自由診療と健康保険診療

交通事故の被害に遭った方が治療を受ける場合、多くは相手方である加害者の保険会社が治療費を支払ってくれるため、

実際にいくら治療費が支払われたかというのを知らずに通院している方がほとんどです。

そのため、示談のときに保険会社からの示談金提示が来て初めて治療費がいくらかかっていたかを知ることが多いです。

通常、こうしたケースでは、自由診療(保険が適用されない診療)で治療が行われています。

病院の場合は診療報酬について点数制で1点あたりいくらというのが決まっていますが、

自由診療の場合には、この1点あたりの単価が一律ではなく医療機関ごとに異なります。

病院によって定め方は異なりますが、1点あたりの単価が変われば当然かかってくる医療費総額が大きく変わるため、

自賠責から回収できるケース、自賠責から回収できないが加害者が賠償すべきケース、相手方がいない自損事故のケースなどによって

診療報酬を変えている病院もあります。

他方、交通事故であれば一律にいくら、という病院もあります。

 

上記のような自由診療での治療がなされるのは、被害者の方の過失がないか、あるいは少ないケースに限定されることが多いほか、

過失割合がなくても怪我が重傷で医療費が高額になることが見込まれる場合、保険会社からは健康保険を利用してほしい、

と言われることが多くあります。

この保険会社からの求めに応じて被害者の方が健康保険を利用しなければならないということはありませんが、

過失がどの程度あるのか、医療費がどの程度かかるのか、などを見越して健康保険を利用した方が良いケースもありますし、

この判断を誤ったために賠償額が減ってしまうというケースもありますので、

迷った場合には早めに交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

 

WEBでの裁判について

コロナや世の中の情勢もあり、裁判所もWEBでの裁判を徐々に導入してきています。

私が扱っているのは主に交通事故になりますが、東京地裁はじめ各地方の本庁でもどんどんWEBでの裁判を導入している印象です。

これまでは、電話会議システムはありましたが、どちらか一方は裁判所に出向く必要がありました。

しかし、WEBでの裁判では、双方がWEBで参加することもできます。

 

今のところ、期日についてWEBシステムを徐々に導入している段階ですが、

提訴や送達などについても数年後を目安に進めていくことが検討されています。

 

すでに導入されている内容でも、訴訟提起時の費用はかかるものの、弁護士の出頭回数が減れば、

当然出廷費用などがかからなくなるので、依頼者としても提訴に踏み切りやすい側面はあるかもしれません。

 

遠方の裁判などでは原告側が出頭しなければならず交通費や出廷費も低額ではないことがありましたが、

今後、口頭弁論期日の完全オンライン化が進めば、より提訴のハードルが下がるのではないかと思います。

 

交通事故の被害者の方でも。よく裁判になった場合の時間や費用を考慮して裁判はやめておこうと考える方は少なくなく、

こうしたハードルがなくなり、裁判手続がより身近に簡易に使えるようになることは、被害者の選択肢も増やす良い動きだと思います。

交通事故の後遺障害等級認定

最近,後遺障害等級の認定が下りなかったので相談に来た,という方が多くいらっしゃいます。

交通事故の治療を終えると,後遺障害診断書を医師に書いてもらい,後遺障害の申請をすることになります。

この後遺障害の申請方法は,保険会社に資料の提出などを任せて行う事前認定と,被害者側で資料の取り付け・収集を行う被害者請求とに分かれます。

後者の場合には,簡単ではありませんが自分で申請を行う場合と,弁護士などに申請を依頼する場合,に分かれます。

これらの保険会社や弁護士の立場は,あくまでも後遺障害申請の請求者ということになり,実際に認定等の判断をするのは,損害保険料率算出機構という機関の各損害調査事務所ですので,この担当者に,いかに事故が大きかったのか,いかに症状が重いのか,症状の原因や程度をいかにわかってもらえるか,というのが非常に重要になります。

 

等級が下りなかったので相談に来ました,という方の場合は,多くは事前認定で保険会社に申請をしてもらったが後遺障害等級が認定されず,弁護士に相談に来た,という状況にあります。

