個人事業主が破産する場合の売掛金や報酬金の問題

自己破産する場合に、事業を辞める場合、あるいは辞めざるを得ない場合はそれほど問題にならないですが、破産手続後も個人事業主の立場を継続するという場合は、申立後の報酬金や売掛金がどうなるのかに注意を払う必要があります。

自己破産をすると、破産手続開始決定時にその人が保有している財産は基本的に処分されることになります。

すると、破産手続開始決定時に有している売掛金や報酬金についても、処分されてしまうのが原則ということになります。

例えば、4月末締め5月末払いの報酬債権がある場合に、5月半ばに破産手続開始決定が出ると、その時点で5月末に支払われる報酬債権という財産を持っていることになるため、受け取ることができないというのが原則になるのです。

この点は給与所得者と個人事業主の大きな違いです。

個人事業主といっても実態は様々ですので、実質的に給与所得者と同じような業務形態であるという場合は、給与所得者と同じ扱いを受けられることもありますが、最終的には裁判所が判断する事柄になりますので、個人事業主である以上は破産手続開始決定時の売掛金や報酬債権を処分されてしまう可能性があるということで考えておく必要があります。

場合によっては、売掛金や報酬債権を処分されても生活が維持できる状況を作ったうえで申し立てに移るということも考える必要があります。