進路変更禁止と追い越し禁止

交通事故の相談を受けていてよく聞かれる誤解で,交差点の手前30メートル以内では車線変更をしてはいけない,というのがあります。

そもそも一般的には,よく車線変更という言葉を使いますが,道路交通法上は車線変更という言葉も存在していません。

道路交通法上は,進路変更という言葉で,「車両は,みだりにその進路を変更してはならない(26条の2第1項)」,「車両は,進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは,進路を変更してはならない(同条第2項)」,「車両は,車両通行帯を通行している場合において,その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは,次に掲げる場合を除き,その道路標示を超えて進路を変更してはならない(同条第3項)」,次に掲げる場合として緊急車両を優先させる場合,道路の損壊,工事その他の障害により通行できない場合を挙げています。

他方,追い越しについては,追い越し禁止場所として,道交法30条に,道路のまがりかど附近,上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂,トンネルのほか,交差点・踏切・横断歩道又は自転車横断とこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分が列挙されています。

このように,厳密には,進路変更,追い越しという違いがあるほか,交差点手前30メートル以内で進路変更してはいけないというルールはないということになります。

ただ,当然のことながら必要のない進路変更はもちろんのこと,後方の車両を意識しない急な進路変更や,交通事故発生リスクの高い場所での進路変更はしないに越したことはありません。

被害者参加制度

被害者参加制度とは,被害者やご遺族の方が事件の当事者として刑事事件に直接関与し,意見陳述や質問等ができる制度です。

刑事事件は,捜査・訴追する国家権力側と,被告人という当事者構造で成り立ってきましたが,この制度ができたことによって,被害者やご遺族の方も当事者として刑事事件に関わることができるようになりました。

利用できる事件としては,故意の犯罪行為による殺傷事件,強制性交や強制わいせつ,逮捕監禁,過失運転致死傷などがあり,交通事故であっても被害者が亡くなったり重度の傷害を負った場合にも,この制度を利用することが可能です。

この制度を利用することによって,傍聴人としてではなく,当事者として法廷に着席し,検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり,検察官に説明を求めたりすることができるほか,証人が情状について証言したときにその証明力を争うための尋問をすることができます。

ほかにも,意見を述べるために必要な場合,被告人に対して質問することもできますし,起訴された事実の範囲内で,事実または法律の適用について意見を述べることもできます。

たとえば,交通事故の場合,加害者の家族が情状証人となり,今後の監督などについて証言することがありますが,この証言の証明力を争うための質問ができるほか,加害者本人にも反省の有無などを聞くこともできるということです。

また,最終的な意見陳述において,処罰意思についてもきちんと伝えることができます。

加害者と会いたくないという被害者やご遺族の方も多いですが,刑事裁判において意見を伝えることができる重要な場ですので,ぜひ積極的に利用していただければと思います。

 

 

弁護士法人心の後遺障害認定サポート・後遺障害認定無料診断サービス

弁護士法人心では,従前より,後遺障害チームを編成し,後遺障害に関する実績・ノウハウの集積に努めています。

もともと,代表弁護士の西尾が保険会社側の代理人をしていたことから,弁護士法人心は,交通事故の被害者救済のため,

適切な賠償や適切な後遺障害等級の認定には,強いこだわりを持っています。

保険会社側もやっていたからこそわかる事情や新たな裁判例などの情報を常に研修でも共有しています。

さらに,後遺障害の認定に関わる損害保険料率算出機構の元職員も加わって後遺障害チームを編成しており,

適切な後遺障害等級の認定に向けてサポートをしています。

後遺障害はただ申請すればいいというものではなく,事故直後の状態やその後の症状経過,治療状況,検査の結果など,

様々なことが結果に影響を与えます。

最終的に医師に作成してもらう後遺障害診断書も,残存症状について書いてもらう非常に重要な書類ですから,

この内容も認定に大きな影響を与えます。

このように,申請の時に相談すれば大丈夫というものではなく,実際には,申請の前の状況次第で,

その後の後遺障害認定の結果は変わってきますので,交通事故に遭われて症状が残ってしまったという場合には,

お早目に後遺障害に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人心では,後遺障害等級認定サポートのほか,後遺障害認定無料診断サービスもありますので,

