納税資金をどうするか

弁護士法人心,東京駅法律事務所の岩崎です。観測史上最速の梅雨明けとなりました。
私は暑さにやられそうですが,皆さまはお元気でしょうか。

相続税をどうやって納めるか という納税資金の捻出につきお話をします。

日本において,遺産の割合の多くを不動産が占めているケースはめずらしくありません。
相続税の支払いを,不動産の一部を処分することで行おうとする方もかなりいらっしゃると思います。特に東京近郊等,地価が高いところでは,相続税が高くなりやすく,不動産の処分が必要になることが多いです。

ここで問題なのは,原則として,相続税の納付期限は相続発生後から10か月と,非常に短いことです。

売却する不動産を選定し,境界の画定や分筆,測量を行い,相続登記をし,売却先を探し,契約する・・という一連の作業を,10か月以内に行うのは,相当にタイトなスケジュールです。

49日までは遺産の分割や納税の話をしない方が良いと考える方もおり,お気持ちは十分に理解できるのですが,手続き的には,49日を終えてから納税資金の捻出を検討するのは,遅すぎます。

相続税の納税資金を捻出する必要性がある場合には,相続発生後ではなく,生前に,納税資金を踏まえた生命保険に加入する,境界の画定や分筆,測量までは済ませておく等の対策をしておくことで,相続発生後にあわてずに済みます。

特に,境界の画定,測量等については,相続発生後のギリギリのスケジュールの中で行う場合には,画定や測量の手数料,周辺の住民との折衝において,足元を見られてしまうケースもままあります。

時間に余裕のある生前に対策をしておくことは,様々な観点からメリットが大きいのです。