新型コロナウイルス感染症と相続税の申告期限について

もう4月も終わりですね。

東京でのコロナウイルスの問題も深刻化しており,未曽有の不況がきているように感じます。

弁護士として,何かできることはないか考えて行動していきたいと思います。

 

前回は,新型コロナウイルス感染症に関する対応について書いてみましたが,今回は,国税庁が,新型コロナウイルス感染症の影響により,期限までに相続税の申告等が困難な方々のためにFAQを取りまとめているようですのでご紹介いたします。

 

国税庁から,「相続税の申告・納付期限に係る個別指定による期限延長手続に関するFAQ」が公表されております。

この題名で検索していただければ出てくると思います。

 

具体的には,以下の4点について説明がされております。

①相続税申告の個別的な延長が認められる場合

②個別延長が認められた場合の申告期限及び納付期限

③相続税申告に係る各種申請や届出なども個別延長の対象になるか

④個別延長する場合に必要な手続

 

特に上記④について,個別延長する場合には,別途,申請書等を提出する必要はなく,相続税申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記するだけでよいようです。

当初の申告期限以降に,申告書を提出する場合には,新型コロナウイルス感染症の影響による申告期限及び納付期限を延長する旨をこのFAQに記載されている方法で作成するようです。

この場合,申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。

 

詳細については,相続税申告をされる税務署等に確認されるとよいと思います。

 

みなさま,お体ご自愛ください。

以上

 

 

新型コロナウイルス感染症に関する対応について

もう3月も終わりが見えてきました。

年度末ですが,東京でのコロナウイルスの問題も深刻化しているように感じます。

特に,飲食業の方や個人事業主,音楽関連のイベント関係者やアーティストのみなさまへの影響が大きいようです。

前回は,民事信託・家族信託について書いてみましたが,今回は,新型コロナウイルス感染症に関する対応について現在わかっている範囲で整理しておきたいと思います。

情報は随時更新される可能性がございますので,ご注意ください。

 

 

・首相官邸

新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

 

・東京都

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tosei/news/2019-ncov.html

新型コロナウイルスに関する中小企業者等特別相談窓口の設置について

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/30/15.html

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html

 

・東京弁護士会

新型コロナウイルスに関する生活トラブルQ&Aを公開しました

https://www.toben.or.jp/news/2020/03/post-542.html

 

・経済産業省,中小企業庁関係

新型コロナウイルス感染症に関する中小企業・小規模事業者の資金繰りについて中小企業金融相談窓口を開設します

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311003/20200311003.html

 

・日本政策金融公庫

相談窓口・セーフティネット貸付 (経営環境変化対応資金)、新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付

新型コロナウイルスに関する相談窓口

https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

 

 

上記の他,東京23区でも新型コロナウイルス感染症に関する中小企業支援のページがあるようです。

また,各区によって,オリジナルの融資制度がある場合もあるので,更新情報にご注意ください。

以上

 

 

 

 

民事信託・家族信託の可能性について

もう2月も終わりですね。

いよいよ花粉症の時期がやってまいりました。

ニュースを見ていると,東京でのコロナウイルスの問題もかなり身近に迫っているように感じます。

 

さて,前回は,これだけはしておくべき相続の準備について書いてみました。

今回は,民事信託・家族信託について書いてみたいと思います。

 

民事信託や家族信託という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。

最近では,クローズアップ現代などのテレビでも取り上げられたこともあり,興味をお持ちの方も多いのではないかと思います。

実際にも,民事信託・家族信託についてのご相談が増えてきているなと感じています。

 

弁護士に何かを依頼するとしたらどのような場合だろうかと考えてみてください。

どちらかというと事故や紛争が起きてから,自分ではどうにもできないトラブルが発生したら,という場合に相談するものだというイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。

しかしながら,相続における生前対策の中で特に民事信託や家族信託というのは,何かが起きる前の対策です。

今後高い確率で起きるであろう事象に備えて事前に対策をする,そのために弁護士を利用する。

最近,多くの相続事件に携わるようになって,生前対策の重要性が身に染みて分かるようになってきました。

 

自分が亡くなった場合に備えて,あらかじめ相続の準備をしておくことは,残された相続人のためにも必要です。

自分のご家族と話し合うタイミングというのは,あるようでなかなかないものです。

民事信託や家族信託をきっかけにして,今後のことについて話し合っておくというのもよいと思います。

 

民事信託や家族信託は,成年後見と対比して話題に上がることが多いと思います。

成年後見は,判断能力がなくなってしまったことを公に宣言するものであり,裁判所に申立てをし,弁護士や司法書士が後見人になった場合はその費用もかかります。

後見人が財産管理を行うため,後見人との意思疎通が難しくなる場面もでてくるかもしれません。

 

これに対し,民事信託・家族信託は,そのほとんどが認知症対策として利用されています。

信託契約を結びますので,契約内容に柔軟性を持たせることが可能ですし,遺言や任意後見契約と併用することも可能です。

個人の方で,自ら民事信託・家族信託契約書を組成するのは非常に難しいと思います。

また,遺留分に配慮していない内容にしてしまった場合,自分の意思とは反対に,紛争の原因になってしまうこともあります。

 

