相続放棄するか否か悩んでしまった時

記録的に早い梅雨入りになりそうで,東京では雨の日が続いています。

梅雨入りが早いと梅雨明けは遅い傾向にあるそうで・・困りますね,

今回は,相続を承認するか,放棄をするか悩んでしまった際に取る手段についてお伝えします。

まず,悩むケースというのは

①プラスの財産があり,マイナスの財産は見つかってはいないものの不安である場合

②プラスの財産があまりなく,マイナスの財産があり,どっちが多いか微妙な場合

③プラスの財産がたくさんあるが,マイナスの財産もたくさんあり,どっちが多いか微妙な場合 等があると思います。

 

①の場合は,JICCやCIC,KSC等で債務の有無を調査し,自宅等の郵便物等で借用書等がないことを確認して,債務が見つからないのであれば,相続をすることになります。マイナスの財産が存在する可能性をゼロにすることはできませんので,一定の範囲で調査をして相続をするしかありません。

 

②のケースは,①の調査等,マイナスの財産額を把握することにくわえて,プラスの財産調査をする必要があります。借地権の評価が問題であったり,有価証券どこにあるかわからない等,調査に時間がかかる場合には,相続を承認するか否かの期間の伸張を裁判所に申し立て,3か月~半年ほど期間を延長し,その間に調査をすることになります。

 

③のケースでは,②で解決しますが,積極財産や消極財産の額が大きく,かつ,相続人全員の意向が一致する場合には限定承認をする(相続財産を全て明らかにし,換価し,債務者に対して清算を行い,残りがあれば受領する)ことも視野に入ります。

コロナ特例の変更について

新型コロナウイルスの影響による相続税申告等の期間伸張について,変更がありました。

これまでは申告書に「新型コロナウイルスの影響による」旨を記載すれば,申告期限の延長ができましたが,明日4月16日からその方法による伸長ができなくなります。

明日からは具体的な個別の状況を「災害による申告,納付等の期限延長申請書」を作成して記載することになります。

個別具体的な記載が必要となるため,全国一律にコロナによる延長申請が認められることはなくなりますので,具体的にどのような事情があれば延長ができるのか,確認しておくのが重要です。

まず,税理士や申告者が,コロナウイルスに感染をしたり,濃厚接触者に該当する場合には当然該当しますし,海外渡航に伴う隔離期間や,在宅の体制が整っておらず社員の多くが勤務できない場合等は申告ができない場合にあたります。

これらの要件はなかなか該当する方は多くないと思いますが,「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき,生活の維持に必要な場合を除き,みだりに自宅等から外出しないことが要請されていること」も個別延長の理由として認められておりますので,本日時点で蔓延防止重点地域に指定されている,東京や大阪,愛知,埼玉,千葉,神奈川等の地域においては,自粛要請がされますので,広く認められることになります。

これまで一律に適用できていた状況から,より具体的にコロナ特例の適用の可否を検討する必要が出てきますので,注意が必要です。

相続不動産の豆知識④相続した土地で立て替えたい

今回は,相続した土地に,新たに建物を建てたい と考える時のいくつかの注意点をお伝えします。

簡単にいえば,今建っているのと同じサイズの家は,建たないケースも多くある,という注意点です。

1 セットバック

セットバックという言葉は聞いたことがある人が多いと思います。道路の中心線から両面につき,一定の長さを確保しなければなりません。

建物を立て直す時にセットバックが必要な土地は多くあります。1メートル程度後退が必要になると,面積も大きな影響を受けますので,代償分割の評価の際にも注意が必要です。

2 既存不適格

昔は合法であったが,今では不適法な建物になっているケースです。立て直す場合には当然現在の法律に基づいて建築をしなければなりませんので,極端な例でいえば,昔は家が建てられたのに,今は建てることすら困難 な土地があります。

典型的な例は,接道義務(昔は2.7メートル接道していればよかったが,今は4メートル接している必要がある),用途地域変更(昔は工場が建築できたが,今は住宅専用地域),日影規制,容積率規制等で,立て直すと高さや床面積に制限が加わる,等です。

