相続手続と必要な戸籍謄本

本日は,親子相続以外で必要な戸籍謄本について記載をします。

まず,直系尊属が相続人のケースでは,直系卑属(子,孫,ひ孫・・)がいないことを証明しなければ相続人になりませんので,子がいなければ被相続人の出生から死亡までの戸籍の他,相続人である親の現在戸籍で足りますが(既に死亡している直系尊属がいる場合にはその方の死亡がわかる戸籍も必要です),子がいたけども,既に子も死亡しているというケースでは,子についても出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。

兄弟相続のケースでは,直系卑属がいないことにくわえて,さらに,直系尊属が全て亡くなっていることをも示さなければなりませんので,取得する戸籍は多くなります。直系尊属については「120歳くらいまでであれば存命である」と推定されますので,生きているとすれば120歳程度の方についてまで,死亡について証明する戸籍が必要になります。

核家族化が進んでいる東京の相続ではあまりありませんが,地方の相続では今でも,相当な人数の兄弟相続について,膨大な戸籍を収集するというケースも珍しくはありません。

特に,相続を放っておいてしまい,相続の相続が発生しているケースでは,100回,200回と戸籍取得の郵送をするケースもありますので,相続人の確定作業につき,専門家でなくては手に負えない(専門家でも大変)というケースがままあります。

 

相続手続と必要な戸籍謄本②

前回の記事にて,親子相続のケースで親の出生から死亡までの戸籍を取得しなければならない理由まではご説明いたしました。

次は相続人の現在戸籍を取る理由ですが・・これは簡単で、相続人が現在生きていることを証明するためです。ただ、簡単と申し上げたのは、相続人である子が全て生きているケースで、子が亡くなっていると、代襲相続と数次相続の有無の確認が必要になってきます。

代襲相続はご存じの方が多いと思います。親より先に子が亡くなっていた場合には、子の代わりに孫が引き継ぐって制度のことですね(兄弟相続の場合も一度に限り、代襲相続がありますね)。もし、親より先に子が亡くなっていて孫がいる場合には・・もうお分かりいただけると思いますが、この子に、孫が何人いるかを確認しなければいけませんから、今度は子の出生から死亡までの戸籍も全て必要になりますね。

次に、数次相続というのは、相続が繰り返し発生している場合のことです。

数次相続となれば、今度はその子の相続が普通に発生していると考えるわけです。令和2年9月5日に親が亡くなったとして、同年9月3日に子が亡くなっていれば代襲相続の問題、同年9月7日に子が亡くなっていれば数次相続の問題です。

 

具体例で考えてみましょう。

⑴親Aが9月5日に死亡 子はBCの2人で、Bには妻Dと子Eがおり、Cの他に腹違いの兄弟FGがいるケース

⑵親Aが9月5日に死亡 子はBCの2人で、Bには妻Dがおり子は無く、Cの他に腹違いの兄弟FGがいるケース

 

さて、⑴で9月3日にBが亡くなっていれば、代襲相続の問題ですから、Aの相続人は、CとEの2人です。

⑵で9月3日にBが亡くなっていれば、Bに子がいないため、相続人はCだけです。

 

そして、⑴で9月7日にBが亡くなっていると、数次相続の問題ですから、Aの相続分の2分の1を持ったBが死亡して、相続人であるDとEがBの相続分を2分の1ずつ相続することになります。要するに、Aの相続人は2分の1相続分のCと、4分の1ずつの相続分を有するDとEですね。

 

⑵のケースで9月7日にBが亡くなっていると、なかなか計算が大変です。2分の1の相続分を有する相続人Bが亡くなり、Bの相続割合は、妻が4分の3、Cが8分の1、FGが16分の1ずつです(半血兄弟)。

そうすると、Aの相続割合はCが16分の9、Dが16分の6、FGが32分の1ずつとなります。

 

このように、相続の発生した日がいつかにより、大きく相続割合が変わることはご存じない方が多く、ご説明すると驚かれる方がおられます。

代襲相続、数次相続が発生しているケースでは、戸籍の取得は大変ですね。

 

次回は、親子相続以外のケースで必要な戸籍と、その理由についてお話していきます。

東京で相続に関してお悩みの方はこちらをご覧ください。

相続手続に必要な戸籍謄本①

 

秋めいてきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

東京の交通量は、コロナ前と変わらない程に増えてきましたし、だいぶ以前の日常が戻ってきているように感じます。

 

今日は金融機関や不動産の登記手続等、相続手続に必要な戸籍について「なぜ、大量の戸籍が必要になるのか」「どのような戸籍が必要になるのか」について解説していきます。

ちなみに,金融機関や不動産登記手続で使用する戸籍は原本の提出が必要になりますので,金融機関や不動産の数が多いと,提出しては還付を受け,提出しては還付を受け の繰り返しとなり,手続に時間がかかります。