ぜひお気軽にご相談ください。

弁護士法人心の後遺障害ページはこちら

 

 

加害者の任意保険会社に治療費を支払ってもらえないこともある

交通事故被害に遭った場合,加害者の加入している任意保険会社が,

直接被害者の通院等にかかる治療費を医療機関に支払ってくれることがあります。

これを一括払いということがありますが,治療費をまとめて払ってくれるから,というわけではありません。

本来の保険の立て付けからすると,被害者が,

加害者の加入している自賠責保険に対して治療費や慰謝料等の請求を行い(これを被害者請求といいます),

その後,自賠責保険では補填できなかった損害を任意保険会社に対して請求する,という二階建ての請求になります。

この自賠責に対する請求と,任意保険会社に対する請求とを,

任意保険会社がまとめて行うことが通例となっていて,このことを一括払い,一括対応,などと呼んでいます。

 

しかし,自分が被害者だからといって,100%加害者の任意保険会社が治療費を支払ってくれるというわけではありません。

任意保険会社として対応しないと言われてしまうこともあり,そういう場合には,

①被害者側も過失割合が小さくないケースや,②車の破損状況などから受傷まではしないのではないかと思われるケース,

③初診までの期間が空いてしまったり事故状況との整合性がなかったり等,何らかの理由で事故と怪我の因果関係が怪しいケースなどが多いです。

いずれの場合でも,自分の保険で人身傷害補償保険に入っていれば,

多くの場合,治療費支払のほか慰謝料等を補填してもらうことも可能ですから,まずは,自分の保険の利用を検討します。

②③の場合には,もちろん自分の保険会社も独自に判断をすることになりますが,

相手方の保険会社よりはまだ緩やかな判断になることが多いように思います。

他にも,定額であったり損害補填という意味合いは少ないですが,搭乗者傷害保険なども利用することで自己負担額が減ります。

もしこうした保険がなければ,相手方の自賠責保険に対して被害者請求を行うことを検討しますが,

①の場合には,過失割合次第で自賠責保険の上限額が減額されることに注意が必要ですし,

②③の場合には,そもそも怪我と治療の因果関係に問題があるケースのため,自賠責保険でも補償されない可能性を含んでおく必要があります。

実際にこうしたケースの判断は微妙な場合が多いので,交通事故の経験豊富な弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

他にも,賠償としては対応はするものの,治療費に関しては労災や健康保険を使ってほしいと言われるケース,

医療機関側の問題で一括対応をしていないので一旦立て替えてほしいと言われるケースなどもあります。

これらの場合には,一括対応をされていないというだけで最終的な賠償の際に問題となることはまずありませんが,

初動でどのように対応すべきか迷った場合にも,交通事故に詳しい弁護士に相談しておいた方が,賠償の際にも安心です。

 

債権法改正が交通事故事件に与える影響

4月1日に債権法が改正され,交通事故事件に影響を与える部分の変更もありました。

 

まず大きく影響を与えるのが,時効に関する改正です。

改正前は,不法行為である交通事故に基づく損害賠償請求権の時効は,

損害と相手方を知った時(権利を行使することができることを知った時)から3年以内,

かつ不法行為の時から20年以内,とされていました。

しかし,身体や生命にかかわる請求権の重要性から,

改正後は,生命または身体の侵害による損害賠償請求権については,

損害と相手方を知った時から5年,不法行為の時から20年,と時効期間が長くなりました。

ただ,生命や身体の損害のみ延長されることになるので,車などの物損は,

これまでどおり3年ということになり,時効期間がずれてくるので注意が必要です。

 

また,改正により法定利率が5%から3%に引き下げられ,中間利息の控除と遅延損害金の計算に影響を与えます。

中間利息の控除とは,交通事故で後遺症が残ったことにより将来の収入が減った場合の損害(逸失利益)について,

将来の損害を現在賠償してもらうために現在と将来の貨幣価値を調整するようなものです。

これについては,改正後の方が逸失利益は高くなりますので,被害者にとってはプラスになります。

他方,遅延損害金については3%への引き下げにより減額されますので,被害者にとってはマイナスになります。

 