遺産分割において土地を取得する場合で,立て直しを検討する場合には,これらの規制に注意をする必要があります。

不動産相続の豆知識③生産緑地制度2

生産緑地制度の再指定と宅地化について

私は,急激に,ではないですが,暫時都市農地は2022年以降宅地化が進む可能性が高いと考えています。

宅地化抑制(生産緑地再指定)を求める理由 と宅地化を希望する(生産緑地再指定を求めない)理由に分けて記載していきます。

まず,宅地化抑制に働く大きな項目は,生産緑地制度が相続税の納税猶予(免除)とリンクしているという点です。

農地として一定の年月使用することで,相続税が免除される制度を使用している割合は,東京等大都市で約50パーセント強となっています。

宅地化することで,利子税等がかかったうえで納税をしなければならなくなりますので,上記一定の年月 が経過するまでの間は宅地化は事実上

難しいことになります。そうすると,これらの方々は,実際農業継続を望むか望まないかにかかわらず,10年間の再指定を検討することになりま

す。

宅地化希望(買い取り希望)をする大きな理由は,農家に後継ぎがいないことです。

都市農家の90%以上に後継ぎがいないという現状においては,上記相続税免除の制度を利用していない多くの農家は,再指定は望まないはずです。

実際に都市農家へ向けたアンケート結果等でも,再指定を望む方は数パーセントしかいませんので,相続税の免除の制度を利用していない等,特に壁が無い方は,宅地化(買い取り)を希望することになります。

農家に後継ぎがいないという現状に手を打たない限りは,上記傾向は顕著であろうと思いますので,相続税の免除が受けられる年数まで農家をしたうえで,クリアしたら買取を希望する,という方が増えていくものと思われます。

不動産相続の豆知識②生産緑地制度1

今回と次回は,生産緑地制度についてお話します。

生産緑地制度は,1992年に始まった制度で,要するに都市部の農地につき,生産緑地として指定を受け,農業を継続的に行うことで,本来は宅地並みの税金がかかるところを,農地並みの税金に下げることができる制度です。

30年間の期間を定めての立法であり,また,1万3000ヘクタールもの都市農地が指定されていることから,30年が経過する2022年を期に,一気に宅地化が進むのではないか という問題が2022年問題です。2022年を前に,現在都市農家の方々は,再度生産緑地制度の指定を受けるか(10年間の更新),買い取り請求をするか(生産緑地としての指定を解除し,市区町村に買い取ってもらいたいという請求。市区町村は自ら買い取るか,別の農家に渡すか,宅地化を認めることになる)の選択をしなければなりません。

2018年になり,2つの改正が行われ,農地としての維持はしやすくなっています。

1つは,生産緑地法の改正により,最低面積が500から300平方メートルに変更されたほか。農地レストラン等,一部の建築物についても建築ができるようになりました。

2つ目は,都市農地の賃借の円滑化に関する法律により,自動更新なしの賃貸が可能,かつ,貸していても相続税納税猶予が受けられるという制度が始まり,農地として利用できない際に,貸すことがしやすくなりました。

このような状況のもとで,はたして生産緑地の解除はどれほど進むのか,が次回のテーマです。

不動産を相続する時の豆知識①細分化規制

相続の際,必ずといっていいほど問題になるのが不動産です。

今回から数回は,相続にからむ不動産豆知識をお伝えします。

まず 最低敷地面積についてお伝えします。

最低敷地面積とは,不動産の細分化規制です。

現在では,コストを抑えて小さな住宅を購入したいというニーズは大きいですが,市区町村としては,不動産が細分化されて社会的経済的効能が下がるのを避けたいという考えがあります。

そこで規制されているのが,細分化規制であり,東京都23区のうち,世田谷区,練馬区,江東区は70平方メートル,目黒区,杉並区,中野区,板橋区では60平方メートル以下に細分化してしまうと,建物が建築できなくなってしまいます。

相続の際,1つの土地を2つに分けて,不動産会社に売ろう と考えても,この規制にひっかかってしまうと,建物が建築できなくなってしまいます。相続でもめてしまった場合にも,1つの土地を複数に分けることがありますが,上記区においては,慎重に面積を検討しないと,建物が建てることができない,無価値の土地が生じてしまいます。

