破産管財事件について

自己破産を考えたことがあれば、おそらく「同時廃止」と「管財事件」という言葉について早い段階で目にすることになると思います。

比較的簡明な事案については同時廃止手続で進み、複雑な事案については管財事件になるということや、管財事件となったときには別途予納金がかかるため同時廃止になった方が有利といったことが書かれていることが多いと思います。

おそらくそうした説明を事前に調べているために、「同時廃止で手続きが進むようにしてほしい」という希望を述べられる方もいらっしゃいます。

ただ、勘違いしてはいけないのは、決して同時廃止が善で管財事件が悪というようなものではないということです。

本来は破産管財手続が破産手続の基本的な形であり、例外的に簡略な事案について同時廃止という手続が存在しているといったものなので、破産管財手続になったからといって免責が認められない可能性が高まることにはなりません。

東京地裁では全体の60~70%が管財手続で進められるため、ある意味原則と例外の位置づけについて本来の形が維持されているともいえるのですが、その他の地域の多くにおいて原則と例外の割合が逆転している状態にあります。

それもあり、管財手続に対する拒絶反応のようなものが醸成されてしまっているのかもしれません。

もちろん、管財手続の方が費用面で有利なのはその通りですが、必要以上に畏怖するようなものではないのでご安心ください。

相続放棄の期限

相続放棄の期限は、相続人となったことを知ってから3か月以内ですので、弁護士の行う手続の中でもかなりタイトな時間制限がある手続です。

上記期限は、一般的に被相続人が亡くなった日から3か月と同じ意味であるとされることが多いですが、必ずしも被相続人が亡くなった日にその事実を相続人が知るとは限りません。

特に、きょうだいや甥姪の立場にある方の場合などは、被相続人とすでに疎遠となっていて、死後しばらく経ってから亡くなったことを知るということも珍しくありませんし、場合によってはほとんど会ったことがないというケースも散見されます。

そうした場合は、亡くなった日ではなく亡くなったことを知った日がいつなのかが大事になってくることになります。

ただし、本当に亡くなったことを知ったのが後になってからなのか、後になって争いになることもないとは限りません。

ですので、例えば郵便等で被相続人が亡くなったことを知らされたのであれば、その郵便がいつ届いたものなのかは大事な証拠になる可能性があります。

郵便が届いたのであれば、書類や封筒自体もきちんと保管しておくようにしましょう。

そうした裏付け資料がない場合であっても、被相続人の死後すぐに亡くなったことを知ることができるような関係になかった(疎遠であった)ということをきちんとわかるようにしておくと、より万全かと思います。

初めての問い合わせ

何かを始めるにあたって、まず最初に問い合わせをするということがあると思いますが、私はこれが億劫なタイプの人間で、いきなり電話を掛けたりすることにはかなり勇気が必要です。

いざ問い合わせてみると、別に何か問題があるでもなく、とんとん拍子に話が進んでいくので、「もっと早く始めていればよかったなぁ」などと思うことも多々あります。

ただ、そうとわかっていてもやっぱり勇気がいるんですよね。

考えてみると、弁護士に初めて問い合わせを行う際の緊張もそれと同じか、むしろそれ以上でしょう(もちろん、もともとそういうことに抵抗がないという方もいらっしゃると思いますが。)。

自分と同じように、初めての問い合わせを行うのが得意ではない方からしたら、これほど億劫な問い合わせもないのだろうなと思うと、最初の問い合わせ方法として、電話だけでなくメールや問い合わせフォームなどのより敷居の低い手段があることの意義は大きいのだろうなと感じます(自分だったらおそらく電話問い合わせの勇気が出ず、メール問い合わせ等を選んでいると思います。)。

問い合わせを受ける側からすると、こうしたことはあまり意識しなくなってしまいがちではありますが、自分が何かしら初めての問い合わせを行ってみると、改めてこんなことを思い起こしました。

「事件」という言葉について

弁護士が依頼を受けるにあたっては、依頼の内容を明らかにする必要があります。

例えば、被った損害について誰かに賠償を求めるのであれば、それは損害賠償請求の依頼ということになり、弁護士の側では「損害賠償請求事件」として分類することになるでしょう。

