相続時精算課税の基礎控除創設について

今年新設された相続時精算課税制度の基礎控除についてご説明します。

これまで相続時精算課税制度には、基礎控除がありませんでしたが、今年から110万円の基礎控除が設けられます。110万円というと、いわゆる暦年贈与(年間110万円まで非課税で贈与できるという制度)がありますが、その制度との区別が重要です。

これまでの暦年贈与は、いわゆる駆け込み贈与対策として、相続開始前7年分は、相続税として課税されます。これに対して、新設される相続時精算課税贈与の基礎控除内の贈与は、相続開始直前の分も含めて課税されません。

このような違いがあるので、子等の直系卑属に対する贈与については基本的には今後相続時精算課税贈与を選択することが多いことになりそうです。相続時精算課税を選択した場合には、選択届出書の提出など、必要な手続がありますので、お忘れないようお願いします。

生前贈与と相続税との関係について、国はおおむね、若年層への金員の移動を推奨する方針を採っておりますので、その一環として、きちんと相続時精算の届け出を出し、基礎控除を超えた分については相続時に納税をすることを示していくのであれば、年間110万円までの贈与については非課税とすることにしたのでしょう。