債務整理と仕送りの問題

ご両親や親族に仕送りを行うことは、一般的・道義的に褒められるべきものであり、非難されるものではないでしょう。

しかし、債務整理を行おうという人が仕送りを行っていると問題が生じ得ます。

例えば、借金を返せなくなっている人が無償で物を人にあげているケースを想像してもらうと良いかと思いますが、この人の行為は不適切だと多くの人が考えるでしょう(人にあげるのではなく、借入先に返済することを優先すべきだ、ということですね。)。

そして、仕送りという行為も形式的にはこれと同じだということになってしまうのです。

もちろん、赤の他人に挙げている場合と違い、親子間では扶養義務があるため、その範囲内と言えればよいのですが、この判断はなかなか悩ましいところがあります。

例えば、親が施設に入居していたり長期間入院しているなどの状態にあり、その施設代や医療費を自分が支払うしかない、という状況であればそれはやむを得ない支出という方向になるでしょう。

他方で、年金だけだと生活が苦しいから仕送りをしている、という程度だと扶養義務の履行とは言いにくく、不適切な贈与だと考えられてしまうかもしれません。

不適切だと判断されてしまうと、自己破産手続の場合は破産管財人から仕送りを受けた人に対し、お金を戻すように連絡がされます。

仕送りを受けている人は自己破産するという状況にあることを知らないことも多く、また自己破産を申し立てる側としても知られたくないと考えていることが多いので、この点は悩ましい問題です。

債務整理手続が完了するまでは仕送りを止めておくことが一番無難ではありますが、事前によく弁護士に相談しておくことが大事になります。