法人の破産手続の難点

法人破産は個人破産よりも手続が複雑になる傾向があります。

従業員が多かったり取引先が多かったりすれば複雑になることは想像しやすいと思いますが、弁護士としてまず気になる点は賃貸物件があるかどうかという部分です。

賃貸物件があると、明渡しの問題、原状回復義務の問題がでてきます。
賃貸物件があっても容易に明渡しができるケースは別ですが、すでに経済的に窮状に陥っており、原状回復が困難になっていることも多いです。

原則としては、早期に破産申立てを行って明渡しや原状回復業務を破産管財人に委ねることになるのですが、明渡し未了の物件がある場合は破産自体にかかる費用(破産管財人に支払う費用)が高額になってきます。

そのため、賃貸物件がある法人の破産手続は、ある程度の資金が残存している、あるいは売掛金等の入金予定があるという状態でないと、事実上手続を進めていくことが難しくなることがあるのです。

逆に言えば、すでに賃借物件の明渡しが進んでいる状態であったり、自宅を事務所代わりにしている場合、また、そもそも事業所がない形で営業していたりするケースは、法人破産であっても比較的費用を抑えられて手続の複雑さも減少するといえます。