相続時精算課税制度の推奨

前回記事にて,生前贈与について生前7年分課税されることになるというお話をしました。

この制度変更はただの増税です。

しかし,今回の発表で,相続時精算課税制度は使いやすくなるようですので,相続時精算課税制度を使うように誘導しているように思います。

相続時精算課税制度とは,税金の繰り延べの制度であり,要するに贈与のタイミングでは贈与税を支払わず,相続発生時にまとめて相続税で課税します という制度です。暦年贈与制度とは選択的ですので,一度相続時精算課税制度を使うと,暦年贈与制度の使用はできません。

今回の改正により,相続時精算課税制度についてはこれまで「全ての贈与」が対象であったのが,「110万円を超える贈与」に変更となり,ただの繰り延べ制度ではなくなりました。

そして,「亡くなる前7年の期間内の贈与」についても110万円の控除分は相続税として申告しなくて良い ということですから,多くの家庭で相続時精算課税制度を利用した方が得だということになります。

昨年の税制大綱にあった,若年層への資金移動を推奨 というのは本件のことであると考えられます。この制度変更はかなり良いと思いますが,3年から7年への変更が注目され,あまり意識されていないように思います。

詳しくは、弁護士法人心・税理士法人心へご相談ください。

生前贈与につき相続税が課せられる期間が7年に

早くも年末ですね。12月は税制大綱が出される年で,今年も大きな発表がありました。

ニュースにもなっていますので,税制大綱に関心のある税理士以外の方も,既にご存じの方が多いかと思いますが,生前贈与につき相続税として加算される期間につき,現行の3年から7年間となる旨の発表がありました。

具体的には,亡くなる前7年間に行った生前贈与について,生前贈与の時に贈与税を支払っていたかいなかにかかわらず,相続税として申告する対象の財産に含めなければなりません。ただし,支払っていた贈与税については,控除が可能です。

そもそもこの制度は,いわゆる駆け込み贈与(もうすぐ亡くなってしまうから,相続税がかからないように,事前に子供等に財産を移しておこう)という行為を許さず,相続税で課税するという発想の制度です。

これを3年から7年まで伸ばすということですから,要するに高齢になってからの暦年贈与はすべて相続税として課税をしますという方向へ向かっているということになります。

この制度変更はただの増税 ですが,この制度変更は,多くの一般的な家庭(110万円の暦年贈与枠を活用する層)にとっては,今までと同じことができなくなるわけではなく,要するに,相続時精算課税制度への誘導であると思われます。

次回説明します。