上記規制は,所有権を制約する程度がかなり強い規制だと思いますので,市区町村側は,安易にこのような規制をしないでいただきたいとも思います。現在の核家族化した社会,景気等からすると,大きな土地の処分の難易度はあがっていますので,2つに割ることのできる145平方メートルの土地と,割ることのできない139平方メートルの土地では数平方メートルの差で,数千万円という価値の差が出てしまいかねないからです。

 

相続放棄が間に合わない

今年はコロナ禍でバタバタしていたこともあり,あっという間に感じました。

東京の感染者は増える一方で,今後も心配です。

今日は,相続放棄が間に合わない時の手段についてお伝えします。

相続放棄の期限は,相続の開始を知った時から3か月以内と,非常に短く設定されています。

亡くなった方と疎遠であったケースなど,相続放棄の期限内に財産調査を行うことができないケースもあります。

そのような場合には,相続を承認するか放棄するかの判断期間を延長する手続を行うことができます。

方法としては,相続放棄と同じく,被相続人の最終住所地を管轄する家庭裁判所に対し,所定の書式で申述することで延長が可能です。

この延長手続自体も,当然ながら相続の開始を知った時から3か月以内にしなければなりません。

必要な書類は,相続放棄に必要な戸籍類ですので,とにかく,相続が開始し,放棄するべきか迷った時には,戸籍類の収集と,被相続人の最終の住所地の調査をしましょう。

この手続により,期間を延長できるか否かは,裁判所が審判で判断しますので,提出すれば必ず通るというものではありませんので,申述の際には

なぜ期間を延ばす必要があるのか,しっかりと主張し,証拠等を提出することが望ましいです。

 

相続人以外が遺産を取得する場合

東京も冷え込みが厳しくなり,冬らしくなってまいりました。

本日は,相続人が被相続人と疎遠であった等の理由により,相続人以外が遺産を取得する場合の方法やメリットについてお伝えしていきます。

基本的には遺産は相続人以外取得できません(遺言書により遺贈がされていれば可能)ですので,まずは相続人が相続したうえで,

相続人から贈与を受けるという方法があります。

まずは,相続人間で遺産分割協議を完了し,その後に各相続人から贈与を受けるということになりますが,この場合の壁となるのが,相続税と

贈与税です。

まず,一旦は相続人が相続した後に贈与することになりますので,相続人は相続税を支払う必要があるにもかかわらず,すべて無償で贈与してしまっては,税金分の損害だけが残ることになってしまいます。そこで,相続税の計算ないし申告を済ませ,少なくともその金額は手元に残したうえで贈与する必要があります。

次に,相続人以外の,遺産を受け取る側には,多額の贈与税がかかりますので,ここでも注意が必要です。

上記のように相続人以外の方が遺産を受け取る場合にはかなりの税金がかかりますので,遺贈等,相続税で処理することができるようにしておくことが望ましいといえます。

相続手続と必要な戸籍謄本

本日は,親子相続以外で必要な戸籍謄本について記載をします。

まず,直系尊属が相続人のケースでは,直系卑属(子,孫,ひ孫・・)がいないことを証明しなければ相続人になりませんので,子がいなければ被相続人の出生から死亡までの戸籍の他,相続人である親の現在戸籍で足りますが(既に死亡している直系尊属がいる場合にはその方の死亡がわかる戸籍も必要です),子がいたけども,既に子も死亡しているというケースでは,子についても出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。

兄弟相続のケースでは,直系卑属がいないことにくわえて,さらに,直系尊属が全て亡くなっていることをも示さなければなりませんので,取得する戸籍は多くなります。直系尊属については「120歳くらいまでであれば存命である」と推定されますので,生きているとすれば120歳程度の方についてまで,死亡について証明する戸籍が必要になります。

核家族化が進んでいる東京の相続ではあまりありませんが,地方の相続では今でも,相当な人数の兄弟相続について,膨大な戸籍を収集するというケースも珍しくはありません。

特に,相続を放っておいてしまい,相続の相続が発生しているケースでは,100回,200回と戸籍取得の郵送をするケースもありますので,相続人の確定作業につき,専門家でなくては手に負えない(専門家でも大変)というケースがままあります。

