特別寄与料の制度について

3月15日を終え,無事,確定申告シーズンを乗り越えました。

弁護士法人心,税理士法人心の岩崎です。

毎年申告期限に近くなると,税務署に申告書記入180分待ち,210分待ち・・といった,ディズニーランドも真っ青な看板が並びますので,

もうちょっと簡単に申告できるようになると良いですね(今年から電子申告が簡易化はしておりますが)。

本日は,相続税法の改正で新設された,特別寄与料の制度についてお話します。

特別寄与料は,相続人以外の親族が,被相続人の療養看護その他の労務の提供により被相続人の財産の維持,増加に寄与した場合,

相続人に対して特別寄与料を請求することはできるという制度です。

現在も存在している寄与分という制度は,、被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度であり,相続人間の公平を意図した制度ですが,相続人以外の貢献は考慮されていませんでした。

(厳密にいえば,相続人以外の親族の貢献であっても,相続人の貢献として考慮できる場合には,相続人の寄与分として考慮されていました。

例えば,相続人の兄Aと弟Bがおり,弟Bの奥さんCが被相続人に特別の寄与をしていた場合には,Cの貢献をBの履行補助者としての貢献と

考え,Bに寄与分を与えるという方法でバランスを取ろうとしていたわけです。しかしながら,今までのこの手法は,先にBが亡くなっており,

相続人がAだけである場合には,Cの貢献はまったく考慮されなくなるため,亡くなる順番によっては,バランスを欠いていました。)

 

今回の制度は,相続人以外の親族の貢献を考慮するという新しい制度なのですが,貢献が無償でなければならない,とか,財産出資をした場合は除

かれる,とか,寄与分が「被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度の貢献を超える高度な貢献」を意味するのに対し,そこまで

高度の貢献は求められないと解されること,など,注意しなければならない点は多いのですが,なによりも,一番気をつけるべきは,

 

請求期限が「相続の開始及び相続人を知った時から6か月」で時効により消滅してしまうことです。

正直,あまりにも短いと思うのですが・・バタバタと49日が過ぎ,ほっと一息ついたころには時効です。

この制度の利用を考えている方は,本当に,時効には気を付けないといけません。