このように,上記で述べたような配慮をした上で相続の準備をするためには,民事信託・家族信託契約書の作成について深い知識が必要になることが多いです。

民事信託・家族信託に興味をお持ちの方は,詳しい弁護士にご相談されてみるとよいと思います。

民事信託・家族信託に関して東京で弁護士をお探しの方はこちら

以上

これだけはしておくべき相続の準備

年が明けてもうすぐ2月になってしまいますね。

1月はあっという間でした。

暖冬とはいえ,東京も夜は冬の寒さを感じます。

コロナウイルスはこわいですね。

マスクをするなどして気を付けていきたいところです。

 

さて,前回は,遺留分を生前に放棄してもらうことができるかどうかについて書いてみました。

今回は,これだけはしておくべき相続の準備について書いてみたいと思います。

 

 

相続の準備や相続対策と一概に言われても何をすればよいのか分からないという方は多いのではないでしょうか。

自分が亡くなった場合に備えて,あらかじめ相続の準備をしておくことは,残された相続人のためにも必要です。

日本では,4人に1人が高齢者という高齢社会になっていますが,いわゆる,「終活」などというように,自分の相続に関して準備や対策をする方が増えているように感じます

まず,準備に当たって,相続税の対策のための財産の把握や整理,遺産分割協議をもめないようにするという視点をもつとよいと思います。

そのためには,まず,自分の財産の把握をすることが重要です。

現時点で,不動産,預貯金・現金,株式,投資信託,生命保険金等,自分がどのくらいの財産を持っているか調査してみてください。

財産が把握できたら,誰に,何を,どのくらいあげるか検討してみるとよいでしょう。

 

次に,相続について準備・対策をする上で必要なのは,遺言書の作成です。

遺言書を作成しないまま亡くなった場合,相続人間で,亡くなった方の財産を分割するための話し合いをしなければなりません。

この話し合いの過程で,相続人間で争いが生じるおそれがあります。

亡くなった方の全ての財産について,それぞれ誰に何をどれくらい相続されるかを遺言書で定めておくことで,相続人間で話し合う必要がなくなり,争いを避けることができます。

また,相続財産の中に不動産がある場合には,遺言書で相続する方を定めておけば,その不動産の名義変更をする際にも遺言書によってスムーズに名義変更の手続を進めることができます。

遺言書を作成するということには,たとえ各相続人に法定相続分どおりで相続させるという内容であっても,相続人間での紛争を回避することや相続税申告上のメリットがあります。

もっとも,その記載内容に誤りがあった場合や遺留分に配慮していない内容にしてしまった場合,自分の意思とは反対に,紛争の原因になってしまうこともあります。

また,相続税について,支払う額をできるだけ抑える工夫や相続人が相続税を支払う原資を用意しておくなどの配慮をしておけば,相続人はより有利で安心して相続をすることができます。

このように,上記で述べたような配慮をした上で相続の準備をするためには,相続や遺言書の作成について深い知識が必要になることが多いです。

 

以上ご説明してきたように,相続対策は複雑であり,多岐にわたっています。

相続に関する手続に不安をお持ちの方は,相続に詳しい弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

以上

遺留分の生前放棄

もう12月も終わりますね。

今年もあっという間に終わってしまいました。

東京も冬の寒さを感じます。

インフルエンザが流行っているようですので,気を付けていきたいところです。

 

さて,前回は,相続における香典や弔慰金の扱いについて書いてみました。

今回は,遺留分を生前に放棄してもらうことができるかどうかについて書いてみたいと思います。

 

遺留分とは,相続人のうちの一部の方について,相続財産のうち一定の割合を認めるものです。

遺留分は,これまで被相続人の財産を頼りにして生活していた遺族に対する生活保障と,被相続人の財産形成に貢献した遺族には潜在的持分があるという考えから認められています。

 

このように,遺留分は,相続人に一定の割合を認めるものですが,相続人なら誰でも認められているものではありません。

遺留分を有する方は,兄弟姉妹以外の相続人です。

具体的には,子(その代襲相続人を含む),直系尊属(父母,祖父母等),配偶者です。

ただし,相続欠格,廃除,相続放棄により相続権を失った者には遺留分はありません。

相続開始時点で胎児だった子は,生きて生まれてきた場合には,子として遺留分減殺請求もしくは遺留分侵害額請求をすることができます。

兄弟姉妹には遺留分はないことに,特に注意が必要です。

 

遺留分の割合は,以下のように定められています。

① 配偶者だけが相続人であるときは,2分の1

② 直系卑属だけが相続人であるときは,2分の1

③ 配偶者と直系卑属が相続人であるときは,2分の1

④ 直系尊属だけが相続人であるときは,3分の1

⑤ 直系尊属と配偶者が相続人であるときは,2分の1

⑥ 配偶者と兄弟姉妹が相続人であるときは,配偶者は2分の1,兄弟姉妹には遺留分がない

 