基本的には大きな混乱が生じないように経過措置をとったり基準時を調整したりされますが,

改正によって交通事故事件の賠償にも影響は少なからずありますので,

こうしたことを見落とさないためにも,交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

コロナに関する助成金等について

コロナでの外出の自粛やそれに伴う休業等が相次いでいます。

学校の休校に伴う補助として,

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための助成金が設けられました。

ただ,これについては法人ごとの申請で,休暇を取得させた事業者への助成金です。

委託で仕事をされている個人の方には,

別途,小学校休業等対応支援金という制度があります。

 

また,その他の助成金として,

雇用調整助成金や,時間外労働等改善助成金などもあります。

 

雇用調整助成金は,経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が,

労働者に対して 一時的に休業・教育訓練又は出向を行い,

労働者の雇用の維持を図った場合に,休業手当・賃金等の一部を助成する制度です。

 

時間外労働等改善助成金は,テレワークコースと職場意識改善コースに分かれており,

コロナ対策でテレワークを導入,または,特別休暇の規定を整備した中小企業事業主に,

特例的に補助を行うものです。

 

それぞれ,厚労省のホームページや,

各都道府県労働局(東京の場合には,東京労働局など)のホームページなどに,

詳細な内容や申請や問合せ先が載っています。

今後も随時更新されていくと思いますので,ぜひご活用ください。

障害年金について

交通事故被害を受けた方の中には,その受傷内容次第で障害年金を受け取れる方もいます。

もともとは交通事故被害に限らず,一定の怪我や病気によって,生活や仕事を制限される状況にある人に

現役世代であっても年金制度として保障を行うものです。

 

障害基礎年金と障害厚生年金に分けることができ,

受傷後初診の際に国民健康保険に加入していたか,厚生年金に加入していたか,

によって分かれます。

 

公的年金制度のため,保険料納付用件などもありますが,

初診から一定の期間経過後に,一定の障害のある状態となったことによって

障害認定がなされます。

たとえば,交通事故被害で認定される可能性があるものとしては,

人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合,

人工肛門を造設した場合,尿路変更術を行った場合,

新膀胱を造設した場合,切断または離断による肢体の障害,

その他視力や聴力などの障害が考えられます。

 

症状の程度によって等級の認定を受け,

それに該当する年金額を受け取ることになります。

また,障害厚生年金の場合,初診日より5年以内に治癒し障害厚生年金を受け取る程度より軽い障害が残った場合は,

障害手当金という一時金が支給されます。

 

交通事故被害の場合,病院入院中にこうした案内をされるケースも多いですが,

認定時までに期間を要することからこの手続を忘れてしまっている方も見かけます。

後遺障害認定を受ける程度の障害が残っている場合には,障害年金受給要件に該当する可能性もありますので,

気になる方は年金事務所へ相談に行ったり,後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

耳(聴力)に関する後遺障害

最近ご相談の多い,耳に関する後遺障害について,書きたいと思います。

交通事故での耳の後遺障害には,欠損障害と聴力障害,平衡機能障害があります。

 

欠損障害の場合には,耳殻の大部分(半分)を欠損していると,

後遺障害12級が認定されます。

しかし,外貌醜状(顔や首などの傷跡や見た目の障害)として

後遺障害が認定される場合には,その等級との調整が行われます。

 

また,相談の多い症状としては,耳鳴りなどがあります。

耳鳴りについては,この症状だけで後遺障害が認定されるということはありません。

多くの場合,聴力障碍である難聴を伴うので,その程度と併せて,後遺障害等級の判断がなされます。

 

