自己破産と相続放棄の関係について

2021年8月も終わりが近づいてきました。

東京も暑さが落ち着いてくれるとよいですね。

前回は、リボ払いについて書きましたが、今回は、自己破産と相続放棄の関係について書いてみたいと思います。

相続が生じた場合で、被相続人に多額の借金があった場合、相続人は、通常、相続放棄を選択するのではないでしょうか。

相続放棄とは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述することによって、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続しないようにする手続のことをいいます。

相続放棄が認められると、申述人は初めから相続人ではなかったことになります。

他方、自己破産とは、債務者の現在の資産や収入では、すべての借金の返済を続けていくことが不可能な場合に、自ら裁判所に対して返済が不可能であることを申し立てて、最低限の生活に必要とはいえない財産や、不動産などの高価な財産を債権者への返済に充てる代わりに、一部の例外を除いて全ての債務の返済義務を法的になくす手続です。

このように、相続放棄も自己破産も借金がなくなるという点だけを見ると、同じような制度のようにも思えます。

相続放棄と自己破産の違いはどこにあるのでしょうか。

相続放棄と自己破産とでは、税金の滞納があった場合の取り扱いが異なります

相続放棄の場合は、被相続人が有していた一切のプラスの資産や権利関係はもちろん、借金も引き継がないことになります。

被相続人が滞納していた税金の支払義務についても、相続放棄によって相続人が引き継がなくてもよいことになりますので、被相続人の税金を支払う義務はありません。

自己破産は、債務者が支払不能になってしまったため支払うことのできない借金を、裁判所に特別に免責してもらう制度です。

ただし、自己破産の場合は、非免責債権といって、税金の支払い義務はなくなりません。

そのため、自己破産が認められたとしても、税金は支払わなくてはなりません。

他にもいろいろな違いがありますので、相続と債務整理に詳しい弁護士に相談してみると良いでしょう。

以上