 

相続手続と必要な戸籍謄本②

前回の記事にて,親子相続のケースで親の出生から死亡までの戸籍を取得しなければならない理由まではご説明いたしました。

次は相続人の現在戸籍を取る理由ですが・・これは簡単で、相続人が現在生きていることを証明するためです。ただ、簡単と申し上げたのは、相続人である子が全て生きているケースで、子が亡くなっていると、代襲相続と数次相続の有無の確認が必要になってきます。

代襲相続はご存じの方が多いと思います。親より先に子が亡くなっていた場合には、子の代わりに孫が引き継ぐって制度のことですね(兄弟相続の場合も一度に限り、代襲相続がありますね)。もし、親より先に子が亡くなっていて孫がいる場合には・・もうお分かりいただけると思いますが、この子に、孫が何人いるかを確認しなければいけませんから、今度は子の出生から死亡までの戸籍も全て必要になりますね。

次に、数次相続というのは、相続が繰り返し発生している場合のことです。

数次相続となれば、今度はその子の相続が普通に発生していると考えるわけです。令和2年9月5日に親が亡くなったとして、同年9月3日に子が亡くなっていれば代襲相続の問題、同年9月7日に子が亡くなっていれば数次相続の問題です。

 

具体例で考えてみましょう。

⑴親Aが9月5日に死亡 子はBCの2人で、Bには妻Dと子Eがおり、Cの他に腹違いの兄弟FGがいるケース

⑵親Aが9月5日に死亡 子はBCの2人で、Bには妻Dがおり子は無く、Cの他に腹違いの兄弟FGがいるケース

 

さて、⑴で9月3日にBが亡くなっていれば、代襲相続の問題ですから、Aの相続人は、CとEの2人です。

⑵で9月3日にBが亡くなっていれば、Bに子がいないため、相続人はCだけです。

 

そして、⑴で9月7日にBが亡くなっていると、数次相続の問題ですから、Aの相続分の2分の1を持ったBが死亡して、相続人であるDとEがBの相続分を2分の1ずつ相続することになります。要するに、Aの相続人は2分の1相続分のCと、4分の1ずつの相続分を有するDとEですね。

 

⑵のケースで9月7日にBが亡くなっていると、なかなか計算が大変です。2分の1の相続分を有する相続人Bが亡くなり、Bの相続割合は、妻が4分の3、Cが8分の1、FGが16分の1ずつです(半血兄弟)。

そうすると、Aの相続割合はCが16分の9、Dが16分の6、FGが32分の1ずつとなります。

 

このように、相続の発生した日がいつかにより、大きく相続割合が変わることはご存じない方が多く、ご説明すると驚かれる方がおられます。

代襲相続、数次相続が発生しているケースでは、戸籍の取得は大変ですね。

 

次回は、親子相続以外のケースで必要な戸籍と、その理由についてお話していきます。

東京で相続に関してお悩みの方はこちらをご覧ください。

相続手続に必要な戸籍謄本①

 

秋めいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

東京の交通量は、コロナ前と変わらない程に増えてきましたし、だいぶ以前の日常が戻ってきているように感じます。

 

今日は金融機関や不動産の登記手続等、相続手続に必要な戸籍について「なぜ、大量の戸籍が必要になるのか」「どのような戸籍が必要になるのか」について解説していきます。

ちなみに,金融機関や不動産登記手続で使用する戸籍は原本の提出が必要になりますので,金融機関や不動産の数が多いと,提出しては還付を受け,提出しては還付を受け の繰り返しとなり,手続に時間がかかります。

近年,法定相続情報証明制度といって,戸籍の束と相続人関係図を作成して法務局へ提出すると,何枚発行をしても発行料金のかからない,1枚紙の法定相続情報を取得することができるようになりましたので,とても便利になりました。

相続が始まると、最低限、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍、原戸籍等と、相続人の現在戸籍が必要となります。そしてこの最低限の戸籍類の取得で済むのは、親が亡くなり、子(又は子と配偶者)が相続人のケースです。