実際に,それぞれの遺留分減殺請求権者もしくは遺留分侵害額請求権者が取得する遺留分は,上記の遺留分の割合に,それぞれの相続人の相続分を掛けたものとなります。

例えば,配偶者と子ども3人が遺留分減殺請求権者である場合では,

① 配偶者の相続分は,2分の1

② 子ども一人ひとりの相続分は,6分の1

となります。

よって,それぞれの相続人の遺留分は,

① 配偶者 2分の1×2分の1=4分の1

② 子ども一人ひとりの相続分 2分の1×6分の1=12分の1

となります。

 

相続人に一定の割合で認められる遺留分を放棄することを遺留分放棄といいます。

通常,遺留分放棄は,法定相続分どおりに均等に相続することによって,農業や自営業の方の資産が細分化されるのを防ぐなど,相続財産の多くを事業の後継者に残す必要があるため,事前に遺留分を放棄することが認められています。

もっとも,遺留分放棄は,放棄するタイミングの違い,すなわち,相続開始前か相続開始後かで手続が変わってきます。

 

 

被相続人の生前に遺留分放棄をする場合には,被相続人となる方の住所地を管轄する家庭裁判所に,遺留分の放棄についての許可審判の申立てをし,家庭裁判所の許可が必要となります。

家庭裁判所の許可が必要な理由としては,仮に無制限に遺留分放棄を認めると,被相続人が威圧したり脅すなどして遺留分権利者に放棄を強要し,本人は放棄したくないと思っているのに,無理やり放棄させられる可能性があることから,これを防止するためになります。

 

家庭裁判所は,①遺留分の放棄が本人の自由意思に基づくものであるかどうか,②遺留分放棄に合理的な理由と必要性があるかどうか,③遺留分放棄と引き換えの代償の有無などを考慮して遺留分放棄を許可するかどうかを判断し,相当と認めるときは,許可の審判をします。

許可された事例としては,

① 死後に遺産争いが起きることを懸念して,婚外子に財産を贈与する代わりに遺留分を放棄させる場合

② 高齢な親を扶養するために,その親と同居する子以外が遺留分を放棄する場合

などがあります。

 

相続開始後は,自由に遺留分を放棄することができます。

生前の遺留分放棄と異なり,家庭裁判所の許可は不要です。

遺留分放棄の意思表示は,遺留分減殺請求の相手方に対してするとよいでしょう。

 

以上のとおり,遺留分を生前に放棄する場合は,家庭裁判所に許可の審判を申し立てる必要があります。

各ご家庭の事情によって主張する内容や提出する書類は変わってきます。

相続に関する手続に不安をお持ちの方は,相続に詳しい弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

以上

相続における香典や弔慰金の扱いについて

もう11月も終わりますね。

北海道は吹雪いているところもあるようですが,東京もぐっと寒くなってきました。

風邪が流行っているようですので,体を冷やさないように気を付けたいところです。

 

さて,前回は,農地を相続する場合の注意点について書いてみました。

今回は,相続における香典や弔慰金の扱いについて書いてみたいと思います。

亡くなられた方のお通夜や葬儀で参列者からいただく香典や,亡くなられた方の勤務先からいただいた弔慰金は相続財産に当たるのでしょうか。

相続財産に当たるのであれば,遺贈や遺産分割の対象になりますし,相続税の課税対象にもなるため問題となります。

 

【香典について】

香典とは,故人の霊前に供える金品のことをいい,お香や花の代わりとしたものをいいます。

急な不幸で出費があることへの,ご親族等への助け合いの意味も込められています。

 

香典は,お通夜や葬儀の参列者から遺族への贈与と考えられています。

被相続人が生前に有していた財産ではないため,相続財産には当たらず,また,相続税の課税対象にも当たりません。

もっとも,香典の金額が社会通念上考えられないような高額な場合は,贈与税の課税対象になる可能性があります。

なお,お通夜や葬儀費用は,相続税を計算する際に控除されますが,香典返しにかかった費用は相続税の計算において控除されません。

 

【弔慰金について】

弔慰金とは,死者を弔い,遺族を慰める気持ちを表すために贈る金銭をいいます。

香典とは異なり宗教的な意味合いはないため,葬儀以外の場で送られることが多いと思われます。

一般的には,個人が送るものではなく,公的機関や企業が贈るものです。

 

弔慰金も被相続人が生前に有していた財産ではないため,相続財産には当たりません。

したがって,相続税の問題は原則生じないことになります。

しかし,弔慰金が高額になる場合には,死亡退職金と同様に,みなし相続財産とされ,相続税が課される可能性があります。

 

弔慰金がみなし相続財産に当たる場合としては,以下の2つのパターンがあります。

①被相続人が業務上死亡した場合,被相続人の死亡当時の給与の3年分に相当する金額を超える弔慰金が贈られた場合は,この弔慰金はみなし相続財産に当たります。

②被相続人が業務上死亡した場合以外の場合,被相続人の死亡当時の給与の半年分に相当する金額を超える弔慰金が贈られた場合は,みなし相続財産とみなされます。

 