こういう場合,もちろん不服申し立ての手続である異議申立を行うことができるのですが,初回の申請の際にすでに提出済みの資料がありますので,万が一提出済みの資料が不利なものであった場合には,そのリカバリーは容易ではありません。ただ,異議申立の時点で通院を継続している場合には,新たな診断書の作成などでリカバリーできるケースもあります。

また,初回申請で提出済みの資料に問題がなくても等級が認定されないということはありえますので,そうした場合には,初回申請では提出していない資料(車両の損傷に関する資料,カルテや画像検査報告書などの医療記録,症状固定後の治療に関する資料など)を提出することが考えられます。

 

後遺障害の等級認定の基準については,労災基準に準じてはいますが,公表されていない部分も多くありますので,後遺障害申請の経験が豊富な弁護士に初めからご相談された方が安心かもしれません。

 

交通事故と受傷の因果関係(ミラー接触)

先日ご相談をいただいたので,ミラー接触で交通事故と怪我の因果関係が否定された件について記載したいと思います。

ミラー接触事故の場合,文字どおりミラー同士が接触する事故のため,ミラー自体が衝撃を吸収し車両本体には衝撃が及ばないと考えられ,事故と怪我の因果関係はまず否定されてしまいます。

これは,自賠責保険でも任意保険でも裁判でも,同様の結論になることが通常です。

実際にこうした事故で怪我をされた方の相談を受けたことは複数ありますし,現実として怪我をしていないとは思えませんが,因果関係が認められない以上,「交通事故で怪我をした」と言えないため,治療費も払ってもらえなければ,慰謝料も払ってもらえません。

交通事故で車両を損傷した,ということが認められれば,車両の修理費等は支払ってもらえます。

 

交通事故で被害者側としては,できるだけ早く加害者に保険会社に連絡を取ってもらい,治療を受けられるよう段取りを組みますが,ミラー接触の場合などは,この時点で医療機関に連絡を取ってもらえず,事故調査を行う,自賠責保険に確認する,といった流れになってしまいます。

事故調査を行ったところで裁判でもミラー接触の事故と怪我の因果関係は否定されていますし,自賠責保険も事故状況や車両損傷の大小で事故と怪我の因果関係を判断しますから,この流れに乗ってしまえば,時間だけかかって結局賠償してもらえない,となってしまいます。

もし,自分の任意保険に人身傷害保険などをつけているのであれば,この時点で加害者に請求することは諦め,自分の人身傷害保険を利用するのが無難です。

もちろん,自分の保険会社も,最終的には加害者の自賠責保険から回収できるに越したことはないのですが,自賠責保険ですでに因果関係なしと判断されているわけではないため,任意保険会社が認められる範囲で治療費などを支払ってもらい,任意保険会社が自賠責から後日頑張って回収する,という流れに乗せることができるかもしれません。

人身傷害特約を利用することで等級が上がるということは通常ありませんので,誰からも治療費等を回収できないより,この時点で潔く自分の保険を利用しましょう。

 

こうしたミラー接触事案では,裁判所でも受傷を否定されてしまうのが落ちですので,弁護士の出番はあまりありませんが,交通事故に詳しい弁護士にご相談いただければ,適切な初動対応についてアドバイスできることもあります。

人身傷害特約がない,利用できない場合には,労災利用や被害者請求での自賠責保険請求を考えますが,いずれも通らない覚悟で治療をせざるを得ないのが実状です。

回収できなかったときは治療費が自腹になることを考慮にいれ,医療機関には請求の保留や認められなかったときの健康保険価格への変更などを依頼しておくと,自己負担が最小限になるでしょう。

怪我はしたのに因果関係が認められない,治療費も認められない,というのはなかなか納得がいきませんが,自己負担額が大きくなるのも困りものですから,こういったケースでは諦め時も重要ですね。

 

交通事故における紛争処理センターの利用

交通事故の示談解決にあたり,任意交渉で示談できない場合に利用を検討する第三者機関として,紛争処理センターという機関があります。

交渉で示談できなければすぐ裁判,というわけではなく,紛争処理センターの利用が適している,という場合もあります。

紛争処理センターを利用する場合,切手や印紙代のような裁判のときにかかるような,利用のための費用はかかりません。

申立て書類も,当法人にご依頼いただいて既に示談交渉をしている場合は,主張や請求も固まっていることが多いので,新たに準備していただくものは,委任状と印鑑証明書だけ,ということが多いです。