近年,法定相続情報証明制度といって,戸籍の束と相続人関係図を作成して法務局へ提出すると,何枚発行をしても発行料金のかからない,1枚紙の法定相続情報を取得することができるようになりましたので,とても便利になりました。

相続が始まると、最低限、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍、原戸籍等と、相続人の現在戸籍が必要となります。そしてこの最低限の戸籍類の取得で済むのは、親が亡くなり、子(又は子と配偶者)が相続人のケースです。

まず、なぜ出生から死亡までのすべての戸籍を求められるのかといえば、親子相続のケースでいえば、亡くなられた方に子供が何人いるかを確認するためです。

亡くなられた方はもしかしたら、過去に別の人と結婚をして、子供をもうけているかもしれませんし、どこかで養子縁組をしたり、認知をしているかもしれません。

「親の相続だから、子が何人いるかくらい知っているよ!なのに戸籍を全部揃えるなんて面倒!」とおっしゃるお子様もおられますが、金融機関からすれば、相続人の全員を確認しなければ、怖くて預金解約に応じる気にはなれません。もし、遺産分割協議書が相続人全員でなされたものではないにもかかわらず、預金を解約してしまったら責任問題だからです。登記も同じくで、間違った登記を信用した人が出てきてしまっては大変ですから、万に一つも間違えるわけにはいきません。

しかも、弁護士として相続事件を担当していると、「知らない間に夫が認知していて、実は夫に別の子供がいた」とか、「親が知らないうちに知らない人と養子縁組している」というケースはそれなりにあります。認知や養子縁組というのは、秘密裏に行われるケースがありますし、なにより、日本の戸籍制度において、認知や養子縁組というのは、認知等をしたときの戸籍にしか乗らず、後の戸籍には表記されないので、分かりにくいのです。要するに「親の相続だから子が何人かくらい知っている」というのは、実はそうでもないケースが多いので、銀行や法務局からすれば信用できない、ということですね。

続きは②で書いていきます。

 

 

 

相続放棄すると使えない特例

ようやく東京でも来週梅雨明けだといわれています。長すぎる梅雨でした。

今日は相続放棄と相続税についてお伝えします。

相続放棄して相続税申告?と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが,生命保険金は相続放棄をしても受け取れますので,

相続放棄をして,かつ相続税申告も行う方がいます。

ただ,この場合のルールがややこしいのです。相続人であることが前提で使うことができる特例等を適用できないからです。

①生命保険金控除が使えない

相続放棄をした方が生命保険金を受け取る場合,相続人1人500万円まで適用される生命保険金控除は適用されません。

②債務控除が使えない

葬儀費用等一部の項目を除き,放棄をした方が,入院費や施設費,光熱費その他の被相続人が支払うべき債務を支払っていたとしても,債務控除を使うことはできません。

③障害者控除は使える

相続放棄した方が障害者である場合,障害者控除は適用することができます。

④配偶者控除は使える

相続放棄した方が配偶者である場合,配偶者控除は使えます。

その他注意点

相続放棄をした結果,兄弟相続人が財産を取得した場合でも,2割加算は適用されます。

また,前提として,相続放棄をしたとしても,基礎控除額が変動することはありません。

相続と株式の評価

この度,近鉄四日市駅徒歩一分の場所に,弁護士法人心四日市法律事務所がオープンいたしました。

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/

皆様により身近に,より親身に問題解決をすべく,今後も尽力してまいります。

コロナウイルスの影響で,一度は大きく下落した株価ですが,公的資金の流入もあり,大きく持ち直しています。

コロナウイルスと共に生きていくための社会構造の変化のため,再度大きな下落局面もあるとは思いますが,このような株価の乱高下の

状況において相続が発生すると,いろいろな問題が生じます。

まず,相続税については,相続が発生した日の最終価格の他,①課税時期の月の毎日の最終価格の平均額,②課税時期の月の前月の最終価格の平均額,③課税時期の月の前々月の最終価格の平均額のうち,一番低い価額により評価することとなっておりますので,納税者の不利にならないように調整されています。

遺産分割においては,代償分割をする場合の評価時点について,協議が成立する直前の時期の価額で合意するケースが多いですが,乱高下している時期ですと,価額でもめるケースもあります。大きな変動局面では,相続税評価の場合と同じく,月平均を利用して協議を進めることもあります。あくまで合意で評価を決定できますので,事態に即し柔軟に対応すべき場面です。

株価の乱高下により,最も理不尽な結果が生じやすいのは遺留分の算定においてでしょう。基本的に相続発生時で評価する考え方が採られていますので,亡くなった日がたまたま暴落,暴騰の日で,遺留分の実際の支払いの日と大きく金額が異なるケース等が考えられます。