以上のとおり,香典や弔慰金は,原則として相続財産には当たりません。

しかし,弔慰金のように金額の大きさによっては,みなし相続財産とされ相続税が課税される場合があります。

何が相続財産に当たり,何が当たらないのか,相続税が課税される可能性のあるものは何があるのかなどについては,相続に詳しい弁護士に相談するなどして,押さえておいた方がよいと思われます。

農地を相続する場合の注意点

もう10月も終わりますね。

台風被害に遭われた方々には,心よりお見舞い申しあげます。

さて,前回は,「相続させる」旨の遺言と相続法改正について書いてみました。

今回は,農地を相続する場合の注意点について書いてみたいと思います。

 

1 農地を相続する際の手続

⑴ 農業委員会への届出

土地を相続した場合,法務局で相続登記をする必要がありますが,農地を相続した場合は,相続登記に加えて農業委員会へ届け出る必要があります。

⑵ 農業委員会への届出の期限

相続登記には期限はありませんが,農業委員会への届出は相続を知った ときから10か月以内にしなければなりません。

期限内に届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は,10万円以下の過料が科されることがあります。

 

2 農地を売却するときの手続

相続人のうち誰かが農業を引き継ぐ場合は,農地を相続すればよいのですが,相続人の全員が農業を引き継ぐ意思がない場合,農地を売却することを検討する必要があります。

もっとも,農地は食料の生産に欠かせないものであることから,農地法によって,農地の売却は制限されています。

以下,農地の売却方法について説明します。

⑴ 農地のまま農家に売却する場合

農地を農地のまま売却する場合は,農業委員会の許可が必要です。

この場合の許可は,農地法第3条に基づく許可となります。

許可が下りるためには,買主が農業経営に関わるといった一定の要件を満たすことが必要です。

具体的には,土地の買主が農家であるか,もしくはこれから農業に参入しようとしていることが要件として定められています。

⑵ 農地以外に用途変更して売却する場合

ア 農地を宅地等農地以外に用途変更して売却する場合も,農業員会の許可が必要になります。

この場合の許可は,農地法第5条に基づく許可になります。

許可が下りるかどうかの判断基準としては,立地基準と一般基準があります。

農業委員会は,これらの基準に基づいて許可をするかどうか判断することになります。

イ 農業委員会の許可が下りて用途変更が認められたとしても,宅地としての利便性の有無により,買い手がつかないことなども考えられますので,用途変更をする際に検討しておく必要があります。

 

3 農地を相続放棄する場合

⑴ 相続人全員が農業を引き継ぐ意思がない場合は,相続人全員で相続放棄をすることも考えられます。

相続放棄をする場合は,相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

相続放棄をすると,相続人でなかったことになりますので,農地以外の遺産も受け取ることができなくなりますので,注意が必要です。

⑵ 相続人全員が相続放棄をすると,相続人がいないことになります。

この場合であっても,家庭裁判所が相続財産管理人を選任するまでは,相  続人であった者が農地を含めた遺産の管理をする義務があります。

相続財産管理人には遺産の中から報酬を支払う必要があります。

 

4 さいごに

農地を相続する場合は,さまざまな注意点があります。

生前から農地相続に詳しい弁護士に相談するなどして,相続を円滑にできるよう準備しておきたいものです。

以上

「相続させる」旨の遺言と相続法改正について

もう9月も終わりますね。

東京もだいぶ涼しくなって過ごしやすくなってきました。

 

さて,前回は,後見制度支援預金について書いてみました。

今回は,「相続させる」旨の遺言と相続法改正について書いてみたいと思います。

 

「相続させる」旨の遺言とは,「特定の遺産を,特定の相続人に,相続させる。」という内容の遺言のことをいいます。

その法的効果について,最高裁判所は,平成3年4月19日の判決で,「相続させる」旨の遺言について,権利移転効を伴う遺産分割方法の指定と解する判断を示しました。

この判例のポイントは以下のとおりです。

① 遺言者の意思は,遺言書に記載された遺産を,他の共同相続人とともにではなく,特定の相続人に単独で相続により承継させようとする趣旨のものと解するのが当然の合理的な解釈である。

② 遺言書の記載から,その趣旨が遺贈であることが明らかであるか又は遺贈と解すべき特段の事情がない限り,遺贈と解すべきではない。

③ 「相続させる」趣旨の遺言は,民法908条にいう被相続人が遺産の分割の方法を定めた趣旨である。

④ したがって,他の共同相続人もこの遺言に拘束され,これと異なる遺産分割の協議や審判もなし得ない。

⑤ このような遺言にあっては,遺言者の意思に合致するものとして,特定の遺産を特定の相続人に帰属させる遺産の分割がなされたのと同様の承継関係が成立するので,原則として,何らの行為を要せずして,被相続人の死亡の時(遺言の効力が生じた時)に直ちに特定の遺産が特定の相続人に相続により承継される。

