相続税申告の注意点①(不動産1)

今年は梅雨らしい梅雨が続きます。皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日から当面の間は,相続税申告の難しい点等につきまして,ご説明等をしていきたいと思います。

最初は,不動産の評価についてです。

1 建物

相続税の建物の評価は,簡単です。亡くなった日の年度の固定資産税の評価額をそのまま申告すれば,問題ありません。

2 土地

建物とは異なり,土地の評価は非常に難しいことが多くなります。税理士によっても,評価金額,評価方法が異なることが多くあります。

①評価の基本

基本的には,相続税路線価を使って評価します。「相続税 全国マップ」で検索すると,路線価図を見ることができると思います。

路線価図には,「250D」等,数字とアルファベットが記載されているか,まったく記載されていないかの2つのパターンがあります。

数字とアルファベットが記載されている場合には,数字部分が1平方メートルあたりの金額になります。

単位は1000円なので,250Dであれば,1平方メートルあたり25万円です。

アルファベットの部分は,借地権割合を示しており,賃貸に利用している土地の評価に利用します。

路線価図の道路に数字が記載されていない場合,その土地は「倍率地域」です。

東京など,都市部であれば,倍率地域はほとんどありませんが,地方の非住宅地域には多く存在します。

固定資産税評価額に,土地の地目ごとに設定されている倍率をかけることで,相続税法上の評価をすることができます。

ここまでの話は,比較的単純ですが,問題はここからです。

上記の計算は,公道に面していて,宅地に適した面積であり,綺麗な正方形の土地であれば,そのまま使える可能性がありますが,実際には,そんな土地はほとんど存在しません。私道に面していたり,そもそも道に面していなかったり,大きさが大きすぎたり,綺麗な正方形の形でないことがほとんどです。

そこで,それぞれの土地に合わせて,減額要素を計算に入れることで,土地の評価を適正に行うことができますし,相続税評価額も下がることになります。

減額要素の計算は,理論的にも複雑ですし,理論が理解できても,税理士ソフトを使わないと算出が困難ですので,税理士に相続税申告を依頼する大きなメリットがここにあります。

全てを紹介することはできませんが,代表的な減額要因,計算の概要について,次回紹介します。