相続人がいないとき

相続人が存在しない場合に,被相続人と特別な縁故があって遺産の一部の取得をしたいと考えたり,被相続人に対して債権を有しており,遺産から回収したいと考える場合には,まず相続財産管理人の選任を申し立てる必要があります。

そして,相続財産管理人の選任が済んでも,そこから実際に特別縁故の主張について審理をしてもらうまでには,相当な時間を要します。

なぜなら,相続財産管理人は,相続人が不存在であることを確認し,相続人の方がいないかどうか呼びかけ,遺産を整理(不動産売却等)し,債権者等がいないか呼びかけを行い・・という各手続を行う必要があるため,これらが全て完了し,特別縁故者の申し出ができる期間が始まるのは,相続財産管理人が選任されてから約10か月後になるからです。

相続人が「行方不明」であるとか「疎遠で居場所がわからない」場合は,相続人は「いる」わけなので上記の手続を行うわけではありません。相続人が行方不明で,既に死亡している可能性が高いケースでは,失踪宣告をしたうえで相続財産管理人選任へと進む場合がありますが,失踪宣告についても1年近くかかる手続ですので,特別縁故者の主張の審理までには合計2年以上の時間がかかることを覚悟しなければなりません。

これらの手続にかかる時間の長さを回避する方法としては,特別な縁故をお持ちの方々は,被相続人が亡くなる前に遺言書を書いてもらう方法があります。

遺言書があれば,遺言書に従って財産を取得できますし,被相続人からしても,国庫に帰属するよりはご縁があった方たちが取得することを望まれることが多いように思います。