⑥ 結果として,当該遺産については,遺産分割協議又は審判を経る余地はない。

⑦ このような場合であっても,特定の相続人は相続の放棄の自由を有し,他の相続人の遺留分減殺請求権の行使を妨げない。

 

この判決により,以下のことがいえることになります。

① 相続させる遺言があれば,遺産分割の協議や家庭裁判所の審判を経ないで,指定された相続人が遺産を確定的に取得する。

② 相続させる遺言については,指定された相続人が単独で相続登記を申請すべきものとされる。

「相続させる」旨の遺言のメリットとしては,①登記手続が簡便であること,②農地法3条所定の許可が不要であること,③賃貸人の承諾が不要であることが挙げられます。

 

改正前の民法では,「相続させる」旨の遺言に基づいて相続した財産については,登記などの対抗要件を備えなくとも,第三者に対して権利を主張することができました。

「相続させる」旨の遺言は,原則として,特定の遺産が特定の相続人に相続により承継され,法定相続分を超える場合には相続分の指定を伴うのであるから,法定相続分及び指定相続分による権利の取得について,登記しなくても第三者に対抗することができる以上,「相続させる」旨の遺言による権利の取得についても登記せずとも第三者に対抗することができるというわけです。

つまり,「相続させる」旨の遺言によって財産を取得する場合も同様に,「相続」による権利の承継の一種として,不動産についての権利を主張するために登記は不要とされてきました。

 

他方,改正法により,「相続させる」旨の遺言で相続した財産について,法定相続分を超える権利の承継があったとき,対抗要件が必要となりました。

対抗要件とは,第三者に対し,財産についての権利を主張するために具備しなければならない手続をいいます。

対抗要件の具体例としては,不動産の場合は登記,自動車の場合は登録,債権の場合は債務者への通知等,動産の場合は引渡など様々です。

このように,「相続させる」旨の遺言によって財産を取得した場合は,できるだけ早めに,不動産であれば登記申請,預貯金債権であれば金融機関での手続をすることをおすすめいたします。

 

どのタイミングで登記をすべきかなど不安な点もあると思いますので,相続に詳しい弁護士に相談するとよいと思います。

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後見制度支援預金について

もう8月も終わりますね。

東京もすこし暑さが和らいできたでしょうか。

とはいえ,まだまだ暑いので体調には気を付けたいところです。

また,当法人のホームページの集合写真を変更いたしましたので,ご覧いただければ幸いです。

 

さて,前回は,民事信託・家族信託について書いてみました。

今回は,成年後見制度を利用する際に利用できる後見制度支援預金について書いてみたいと思います。

 

成年後見制度を利用するに当たって,後見人が管理する本人の流動資産が多額である場合に,家庭裁判所の後見センター(以下「後見センター」といいます。)は,平成24年2月から,後見制度支援信託の利用検討を行ってきました。

後見制度支援信託とは,本人の財産のうち,日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みをいいます。

後見センターは,この後見制度支援信託に加えて,平成30年6月から,後見制度支援預金の利用についても運用を開始しています。

後見制度支援預金とは,本人の財産のうち,日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し,通常使用しない金銭を後見制度支援預金口座に預け入れる仕組みをいいます。

通常の預貯金とは異なり,入出金や口座解約などの後見制度支援預金口座に係る取引をする場合には,あらかじめ裁判所が発行する指示書を必要とすることで,後見制度支援信託と同様に,本人財産の保護を簡易・確実に行うことができる仕組みになっています。

メガバンクだけでなくJAなどでもサービスが始まっていますので,より利用しやすい環境になっているようです。

成年後見制度を利用したい方は,詳しい弁護士に相談するとよいと思います。

 

http://www.kokoro-tokyo.com/

 

民事信託・家族信託の活用法

もう7月も終わりますね。

東京もそろそろ梅雨が明けそうですね。

暑くなってきたので熱中症には気を付けていきたいところです。

 

さて,前回は,金融機関での相続手続で必要になる書類について書いてみました。

今回は,民事信託・家族信託について書いてみたいと思います。

 

昨今,民事信託や家族信託という言葉を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

テレビなどでも取り上げられており,気になっておられる方も多いと思います。

しかしながら,信託は分かりにくい仕組みであり,便利そうだがよくわからないという方が多いのではないかと思います。

 

信託の構造を理解するためには,まず信託の基本的要素を押さえるのがポイントです。

①当事者として,委託者,②受託者,③受益者

②客体として,信託財産

③法律行為としての信託契約

④信託の目的

これらを念頭に置きながら自分が作りたい信託をイメージされると良いのではないかと思います。

 

民事信託・家族信託については,高齢者や障害者のための財産管理及び財産承継のための制度と捉えると理解しやすいのではないかと思います。

委託者が受託者に財産権を移転することにより,受託者が委託者に代わって財産を管理することになります。

また,当初の受益者が亡くなるなどしてこの受益者の受益権が消滅するとともに,次順位の受益者が受益権を取得することによって,財産権の承継が行われることになります。

 