まず、なぜ出生から死亡までのすべての戸籍を求められるのかといえば、親子相続のケースでいえば、亡くなられた方に子供が何人いるかを確認するためです。

亡くなられた方はもしかしたら、過去に別の人と結婚をして、子供をもうけているかもしれませんし、どこかで養子縁組をしたり、認知をしているかもしれません。

「親の相続だから、子が何人いるかくらい知っているよ!なのに戸籍を全部揃えるなんて面倒!」とおっしゃるお子様もおられますが、金融機関からすれば、相続人の全員を確認しなければ、怖くて預金解約に応じる気にはなれません。もし、遺産分割協議書が相続人全員でなされたものではないにもかかわらず、預金を解約してしまったら責任問題だからです。登記も同じくで、間違った登記を信用した人が出てきてしまっては大変ですから、万に一つも間違えるわけにはいきません。

しかも、弁護士として相続事件を担当していると、「知らない間に夫が認知していて、実は夫に別の子供がいた」とか、「親が知らないうちに知らない人と養子縁組している」というケースはそれなりにあります。認知や養子縁組というのは、秘密裏に行われるケースがありますし、なにより、日本の戸籍制度において、認知や養子縁組というのは、認知等をしたときの戸籍にしか乗らず、後の戸籍には表記されないので、分かりにくいのです。要するに「親の相続だから子が何人かくらい知っている」というのは、実はそうでもないケースが多いので、銀行や法務局からすれば信用できない、ということですね。

続きは②で書いていきます。

 

 

 

相続放棄すると使えない特例

ようやく東京でも来週梅雨明けだといわれています。長すぎる梅雨でした。

今日は相続放棄と相続税についてお伝えします。

相続放棄して相続税申告?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,生命保険金は相続放棄をしても受け取れますので,

相続放棄をして,かつ相続税申告も行う方がいます。

ただ,この場合のルールがややこしいのです。相続人であることが前提で使うことができる特例等を適用できないからです。

①生命保険金控除が使えない

相続放棄をした方が生命保険金を受け取る場合,相続人1人500万円まで適用される生命保険金控除は適用されません。

②債務控除が使えない

葬儀費用等一部の項目を除き,放棄をした方が,入院費や施設費,光熱費その他の被相続人が支払うべき債務を支払っていたとしても,債務控除を使うことはできません。

③障害者控除は使える

相続放棄した方が障害者である場合,障害者控除は適用することができます。

④配偶者控除は使える

相続放棄した方が配偶者である場合,配偶者控除は使えます。

その他注意点

相続放棄をした結果,兄弟相続人が財産を取得した場合でも,2割加算は適用されます。

また,前提として,相続放棄をしたとしても,基礎控除額が変動することはありません。

相続と株式の評価

この度,近鉄四日市駅徒歩一分の場所に,弁護士法人心四日市法律事務所がオープンいたしました。

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/

皆様により身近に,より親身に問題解決をすべく,今後も尽力してまいります。

コロナウイルスの影響で,一度は大きく下落した株価ですが,公的資金の流入もあり,大きく持ち直しています。

コロナウイルスと共に生きていくための社会構造の変化のため,再度大きな下落局面もあるとは思いますが,このような株価の乱高下の

状況において相続が発生すると,いろいろな問題が生じます。

まず,相続税については,相続が発生した日の最終価格の他,①課税時期の月の毎日の最終価格の平均額,②課税時期の月の前月の最終価格の平均額,③課税時期の月の前々月の最終価格の平均額のうち,一番低い価額により評価することとなっておりますので,納税者の不利にならないように調整されています。

遺産分割においては,代償分割をする場合の評価時点について,協議が成立する直前の時期の価額で合意するケースが多いですが,乱高下している時期ですと,価額でもめるケースもあります。大きな変動局面では,相続税評価の場合と同じく,月平均を利用して協議を進めることもあります。あくまで合意で評価を決定できますので,事態に即し柔軟に対応すべき場面です。

株価の乱高下により,最も理不尽な結果が生じやすいのは遺留分の算定においてでしょう。基本的に相続発生時で評価する考え方が採られていますので,亡くなった日がたまたま暴落,暴騰の日で,遺留分の実際の支払いの日と大きく金額が異なるケース等が考えられます。

