近年多い相談のパターンその1
相続人が10人以上存在するケースで,多くの相続人が合意を形成しているにもかかわらず,少数の方が判子を押してくれない というケースがあります。
お子様がいない方の相続で兄弟相続となった場合に起きがちです。
このようなケースは,少数の方から見れば争ったところで大きな経済的利益の変動があるわけではなく(もとの相続分も少なく,兄弟相続のケースで寄与等が問題となるケースは稀であるため),話し合いで解決したいところです。
仮に話し合いが決裂してしまっても多くの場合,少数の方の有している相続分は大きさでいえばたいしたことはないことが救いであり,審判にて問題となっている不動産の持ち分につき換価分割や代償分割を提案する等により解決を図ることができるため,解決はそこまで難しくはありません。
解決が困難となるのは,遺産である不動産が共有持ち分であり,ご存命の別の方も共有している,少数の争っている方々も共有持ち分を持っている というケースです。相続人間だけで完結しないため,換価の審判はでませんし,代償分割をしても結局他の持ち分を有する方との折衝が残ります。最悪,共有で遺産分割調停,審判を終わらせた後に共有物分割訴訟という第2の裁判を起こさなければ解決ができません。
不動産は可能な限り共有は避ける というのが基本ですが,このように相続においても,共有であることで解決に時間がかかるというケースも増えています。