相続人が行方不明の場合の遺産分割

兄弟相続であるとか,遺産分割まで時間を要しているケースなどでは,相続人が行方不明のことがあります。

相続人が行方不明の場合には,遺産分割はどのように進めていくのでしょうか。

まず,遺産分割は相続人全員で行わなければなりませんので,家庭裁判所に対し,「不在者財産管理人」の選任申立をすることで,行方不明者の財産を管理する専門家を選任したうえで,遺産分割を行うということが考えられます。予納金が50~100万円程度かかりますし,時間もかかりますが,原則的な方法の1つです。

他の方法として,遺産分割審判を申し立てたうえで,不在者に対し公示送達等により送達したうえで,法定相続分を不在者に対して受領させる内容で審判を出してもらうという方法があります。

後者の方法は従前から行っておりますが,近年は不在者の権利保護の観点からか,送達の問題として処理していただけない事件も増えており,不在者財産管理人の選任も多いです。ただ,遺産が少ないケースですと,予納金50万~100万支払うのであれば手続を利用しないというケースもありますので,結局遺産分割を諦めるということもあり,遺産額が少ないケースにおいては後者の方法を認めていただきたいと感じることがあります。

また,いずれの場合においても,失踪宣告により死亡した扱いにするという方法も検討する必要がありますが,失踪宣告の手続自体,不在者の調査や公告等により1年以上の時間がかかりますので,気軽に使える制度ではなく,遺産額等により,申し立てるべきか悩むことになります。

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