日経平均はコロナで最も下がった日(令和2年3月19日)の1万6552円と,本日時点の2万2512円とでは,わずか3か月で36%も変動していますので,影響は大きいと言えます(今回は大きな為替変動は起きていませんが,リーマンショックのように為替変動が起きると,投資信託や外貨預金にも同様の問題が生じます。)

株価の変動は上場株式のみならず,非上場株式の際も問題となります。

例えば,生前に非上場株式の価値が安い時点で子の一人に対して株式を贈与したケースにおいて,後日遺留分侵害額請求がされ(当該贈与が減殺対象となるケースの場合です),その時点で株価が大きく増加していた場合には遺留分侵害額も増加することになります。

このように,株価の変動は相続問題に様々な影響を及ぼします。

 

相続税の基礎控除(養子)

緊急事態宣言は解除されたものの,まだまだ東京駅の人通りは少なく,今後も影響は続きそうです。

リモートワークができる職種はそれが定着していきそうですが,飲食や観光業は難しい対応を迫られそうです。

宿泊施設等は営業を開始しているところでも,「東京等,緊急事態宣言が最初に出た地域の人はお断り」の施設がかなりみられますし,移動解禁ではあっても都道府県をまたぐな,とか,各知事ごとの対応の違いがTVで注目されるなど,「都道府県」という区分を非常に強く意識させられるなぁと感じています。まぁ昔は日本も多くの国に分かれてたわけですしね・・。

今日は相続税の基本である,基礎控除に関する,養子の扱いについてご説明します。

今の基礎控除(相続税がかからない範囲)は,3000万円+相続人の数×600万円,なわけですが,養子の数について制限があります。養子を10人や20人作って相続税をゼロにされては困るというわけですね。

この養子の制限は,基礎控除等につき,被相続人に実子がいない場合は2人まで,実子がいる場合には1人までカウントして良いというルールですが,例外が少しあります。

それは,①被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人②被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人③被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人,です。

①と③は特別養子縁組という幼少の頃のみ,特殊な事情がある場合に実子と同等の地位を与える制度なので,あまり出てくることはありませんが,②はよくありますので,注意が必要です。要は,再婚等で相手の連れ子を養子にした場合には,実際には実子みたいなものだから制限を設ける必要はないということですね。

 

コロナウイルスと相続税申告

コロナウイルスの影響で大きく時代が変化しています。

東京駅も終日人はまばらで,いままで見たことない事態が続いています。

弁護士業務・税理士業務につきましても,対面ではなく,TV電話のみで行うことが多くなりそうです。

相続税申告の期限につきましても,特別の措置が取られており,

①新型コロナウイルスの影響により相続人等が申告期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には,個別に申請することで期限の個別延長が認められる(相続税に係る各種申請や届出など,申告以外の手続についても個別延長可)。

ようで,「やむを得ない理由」というのは文言としては厳しそうですが,感染してしまった場合はもちろん,体調不良により外出を控えている場合や,在宅勤務要請をしている自治体に住んでいる場合も含まれると書かれていますので,緩やかに解されるようです。

ただ,「申請を行った方のみ」延長され,申請をしていない相続人等の期限は延長されないことに注意が必要です。

 

②個別延長の場合の申告,納付期限は,上記やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内を指定して,延長されるとのことで,「つきましては,相続税の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で」申告をしてくださいとのことです。

 

③個別延長をする場合の手続は,「別途,申請書等を提出していただく必要はなく」申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記すれば良いようです。

 

 

配偶者居住権の評価額

東京でも感染者が増えており,世界はコロナ一色という感じですね。

今後収束に至るまで,どのような経過を辿るにせよ,一度陰性になった方が再発することもあるという現状のもとでは,

リモートでできる業務はリモートで行う という流れは定着していくように思います。

弁護士がリモートで仕事をできるかどうかは・・・裁判所次第でしょうか。

今日はついに来月4月から始まる,配偶者居住権の金額の評価方法について,確認をしておきましょう。

①建物の配偶者居住権の評価方法

建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)÷残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率=配偶者居住権の相続税評価額