日経平均はコロナで最も下がった日(令和2年3月19日)の1万6552円と,本日時点の2万2512円とでは,わずか3か月で36%も変動していますので,影響は大きいと言えます(今回は大きな為替変動は起きていませんが,リーマンショックのように為替変動が起きると,投資信託や外貨預金にも同様の問題が生じます。)

株価の変動は上場株式のみならず,非上場株式の際も問題となります。

例えば,生前に非上場株式の価値が安い時点で子の一人に対して株式を贈与したケースにおいて,後日遺留分侵害額請求がされ(当該贈与が減殺対象となるケースの場合です),その時点で株価が大きく増加していた場合には遺留分侵害額も増加することになります。

このように,株価の変動は相続問題に様々な影響を及ぼします。

 

相続税の基礎控除(養子)

緊急事態宣言は解除されたものの,まだまだ東京駅の人通りは少なく,今後も影響は続きそうです。

リモートワークができる職種はそれが定着していきそうですが,飲食や観光業は難しい対応を迫られそうです。

宿泊施設等は営業を開始しているところでも,「東京等,緊急事態宣言が最初に出た地域の人はお断り」の施設がかなりみられますし,移動解禁ではあっても都道府県をまたぐな,とか,各知事ごとの対応の違いがTVで注目されるなど,「都道府県」という区分を非常に強く意識させられるなぁと感じています。まぁ昔は日本も多くの国に分かれてたわけですしね・・。

今日は相続税の基本である,基礎控除に関する,養子の扱いについてご説明します。

今の基礎控除(相続税がかからない範囲)は,3000万円+相続人の数×600万円,なわけですが,養子の数について制限があります。養子を10人や20人作って相続税をゼロにされては困るというわけですね。

この養子の制限は,基礎控除等につき,被相続人に実子がいない場合は2人まで,実子がいる場合には1人までカウントして良いというルールですが,例外が少しあります。

それは,①被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人②被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人③被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人,です。

①と③は特別養子縁組という幼少の頃のみ,特殊な事情がある場合に実子と同等の地位を与える制度なので,あまり出てくることはありませんが,②はよくありますので,注意が必要です。要は,再婚等で相手の連れ子を養子にした場合には,実際には実子みたいなものだから制限を設ける必要はないということですね。

 

コロナウイルスと相続税申告

コロナウイルスの影響で大きく時代が変化しています。

東京駅も終日人はまばらで,いままで見たことない事態が続いています。

弁護士業務・税理士業務につきましても,対面ではなく,TV電話のみで行うことが多くなりそうです。

相続税申告の期限につきましても,特別の措置が取られており,

①新型コロナウイルスの影響により相続人等が申告期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には,個別に申請することで期限の個別延長が認められる(相続税に係る各種申請や届出など,申告以外の手続についても個別延長可)。

ようで,「やむを得ない理由」というのは文言としては厳しそうですが,感染してしまった場合はもちろん,体調不良により外出を控えている場合や,在宅勤務要請をしている自治体に住んでいる場合も含まれると書かれていますので,緩やかに解されるようです。

ただ,「申請を行った方のみ」延長され,申請をしていない相続人等の期限は延長されないことに注意が必要です。

 

②個別延長の場合の申告,納付期限は,上記やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内を指定して,延長されるとのことで,「つきましては,相続税の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で」申告をしてくださいとのことです。

 

③個別延長をする場合の手続は,「別途,申請書等を提出していただく必要はなく」申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記すれば良いようです。

 

 

配偶者居住権の評価額

東京でも感染者が増えており,世界はコロナ一色という感じですね。

今後収束に至るまで,どのような経過を辿るにせよ,一度陰性になった方が再発することもあるという現状のもとでは,

リモートでできる業務はリモートで行う という流れは定着していくように思います。

弁護士がリモートで仕事をできるかどうかは・・・裁判所次第でしょうか。

今日はついに来月4月から始まる,配偶者居住権の金額の評価方法について,確認をしておきましょう。

①建物の配偶者居住権の評価方法

建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)÷残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率=配偶者居住権の相続税評価額

で計算をします。

とてもややこしそうですが,要するに,配偶者居住権の存続年数が経過した後にいくらか価値が残るのであれば,その価値を残した残部が配偶者居住権だよね,という計算であり,重要なのは,実務的に大部分を占めるであろう,「長年住んでいた家に今後も配偶者が住みます」という経緯では,ほとんど「残耐用年数」が0ですので,0になにを掛けても0ですから,「建物の時価」自体が建物に関する配偶者居住権の価値とイコールになる件が多くなると思います。

 

②敷地利用権の評価方法

土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率=敷地の利用に関する権利の相続税評価額

 