さらに,聴力障害についても,片耳の場合,両耳の場合などによって,

後遺障害等級は変わってきます。

また,聴力といっても,音を拾う能力である聴力レベルと,

音を判別する明瞭度と,それぞれの数値によって後遺障害等級も変わってきます。

そのため,聴力障害の後遺障害認定については,必要な検査をきちんと受けていることが,

最低限必要になってきます。

検査の受け方についても,一定の期間を空けて複数回検査を行う,

複数回検査を行い問題がなければそのうちのいくつかの平均値をとる,

などいくつかの決まりもあります。

 

耳が聞こえにくくなった,耳鳴りがする,などの症状が長引いている場合には,

後遺障害に該当するかもしれませんので,治療を終える前に,

交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

高次脳機能障害の画像所見

交通事故で脳に損傷を受けた場合,その損傷を明らかにするために,

画像所見が非常に重要になります。

高次脳機能障害の後遺障害認定においても,画像所見の存在はほぼ必須といえます。

 

画像所見はないのに,記憶や行動の障害がある,性格が変わってしまった,

といった症状がある場合には,改めて適切な画像検査などが行われているか,

見直してみるべきことがあります。

 

 

たとえば,CTで脳内の出血などが分かる場合にはよいのですが,

びまん性軸索損傷などと呼ばれている損傷の場合には,

CTでは写りにくい,という問題があります。

この場合には,MRI,特にT2,T2*像,磁化率強調像などを試すことで,

出血の痕跡や高信号を捉えることができることがあります。

 

また,MRI所見がない場合にも,PET検査といわれる検査などで,

脳損傷に特徴的なパターンの所見を得られ,

微小な気質的損傷の存在が明らかになることもあります。

 

事故から時間が経過すればするほど,画像所見が得られたとしても

その価値は変わってしまいますので,

事故に遭われて頭部を強打した,脳震盪と診断された,

記憶や行動に関する障害がある,というような場合には,

お早目に交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

TFCC損傷の画像所見

交通事故で手首をケガした,という方の中には,最初は軽い捻挫だろう程度に思っていたところ,

実はTFCC損傷だということが分かった!という方がいます。

 

事故から比較的すぐにMRI検査や関節造影検査などを行い,

専門の医師がTFCC損傷であるということを発見してくれればよいのですが,

そうでない場合,交通事故とケガの因果関係を否定されてしまうおそれがあります。

特に,最初の段階だと,捻挫であっても痛みはあるため,TFCC損傷であるということ自体に気づきにくく,

痛みがなかなか引かないために初めて検査をしてみる,ということも多くあり,

事故から数ヶ月も経過してから撮った画像などでは,事故との因果関係を立証するのは容易ではありません。

 

しかも,MRI画像ではTFCC損傷の有無は容易ではありませんので,

専門の先生にきちんと診ていただく必要があります。

MRIの場合には,T2強調像で高信号として描出されます。

 

さらに有用なのは,関節造影検査で,橈骨手根関節から遠位橈尺関節への造影剤の漏出,

TFCC構造体内への造影剤の侵入などの所見が得られます。

 

こうした,TFCC損傷であることを示す所見を,いかに事故から早い段階で得られるか,

が重要になりますので,交通事故による手首の痛みに悩まされている方は,

ぜひ一度交通事故に詳しい弁護士への相談,専門医への受診を早めにしていただければと思います。

後遺障害診断書作成のポイント

交通事故に遭って後遺障害が残ってしまった場合,

後遺障害の申請を行います。

この申請は,相手方保険会社の自賠責保険会社に資料を提出して行います。

実際に後遺障害に該当するか,該当した場合の等級について認定を行うのは,

損害保険料率算出機構で,各損害調査事務所にて審査が行われます。

 

後遺障害申請においては,事故証明書や事故から症状固定日までの診断書・診療報酬明細書,

後遺障害診断書などの必要書類を提出しますが,

後遺障害等級の認定においては,後遺障害診断書の記載内容が非常に重要になってきます。

 

必要な検査を受けているか,必要な計測を行っているかなどの確認を経ず,

後遺障害の認定に最低限必要なことが記載されていないまま後遺障害診断書を保険会社に送ってしまえば,

当然,後遺障害等級の認定において不利になってしまいます。

 