センターでは,被害者側,加害者保険会社側の双方の意見を聞き,通常3回前後の期日を経て,担当弁護士が斡旋案を出してくれます。

その斡旋案に双方合意となれば,晴れて解決,ということになります。

他方,斡旋案について合意ならず,という場合には,審査申し立てを行い受理されれば,センター内で審査会が開かれます。

審査会には,斡旋案を提示してくれた担当弁護士と,審査員,当事者双方が出席することができ,審査員から改めて争点や当該交通事故に関する説明,主張の場が設けられます。

その結果,審査会の裁定結果が出て,申立てを行った被害者側がこれに同意する場合には,加害者保険会社側はこの裁定に拘束され,この段階で解決となります。

もっとも,申立人側も裁定に納得できないというような場合には,紛争処理センターでの解決ならず,ということで裁判所の利用などを検討する必要がありますが,多くの場合,この裁定案に保険会社側が拘束されることから適切な事案解決が図られていると言えます。

過失割合に大きな隔たりがあり事故状況を示す資料が不足する,交通事故と受傷の因果関係に争いがあり高度な医学的判断を要する,といった裁判での解決が適切な類型では,紛争処理センターの利用が適さないこともありますが,こうした争点のないケースであれば,紛争処理センターの利用は,任意交渉ではいまいちだが裁判をするほど期間や費用がかかるのは嫌だ,という方に非常に便利な手続だと思います。

保険会社の治療費支払打切り

交通事故被害に遭われた方の通院の場合,通常,加害者の任意保険会社が直接医療機関に治療費を払ってくれます。

この場合,当初は特に何の問題もなく通院できることが多いのですが,事故状況や車の損傷の程度,症状の程度,治療の内容や経過などから,徐々に治療終了時期についての打診がくるようになったり,あるいは,治療を終了してほしいといった,打切りの話が出てくるようになります。

むちうちの場合だと,車両損傷が非常に軽微な場合ですと,事故から1か月程度で打切りの話が出てきますし,軽度から中程度であれば事故から3か月前後,重度であれば事故から5,6か月前後で打切りとなることが多いように思います。

被害に遭われた方からすれば,交通事故で症状がでて,その症状がなくなっていないのだから当然治療費は加害者(の保険会社)が支払うべき,というふうに思われると思いますが,実際には,このようにその事故から想定される相当な治療期間をもとに賠償の範囲が決まってきます。

ただ,事故状況や車の損傷の程度は変わらないにしても,症状が重い場合にはその原因となる客観的な所見がないか,それを改善するために治療方針や処方薬を変えるなど対症療法とならずに治療がなされているか,症状が改善傾向にあるのかそれとも一定なのか,といった総合考慮で打切り時期が変わってくることはあります。

ご相談に来られる方の中には,明らかに不当に早い打切りと思われるケースもありますので,そういった場合には,すぐに交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。

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進路変更禁止と追い越し禁止

交通事故の相談を受けていてよく聞かれる誤解で,交差点の手前30メートル以内では車線変更をしてはいけない,というのがあります。

そもそも一般的には,よく車線変更という言葉を使いますが,道路交通法上は車線変更という言葉も存在していません。

道路交通法上は,進路変更という言葉で,「車両は,みだりにその進路を変更してはならない(26条の2第1項)」,「車両は,進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは,進路を変更してはならない(同条第2項)」,「車両は,車両通行帯を通行している場合において,その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によって区画されているときは,次に掲げる場合を除き,その道路標示を超えて進路を変更してはならない(同条第3項)」,次に掲げる場合として緊急車両を優先させる場合,道路の損壊,工事その他の障害により通行できない場合を挙げています。

他方,追い越しについては,追い越し禁止場所として,道交法30条に,道路のまがりかど附近,上り坂の頂上附近又は勾配の急な下り坂,トンネルのほか,交差点・踏切・横断歩道又は自転車横断とこれらの手前の側端から前に30メートル以内の部分が列挙されています。

