相殺

「相殺」と書いて「そうさい」と読みます。

「相」という字は互いにという意味があり、そうなると「互いに殺す」というなかなかにおぞましい感じの言葉になってしまいます。

相殺についてインターネットで調べてみると、民法上の相殺のことを指す用語として説明されているようでしたが、ゲームやファンタジーの世界等でも出てくる用語だったりするので、なじみのある方も多いかもしれません。

お互いの効力を打ち消しあう、といった意味合いで使われていることが多いかなと思います。

弁護士実務では、わりと出番の多い言葉かもしれません。

例えば、過払金を100万円請求をする際、請求する相手の業者に対して別に30万円の債務が残っているとした場合、過払金返還請求権という債権と、貸金業者の有する30万円の貸金返還請求権という債権を相殺し、差引70万円を支払ってもらう、といった具合です。

これは民法上に規定されている相殺の場面ですね。

あとは、交通事故や労働災害等の損害賠償の場面で、過失相殺というものが問題となることもあります。

例えば、青信号を直進したA車と、青信号で右折しようとしたB車がぶつかって生じた交通事故で、2:8でそれぞれ落ち度(過失)があったとします。

A車の修理費が20万円、B車の修理費が10万円だったとすると、A車側は2割の過失があるので修理費の8割である16万円までしか請求が認められない、というのが過失相殺です。

同様に、B車側は8割の過失があるので2割の2万円を請求できます。

この際、実務上は、上で説明した債権同士の相殺により、差引14万円をB車側からA車側へ支払うことになる、という処理をすることが多いです。