個人再生での自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて

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前回は、個人再生後に一括返済や繰り上げ返済ができるかについて書きましたが、今回は、個人再生をする場合の自動車保険や火災保険の解約返戻金の取扱いについて書いてみたいと思います。

個人再生は、債務整理の種類の内、裁判所に再生計画が認可されると借金の一部を免除してもらえる制度です。

個人再生をする場合、原則として自動車保険や火災保険を解約する必要はありません。個人再生は、全財産を処分して、借金を返済するという制度ではないため、無理にこれらの保険を解約する必要はありません。

ただし、個人再生では、清算価値保障の原則といって、最低でも手持ちの財産額以上の金額を返済に充てなければならないという決まりがあります。

そのため、自動車保険や火災保険に加入していて、解約返戻金がある場合、解約した場合の解約返戻金の見込額は財産とみなされ清算価値に計上する必要があります。

自動車保険の解約返戻金とは、自動車保険を解約した場合に保険会社から戻ってくるお金のことをいいます。

もっとも、全ての自動車保険で解約返戻金が出るのでしょうか。

自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますので、分けて考える必要があります。

自賠責保険は、全ての自動車について、法律で加入が義務付けられています。

自賠責保険は自動車を所有している限り加入しなければならないものですので、廃車にした場合やナンバープレートを返納した場合を除いて、通常途中で解約することはできませんし、還付金もありません。

したがって、個人再生をするにあたって、自賠責保険の解約返戻金を清算価値に含める必要はありません。

他方、任意保険は強制加入ではなく中途解約も可能ですので、解約返戻金がある場合には、財産として清算価値に含める必要があります。

任意保険には、各損害保険会社が定めている返戻率がありますので、それに従って解約返戻金が決まることになります。

ただし、月額払いにしている場合は、解約返戻金が発生しないことが一般的ですので注意が必要です。

火災保険についても、解約返戻金がある場合は清算価値に含めることになります。

もっとも、住宅ローンが残っている場合、通常は住宅に抵当権が設定されています。

そのため、銀行としては、住宅ローンが残っている状態で、火事で住宅が全焼した場合、保険金を銀行の住宅ローンの返済に優先的に充ててもらう必要があります。

そこで、銀行は火災保険に質権を設定することがあります。

この場合、住宅ローンを完済するまでは銀行の承諾なくして火災保険を途中で解約することはできません。

したがって、火災保険の解約返戻金の見込額は0円と考えられますので、清算価値に含める必要はありません。

以上