ですので,建物と異なり,シンプルに計算できます。

多くのケースでは,建物は時価,敷地は存続年数次第(平均余命次第)となりそうで,建物が鉄骨で新しいとか,配偶者居住権の存続年数を経過してもなお残耐用年数が残るケースでのみ,計算がややしこしくなりそうです。

 

相続法改正とよくあるご質問3

コロナウイルスの影響か,東京とは思えないくらい人出がまばらです。

はやめに収束すると良いですね。

相続法改正についてのお話の続きですが,遺留分制度はどう変わったのか,よくご質問を受けます。

令和元年7月の改正前に発生した相続については「遺留分請求権」という「形成権」だったものが

令和元年7月の改正後に発生した相続については「遺留分侵害額請求権」になったというのが大きな変更のひとつですが,

ややこしい言葉が続いていてわかりにくいと思います。

ごくごく簡単にいえば,「遺産を割合で取得する権利」だったものが「お金を請求する権利」に変わったということです。

ただ,この点については,実は実務上大きな影響はありません。

なぜなら,相続法改正前も,「遺産を割合で取得する権利」を請求された相続人は,相当するお金を払うことで解決してきたからです。

一番多いのは土地の紛争ですが,例えば遺留分が8分の1の相続人が,土地の全部を相続した相続人に対して遺留分を請求したとして,

8分の1と8分の7の共有状態となることを望むでしょうか。

請求された側からすれば,土地について売りたい時期になっても8分の1を所有している人が許可しなければ売れなくなってしまいますし,収益物件であれば,毎回清算をして8分の1の賃料を渡すのも嫌でしょう。

請求した側からしても,8分の1だけ共有していても,(通常8分の7を所有している側が使用,収益している物件でしょうからなおさら)意味がありません。

そこで,実務的には,改正前から金銭解決が常でしたので,それを実務に即し,分かりやすい請求権に変えたというのが,改正の実態なのです。

相続法改正でよくあるご質問2

配偶者居住権のメリット

配偶者居住権の制度もまもなく施行されることとなり,問い合わせも増えています。

配偶者居住権は,おそらく,かなりの頻度で利用されることになると思います。

その理由は①税法上のメリットと②遺産分割の柔軟性への寄与です。

①については,相続税評価につき,所有権を,配偶者居住権負担付所有権 と 配偶者居住権 との価値に分け,それぞれ別の相続人が取得することができ,さらに,配偶者居住権が配偶者の死亡により消滅し,配偶者居住権負担付所有権が所有権になった際に,税金を納める必要がないというメリットがあります。

難しいのでたとえ話にします。

お父様が亡くなり,相続人は妻と子供1人だとし,遺産のうち一部は,土地と建物合わせて1億円の不動産だとします。

この不動産には妻が継続して住むため,妻が相続するとします。妻が相続する際は,配偶者控除等で税額は0となったとしても,妻が亡くなった際,子供は1億円の土地建物を取得したとして,1億円に対する相続税を支払うことになります。

しかし,お父様が亡くなった際,配偶者居住権(仮に5000万円とします)と配偶者居住権負担付所有権(1億円ー5000万円=5000万円とします)に分けて,配偶者居住権を妻が相続し,配偶者居住権負担付所有権を長男が相続すると,どうなるでしょうか。

まず,配偶者居住権については,妻は配偶者控除等で税額が0となり,長男が5000万円の配偶者居住権負担付所有権につき相続税を支払います。

次に,妻が亡くなり,長男が相続する際,長男の有する5000万円の価値の配偶者居住権負担付所有権は,配偶者居住権の負担がなくなり,1億円の価値に膨らみますが,この際,税金はかかりません。

そうすると,配偶者居住権の制度を利用していない場合には1億円に対する相続税を支払っていましたが,配偶者居住権を利用することで,5000万円に対する相続税の支払いで済むことになります。

②については,上記のように相続人が妻と子であるケースにおいて,妻と子の間に紛争性があるケースで,今までは,妻が所有権を取得するためには1億円の価値の不動産を取得することになるため,5000万円の代償金を支払わなければならなかったケースにつき,配偶者居住権付所有権を子に相続させることで,支払う代償金を減らすことができるということです。

特に,妻が高齢であり,資産を手に入れるというよりも,継続して居住できれば良いというケースでは,代償金を支払って完全な所有権を入手するのか,それが無理であれば全てを売るしかない という2択の選択ではなく,第3の選択肢を生じさせる有用な制度です。