このように,厳密には,進路変更,追い越しという違いがあるほか,交差点手前30メートル以内で進路変更してはいけないというルールはないということになります。

ただ,当然のことながら必要のない進路変更はもちろんのこと,後方の車両を意識しない急な進路変更や,交通事故発生リスクの高い場所での進路変更はしないに越したことはありません。

被害者参加制度

被害者参加制度とは,被害者やご遺族の方が事件の当事者として刑事事件に直接関与し,意見陳述や質問等ができる制度です。

刑事事件は,捜査・訴追する国家権力側と,被告人という当事者構造で成り立ってきましたが,この制度ができたことによって,被害者やご遺族の方も当事者として刑事事件に関わることができるようになりました。

利用できる事件としては,故意の犯罪行為による殺傷事件,強制性交や強制わいせつ,逮捕監禁,過失運転致死傷などがあり,交通事故であっても被害者が亡くなったり重度の傷害を負った場合にも,この制度を利用することが可能です。

この制度を利用することによって,傍聴人としてではなく,当事者として法廷に着席し,検察官の訴訟活動に関して意見を述べたり,検察官に説明を求めたりすることができるほか,証人が情状について証言したときにその証明力を争うための尋問をすることができます。

ほかにも,意見を述べるために必要な場合,被告人に対して質問することもできますし,起訴された事実の範囲内で,事実または法律の適用について意見を述べることもできます。

たとえば,交通事故の場合,加害者の家族が情状証人となり,今後の監督などについて証言することがありますが,この証言の証明力を争うための質問ができるほか,加害者本人にも反省の有無などを聞くこともできるということです。

また,最終的な意見陳述において,処罰意思についてもきちんと伝えることができます。

加害者と会いたくないという被害者やご遺族の方も多いですが,刑事裁判において意見を伝えることができる重要な場ですので,ぜひ積極的に利用していただければと思います。

 

 

弁護士法人心の後遺障害認定サポート・後遺障害認定無料診断サービス

弁護士法人心では,従前より,後遺障害チームを編成し,後遺障害に関する実績・ノウハウの集積に努めています。

もともと,代表弁護士の西尾が保険会社側の代理人をしていたことから,弁護士法人心は,交通事故の被害者救済のため,

適切な賠償や適切な後遺障害等級の認定には,強いこだわりを持っています。

保険会社側もやっていたからこそわかる事情や新たな裁判例などの情報を常に研修でも共有しています。

さらに,後遺障害の認定に関わる損害保険料率算出機構の元職員も加わって後遺障害チームを編成しており,

適切な後遺障害等級の認定に向けてサポートをしています。

後遺障害はただ申請すればいいというものではなく,事故直後の状態やその後の症状経過,治療状況,検査の結果など,

様々なことが結果に影響を与えます。

最終的に医師に作成してもらう後遺障害診断書も,残存症状について書いてもらう非常に重要な書類ですから,

この内容も認定に大きな影響を与えます。

このように,申請の時に相談すれば大丈夫というものではなく,実際には,申請の前の状況次第で,

その後の後遺障害認定の結果は変わってきますので,交通事故に遭われて症状が残ってしまったという場合には,

お早目に後遺障害に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士法人心では,後遺障害等級認定サポートのほか,後遺障害認定無料診断サービスもありますので,

ぜひお気軽にご相談ください。

弁護士法人心の後遺障害ページはこちら

 

 

加害者の任意保険会社に治療費を支払ってもらえないこともある

交通事故被害に遭った場合,加害者の加入している任意保険会社が,

直接被害者の通院等にかかる治療費を医療機関に支払ってくれることがあります。

これを一括払いということがありますが,治療費をまとめて払ってくれるから,というわけではありません。

本来の保険の立て付けからすると,被害者が,

加害者の加入している自賠責保険に対して治療費や慰謝料等の請求を行い(これを被害者請求といいます),

その後,自賠責保険では補填できなかった損害を任意保険会社に対して請求する,という二階建ての請求になります。

この自賠責に対する請求と,任意保険会社に対する請求とを,

任意保険会社がまとめて行うことが通例となっていて,このことを一括払い,一括対応,などと呼んでいます。

 