で計算をします。

とてもややこしそうですが,要するに,配偶者居住権の存続年数が経過した後にいくらか価値が残るのであれば,その価値を残した残部が配偶者居住権だよね,という計算であり,重要なのは,実務的に大部分を占めるであろう,「長年住んでいた家に今後も配偶者が住みます」という経緯では,ほとんど「残耐用年数」が0ですので,0になにを掛けても0ですから,「建物の時価」自体が建物に関する配偶者居住権の価値とイコールになる件が多くなると思います。

 

②敷地利用権の評価方法

土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率=敷地の利用に関する権利の相続税評価額

 

ですので,建物と異なり,シンプルに計算できます。

多くのケースでは,建物は時価,敷地は存続年数次第(平均余命次第)となりそうで,建物が鉄骨で新しいとか,配偶者居住権の存続年数を経過してもなお残耐用年数が残るケースでのみ,計算がややしこしくなりそうです。

 

相続法改正とよくあるご質問3

コロナウイルスの影響か,東京とは思えないくらい人出がまばらです。

はやめに収束すると良いですね。

相続法改正についてのお話の続きですが,遺留分制度はどう変わったのか,よくご質問を受けます。

令和元年7月の改正前に発生した相続については「遺留分請求権」という「形成権」だったものが

令和元年7月の改正後に発生した相続については「遺留分侵害額請求権」になったというのが大きな変更のひとつですが,

ややこしい言葉が続いていてわかりにくいと思います。

ごくごく簡単にいえば,「遺産を割合で取得する権利」だったものが「お金を請求する権利」に変わったということです。

ただ,この点については,実は実務上大きな影響はありません。

なぜなら,相続法改正前も,「遺産を割合で取得する権利」を請求された相続人は,相当するお金を払うことで解決してきたからです。

一番多いのは土地の紛争ですが,例えば遺留分が8分の1の相続人が,土地の全部を相続した相続人に対して遺留分を請求したとして,

8分の1と8分の7の共有状態となることを望むでしょうか。

請求された側からすれば,土地について売りたい時期になっても8分の1を所有している人が許可しなければ売れなくなってしまいますし,収益物件であれば,毎回清算をして8分の1の賃料を渡すのも嫌でしょう。

請求した側からしても,8分の1だけ共有していても,(通常8分の7を所有している側が使用,収益している物件でしょうからなおさら)意味がありません。

そこで,実務的には,改正前から金銭解決が常でしたので,それを実務に即し,分かりやすい請求権に変えたというのが,改正の実態なのです。

相続法改正でよくあるご質問2

配偶者居住権のメリット

配偶者居住権の制度もまもなく施行されることとなり,問い合わせも増えています。

配偶者居住権は,おそらく,かなりの頻度で利用されることになると思います。

その理由は①税法上のメリットと②遺産分割の柔軟性への寄与です。

①については,相続税評価につき,所有権を,配偶者居住権負担付所有権 と 配偶者居住権 との価値に分け,それぞれ別の相続人が取得することができ,さらに,配偶者居住権が配偶者の死亡により消滅し,配偶者居住権負担付所有権が所有権になった際に,税金を納める必要がないというメリットがあります。

難しいのでたとえ話にします。

お父様が亡くなり,相続人は妻と子供1人だとし,遺産のうち一部は,土地と建物合わせて1億円の不動産だとします。

この不動産には妻が継続して住むため,妻が相続するとします。妻が相続する際は,配偶者控除等で税額は0となったとしても,妻が亡くなった際,子供は1億円の土地建物を取得したとして,1億円に対する相続税を支払うことになります。

しかし,お父様が亡くなった際,配偶者居住権(仮に5000万円とします)と配偶者居住権負担付所有権(1億円ー5000万円=5000万円とします)に分けて,配偶者居住権を妻が相続し,配偶者居住権負担付所有権を長男が相続すると,どうなるでしょうか。

まず,配偶者居住権については,妻は配偶者控除等で税額が0となり,長男が5000万円の配偶者居住権負担付所有権につき相続税を支払います。

次に,妻が亡くなり,長男が相続する際,長男の有する5000万円の価値の配偶者居住権負担付所有権は,配偶者居住権の負担がなくなり,1億円の価値に膨らみますが,この際,税金はかかりません。