この説明だけですと難しい点もあると思いますので,信託契約に興味がおありの方は,詳しい弁護士に相談するとよいと思います。

民事信託・家族信託に関する弁護士法人心東京駅法律事務所のサイトはこちら

金融機関での相続手続について

2019年も半分が終わってしまいましたね。

今年もあっという間に残り半分になってしまいました。

東京は梅雨でむしむししますね。

体調には気を付けていきたいところです。

 

さて,前回は,相続法改正と特別寄与制度の創設について書いてみました。

今回は,金融機関での相続手続で必要になる書類について書いてみたいと思います。

 

まず,相続が発生した場合,被相続人名義の口座がある金融機関に被相続人が死亡したことの届出が必要です。

死亡したことの届出をしないと,原則として口座は凍結されません。

他の相続人が勝手に引き出すおそれがある場合,これを防止するために速やかに届出をしたほうがよいと思われます。

死亡したことの届出と併せて残高証明書の発行を依頼すると,二度手間にならずよいと思います。

また,被相続人が死亡したことの届出をすると,口座が凍結されるため,公共料金等の引き落としができなくなるので,先に引き落とし口座を変えておいた方がよいと思います。

 

届け出た際,金融機関から相続届の書式を受け取ります。

相続届には,原則として,相続人全員の署名・押印が必要です。

相続届の添付書類としては,被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本,相続人の戸籍謄本,相続人の印鑑登録証明書が必要です。

 

相続届を提出した後は,金融機関にもよりますが,約2週間から3週間ほどで入金がされることが多いです。

受取方法としては,相続人代表者が全額を一括して受け取る方法や,各相続人に金額を指定して振り込んでもらう方法もあります。

 

相続手続についてお悩みの方は,相続に詳しい弁護士に相談するとよいと思います。

東京で相続についてお悩みの方はこちら

相続法改正 特別寄与制度の創設

元号が令和に変わってもう1か月が経とうとしています。

時間は本当にあっという間に過ぎていきますね。

東京は夏日が多くなってきましたね。

さて,前回は相続法改正と遺留分について書いてみました。

今回は,相続法改正と特別寄与制度の創設について書いてみたいと思います。

 

今回の相続法改正によって,特別寄与制度が創設されました。

施行日は,今年の7月1日となっています。

 

被相続人の子どもの配偶者のように,相続人ではない親族が被相続人の介護や看病をするケースが多くあると思います。

場合によっては,常時介護が必要なこともあり,お仕事をしながら介護をしている方もいらっしゃると思います。

改正前だと,相続人ではないことから遺産の分配を受けることができず,不公平であるとの指摘がありました。

しかしながら,今回の改正では,このような不公平を解消するために,相続人ではない親族でも,無償で被相続人の介護や看病をするなどの貢献をし,被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には,相続人に対し,金銭の請求をすることができるようになりました。

 

施行後,特別寄与料を請求する事件が増えるかどうかはまだ分かりませんが,気になる方やお悩みの方は相続に詳しい弁護士に相談するとよいと思います。

遺留分の計算方法が変わります。

新元号は令和になりましたね。

5月から令和になるので,間違わないように注意したいと思います。

東京は暑く感じる日も多くなってきましたね。

さて,前回は成年後見制度について書いてみました。

今回は,相続法改正と遺留分について書いてみたいと思います。

 

平成30年に民法の相続に関する法律が大きく改正されました。

約40年ぶりの民法大改正になります。

改正された項目は複数あり,平成31年から順次施行されていくことになります。

この改正のポイントはいくつかありますが,今回は遺留分制度に関する見直しについてご説明します。

 

1 遺留分について

遺留分とは,相続人のうちの一部の方について,相続財産のうち一定の割合を認めるものです。

兄弟姉妹を除く法定相続人は,遺留分減殺請求できる場合がありますが,この遺留分減殺請求ができる期間は法律によって決められています。

 

2 遺留分侵害額の算定方法について

改正民法では,遺留分を算定するための財産の価額は,被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に,その贈与財産の価額を加算し,その合計額から債務の全額を控除して算出します。

なお,贈与財産の価額には,遺贈は含みません。

 

改正民法では,遺留分を算定するための財産の価額に算入する生前贈与の範囲等について見直しをしています。

また,相続人に対する生前贈与の範囲に関する規定の見直しもなされました。

 

現行民法によれば,遺留分の計算上算入される贈与は,①相続開始前の1年間にしたものと,②当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与は,特段の事情がない限り全ての期間の贈与が算入されます。

また,現行民法における特別受益の扱いは,1年以上前の贈与も含めて原則として全て加算されます。

特別受益とは,被相続人の生前に,共同相続人の中の一人が婚姻,養子縁組のためや生計の資本として受けた贈与のことをいいます。

 

他方,改正法では,相続人に対する贈与は,特別受益に該当する贈与で,かつ,原則として相続開始前の10年間にされたものに限り,遺留分を算定するための財産の価額に算入することになりました。