この「事件」という言葉について、しばしば抵抗を覚える方がいらっしゃるようです。
おそらく「事件」というと、テレビや新聞で報道されるような重大な刑事事件・トラブルを想起してしまうのだと思います。

しかし、「事件」という言葉にそれほどの意味はなく、「事案」や「案件」といった程度の意味しかありません。
離婚の依頼であれば離婚事件ですし、相続の依頼であれば相続事件といった形で表現しているにすぎません。

契約書等に「事件」という記載があると、「先生、私のケースは『事件』になってしまうんですか!?」といった質問を受けることもあり、その都度上述のような説明を行うのですが、それでもやはり「事件」を気にされる方もいるのは事実です。

専門家の使う用語と日常の用語のニュアンスに違いがあるというのは、必ずしも法曹の世界だけに限られないことだと思いますが、今一度一般的な感覚とのずれを意識して、普段から丁寧な説明を心がけたいなと感じます。

今年もあと2か月と少し

歳を重ねるにつれて、本当に月日が経つ早さがものすごいなと感じてしまいます。

このスピードで時間が過ぎたらあっという間に体力も衰えてしまいそうなので、

体がなまらないようにする努力だけは頑張っています。

とはいえ、週2、週3で運動するというところまではなかなかできないので難しいところです。

緊急事態宣言について

今月末でようやく緊急事態宣言が解除される見込みのようですね。

今のところ今年のほとんどが宣言下での日々だったとか。

早く元のようにみんなでワイワイしたり、海外旅行に自由に行けるようになるといいですね。

この数年会えていない人たちの近況を聞くだけでも、かなり(楽しい)時間を使うことになりそうな気がします。

弁護士のイメージ

弁護士が身近にいるという人はまだまだ稀であり、

初めて弁護士事務所に相談に行く人がイメージする事務所の様子、弁護士の風貌・いでたちなどは、人によってかなり異なるようです。

 

私は自分の見た目が弁護士らしいとは全く思っていないのですが(自分でいうのもあれですが、一般的な「弁護士」のイメージと比べてまだまだ見た目が和解と思っています。)、

しばしば「いかにも弁護士らしい感じ」と言われることがあります。

 

「弁護士らしい見た目」は必ずしもプラスでもマイナスでもないと思うので、

そうおっしゃっていただいた方に特にお世辞の意味合いはなく、率直にそう思われたのではないかと考えているのですが、

たぶん私の「弁護士」イメージとだいぶ異なるんだろうなと感じます。

 

このイメージ形成には漫画やドラマの影響もあるのでしょうか。

たしかに昔と比べると、最近は若い俳優(実年齢だけでなく、見た目が渋い方向でなく若い方向性の方)が弁護士役をしていることが多いかもしれません。

 

ただ、実際のところ、昔と比べて司法制度改革により法曹の数が増えていますので、若い弁護士の数も増えており、このイメージは当たっているのかもしれません。

特に東京では(全体の数自体が大きいとはいえ)比較的若い弁護士の数が多いため、

今後ますます弁護士のイメージが若返っていくのかもしれないと感じます。

住宅の価値

賃貸がいいのか持ち家がいいのか、というテーマは昔から語られているところですが、

いまだに明確な答えはなく、最終的には個人の考え方次第という玉虫色の締め方になることが多いように思います。

 

もっとも、この問題についてはどこに住むことを前提にするかという点も重要なのかなと感じます。

例えば、弁護士の行う債務整理手続の1つに個人再生という手続があるのですが、これを行うかどうかの判断にあたり、

住宅価値を査定することがあります。

基本的に地方で住宅を購入する場合、基本的には購入時を頂点として、住宅価値は時間の経過とともに右肩下がりとなるのですが、

東京あるいは首都圏に含まれる地域では、住宅価値があまり下がらず、場合によっては購入時よりも価値が増しているということがあります。

 