そうすると,配偶者居住権の制度を利用していない場合には1億円に対する相続税を支払っていましたが,配偶者居住権を利用することで,5000万円に対する相続税の支払いで済むことになります。

②については,上記のように相続人が妻と子であるケースにおいて,妻と子の間に紛争性があるケースで,今までは,妻が所有権を取得するためには1億円の価値の不動産を取得することになるため,5000万円の代償金を支払わなければならなかったケースにつき,配偶者居住権付所有権を子に相続させることで,支払う代償金を減らすことができるということです。

特に,妻が高齢であり,資産を手に入れるというよりも,継続して居住できれば良いというケースでは,代償金を支払って完全な所有権を入手するのか,それが無理であれば全てを売るしかない という2択の選択ではなく,第3の選択肢を生じさせる有用な制度です。

相続法改正とよくあるご質問

令和元年7月に改正された相続法について,周知されるようになり,よく質問を受けています。

今日は,特に質問,誤解の多い事項について,回答をしていきます。

1 特別寄与料

例えば地方在住お父様が亡くなり,子供が長男と長女の2人のケースで,お父様はご生前,一人では起居することができず,通常であれば24時間

介護施設に入るような状態でしたが,長女は東京に出てきている反面,お父様は長男夫婦と同居しており,長男の妻が,仕事を辞め,付きっきりで

介護をしていたことが原因で,遺産分割について長男と長女の意見が合わないとします。

このようなケースで,長男の奥様から「この7月から相続人以外でも介護等につき特別寄与料を請求できるようになると聞きましたので請求したい。長女よりも長男に多く渡して欲しいので。」というようなご相談を受けることがあります。

実は,ほとんどの場合,このようなケースで特別寄与料の制度を使う必要はありません。

相続人である長男の取り分を決める際に,長男の妻の寄与分を考慮して遺産分割をすることが制度上可能であり,長男が長女より多く遺産を受け取るという解決が可能であるからです。

特別寄与料の制度は,時効期間も短く,決して利用が容易い制度ではないため,このようなケースで使う必要はないのです。

では,特別寄与料はどのようなケースで使うのでしょうか。

それは,上記のケースで,お父様が亡くなる前に,既に長男が亡くなっており,相続人が長女一人であるようなケースです。

この場合には,長男の妻は,「相続人である長男の寄与とみなす」という扱いができないため,特別寄与料の請求をすることになります。

本制度の制定目的は,このように,相続による調整を図れない場合に利用するための制度なのです。

 

 

代襲相続と,数次相続

急に寒くなってきましたね。来週は東京で初雪?の可能性があるそうです。

今日は,兄弟相続の際の,代襲相続と数次相続の違いについて,ご説明します。

というのは,相続人が誰かというときに,相続人を誤解されているケースは,この違いを理解されていないことが多いからです。

①代襲相続は,被相続人が死亡したとき,本来の相続人が既に亡くなっている時に,その子が相続人になることです。

②数次相続は,被相続人が死亡したとき,本来の相続人は生きていましたが,その後その相続人が亡くなって次の相続が発生することです。

例えば,妻子も親も既に亡くなっている状態のAさんが亡くなり,兄弟がB,C,兄弟Bの子がD,Dの子をEとします。

Aが亡くなった時,BとCが共に生きていれば,BとCが相続人ですし,Bが既に亡くなっており,Dが生きていた場合には,

DとCが相続人です。

では,BもDも既に亡くなっており,Eが生きていた場合はどうでしょうか。

この場合,兄弟の代襲は1回までというルールがありますので,Eは相続人にはならず,Cのみが相続人になります。

これが代襲相続の場合のルールです。

これまでの話とは異なり,たとえば,Aが亡くなった時,Bは既に亡くなっており,Dが生きていて,DとCが相続人のケースで,

その後にDが亡くなると,EがAの相続財産を「Dの相続人として」取得することになります。

このように,Eが相続人となるか否かは,「Dが亡くなったのがAの死亡より前か,後か」により変わることになります。

兄弟相続の時は特に問題になりやすいですので,注意が必要です。