相続法改正とよくあるご質問

令和元年7月に改正された相続法について,周知されるようになり,よく質問を受けています。

今日は,特に質問,誤解の多い事項について,回答をしていきます。

1 特別寄与料

例えば地方在住お父様が亡くなり,子供が長男と長女の2人のケースで,お父様はご生前,一人では起居することができず,通常であれば24時間

介護施設に入るような状態でしたが,長女は東京に出てきている反面,お父様は長男夫婦と同居しており,長男の妻が,仕事を辞め,付きっきりで

介護をしていたことが原因で,遺産分割について長男と長女の意見が合わないとします。

このようなケースで,長男の奥様から「この7月から相続人以外でも介護等につき特別寄与料を請求できるようになると聞きましたので請求したい。長女よりも長男に多く渡して欲しいので。」というようなご相談を受けることがあります。

実は,ほとんどの場合,このようなケースで特別寄与料の制度を使う必要はありません。

相続人である長男の取り分を決める際に,長男の妻の寄与分を考慮して遺産分割をすることが制度上可能であり,長男が長女より多く遺産を受け取るという解決が可能であるからです。

特別寄与料の制度は,時効期間も短く,決して利用が容易い制度ではないため,このようなケースで使う必要はないのです。

では,特別寄与料はどのようなケースで使うのでしょうか。

それは,上記のケースで,お父様が亡くなる前に,既に長男が亡くなっており,相続人が長女一人であるようなケースです。

この場合には,長男の妻は,「相続人である長男の寄与とみなす」という扱いができないため,特別寄与料の請求をすることになります。

本制度の制定目的は,このように,相続による調整を図れない場合に利用するための制度なのです。

 

 

代襲相続と,数次相続

急に寒くなってきましたね。来週は東京で初雪?の可能性があるそうです。

今日は,兄弟相続の際の,代襲相続と数次相続の違いについて,ご説明します。

というのは,相続人が誰かというときに,相続人を誤解されているケースは,この違いを理解されていないことが多いからです。

①代襲相続は,被相続人が死亡したとき,本来の相続人が既に亡くなっている時に,その子が相続人になることです。

②数次相続は,被相続人が死亡したとき,本来の相続人は生きていましたが,その後その相続人が亡くなって次の相続が発生することです。

例えば,妻子も親も既に亡くなっている状態のAさんが亡くなり,兄弟がB,C,兄弟Bの子がD,Dの子をEとします。

Aが亡くなった時,BとCが共に生きていれば,BとCが相続人ですし,Bが既に亡くなっており,Dが生きていた場合には,

DとCが相続人です。

では,BもDも既に亡くなっており,Eが生きていた場合はどうでしょうか。

この場合,兄弟の代襲は1回までというルールがありますので,Eは相続人にはならず,Cのみが相続人になります。

これが代襲相続の場合のルールです。

これまでの話とは異なり,たとえば,Aが亡くなった時,Bは既に亡くなっており,Dが生きていて,DとCが相続人のケースで,

その後にDが亡くなると,EがAの相続財産を「Dの相続人として」取得することになります。

このように,Eが相続人となるか否かは,「Dが亡くなったのがAの死亡より前か,後か」により変わることになります。

兄弟相続の時は特に問題になりやすいですので,注意が必要です。

相続税申告の注意点(土地の評価)

今月は台風をはじめ,週末は雨ばかりでした。11月こそは,秋晴れが続いて欲しいものです。

今日は相続税申告の土地の評価について,お伝えします。

相続税申告における土地の評価はかなり難しく,専門ソフトがないと困難であり,かつ,きっちりと専門家が計算をすれば,路線価×地積で算出される評価額と比べて多額の節税となることが多いため,相続税申告を税理士に依頼した方が良い理由の1つとなります。

1 自用地の評価

まず,相続税を計算する場合の土地の評価は,相続税路線価というものを使うことは,以前も説明いたしました。そして,相続税路線価に地積を掛けて評価額を出せば,一応評価額を出すことができます。

しかしながら,上記の計算で算出された評価が当てはまるのは,綺麗な正方形に近い形の土地で,かつ,公道に面しており,しかも,傾きやセットバック等が皆無の,「減額要素の存在しない完璧な土地」のことです。

世の中に存在する土地のほとんどは,上記の「減額要素の存在しない完ぺきな土地」ではありませんので,それぞれの土地の実情に即した減額をすることができます。

例えば,間口距離(道路に接している線の長さのことです)に比して奥行きが長い土地は,「奥行補正率」という減額割合を掛けることができますし,土地の形が長方形ではなかったり,私道に面している場合等は,陰地割合を算出することにより,最大40%もの減額をすることができます。

路線価×地積で算出すると6000万円の土地につき,陰地割合等で減額することにより,4000万円となった場合には,最低税率の10%で計算をしても,200万円税金が減ることになりますから,土地を適切に評価する効果はとても大きいことがわかります。