ただし,遺留侵害額を求める計算式においては,遺留分権利者の特別受益の額を相続開始前の10年間にされたものに限定せず,加算することになりました。

 

3 遺留分に関する規定の施行日

遺留分に関する規定の施行日は,平成31年7月1日です。

4 さいごに

以上のように,相続に関する法改正があったことにより,遺留分の計算方法についても様々な影響が生じます。

そのため,相続案件に集中的に取り組み,遺留分制度に詳しい弁護士に相談するのがよいと思います。

成年後見人について

もう3月も終わり,4月に入ると新元号が発表されますね。

東京は桜の季節がやってきて,事務所近くの桜通りはほぼ満開です。

少し肌寒いですが,よい季節になってきました。

 

さて,前回は,相続が開始したときに,相続財産を見落とさないようにするためのチェックリストについてまとめてみました。

今回は,成年後見制度について書いてみたいと思います。

 

成年後見制度とは,精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)により判断能力が不十分な方を保護し支援するものです。

たとえば,財産管理,福祉サービス契約の締結,遺産分割協議,不動産の売買などを行う場合に問題となります。

 

今までは,成年後見人等に就任した者のうち,親族よりも弁護士や司法書士などの専門職が選任される割合が高かったようです。

しかしながら,最高裁判所は,本年3月18日に,後見人には身近な親族を選任することが望ましいとの考え方を示しました。

これにより,今後は,後見人にふさわしいご親族など身近な支援者がいる場合には,そのご親族が後見人に選任される可能性が高くなると思われます。

認知症などで判断能力が十分でない方のご親族が亡くなられた場合などで,遺産分割協議をすることができない状態の方については成年後見の申立ても検討されるとよいと思います。

相続に関連して,成年後見申立手続をご検討されておられる方も多いのではないかと思います。

 

相続でお困りの方は相続に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

相続に関するサイトはこちら

相続財産のチェックリスト

2月は本当にあっという間ですね。

東京でも花粉が飛び始めていて,症状が出て大変です。

 

前回は,相続法の改正についてまとめてみました。

今回は,相続が開始したときに,相続財産を見落とさないようにするためのチェックリストを書いてみたいと思います。

もし,相続財産を見落としたまま遺産分割協議が終了した場合は,新しく見つかった財産の分割協議を行わなければならないため,負担が増えてしまうことになります。

そのようなことのないように,以下のチェックリストを参考にしていただければと思います。

 

1 自筆証書遺言書があるかどうか

2 公正証書遺言があるかどうか

3 預貯金があるかどうか

4 現金や小切手があるかどうか

5 公開・非公開の株式や社債などの有価証券があるかどうか

6 不動産があるかどうか

7 借家権があるかどうか

8 賃借権があるかどうか

9 敷金があるかどうか

10 未収家賃があるかどうか

11 ゴルフ会員権があるかどうか

12 自動車があるかどうか

13 貴金属や絵画などの動産があるかどうか

14 貸金庫があるかどうか

15 貸付金や売掛金があるかどうか

16 買掛金があるかどうか

17 未払いの税金があるかどうか

18 金融機関や個人からの借入金があるかどうか

 

これらの点を確認いただいて,方針をお決めいただくとスムーズかと思います。

相続でお困りの方は相続に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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相続法改正について

平成31年に入って,もう1か月が経過しようとしています。

本当にあっという間ですね。

東京でもインフルエンザが流行しているそうなので,こまめに緑茶を飲むなどして気を付けています。

 

前回は,消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書きましたが,今回はがらっと内容を変えて,相続法の改正についてまとめてみたいと思います。

40年ぶりの大改正ということで,最近ではニュースやワイドショーでも取り上げられていますね。

改正の大きな目玉としては,以下の点になるのかなと考えています。

①配偶者居住権の新設

②義理の両親を介護した際,金銭で報われる場合がある

③自筆証書遺言の形式と保管方法が変わる

 

相続法改正に関する施行期日は以下のとおりになります。

①下記を除く原則的な施行期日:平成31年7月1日

②自筆証書遺言の方式を緩和する方策:平成31年1月13日

③配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等:平成32年4月1日

法務局における遺言書の保管等に関する法律:平成32年7月10日

 

 

相続は転換点を迎えておりますので,今後は,相続に関する運用等も変わってくることが予想されます。

相続でお困りの方は相続に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

東京で相続問題でお困りの方はこちらをご覧ください。

消滅時効について③

今年ももう終わりになりますね。本当にあっという間に1年が終わった感じがします。

北海道は寒波が来ているようですが,東京はそこまで寒くなりませんでしたね。

 

前回は,交通事故から3年経過してしまった場合,相手方に一切請求できなくなってしまうのかという点について検討してみましたが,今回は消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書いてみたいと思います。

 

 

最近,交通事故に遭われて加害者が任意保険に加入していないケースが少なからずございます。

そのような場合であっても,原則として全ての自動車について自賠責保険か自賠責共済の契約の締結が義務付けられておりますので,ほとんどの方が自賠責保険か自賠責共済に加入していると思われます。