しかし,自分が被害者だからといって,100%加害者の任意保険会社が治療費を支払ってくれるというわけではありません。

任意保険会社として対応しないと言われてしまうこともあり,そういう場合には,

①被害者側も過失割合が小さくないケースや,②車の破損状況などから受傷まではしないのではないかと思われるケース,

③初診までの期間が空いてしまったり事故状況との整合性がなかったり等,何らかの理由で事故と怪我の因果関係が怪しいケースなどが多いです。

いずれの場合でも,自分の保険で人身傷害補償保険に入っていれば,

多くの場合,治療費支払のほか慰謝料等を補填してもらうことも可能ですから,まずは,自分の保険の利用を検討します。

②③の場合には,もちろん自分の保険会社も独自に判断をすることになりますが,

相手方の保険会社よりはまだ緩やかな判断になることが多いように思います。

他にも,定額であったり損害補填という意味合いは少ないですが,搭乗者傷害保険なども利用することで自己負担額が減ります。

もしこうした保険がなければ,相手方の自賠責保険に対して被害者請求を行うことを検討しますが,

①の場合には,過失割合次第で自賠責保険の上限額が減額されることに注意が必要ですし,

②③の場合には,そもそも怪我と治療の因果関係に問題があるケースのため,自賠責保険でも補償されない可能性を含んでおく必要があります。

実際にこうしたケースの判断は微妙な場合が多いので,交通事故の経験豊富な弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

他にも,賠償としては対応はするものの,治療費に関しては労災や健康保険を使ってほしいと言われるケース,

医療機関側の問題で一括対応をしていないので一旦立て替えてほしいと言われるケースなどもあります。

これらの場合には,一括対応をされていないというだけで最終的な賠償の際に問題となることはまずありませんが,

初動でどのように対応すべきか迷った場合にも,交通事故に詳しい弁護士に相談しておいた方が,賠償の際にも安心です。

 

債権法改正が交通事故事件に与える影響

4月1日に債権法が改正され,交通事故事件に影響を与える部分の変更もありました。

 

まず大きく影響を与えるのが,時効に関する改正です。

改正前は,不法行為である交通事故に基づく損害賠償請求権の時効は,

損害と相手方を知った時(権利を行使することができることを知った時)から3年以内,

かつ不法行為の時から20年以内,とされていました。

しかし,身体や生命にかかわる請求権の重要性から,

改正後は,生命または身体の侵害による損害賠償請求権については,

損害と相手方を知った時から5年,不法行為の時から20年,と時効期間が長くなりました。

ただ,生命や身体の損害のみ延長されることになるので,車などの物損は,

これまでどおり3年ということになり,時効期間がずれてくるので注意が必要です。

 

また,改正により法定利率が5%から3%に引き下げられ,中間利息の控除と遅延損害金の計算に影響を与えます。

中間利息の控除とは,交通事故で後遺症が残ったことにより将来の収入が減った場合の損害(逸失利益)について,

将来の損害を現在賠償してもらうために現在と将来の貨幣価値を調整するようなものです。

これについては,改正後の方が逸失利益は高くなりますので,被害者にとってはプラスになります。

他方,遅延損害金については3%への引き下げにより減額されますので,被害者にとってはマイナスになります。

 

基本的には大きな混乱が生じないように経過措置をとったり基準時を調整したりされますが,

改正によって交通事故事件の賠償にも影響は少なからずありますので,

こうしたことを見落とさないためにも,交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

コロナに関する助成金等について

コロナでの外出の自粛やそれに伴う休業等が相次いでいます。

学校の休校に伴う補助として,

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための助成金が設けられました。

ただ,これについては法人ごとの申請で,休暇を取得させた事業者への助成金です。

委託で仕事をされている個人の方には,

別途,小学校休業等対応支援金という制度があります。

 

また,その他の助成金として,

雇用調整助成金や,時間外労働等改善助成金などもあります。

 

雇用調整助成金は,経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が,

労働者に対して 一時的に休業・教育訓練又は出向を行い,

労働者の雇用の維持を図った場合に,休業手当・賃金等の一部を助成する制度です。

 

時間外労働等改善助成金は,テレワークコースと職場意識改善コースに分かれており,

コロナ対策でテレワークを導入,または,特別休暇の規定を整備した中小企業事業主に,

特例的に補助を行うものです。

 