東京の都市部の土地等,1平方メートルあたりの地価が高いところでは,より大きな効果があります。

もちろん,これらにより評価した土地を,小規模宅地特例により,8割もの評価減を適用できれば,さらに効果が大きくなります。

上記の例で小規模宅地特例を併せて使うことができた場合には,6000万円の土地が,800万円(4000万円の8割減)と評価できることになります。

2 貸付地の場合

自宅の敷地等ではなく,他人に貸している土地の場合には,

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地の評価額

で算出をしますので,自用地の場合よりもさらに減額した評価をすることができます。

借地権割合というのは,路線価図にAとかDとか記載されているアルファベットで示されています。Aならば90%,Dならば60%です。

借家家割合は通達等で示されているもので,賃貸割合は,当該物件のうち,賃貸をしている割合です(通常,面積で算出します)。

例えば,上記の例で,6000万円の土地が,自用地としては4000万円と評価できる場合に,借地権割合が90%,借家権割合が30%,

賃貸割合が100%とすると,1-0.27=0.73となり,土地の評価額は2900万円程度まで下がることになります。

現金ではなく,不動産を購入し,貸しアパートを建てると節税になる というのは,このように,①まず現金を不動産にすることによって,

自用地としての評価額を下げた うえで,さらに,②建屋貸付地として,さらなる減額をすることができる ことを利用しているのです。

3 専門家に相談してください

ここに紹介した以外にも,不動産評価を減額できる特例は数多くあり,相続税申告においては,不動産が存在するかぎり,ご自身で申告するよりも,不動産評価をきっちりと出来る相続税の専門家に相談をし,適切な評価額を算出して相続税額を算出した方が良いと思います。

相続税についてお悩みの方は税理士法人心東京駅税理士事務所にご相談ください。

 

遺言を作る時の注意点

私は日々,相続事件を取り扱っておりますが,「遺言さえあればなぁ」というケースは数多くあります。

もちろん,遺留分等,遺言があっても紛争になることはありますが,遺言により不動産等の帰属は決まっており,あとは金銭の問題なので,

分け方や,割合等により劇的に揉めることは比較的少ないです。

ただ,反対に,遺言書のせいで過度に揉めるケースも少数ですが存在します。

今日は,特に遺言を作った方が良いと感じるケース と 特にこんな遺言は勘弁してください という例をちょっとだけ紹介します。

1 特に遺言を作った方が良いケース①

法定相続分で分けることが,明らかに不合理な時。

「明らかに不合理」かどうかは価値判断が入りますが,遺言がなければ,とにかく法定相続分が大きな力を持ってしまいますので,

法定相続分という平等の割合が,むしろ当事者間の不公平感を増してしまうようなケースは,特に,遺言を作ることで手当てしないと

悲惨です。

2 特に遺言を作った方が良いケース②

不動産が複雑な場合(土地は遺言者,建物の一部が遺言者所有,だけど建物の別の部分を相続人Aが所有していて,居住しているのは相続人 B・・・)には遺言書を作っとかないと,不動産について揉めたときにとにかく混沌とします。借地権が混ざったりしてるとさらに大変です。

3 特にこんな遺言書は注意すべき①

一部遺言。不動産だけの分け方を書く等の遺言は,基本的にはダメです。残部をどう分けたらいいのかで,揉めます。

特段の事情なきかぎり,一部遺言の場合,その一部を特別受益と解する判例がありますので,

残部が法定相続分どおりに分割されるわけではありません。

4 特にこんな遺言書は注意すべき②

あとで,遺言者が本当に遺したのか疑われやすいケース(認知症が進行している,又は,著しく内容が難しい遺言書)

せっかく遺言書を遺しても,遺言無効で紛争となってしまっては,元も子もありません。後から明らかに揉めそうであれば,医師の診断書を

取っておく,ビデオを取る,等の工夫が必要なケースもあります。

相続税申告の注意点3(遺産分割が申告期限までに終わらない時)

猛暑が続きますね。

来年の東京オリンピックは真夏にやるようですが,運動できる気候なのか,心配です。

今日は遺産分割の話し合いが進まない等の理由で,申告期限までに遺産分割が終わらない時の注意点をお伝えします。

1 必ず申告期限までに未分割申告を!

遺産分割が終わっていなくても,申告期限までに申告,納税をする必要があります。

この際は,法定相続分に従って遺産を分けたとみなして,申告をすることになります。

2 未分割申告では特例が使えない!

未分割申告をする場合,小規模宅地の特例(土地評価を50~80%減額できる特例)

や配偶者控除(配偶者が1億6000万円まで非課税になる特例)といった,相続税の特例を利用することはできません。

遺産分割協議が成立すれば,納める相続税が0であったり,数十万で済む場合であっても,未分割申告をする際は,特例を

適用しないで納税しなければならないので,多額の納税をしなければならなくなることがあります(遺産分割が完了すれば,

戻ってきます)。

未分割申告に備えて,遺産分割協議が終わっていなくても,預金だけを一部分割する等,納税の準備が必要になります。

3 未分割申告時に分割見込書の提出を忘れない!