また,検査や計測のほか,残存症状の記載のされ方ひとつとっても,

後遺障害等級認定において大きく判断を左右する事情となります。

 

後遺障害診断書の適切な記載については,怪我を治すということを命題としている医師もあまり精通していないことが多く,

どういう内容を書いてもらうか,後遺障害に強い弁護士に相談することが重要です。

 

また,後遺障害診断書の内容だけでなく,後遺障害に強い弁護士であれば,

より有利になるであろう資料などをさらに添付して提出することもできます。

 

後遺障害に悩んでいる方は,ぜひ後遺障害に強い弁護士にご相談ください。

後遺障害に関する弁護士法人心東京駅法律事務所のサイトはこちら

高次脳機能障害

今日は,最近相談の多い,高次脳機能障害について書きたいと思います。

 

高次脳機能障害とは,交通事故で頭部に大きなダメージを受けたことで,脳に損傷が生じ,

記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などが生じる障害です。

頭部へのダメージが強かった場合には,こうした障害が残るかもしれない前提で家族や周りの方も動く必要があります。

具体的な症状としては,事故前にはなかったのに,

意思疎通が難しくなる,激しい物忘れがある,理由もない衝動的な行動をするようになった,

自傷行動や情動運動をしてしまう,情緒不安定になるなど,様々です。

 

しかし,高次脳機能障害は,非常に難しい障害で,後遺障害として認定されるには,

多数のポイントを押さえる必要があります。

 

 

まず,入口の3要件として,

①脳挫傷,びまん性軸索損傷,びまん性脳損傷,急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫,

外傷性くも膜下血腫,外傷性くも膜下出血,脳室出血,骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症,低酸素脳症,

のいずれかの傷病名が診断されていること,

②上記傷病名について画像所見が得られていること,

③頭部外傷後の意識障害,もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること,

が必要です。

 

ただ,事故直後は,もっともひどい症状について目がいってしまうこともあり,

見落とされてしまう可能性もあります。

もし,事故状況や症状から高次脳機能障害が疑われるような場合には,

事故直後から,脳の検査を行うなどして,証拠が何もない,というようなことは起きないようにしておく必要があります。

 

 

そして,入院中など,事故直後の段階から,意識障害について確認をし,

診断書やカルテにその内容を記載しておいてもらう必要があります。

 

特に,ご本人がお話するのが難しいような場合には,ご家族ができる限り症状などについて

医師や看護師にお伝えしておかなければ,当時の記録としては残らない,という可能性もあります。

 

また,治療が進んでからも,症状がどの程度日常生活に影響を与えているかが

後遺障害として認定される等級に影響を与えますので,

こうしたことも,日記に控えておいたり,医師や看護師に伝えておく,というのが重要になります。

 

高次脳機能障害が疑われる場合には,初期の資料も重要ですし,

後遺障害の認定可能性を見据えたサポートが早期から必要ですので,

お早目に後遺障害に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

東京で高次脳機能障害で弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

 