それぞれ,厚労省のホームページや,

各都道府県労働局(東京の場合には,東京労働局など)のホームページなどに,

詳細な内容や申請や問合せ先が載っています。

今後も随時更新されていくと思いますので,ぜひご活用ください。

障害年金について

交通事故被害を受けた方の中には,その受傷内容次第で障害年金を受け取れる方もいます。

もともとは交通事故被害に限らず,一定の怪我や病気によって,生活や仕事を制限される状況にある人に

現役世代であっても年金制度として保障を行うものです。

 

障害基礎年金と障害厚生年金に分けることができ,

受傷後初診の際に国民健康保険に加入していたか,厚生年金に加入していたか,

によって分かれます。

 

公的年金制度のため,保険料納付用件などもありますが,

初診から一定の期間経過後に,一定の障害のある状態となったことによって

障害認定がなされます。

たとえば,交通事故被害で認定される可能性があるものとしては,

人工骨頭又は人工関節を挿入置換した場合,

人工肛門を造設した場合,尿路変更術を行った場合,

新膀胱を造設した場合,切断または離断による肢体の障害,

その他視力や聴力などの障害が考えられます。

 

症状の程度によって等級の認定を受け,

それに該当する年金額を受け取ることになります。

また,障害厚生年金の場合,初診日より5年以内に治癒し障害厚生年金を受け取る程度より軽い障害が残った場合は,

障害手当金という一時金が支給されます。

 

交通事故被害の場合,病院入院中にこうした案内をされるケースも多いですが,

認定時までに期間を要することからこの手続を忘れてしまっている方も見かけます。

後遺障害認定を受ける程度の障害が残っている場合には,障害年金受給要件に該当する可能性もありますので,

気になる方は年金事務所へ相談に行ったり,後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

耳(聴力)に関する後遺障害

最近ご相談の多い,耳に関する後遺障害について,書きたいと思います。

交通事故での耳の後遺障害には,欠損障害と聴力障害,平衡機能障害があります。

 

欠損障害の場合には,耳殻の大部分(半分)を欠損していると,

後遺障害12級が認定されます。

しかし,外貌醜状(顔や首などの傷跡や見た目の障害)として

後遺障害が認定される場合には,その等級との調整が行われます。

 

また,相談の多い症状としては,耳鳴りなどがあります。

耳鳴りについては,この症状だけで後遺障害が認定されるということはありません。

多くの場合,聴力障碍である難聴を伴うので,その程度と併せて,後遺障害等級の判断がなされます。

 

さらに,聴力障害についても,片耳の場合,両耳の場合などによって,

後遺障害等級は変わってきます。

また,聴力といっても,音を拾う能力である聴力レベルと,

音を判別する明瞭度と,それぞれの数値によって後遺障害等級も変わってきます。

そのため,聴力障害の後遺障害認定については,必要な検査をきちんと受けていることが,

最低限必要になってきます。

検査の受け方についても,一定の期間を空けて複数回検査を行う,

複数回検査を行い問題がなければそのうちのいくつかの平均値をとる,

などいくつかの決まりもあります。

 

耳が聞こえにくくなった,耳鳴りがする,などの症状が長引いている場合には,

後遺障害に該当するかもしれませんので,治療を終える前に,

交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

高次脳機能障害の画像所見

交通事故で脳に損傷を受けた場合,その損傷を明らかにするために,

画像所見が非常に重要になります。

高次脳機能障害の後遺障害認定においても,画像所見の存在はほぼ必須といえます。

 

画像所見はないのに,記憶や行動の障害がある,性格が変わってしまった,

といった症状がある場合には,改めて適切な画像検査などが行われているか,

見直してみるべきことがあります。

 

 

たとえば,CTで脳内の出血などが分かる場合にはよいのですが,

びまん性軸索損傷などと呼ばれている損傷の場合には,

CTでは写りにくい,という問題があります。

この場合には,MRI,特にT2,T2*像,磁化率強調像などを試すことで,

出血の痕跡や高信号を捉えることができることがあります。

 