実は個人再生を行う場合は、住宅価値が下がっている方が都合がよかったりもするのですが、

それはさておき、東京で住宅を購入する場合、購入価格は高いかもしれませんが、

住宅価値が落ちないのであれば、支払ったお金が住宅という資産に形を変えているだけで、

その人の財産は減っていないということができそうです。

賃貸の場合、支払った賃料の分、その人の財産が減るということになるので、

両者を比較するときはその点を吟味する必要があるだろうなと感じます(もちろん、住宅を購入する場合、各種税金や維持費がかかりますし、住宅価値が高いほどこれらも高額になる傾向にあるので、やっぱり比較は難しいということになるのですが。)。

コロナによる裁判所への影響

新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから早1年以上が経過しましたが、弁護士の業務にも多々影響が生じました。

とはいえ、法律相談を行ったり、ご契約をいただいたりといったことは、緊急事態宣言中も工夫をして行うことができておりましたので、

特に影響が大きかったのは裁判所の問題かもしれません。

 

あまり報道されることが多くないので、知らない方も多いかもしれませんが、最初の緊急事態宣言以降、裁判所の事件処理にも大きな変化がありました。

たとえば、東京地裁でいうと、係属している案件について、緊急性のないものについては基本的に期日が延期されました。

また、宣言期間中に訴状が提出された場合、すぐには初回期日が決まらないという状態が続き、部によっては2~3か月初回期日が決まらないということもありました。

 

加えて、本来であれば裁判所に出向くことが求められる手続について、出来る限りそれを不要とするようになりました。

たとえば、自己破産の手続を行う場合、東京地裁では申立直後にまず申立代理人の弁護士が裁判官と面談を行うことになるのですが(即日面接)、

対面方式ではなく電話面接の方式がとられるようになりました(現在でもその運用が継続しています。)。

また、破産手続が進んで最後に行われることになる免責審尋や債権者集会については、申立人本人が裁判所に出頭する必要があるのですが、

これについても原則不要という運用になりました。

 

裁判所へ出向くことをどこまで減らすべきなのかについては議論のあるところだと思いますが、

通常であればなかなか運用を変えることがない裁判所ですので、

コロナをきっかけにというのもなんですが、より使いやすい機関になってほしいと思います。

クールビズ

今年もじりじりと暑い季節となってきましたが,特に男性の場合はスーツを着ること自体がつらいと感じることも多いのではないでしょうか。

私も毎日帰宅したら一刻も早く着替えます。

 

ところで,クールビズという言葉が普及してかなり経ちますが,クールビズが適用されるのは裁判所も例外ではありません。

東京地裁では,5月から10月までクールビズが適用されています。

他の公官庁は5月から9月までということが多いように思うので,裁判所は他の公官庁よりも暑いということなのか何なのか実際のところはわかりませんが,

たしかに裁判所は暑い(そして冬は非常に寒い)印象が私の中でも強いです。

 

しかし,5月から10月というと,もはや文字通り1年の半分ということになるので,

いまや「クールビズ」は例外的な時期ではなく,単なる冬服に対する夏服という感じですね。

やはり温暖化の影響なのでしょうか,休日の街中でも,この数年以前より半ズボンの男性が増えたような気がします。

これまでは成人男性的に半ズボンはちょっと恥ずかしいという気持ちがあったのかもしれませんが,

もはや珍しいものでもなくなったということで,その恥ずかしさが薄れたのかもしれませんね(私がそうなので。笑)。

 

そんなことを毎年夏になると思っていたのですが,初めてブログに書いてみた次第です。

 

また,今月弊所が千葉市内に新しい事務所を開設しましたのでご紹介いたします。

千葉法律事務所

宜しくお願い致します。

裁判にかかる時間

裁判が終わるまでにかかる時間がどれくらいか,ということについて,ご存知の方は多くないと思います。

弁護士の仕事をしていて,様々な質問をいただくことになりますが,その中でもこの質問はかなり多いです。

ただ,正直なところケースバイケースという面が強く,ふんわりした回答になってしまうことも少なくないです。

 