内定者研修

来春から当事務所に勤務する予定の新卒スタッフの内定者研修に参加してきました。

皆さん,数多くの方の中から選ばれただけあって,意欲も高く,真面目な方たちでした。

私の所属している東京駅法律事務所にも,複数の新卒スタッフが勤務する予定ですが,

今から来春が楽しみです。

最近では,入社直後に辞めてしまう人が多いとか,転職市場も活性化しているので

比較的簡単に転職する人が多い,と聞きますが,

採用にも携わっている身としては,できる限り長く一緒に働いてもらいたいな,

というのが本音です。

皆さん,もともとやりたいことや,役に立ちたいことなど,様々な思いで会社を選ぶと

思いますが,当初描いていた気持ちを忘れず,楽しく仕事ができる環境を自ら作っていく,

ということを忘れなければ,とてもいい職場になると思います。

今日のヤフーニュースでもありましたが,社員が自ら選ぶという感覚,

責任と同時に裁量を持って働くということ,は,職場環境にとってとても重要なことだと思います。

弁護士法人心も,代表の西尾が常々言っている,モチベーション経営というのは,

まさに社員一人一人のモチベーションが自ら高く満たされている状況を実現する経営だと思います。

今後も,より一層よいメンバーに集まってもらうためにも,頑張ってまいります。

弁護士法人心の示談金チェックサービス

弁護士法人心では,交通事故被害者の方向けに,無料の示談金チェックサービスを行っています。

交通事故の被害に遭ってしまった場合,加害者から受けた被害については加害者等に損害賠償を請求することができます。

怪我の治療にかかった治療費,通院にかかった交通費等々様々な損害がありますが,

怪我などによる慰謝料も損害として加害者から賠償されるべき損害です。

 

多くの場合,加害者の保険会社が治療費などを支払ってくれて,

そのまま治療を終えると示談金の提示がなされます。

保険会社からの示談金の提示にも,もちろん慰謝料などは含まれているのですが,

この慰謝料の計算方法が保険会社の基準と弁護士に依頼した弁護士基準(または裁判基準などと呼ばれます)とでは,

大きく異なります。

 

そのため,保険会社から提示を受けたら,まずは慰謝料の金額が適正かどうか,

弁護士に相談することが大切です。

 

弁護士法人心では,示談金額が適正かどうか,無料でチェックできますので,

まずはお気軽にメールや電話などでご相談いただき,

保険会社から提示されている示談金の内訳を見せていただければ,

担当の弁護士より金額が適正かどうか,増額する可能性がないか,

個別に考慮できる事情などはないか,ご連絡させていただきます。

 

 

弁護士法人心のトータルサポート

弁護士法人心では,弁護士がそれぞれ特定の分野を集中的に取扱うことで,

よりその分野の知識やノウハウ,新しい情報などを広く深く集積することができます。

私も,弁護士という難しくそれでいて人生をお預かりする職業であるからこそ,

ある分野について特に詳しくなることが重要であると考え,そのような体制の弁護士法人心に入所しました。

そして,各弁護士とそのスタッフが一丸となり,初回のご相談から最終解決まで,

トータルサポートさせていただきます。

スタッフも複数おりますので,わからないことや不安なことがあれば,お気軽にご連絡いただけます。

 