また,MRI所見がない場合にも,PET検査といわれる検査などで,

脳損傷に特徴的なパターンの所見を得られ,

微小な気質的損傷の存在が明らかになることもあります。

 

事故から時間が経過すればするほど,画像所見が得られたとしても

その価値は変わってしまいますので,

事故に遭われて頭部を強打した,脳震盪と診断された,

記憶や行動に関する障害がある,というような場合には,

お早目に交通事故・後遺障害に詳しい弁護士にご相談ください。

TFCC損傷の画像所見

交通事故で手首をケガした,という方の中には,最初は軽い捻挫だろう程度に思っていたところ,

実はTFCC損傷だということが分かった!という方がいます。

 

事故から比較的すぐにMRI検査や関節造影検査などを行い,

専門の医師がTFCC損傷であるということを発見してくれればよいのですが,

そうでない場合,交通事故とケガの因果関係を否定されてしまうおそれがあります。

特に,最初の段階だと,捻挫であっても痛みはあるため,TFCC損傷であるということ自体に気づきにくく,

痛みがなかなか引かないために初めて検査をしてみる,ということも多くあり,

事故から数ヶ月も経過してから撮った画像などでは,事故との因果関係を立証するのは容易ではありません。

 

しかも,MRI画像ではTFCC損傷の有無は容易ではありませんので,

専門の先生にきちんと診ていただく必要があります。

MRIの場合には,T2強調像で高信号として描出されます。

 

さらに有用なのは,関節造影検査で,橈骨手根関節から遠位橈尺関節への造影剤の漏出,

TFCC構造体内への造影剤の侵入などの所見が得られます。

 

こうした,TFCC損傷であることを示す所見を,いかに事故から早い段階で得られるか,

が重要になりますので,交通事故による手首の痛みに悩まされている方は,

ぜひ一度交通事故に詳しい弁護士への相談,専門医への受診を早めにしていただければと思います。

2020年

新年あけましておめでとうございます。

昨年もたくさんの方々にお世話になりながら,

無事に終えることができました。

今年も,よろしくお願いいたします。

 

年始めらしい話題としては,先日初めて戸隠神社に行ってきました。

昔から赴きもパワーもある霊場と聞いていましたので,

ずっと行ってみたかったのですが,やっと初詣としてお参りすることができました。

雪道かつ時間の制約もあり山の上の方にある奥社,九頭竜社などしか参れませんでしたが,

本当に心が洗われるような落ち着いた杉並木でした。

樹齢400年という杉が何本も植えられていて,すがすがしくもありました。

ただ,足元は日陰になっているところが多く,基本的に凍っていて,

皆さん大方すべっていました(笑)

私もさっそく奥社の近くの階段で盛大にしりもちをつきましたので,

おそらく戸隠神社のパワーに直接ぶつかることができたのではないかと思っています。

 

おみくじは吉で,先人の助言に従うこと,急かないこと,とありましたので,

今年は特に先人の知恵や歴史に学びつつ,焦らず着実に進もうと思います。

ひとまずおみくじを自宅のホワイトボードに貼って,毎日見ることにしました。

 

それでは,オリンピックイヤーとなる今年もよろしくお願いいたします。

 

後遺障害診断書作成のポイント

交通事故に遭って後遺障害が残ってしまった場合,

後遺障害の申請を行います。

この申請は,相手方保険会社の自賠責保険会社に資料を提出して行います。

実際に後遺障害に該当するか,該当した場合の等級について認定を行うのは,

損害保険料率算出機構で,各損害調査事務所にて審査が行われます。

 

後遺障害申請においては,事故証明書や事故から症状固定日までの診断書・診療報酬明細書,

後遺障害診断書などの必要書類を提出しますが,

後遺障害等級の認定においては,後遺障害診断書の記載内容が非常に重要になってきます。

 

必要な検査を受けているか,必要な計測を行っているかなどの確認を経ず,

後遺障害の認定に最低限必要なことが記載されていないまま後遺障害診断書を保険会社に送ってしまえば,

当然,後遺障害等級の認定において不利になってしまいます。

 

また,検査や計測のほか,残存症状の記載のされ方ひとつとっても,

後遺障害等級認定において大きく判断を左右する事情となります。

 