例えばテレビで報道されるような大きな事件だと,まず始まるまでにものすごく時間がかかり,

判決が出るまでにも当然時間がかかり,そのような事件の場合控訴審,上告審と話が進むことも珍しくないので,

結局すべてが終わるまで長い年月を要します。

ただ,もちろんこれがスタンダードというわけではありません。

 

誤解を恐れずに言えば,裁判官としても早期解決できるのであればそれに越したことはないのですから,

訴訟当事者が早期解決の希望をもっていれば,その裁判は相対的に早く終わるでしょう。

また,裁判は双方の主張に争いのない部分と争いのある部分(争点)とを分け,争点に関して主張を応酬させていくイメージですので,

争点が少なければやはり比較的早く終わることが多いです。

そして,争点に関する証拠がすぐに出揃ってしまえば,主張も早期に出尽くすわけですから,裁判官が早い段階で和解案を出してくれることもあります。

 

裁判に至るまでの間に,すでに弁護士をつけて相手と交渉を行っているようなケースだと,

裁判になった時点で争点も明確になっていて,証拠関係も揃っていることが少なくないので,

2,3回目の期日で早くも和解の話に進むということがあります。

そこで和解が成立するならば,裁判を起こしてから半年以内での解決ということも十分にあり得るので,

一般的な裁判に要する時間のイメージとはだいぶ変わるのではないでしょうか。

 

 

当法人が四日市市に新たに事務所を開設いたしましたので,ご紹介させていただきます。

弁護士法人心四日市法律事務所

大人になってからの方が勉強したくなる,という話

学生時代は“やれといわれたから”,“受験に必要だから”という消極的な理由で嫌々勉強していたけれども,

大人になって社会人になると急に勉強がしたくなる,なんて話はよく聞きますが,

私もまさしくそんな感じになってきている気がします。

 

“特定の分野を研究したい!”といった域にはまだ達していないのですが,

いろんなことを学んでみたいという知識欲が湧いてくる感覚があります。

以前ブログで書いた資格試験を受けたくなるという心境も同じところに端を発しているんだと思います。

 

私は大学が政治経済学部で,経済学を勉強していた(はず)のですが,

正直ほぼほぼ内容を覚えておらず,今となっては惜しいことをしたなという気持ちが強くあります。

そこで,少しずつではありますが,大学時代に学んだことについても復習していたりします。

どうしても経済数学がしっくりこないのは昔と変わっていませんが。笑

 

弁護士業務と関係ないことをあれこれ学んだところで仕事には役立たないのでは,という感も一見するとありますが,

不思議なもので,まったく別の分野に頭を使うと,普段の弁護士業務を俯瞰して見る感覚が生まれ,

精神的に余裕が出るように思います。

ずっと同じことをやっていると頭が凝り固まってしまうけれども,別のことを行うことで凝りがほぐれる感覚,といったところです。

ですので,今後も当面は色々な分野の知識をつまみ食いしたいなぁと考えています。

そして,あわよくば“もっとこれを知りたい!”と思えるものに巡り合えるといいなと感じています。

尋問手続

裁判という言葉からイメージするものが,弁護士から尋問されている映像だという人は多いかと思います。

たしかに裁判の中で一番裁判らしい手続なのが尋問手続かなぁという気がします。

 

もっとも,裁判を行った人すべてが尋問を経験するのかというとそうではないですし,

なんなら尋問手続を行うのはごく一部の裁判だといっても過言ではありません。

 

裁判の種類にもよってきますが,基本的に裁判は書面による主張の応酬であり,

双方の主張が出尽くした段階で,和解が試みられることが多いです。

ここで和解が成立すれば裁判はそこで終わるわけですが,

和解が成立しないと,裁判官の判決に向けて話が進んでいきます。

そして,判決に進んでいく場合は,判決の前に尋問手続が行われることがあるのです。

 

幸か不幸か尋問されることになったという方は,大変緊張するかと思います。

しかし,ひとつ安心してほしいのは,尋問手続によって裁判の結果が決まるのではないということです。

もちろん,尋問でどんな話をしたかということも大事ですが,

そもそも双方の主張はその時点で書面により提出されているわけです。

ですから,訴訟当事者の方が尋問を受ける場合,その方が何を訴えたいのかは基本的にみんなわかっていますので,

尋問で一からすべてを話さなきゃいけない,と考える必要はありません。

 

