コロナウイルスの影響か,東京とは思えないくらい人出がまばらです。
はやめに収束すると良いですね。
相続法改正についてのお話の続きですが,遺留分制度はどう変わったのか,よくご質問を受けます。
令和元年7月の改正前に発生した相続については「遺留分請求権」という「形成権」だったものが
令和元年7月の改正後に発生した相続については「遺留分侵害額請求権」になったというのが大きな変更のひとつですが,
ややこしい言葉が続いていてわかりにくいと思います。
ごくごく簡単にいえば,「遺産を割合で取得する権利」だったものが「お金を請求する権利」に変わったということです。
ただ,この点については,実は実務上大きな影響はありません。
なぜなら,相続法改正前も,「遺産を割合で取得する権利」を請求された相続人は,相当するお金を払うことで解決してきたからです。
一番多いのは土地の紛争ですが,例えば遺留分が8分の1の相続人が,土地の全部を相続した相続人に対して遺留分を請求したとして,
8分の1と8分の7の共有状態となることを望むでしょうか。
請求された側からすれば,土地について売りたい時期になっても8分の1を所有している人が許可しなければ売れなくなってしまいますし,収益物件であれば,毎回清算をして8分の1の賃料を渡すのも嫌でしょう。
請求した側からしても,8分の1だけ共有していても,(通常8分の7を所有している側が使用,収益している物件でしょうからなおさら)意味がありません。
そこで,実務的には,改正前から金銭解決が常でしたので,それを実務に即し,分かりやすい請求権に変えたというのが,改正の実態なのです。