

事故に遭われた被害者様の中には,壊れてしまった自動車を修理する間や買替えをするまでの間に利用した代車費用について,どのようなときでも当然全額認められるとお考えの方もいらっしゃるかと思います。

私も,弁護士になる前は,事故に遭わなければ自分の車はいつどのようなときでも自由に乗ることができるのだから,自分の車が修理を終えて戻ってくるもしくは新しい車が納車されるまでは,代車費用は当然出るものと思っていました。

しかしながら,代車費用が支払われるかどうかを判断するにあたって,代車を利用する必要性とその必要性の程度が認められなければならないのです。

この点を把握しておかなければ,当然支払われると思っていた代車費用が後になって支払われず,交通事故の被害者であるにもかかわらず自費で代車費用を支払うことになりかねません。

このようなことにならないように,交通事故で代車を利用する場合は,交通事故に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。

東京で交通事故に関して弁護士をお探しの方はこちら

次回は,②代車利用期間の相当性について考えてみたいと思います。

車両保険の使いどころ

もう年末になってしまいました。

東京も寒くなり,風邪を引かないように気を付けていきたいところです。

 

前回のブログでは,いわゆる任意保険(総合自動車保険)は,基本的に,①賠償責任保険,②人身傷害補償保険及び③車両保険の3つに分類することができるというお話をさせていただきました。

今日は,上記3つの内,③車両保険を取り上げたいと思います。

車両保険とは,交通事故によって損害が生じた車両の所有者等を被保険者(ここでは,事故が発生したときに保険金の支払いを受ける権利を有する者をいいます。)とする保険をいいます。

車両保険は,被害者様の過失割合にかかわらず,契約した保険会社から,被害者様の車両損害に相当する金額が,保険金として支払われます。

 

物損に関する損害賠償については,分損と経済的全損という概念があります。

分損とは,修理費用が被害者車両の時価額を下回る場合をいいます。

経済的全損とは,修理費用が車両時価額を上回る場合をいいます。

分損の場合には,修理費用が被害者様の損害となります。

他方,経済的全損の場合は,車両時価額が被害者様の損害となります。

分損と経済的全損の考え方は,車両保険においても基本的には同様です。

 

交通事故に遭った際,相手方が任意保険に加入しておらず,かつ,資力がない場合などは,相手方から損害賠償金の支払いを受けることが非常に難しい状況になることが多々あります。

そのような場合は,基本的には被害者様ご自身の車両保険を使うべきだと思います。

ただし,車両保険を使う場合は,等級がダウンして,保険料が上がることが見込まれますので,被害者様の保険料がいくら上がることになるか,契約している保険会社に確認することをお勧めいたします。

 

一般的な自動車保険では,運転者に1から20までの等級が割り振られていることが多いです。

この各等級に設定された割引率及び割増率を適用することによって,保険料が算定されています。

そして,交通事故に遭って,保険を使う場合,運転者の等級がダウンすることによって,割引率が低下し,次の年度以降の保険料が増加してしまいます。

保険料の増加は,被害者様にとっては,重要なことであると思います。

そのため,事故に遭われた際は,保険について詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

交通事故について弁護士を東京でお探しの方はこちら

人身傷害保険について

自動車を運転されておられる方々は,いわゆる任意保険(総合自動車保険)に加入されている方がほとんどだと思います。

この総合自動車保険には,多くの種類の保険が含まれておりますが,基本的には以下の3つに分類することができると思います。

①賠償責任保険

②人身傷害補償保険

③車両保険

 

今日は,上記の内,②人身傷害補償保険を取り上げたいと思います。

 

人身傷害補償保険は,被保険者が自動車に乗車中,自転車運転中または歩行中に交通事故によって,死亡した,傷害を負って通院治療を受けた又は後遺障害が残ったような場合に,過失割合に関係なく,保険約款記載の支払基準に基づいて算定された損害額の全額について填補される保険です。

人身傷害補償保険は,「人傷」と略されることもあります。

人身傷害補償保険は,被保険者の過失割合が大きい場合,ひき逃げなどにより加害者が不明の場合,加害者が無保険・無資力の場合などに,被保険者の被害を回復するためにとても便利な保険です。

