会社の元代表者の破産

過去会社の代表者だった方から破産のご依頼をいただくことがあります。

その際、「会社はもう動いていないから放置して、自分だけ破産できないか」といったご相談をいただくこともあります。

実際そのような方法がとれるかといえば、「不可能とはいえないが原則としてはできない」という回答になろうかと思います。

というのも、代表者が破産しようとすると、破産手続開始決定のタイミングで代表取締役としての地位が一時的にせよ失われることになります。

そうなると、では誰が会社を運営していくのか、という問題が出ます。

動いていない会社であっても、それを清算等するのであれば、そのための人員は必要になり、通常はその会社の代表者になります。

また、動いていない法人を放置されてしまうと、法人の債権者も困ってしまいます。

こういった理由から、裁判所によっては、元代表者の自己破産申立ては原則法人と一緒でないと受け付けていないという運用のところもあります。結果として、過去の会社についての倒産と合わせてでないと、現在給与所得者等で会社経営を行っていないとしても、個人だけの自己破産ができない、ということになる場合があります。

なお、法人にかかわる破産手続は、全件破産管財事件となり、破産管財人弁護士が選任されることになりますので、20万円以上の予納金等も用意する必要があります。