被害者の自賠責保険会社に対する損害賠償請求権については,被害者の加害者に対する損害賠償請求権と同じく,「損害及び加害者を知った時」(民法724条)から消滅時効が進行すると解されています。

そのため,交通事故から時効中断事由なしに3年以上経過した場合は,自賠責保険会社に対する被害者請求をすることができないと考えられます。

 

しかしながら,自賠責保険の被保険者である加害者が被害者に対して賠償金を支払った場合,加害者が自賠責保険会社に対して自賠責保険金の支払いを請求することができます(自賠法15条)。

これを加害者請求と言います。

加害者は,被害者に対し,実際に損害賠償額を支払った場合にのみ自賠責保険会社に対して自賠責保険金を請求することができるということになります。

そのため,加害者請求の消滅時効の起算点は,被害者請求の消滅時効の起算点とは異なり,事故発生時ではなく,被害者に損害賠償額を支払った時ということになります。

このような場合,加害者と交渉して,加害者が自賠責保険により受け取ることができる保険金の範囲内にとどめた金額を請求することで,加害者が任意に損害賠償金を支払う可能性が出てくるかもしれません。

 

交通事故に遭われて相手方が任意保険に加入していない場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

消滅時効について②

東京は急に寒くなりましたね。風邪には気を付けたいところです。

 

前回は,交通事故における消滅時効の基礎について書いてみましたが,今回は消滅時効についてもう一歩踏み込んで書いてみたいと思います。

前回,不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなかったときに時効期間が完成する(民法724条,自賠法4条)と説明をいたしました。

 

今回は,交通事故から3年経過してしまった場合,相手方に一切請求できなくなってしまうのかという点について検討してみます。

交通事故に遭った後で3年以上経ってしまった場合であっても,相手方が任意保険に加入している場合は,保険会社としては事故による被害者の損害を回復し,安全な社会の実現を図るという使命から,消滅時効の援用をしないケースもあるところです。

ただし,相手方保険会社が絶対に消滅時効の援用をしないという保証はないので,できるだけ3年経過する前に,時効中断措置や債務承認などの方策を取った方が良いと思います。

次回は,消滅時効と自賠責保険の請求権との関係について書いてみる予定です。

交通事故に遭われた場合,治療が長期にわたり交通事故から3年経ってしまった方もおられると思います。

そのような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

消滅時効について①

東京は涼しくなって過ごしやすくなってきましたね。

前回は,交通事故における物損と人損の過失割合について書いてみましたが,今回は消滅時効の基礎について書いてみたいと思います。

 

 

このブログをお読みになっている方も一度は「時効」という言葉は聞いたことがあるのではないかと思います。

交通事故による損害賠償請求権は,不法行為による損害賠償請求権と言い換えることができます。

この不法行為による損害賠償請求権は,被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しなかったときに時効期間が完成します(民法724条,自賠法4条)。

また,不法行為のときから20年の経過により除斥期間となります。

自賠責保険の被害者請求についても,事故から3年の経過により時効消滅します(自賠法19条)。

それでは,交通事故から3年経過してしまった場合は,相手方に一切請求できなくなってしまうのでしょうか。

この点については,次回に書いてみたいと思います。

交通事故に遭われた場合,治療が長期にわたり交通事故から3年経ってしまった方もおられると思います。

そのような場合は,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

物損と人損の過失割合

東京は雨が多いですね。

急に涼しくなったので体が慣れるまでに時間がかかって大変です。

 

前回は,後遺症逸失利益の計算の中で問題となる労働能力喪失率について書いてみましたが,今回は物損と人損の過失割合について書いてみたいと思います。

交通事故案件を多く扱っていてよくあるのが,以下のようなケースです。

 

【例】

被害者ご本人様で物損について相手方保険会社と交渉し合意した際に,過失割合についても併せて合意した(例えば,当方10:相手方90で合意した。)。

ただし,相手方保険会社には特に伝えてはいなかったが,自分としては修理費のみ当方10対相手方90のつもりで合意したし,相手方保険会社からも特に明確な説明がなかった。

なのに,いざ人損の交渉をしてみると,人損の過失割合も当方10対相手方90になっていた。

自分としては修理費のみの過失割合として考えていたのに納得いかない。

 

といったものです。

被害者様のお気持ちはとてもよくわかるところですが,争いがないことを前提とした場合,1つの交通事故においては事故態様は1つであり,合意した以上は過失割合も1つになります。

相手方保険会社と物損と人損の過失割合を別に考えるという明確な合意(書面を交わしているなど)があれば別ですが,基本的には物損で合意した過失割合が人損においても適用されます。

お怪我の治療は時間がかかることが多いため,通常は物損を先にまとめることが多いと思います。

その際は,過失割合についてどのように決めるかについて,相手方保険会社に確認をしておくとよいと思います。

 

 

以上のとおり,交通事故に遭われた場合,ご本人様で物損について交渉し合意をなさる方も多いと思いますが,合意の前に一度立ち止まって,交通事故に精通している弁護士にご相談されることをお勧めいたします。