相続税申告の注意点(不動産2)

東京もようやく梅雨が明けました。

少し暑すぎますが,梅雨らしい梅雨すぎてうんざりしてたので,今年は暑さも許せます。

今日は,不動産に関する相続税の特例のうち,代表的なものを紹介します。

1 小規模宅地の特例

まず,絶対におさえておくべき特例としては,土地の評価を8割減らすことのできる,小規模宅地の特例があります。

これは,居住用宅地,事業用宅地,不動産貸付用地等,いくつかの種類に分けることができます。

まず,居住用宅地特例については,生計を共にする配偶者や,同居していた子等が敷地を取得し,相続税申告時まで引き続き所有する場合に適用されるもので,330㎡まで,土地の評価を8割も減らすことができます。

この特例は,配偶者や,一緒に住んでいた親族が,相続税を支払うために自宅を売り払うことにならないよう,配慮された制度です。

事業用宅地特例や,不動産貸付用地に関しても,相続税を支払うために事業等が継続できなくなることを防ぐためのもので,事業等に使用していた土地を引き継いだ相続人が,相続税申告期限まで事業等に使用する場合に減額を受けることができます。

これらの小規模宅地の特例は,土地を引き継ぐ人が誰かにより,特例が適用できるかできないかが決まりますので,遺産分割方法を決める際に,重要な指針の1つとなります。

2 地積規模の大きな宅地の特例

地積規模が大きい土地の場合(三大都市圏においては500㎡以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1000㎡以上の地積)には,

相続税評価が時価と比較して割高に出てしまうことを防ぐために,減額修正して土地の評価を算出する特例があります。

次回は,分割が申告期限までに終わらない時の注意点についてお伝えします。

相続税申告の注意点①(不動産1)

今年は梅雨らしい梅雨が続きます。皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日から当面の間は,相続税申告の難しい点等につきまして,ご説明等をしていきたいと思います。

最初は,不動産の評価についてです。

1 建物

相続税の建物の評価は,簡単です。亡くなった日の年度の固定資産税の評価額をそのまま申告すれば,問題ありません。

2 土地

建物とは異なり,土地の評価は非常に難しいことが多くなります。税理士によっても,評価金額,評価方法が異なることが多くあります。

①評価の基本

基本的には,相続税路線価を使って評価します。「相続税 全国マップ」で検索すると,路線価図を見ることができると思います。

路線価図には,「250D」等,数字とアルファベットが記載されているか,まったく記載されていないかの2つのパターンがあります。

数字とアルファベットが記載されている場合には,数字部分が1平方メートルあたりの金額になります。

単位は1000円なので,250Dであれば,1平方メートルあたり25万円です。

アルファベットの部分は,借地権割合を示しており,賃貸に利用している土地の評価に利用します。

路線価図の道路に数字が記載されていない場合,その土地は「倍率地域」です。

東京など,都市部であれば,倍率地域はほとんどありませんが,地方の非住宅地域には多く存在します。

固定資産税評価額に,土地の地目ごとに設定されている倍率をかけることで,相続税法上の評価をすることができます。

ここまでの話は,比較的単純ですが,問題はここからです。

上記の計算は,公道に面していて,宅地に適した面積であり,綺麗な正方形の土地であれば,そのまま使える可能性がありますが,実際には,そんな土地はほとんど存在しません。私道に面していたり,そもそも道に面していなかったり,大きさが大きすぎたり,綺麗な正方形の形でないことがほとんどです。

そこで,それぞれの土地に合わせて,減額要素を計算に入れることで,土地の評価を適正に行うことができますし,相続税評価額も下がることになります。

減額要素の計算は,理論的にも複雑ですし,理論が理解できても,税理士ソフトを使わないと算出が困難ですので,税理士に相続税申告を依頼する大きなメリットがここにあります。

全てを紹介することはできませんが,代表的な減額要因,計算の概要について,次回紹介します。

相続人以外への遺贈

突然暑い日が続きますが,いかがお過ごしでしょうか。

東京で5月に3日連続で真夏日を観測するのは初めてのことだそうです。

今日は相続人以外への遺贈についてお話をします。

相続人以外へと財産を渡したい場合に,遺贈という方法があることについては,ご存じの方が多いと思います。

しかし,相続人が相続する場合と,どのような違いがあるかについては,あまり知られていません。

①税金について

遺贈には贈与税ではなく,相続税がかかります。

さらに,相続人以外の方が受け取ることになり,相続税の2割加算が適用されますので,税額が高くなります。

②遺留分について

兄弟姉妹を除く相続人には,遺留分という最低限保証された権利がありますので,相続人以外への遺贈が,遺留分を侵害している場合に,相続人から遺留分を請求された場合には,遺贈を受けた財産から遺留分相当額を支払う必要がございます(遺留分の割合は,相続人が子や配偶者の場合は法定相続分の2分の1,相続人が直系尊属の場合には法定相続分の3分の1です)。