逆に何が聞かれる(見られている)のかというと,これまでの主張と,尋問される方の話す内容が整合的かどうかといった点です。

これまでAという事実を主張していた方が,急にBという事実を主張をしたり,あるいはAという事実を前提としたら起きえない事実を述べたりすると,

Aという事実があったかどうかは非常に疑わしくなります。

きちんと記憶のとおりそれまでの裁判で主張してきたのであれば,尋問でもその記憶どおりに話しさえすれば,特に問題はないはずです。

 

ここまでの内容でも少しわかるかと思いますが,尋問は加点というより減点の視点で見られることがあるかもしれません。

つまり,尋問でいいことを言ったから有利になるというよりは,これまでの主張と矛盾しなければマイナスなしで,

矛盾することを言っていると信用が下がる(マイナスになる)という感じです。

 

尋問されることになった方は緊張すると思いますが,自分の記憶どおりに話していれば特に問題はないんだと思っていれば,

少しは気が楽になるのではないかと思います。

2020年の始まり

2010年代が終わり,2020年代が始まりました。

年をとるごとに時間の経ち方が早くなっていくとはよく言われますが,

本当にいつの間に2010年代の10年間が過ぎ去ったのだろうという感覚です。

2020年代は充実していたと胸を張って言えるような10年間にしていきたいと思います。

 

今年は何といっても東京オリンピックですね。

試合を見るという方はもちろんですが,残念ながらチケットに落選してしまったという方であっても,

街中でオリンピックを感じることは多々あるのではないかと思っています。

弊所は東京駅のすぐ近くですし,私もオリンピック競技が行われる会場から割と近いところに住んでいるので,

結構な頻度でオリンピックに関する非日常の雰囲気を味わえるのだろうと今から考えています。

 

なお,弁護士業界は,弁護士になるための最終試験であるいわゆる2回試験が11月に行われ,

その合格発表(不合格者発表)が12月になされる関係で,基本的に年末年始が新人弁護士のスタートになります。

ですので,新年の開始とほぼ時を同じくして,新人弁護士さんも裁判所などでちらほら見ることが増えてきます。

新人の目から見て,尊敬できる存在になれるよう,改めて気を付けようと思います。

裁判官は判決よりも和解で終わらせたい?

以前このブログでも書いたかもしれませんが,裁判=判決ではありません。

おそらく,「裁判」という言葉から多くの方が「勝訴」とか『敗訴』という言葉を連想されるのではないかと思いますが,

裁判の終結の仕方は判決だけではなく,和解という終わり方があります。

 

「裁判官は判決を書きたがらない」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

弁護士がそのように言っているのを聞いたことがあるという方もいらっしゃると思います。

実際に,裁判官が判決を書きたがらないかどうかはわかりませんが,

判決ではなく和解になるということが,悪いことだというわけでは決してありません。

 

和解は,双方がある程度譲歩することによって成立するもので,判決よりもある程度柔軟な内容にすることが可能です。

判決だと白か黒かはっきりせざるを得ない部分についても,和解だと,場合によっては中間的な内容になることもあり得ます。

すると,判決だと“もしかすると全面的に負けてしまうかもしれない”ものについても,和解だと“多少は認めてもらえた”ということが起こり得ます。

判決は,裁判官が一方的にくだすものであるのに対して,和解は当事者双方が自発的に受け入れる性質のものですので,

紛争の終わり方としても一応双方が「了承している」という点で,和解の方が判決よりも綺麗な終了だという見方もできるかと思います。

 

判決よりも和解の方が,という考えには,このような理由もあるのではないかと思います。

今弁護士を目指す人とは

以前にもブログで書いたかもしれませんが,司法試験の合格発表待ちの方々や,

晴れて司法試験に合格して,司法修習を間近に控えている方々の面接を担当させていただくことがあります。

司法試験受験者を網羅的に見ているわけではもちろんないので,

あくまで当法人の面接を受けていただいている方を見て,ということにはなりますが,

以前と比べて個性的なバックグラウンドをもっている方が多いような印象があります。

 