弁護士法人心では,相続,交通事故,債務整理など,いわゆる民事の分野を多数扱っております。

特に,私が入所以来扱ってきた交通事故についても,これまでたくさんのノウハウを蓄積してきました。

弁護士法人心は,そうした交通事故に関する知識を広め,

少しでも被害者の方に安心して治療を受けてもらえるよう,医療機関向けのセミナーなども行っています。

今年の交通事故マスター講座も開講しており,参加者の方からはより深い学びや新たな疑問など,

たくさんの反響をいただいております。

現在も,弁護士,スタッフともに順調に増えており,新たなスタッフも加わった写真にリニューアルいたしました。

今後ともよろしくお願いいたします。

後遺障害の異議申立手続

今日は,後遺障害の認定について,初回申請で非該当だったものが異議申立で

等級認定されましたので,異議申立手続について書きたいと思います。

交通事故で後遺障害が残ってしまった場合,後遺障害申請手続を行います。

この申請手続は,加害者の自賠責保険会社に対して行い,

認定の判断は,自賠責損害調査事務所が行っています。

後遺障害の申請を行っても,初回で認定される可能性が低いのが,

いわゆるむちうちによる痛みやしびれなどの神経症状,

打撲や捻挫による痛みなどの神経症状です。

骨折や脱臼を伴っている場合には,明らかな外傷といえますので,

神経症状が残った場合には,比較的後遺障害が認められやすいといえます

(もっとも,骨折していても,癒合がうまくいけば痛みの原因は他覚的には明らかとは

いえないため,12級の認定にならないこと,場合によっては14級の認定もされないこと,

もありえます)。

初回の申請では後遺障害として認定されなかった場合には,

再度,申請を行う異議申立という手続があります。

通常,初回申請の担当者と同じ担当者が調査をしているようですし,

異議申立でひっくり返る可能性というのは低いです。

しかし,症状固定後の通院に関する新たな資料や,医学的な意見書や診断書,

通院や症状に関する補足資料,事故状況に関する新たな立証資料などを提出することで,

初回の結果をひっくり返すこともできます。

初回の申請でダメだったからと言ってあきらめる必要はないですし,

初回申請を保険会社に任せて事前認定で行った場合には,

さらに追加で出せる資料の幅も広がりますから,

ぜひ一度,交通事故の後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

交通事故の加害者が任意保険に入っていなかったら

交通事故に遭った場合,被害を受けた方は,治療を受けるための治療費であったり,

ケガのために会社を休業せざるを得なくなり休業損害が発生したりします。

また,精神的苦痛に対する慰謝料など,多数の損害が発生します。

多くの場合は,加害者が任意保険会社に入っていて,加害者の任意保険会社が治療費や休業損害,

慰謝料などを払ってくれます。

しかし,加害者が任意保険に入っていないこともまれにあります。

そのような場合は,治療費や休業損害などの損害をどのように補填したらよいのでしょうか。

・加害者に請求

もっともわかりやすいのは,加害者本人に請求して損害を賠償してもらうことです。

加害者が仕事中の場合には,加害者を雇っている会社も賠償責任を負う可能性が高いため,

支払能力という意味では,会社にも請求することが考えられます。

ただ,加害者本人の支払意思や支払能力次第では,まったくうまくいかず,相談に来られる方も多いです。

費用面で問題がなければ,加害者を相手に裁判を起こし,差し押さえなどの強制執行をすることもできます。

・自分の保険を使う

また,自分が入っている保険の人身傷害特約などを使えば,治療費や休業損害,慰謝料などの損害を

保険会社の基準で支払ってくれます。

慰謝料などは裁判基準よりは低くなりますが,当座の治療費や休業損害の心配はなく治療ができますし,

後から加害者に不足分を請求することも可能です。

人身傷害保険についてはこちらをご覧ください。

・加害者の自賠責に請求

人身傷害特約などの保険に入っていない場合でも,加害者が自賠責保険にさえ入っていれば,

加害者の自賠責保険に治療費や休業損害などを請求(被害者請求といいます)することもできます。

この場合には,自賠責の基準で計算されるため慰謝料が裁判基準より低くなったり,上限額が決まっていたりします。

また,いったんは治療費などを立て替える必要がある医療機関も多いようです。

・労災を使える場合

この他,自分が通勤途中や業務中であった場合には,労災を使うことも考えられます。

労災指定病院の場合には治療費を立て替える必要もなく,心配なく治療を受けることができますし,

休業損害も支払われます。

ただ,慰謝料の支払いはないですし,休業損害も働いていた場合の100%が支払われるわけではありません。

 

このように,様々な対応が考えられますが,それぞれ一長一短があるのと,

加害者の反応や資力,費用面などから,どの方法が適切なのかは難しい問題です。

弁護士費用特約が使える場合には,費用面の心配も減りますので,どの方法をとるべきか,

弁護士に早期にご相談されることをお勧めします。

弁護士費用特約について

今日は,最近交通事故事件を扱っていて,よく質問される弁護士費用特約について

よく聞かれる内容を書いてみたいと思います。

交通事故の損害の賠償を加害者に請求する場合の弁護士費用を

保険金で支払ってもらえるという特約が,弁護士費用特約です。

弁護士費用特約は,必ずしも自動付帯されているわけではありませんが,

保険証券に記載があれば使える可能性が高いです。

多くの車両保険についている弁護士費用特約では,

相談料と弁護士費用(報酬や実費など)についてそれぞれ上限があり,

弁護士費用の上限は300万円とされていることが多いです。

交通事故でもっとも多い,いわゆるむちうちのような症状ですと,

通常この上限内に収まるため,持ち出しなく弁護士に気軽に依頼することができます。

また,ご家族での事故などの場合にも,この枠は数人で分け合うものではなく,

1人あたりの枠ですので,上限が減るということもありません。

弁護士費用特約を使うにあたって,よく聞かれることに,

保険料が上がりませんか?といった質問がありますが,

弁護士費用特約は,通常ノーカウント事故として等級が上がらない特約になります。

そのため,保険料が上がったり,その他保険の内容で不利になることは通常ありません。

保険料も上がらず,弁護士費用の負担なく弁護士に依頼することができる

非常に便利な特約ですので,使える可能性があるものがないか,ぜひご依頼の前に一度ご確認ください。

車両保険だけではなく,火災保険や生命保険などについていることもありますし,

同居のご家族や,別居でも未婚のお子様であれば使えることもあります。

 