③遺言で遺贈した場合の登記手続

不動産を遺贈する場合の,遺贈に基づく所有権移転登記は,相続人全員の協力を得られない限り,遺言執行者でなければ,登記申請ができません。

相続人以外の方へ,不動産を遺贈する遺言を作成する場合には,同時に遺言執行者を定めておくのが良いです。

遺言に関してお悩みの方はこちら

仮払い制度について

一気に暖かい日が増えてまいりましたが,いかがお過ごしでしょうか。

本日は,次回民法改正事項の1つである,仮払い制度についてご説明いたします。

この制度は,遺産分割が完了する前であっても,一定金額について,預金を払い戻せることとする制度です。

なぜ,このような制度が作られたのでしょうか。

それは,銀行などの金融機関は,被相続人が亡くなったことを知ると,遺産分割協議が完了する(又は相続人全員の合意により,誰か1人が

預金を代表して受け取ることを合意する)まで,口座を凍結するため,相続人が被相続人の口座にあるお金を下ろすことができなくなるからです。

相続人が勝手に被相続人の預金からお金を下ろす等のトラブルを防ぐという意味で,口座の凍結は当然なのですが,人が亡くなると,

葬儀や法事の費用など,多額なお金がかかることになりますので,一定の金額は遺産分割協議より前に下ろすことができるほうが便利です。

そのような必要性から,今回の仮払い制度が創設されるに至ったわけです。

今回創設される制度で,金融機関から仮払いを受けられる限度は,①金融機関につき,預金金額の3分の1のうち,仮払いを受ける人の法定相続分となりますが,②1つの金融機関につき上限が150万円との制限もあります。

例えば,預金が1200万円の口座で,相続人が配偶者と子供が2人で,子供の一人が仮払いを受ける場合には,1200万円の3分の1は

400万円ですので,400万円のうち法定相続分(4分の1)である100万円まで,仮払いを受けることができるようになるわけです。

今回の相続法改正は改正事項が非常に多く,ややこしい制度も多いので,施行されましたら,弁護士へ相談の上,対応するのが賢明だと思います。

 

 

 

特別寄与料の制度について

3月15日を終え,無事,確定申告シーズンを乗り越えました。

弁護士法人心,税理士法人心の岩崎です。

毎年申告期限に近くなると,税務署に申告書記入180分待ち,210分待ち・・といった,ディズニーランドも真っ青な看板が並びますので,

もうちょっと簡単に申告できるようになると良いですね(今年から電子申告が簡易化はしておりますが)。

本日は,相続税法の改正で新設された,特別寄与料の制度についてお話します。

特別寄与料は,相続人以外の親族が,被相続人の療養看護その他の労務の提供により被相続人の財産の維持,増加に寄与した場合,

相続人に対して特別寄与料を請求することはできるという制度です。

現在も存在している寄与分という制度は,、被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度であり,相続人間の公平を意図した制度ですが,相続人以外の貢献は考慮されていませんでした。

(厳密にいえば,相続人以外の親族の貢献であっても,相続人の貢献として考慮できる場合には,相続人の寄与分として考慮されていました。

例えば,相続人の兄Aと弟Bがおり,弟Bの奥さんCが被相続人に特別の寄与をしていた場合には,Cの貢献をBの履行補助者としての貢献と

考え,Bに寄与分を与えるという方法でバランスを取ろうとしていたわけです。しかしながら,今までのこの手法は,先にBが亡くなっており,

相続人がAだけである場合には,Cの貢献はまったく考慮されなくなるため,亡くなる順番によっては,バランスを欠いていました。)

 

今回の制度は,相続人以外の親族の貢献を考慮するという新しい制度なのですが,貢献が無償でなければならない,とか,財産出資をした場合は除

かれる,とか,寄与分が「被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度の貢献を超える高度な貢献」を意味するのに対し,そこまで

高度の貢献は求められないと解されること,など,注意しなければならない点は多いのですが,なによりも,一番気をつけるべきは,

 

請求期限が「相続の開始及び相続人を知った時から6か月」で時効により消滅してしまうことです。

正直,あまりにも短いと思うのですが・・バタバタと49日が過ぎ,ほっと一息ついたころには時効です。

この制度の利用を考えている方は,本当に,時効には気を付けないといけません。