人身傷害補償保険の保険約款に規定されている人身傷害補償保険金の算定基準は,通常裁判基準(いわゆる「赤い本」の算定基準)よりは低く設定されています。

もっとも,人身傷害補償保険には,過失割合に関係なく支払われるという特徴がありますので,仮にご自身の一方的な過失による事故であっても,お怪我の治療費等の損害についても支払ってもらえることになります。

このように,人身傷害補償保険は,ご自身の過失が大きい場合などには,特に有用な保険ですので,自分の加入している人身傷害補償保険がどのような内容かは,一度確認しておいたほうがよいと思います。

 

交通事故にあって,弁護士に相談してはじめて,ご自身の加入している保険がどのようなものなのかを確認される方もおられると思います。

せっかく保険料を支払っているのですから,これを機会に保険の内容を確認すると安心できると思います。

 

交通事故について東京で弁護士をお探しの方はこちら

交通事故勉強会

先日,当法人が主催する,接骨院様・整骨院様向けの交通事故勉強会が行われました。

当法人から,接骨院・整骨院の先生方に,交通事故の被害者様を治療する社会的意義や損害保険会社との対応をどのように行うかなどについてお伝えし,私もご質問等いただきました。

交通事故の勉強会は,接骨院・整骨院の先生方からご質問等をいただくことで私にとってもとても勉強になります。

弁護士として,少しでもみなさまのお役に立てるように日々精進いたしたいと,改めて思う一日でした。

リハビリの重要性

先日,バスケットボールのプロリーグであるBリーグが開幕しましたね。

さっそく友人と観戦しに行ってきました。

昨シーズン,怪我でシーズンを棒に振ってしまった選手が,今シーズン復帰して元気にプレイしている姿を見て感動するとともに,的確なリハビリの重要性を強く感じました。

 

弁護士として,交通事故事案に多く携わっていると,交通事故で突発的にお怪我をされて,なかなか思うように回復しなかったり,悪化してしまう方も多く見受けられるところです。

先が見えないトンネルの中を歩いているような気持ちは察するに余りあるところですが,そんな中少しでも前に進んでいるということを実感できるようなリハビリをされるのがよいと思います。

病院のリハビリテーション科や整骨院・接骨院への通院など,さまざまな方法があると思います。

少しでも治癒に向かうよう,ご自身にあったリハビリの方法を見つけられるとよいと思います。

 

高速道路での事故

先日,東名高速道路を利用する機会がありました。

東京から行きは事故渋滞が二回,帰りは一回ありました。

みなさん,気を付けて運転しておられるとは思うのですが,交通事故案件に携わっていると,やはり高速道路での事故は多いと感じます。

高速道路ではスピードが出ている分,重大事故につながることが多いと思います。

私も自戒の意味を込めて安全運転を心掛けようと思います。

 

万が一,事故に遭ってしまわれた場合は,早期に交通事故に精通した弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

 

 

弁護士が早期に関わることのメリットについて

交通事故の被害者様の中には,自分の怪我が治ったり,症状が固定してからでないと,保険会社から損害額の提示がなされないため示談交渉できず,早い段階で弁護士に相談するメリットがないとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

たしかに,症状が固定してからでなければ,後遺障害等級の認定申請の手続もとれませんし,相手方保険会社との最終的な示談交渉もできません。

しかし,事故に遭われて,お怪我の痛みや,今後の見通しについて不安を抱いておられる被害者様は多いのではないでしょうか。

このような状況の中で,通院しながら相手方保険会社と交渉するのは,精神的に非常に大きな負担がかかると思います。

 

そこで,私は,交通事故後,早い段階で,弁護士に相談することをお勧めしております。

弁護士に早い段階で相談することで,多くの場合,事前に加害者側と治療費等に関する合意を得ることができ,証拠資料の散逸を防ぐことができるなど,被害者様にとってより良い解決ができる場合が多いと感じます。

もちろん,交通事故に遭わないことが一番良いのですが,予期せぬ事故に巻き込まれることもあろうかと思います。

そのようなときは,交通事故に詳しい弁護士に早めにご相談されることをお勧めいたします。

弁護士を東京でお探しの方はこちら