空き家特例

最近相談を受けることが多いのが,いわゆる空き家特例です。

相続をした不動産につき,不要であるから売却をしたい というケースは多いのですが,譲渡所得課税により約20%の課税がされてしまいます。もちろん,取得費は差し引ける(リフォーム費用含)のですが,購入時期によっては資料が滅失していることもありますし,20%の税金は負担感もあります。

この譲渡所得課税の特例として,被相続人のみが居住しており,相続が発生したことによって空き家になった不動産につき,更地にして売却をすることで,3000万円の範囲につき非課税となるのが,空き家特例です。

以下,重要な部分につき要件を確認していきます。

①家屋及び敷地の両方を,相続又は遺贈により取得すること。

本特例は区分所有権には適用されない(マンション,アパートの部屋を相続した場合は×)ということと,家と敷地両方を相続した場合にのみ適用されることに注意が必要です。

②相続が発生してから3年が経過する年の12月31日までに売却をすること

③家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたものであること

④相続の開始の直前に,被相続人が唯一の居住者であったこと

⑤売り渡し先が第三者(親族等ではない)であり,かつ1億円以下であること

⑥建物を取り壊して敷地のみで売却をすること

⑥については,建物につき耐震リフォームをして建物と土地を売却する場合にも適用がされますが,昭和56年以前の建物につき,耐震リフォーム等の費用をかけて残すというケースは少ないので,更地にして敷地売却という場合が多いです。

上記のように,いろいろと要件が多くややこしいですが,3000万円まで譲渡所得課税がかからないのは相当に助かる制度なので,使えそうな場合には上記要件に気を付けて売却手続を行う必要があります。

例えば,⑥に関して,現状有姿の売却(不動産業者に建物ごと渡して売却を完了してしまい,その後に不動産業者が取り壊して更地にするケース)の際に,現状有姿のまま引渡して売買完了にしてしまうと,⑥の要件を満たさないことが明らかであるため,不動産業者が解体費用を負担するケースであるとしても,引き渡し時まで所有権を留保し,引き渡しは更地状態で行うよう工夫をする等が必要となります。

詳しくは、弁護士へご相談ください。