後遺障害診断書の適切な記載については,怪我を治すということを命題としている医師もあまり精通していないことが多く,

どういう内容を書いてもらうか,後遺障害に強い弁護士に相談することが重要です。

 

また,後遺障害診断書の内容だけでなく,後遺障害に強い弁護士であれば,

より有利になるであろう資料などをさらに添付して提出することもできます。

 

後遺障害に悩んでいる方は,ぜひ後遺障害に強い弁護士にご相談ください。

後遺障害に関する弁護士法人心東京駅法律事務所のサイトはこちら

高次脳機能障害

今日は,最近相談の多い,高次脳機能障害について書きたいと思います。

 

高次脳機能障害とは,交通事故で頭部に大きなダメージを受けたことで,脳に損傷が生じ,

記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害などが生じる障害です。

頭部へのダメージが強かった場合には,こうした障害が残るかもしれない前提で家族や周りの方も動く必要があります。

具体的な症状としては,事故前にはなかったのに,

意思疎通が難しくなる,激しい物忘れがある,理由もない衝動的な行動をするようになった,

自傷行動や情動運動をしてしまう,情緒不安定になるなど,様々です。

 

しかし,高次脳機能障害は,非常に難しい障害で,後遺障害として認定されるには,

多数のポイントを押さえる必要があります。

 

 

まず,入口の3要件として,

①脳挫傷,びまん性軸索損傷,びまん性脳損傷,急性硬膜外血腫,急性硬膜下血腫,

外傷性くも膜下血腫,外傷性くも膜下出血,脳室出血,骨折後の脂肪塞栓で呼吸障害を発症,低酸素脳症,

のいずれかの傷病名が診断されていること,

②上記傷病名について画像所見が得られていること,

③頭部外傷後の意識障害,もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること,

が必要です。

 

ただ,事故直後は,もっともひどい症状について目がいってしまうこともあり,

見落とされてしまう可能性もあります。

もし,事故状況や症状から高次脳機能障害が疑われるような場合には,

事故直後から,脳の検査を行うなどして,証拠が何もない,というようなことは起きないようにしておく必要があります。

 

 

そして,入院中など,事故直後の段階から,意識障害について確認をし,

診断書やカルテにその内容を記載しておいてもらう必要があります。

 

特に,ご本人がお話するのが難しいような場合には,ご家族ができる限り症状などについて

医師や看護師にお伝えしておかなければ,当時の記録としては残らない,という可能性もあります。

 

また,治療が進んでからも,症状がどの程度日常生活に影響を与えているかが

後遺障害として認定される等級に影響を与えますので,

こうしたことも,日記に控えておいたり,医師や看護師に伝えておく,というのが重要になります。

 

高次脳機能障害が疑われる場合には,初期の資料も重要ですし,

後遺障害の認定可能性を見据えたサポートが早期から必要ですので,

お早目に後遺障害に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

東京で高次脳機能障害で弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

 

内定者研修

来春から当事務所に勤務する予定の新卒スタッフの内定者研修に参加してきました。

皆さん,数多くの方の中から選ばれただけあって,意欲も高く,真面目な方たちでした。

私の所属している東京駅法律事務所にも,複数の新卒スタッフが勤務する予定ですが,

今から来春が楽しみです。

最近では,入社直後に辞めてしまう人が多いとか,転職市場も活性化しているので

比較的簡単に転職する人が多い,と聞きますが,

採用にも携わっている身としては,できる限り長く一緒に働いてもらいたいな,

というのが本音です。

皆さん,もともとやりたいことや,役に立ちたいことなど,様々な思いで会社を選ぶと

思いますが,当初描いていた気持ちを忘れず,楽しく仕事ができる環境を自ら作っていく,

ということを忘れなければ,とてもいい職場になると思います。

今日のヤフーニュースでもありましたが,社員が自ら選ぶという感覚,

責任と同時に裁量を持って働くということ,は,職場環境にとってとても重要なことだと思います。

弁護士法人心も,代表の西尾が常々言っている,モチベーション経営というのは,

まさに社員一人一人のモチベーションが自ら高く満たされている状況を実現する経営だと思います。

今後も,より一層よいメンバーに集まってもらうためにも,頑張ってまいります。