利益相反

四文字熟語になっていると難解な印象が出てきてしまう、というのは専門用語のよくないところなのかもしれません。

ただ、弁護士がご依頼をいただくにあたって、利益相反というのはとても重要な問題となってあらわれてきます。

利益、というのはご相談いただく方の利益であり、相反というのは文字通り「あいはんする」ということです。

どの範囲で相反になるのか、となるとやや踏み込んだ問題となってきますが、わかりやすいのは当事者双方から相談を受けてしまうようなケースです。

具体例として、離婚で揉めているご夫婦のうち、先に奥様から相談を受けてご依頼をいただくことになった後、相手方となる旦那様の方からも相談を受けてしまった、という場合が典型的かと思います。

弁護士というのは、ご依頼いただく方の利益のために行動をしなければならない立場にあるわけですので、まずはご相談いただいた奥様のために行動しなければ、という立場におかれます。

そこで旦那様からご相談を受けた弁護士は、旦那様からのご相談に対して、旦那様の利益のために行動できるでしょうか。

例えば、お子様がいて、双方親権を主張していたとします。

ここで旦那様に有利なアドバイスをすることは、ご依頼をいただく奥様にとっては不利になるということは明らかです。

まさに夫婦の利益が相反しているので、弁護士としては、旦那様からの相談をお受けできなくなってしまう、ということです。

また、ここで旦那様に対し、「奥様からご依頼をいただいていますお答えできません」ということもできません。

これは、対立当事者が弁護士に依頼をしている、という情報を与えること自体に問題が生じるからで、結果、旦那様からのご相談をお断りするうえ、お断りする理由の詳細もお伝えできない(お伝えすべきでない)ということになってしまいます。

上記の例では旦那様に対してずいぶん酷な対応となってしまうのですが、上記のような問題があるということで、ご理解いただけますと幸いです。