高次脳機能障害に関する交通事故研修

先日,事務所内部での交通事故に関する研修として,高次脳機能障害に関する研修を行いました。

高次脳機能障害とは,事故などによる頭部への大きなダメージにより,脳に損傷が生じ,

記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などが生じる障害です。

症状としては,この4つの障害にまとめられるように,

激しい物忘れをするようになったり,意思疎通が難しくなったり,

理由なく衝動的な行動をとるようになったり,と様々で,

複合的な症状が出ることも多いです。

後遺障害等級にすると,軽い場合には14級,重い場合には1級(常時介護を要する)と,

その程度に応じて幅広い後遺障害認定があり得ます。

ですから,高次脳機能障害があるにもかかわらず,その立証ができない場合,

非常に大きな損害を被っているにもかかわらず,その損害が補填されないということが

起こります。

そして,高次脳機能障害の場合,CTなどの検査画像ですぐにわかる場合は別として,

その原因がCTなどではわからない,ということも多くあります。

出血がある場合にはCTですぐにわかるのですが,びまん性軸索損傷のように

出血しない場合もありうる脳損傷だと,必ずしもCTではわからないのです。

そこで,MRIなどで出血の痕跡がないか,さらに画像の感度を変えることで

よりその痕跡を明らかにできないかなど,適時に適切な検査を受けておく必要があります。

高次脳機能障害が残るような事故の場合,大けがをしていることも多く,

当初はその大きな外傷に目が行きがちで,医師すら高次脳機能障害に気づかない,疑わない,

ということも多く,その場合には画像や医療記録という重要な証拠がないままに

治療が進んでしまうのです。

家族が言動や行動など,よく観察し,それを医師や看護師に伝えたうえで,

適切な検査等を受けていない場合には,どれだけ症状が出ていたとしても

その症状が交通事故によるものであると立証できないことも多いのです。

もし,高次脳機能障害が疑われるような場合には,できるだけ早い段階で,

交通事故,特に高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人心の高次脳機能障害に関するサイトはこちら

顧問医による内部研修

今日は,弁護士法人心の顧問医も務めていただいている白井康裕医師に

「実例から学ぶ臨床医の意見書作成の実際 後遺障害の医学的分析」

というタイトルで交通事故の内部研修をしていただきました。

白井先生は特に整形外科領域のMRIなどの画像診断を得意分野とされています。

交通事故事件を多く扱っていると,中には完治せず後遺障害申請を行う方も

多くいらっしゃいます。

その際,MRIなどの画像所見がポイントになるケースというのは多々あります。

たとえば,交通事故の中でも多い,いわゆるむちうちの場合であっても,

痛みの原因となる画像所見を医学的に証明することができれば,

後遺障害12級を獲得できる可能性も見えてきます。

もっとも,事故の大きさそのものや,事故直後からの一貫した症状など,

他の諸条件を満たしたうえでの認定ではありますが,

神経症状での後遺障害14級と12級の大きな境目となるのが,

この画像所見の有無です。

画像所見により医学的証明にまで至っていれば12級がつく可能性がありますし,

他方,証明にまで至らず,医学的に説明可能である程度にとどまっていれば14級が

つく可能性があるにすぎません。

むちうち以外にも,後遺障害の判断にあたり画像がポイントとなることは数多くあり,

訴訟等でシビアに等級を争うこともあります。

そうした場合にそなえ,弁護士法人心では,後遺障害チームをつくったり,

顧問医をおいたりと,よりよいサービスの提供に努めています。