近年言われている,弁護士を取り巻く環境の厳しさもあり,それ相応の覚悟をしている人しか目指さなくなったからなのかなぁなどと思ったりもしますが,

実際のところはよくわかりません。笑

ただ,現在の司法試験受験生と少しでもかかわることで,そちらの業界が今どのような状況なのかということにわずかでも触れられる気がして,

個人的には少しうれしいです。

 

ちなみに,弁護士業界をはじめとした法曹界が,世間で言われているように厳しいのかどうかについて少し触れておくと,

私が弁護士になるよりずっと前の弁護士業界と比べて厳しいのは間違いないだろうと思いますが,

受験生時代に聞いたことのある,必要以上のネガティブキャンペーンほどには悪くないと思っています。

 

ですので,ぜひ,これまで以上にたくさんの人が司法試験を目指す状況が続いてほしいなと思います。

 

資格試験

私は学生時代から資格試験を受けるのが好きだったのですが,

どうやら今年に入るまでそれを忘れていたようで,

とある試験を受けたことで,自分の“資格好き”の性格を思い出しました。

 

何の肩書きも持っていない小学生・中学生の頃に,

漢検や英検に合格すると,さほどそれが難しくない級だったとしても

妙にうれしかったのを今でも覚えています。

弁護士という“資格”が必要な仕事に就くこととなったのも,

もしかしたら元来のこのような性格が影響した面があるのかもしれません。

 

そんなこんなで,今年から気になった資格試験を時折受けてみたりしているのですが,

興味深いのは,受験者の年齢層についてです。

仕事にも役に立つのだろうと思われる,ビジネス系の資格については

やはり大学生~20代くらいの若いサラリーマンが多いですが,

趣味の要素が強い資格については本当にまちまちです。

 

特に驚いたのは,高校レベルで習う内容が出題される資格試験でした。

私としては,(自分もそうだったのですが)昔学んだ知識を再度取り戻そうという方や

今まさにそれを学習している高校生が受けに来るのかなぁと思っていたのですが,

明らかに小学生と思われる受験生が多数いました。

中学受験で出題される範囲でもなさそうだったので,彼らは本当に好きで勉強しているのかもしれません。

 

いずれにしても,こうした様々な頑張っている方を見ると,こっちも負けないぞという気持ちになってきます。

弁護士業務の研鑽と並行することで,気分転換にもなっていい循環だなと感じています。

弁護士の仕事はデスクワーク?

弁護士の仕事のイメージは一般的にどのようなものでしょうか。

事件現場に行ったり依頼者や相手方のところへ訪問したり,あるいは裁判所に行ったりと

いろいろな場所へ動き回っているというものでしょうか。

それとも事務所でひたすらデスクワークというイメージでしょうか。

 

おそらくどちらの形で働いている弁護士もいるので一概には言えませんが,

ドラマなどで描かれる弁護士よりはデスクワークが多いのが通常かもしれません。

 

私も,東京の裁判所だけでなく,遠方の裁判所等に行くこともしばしばありますし,

その他にも時折事務所外に出る仕事がありますので,一般的な事務職の方と比べると動く機会は多いと思います。

ですが,やはり基本的にはデスクワークがメインの仕事だと思っています。

 

デスクワーク中心の仕事をしていると,どうしても運動不足になりがちですし,

姿勢が硬直的になるせいか,肩や背中,腰などに痛みや凝りが出てしまうなぁと実感します。

司法試験の勉強中も,椅子に座っていたことには変わりないはずなのに,

どういうわけかその時とは違う症状が出ています(年齢的な変化もあるのかもしれませんが…)。

 

このままではますます身体が大変なことになる!と思い,今年に入ってからスポーツクラブに入り,

週に1回でも2回でも,ちょっとずつ身体を動かすようにしました。

目に見えた変化はまだないものの,“自分は日頃まったく運動をしていないわけではない”と思えるだけで

罪悪感が減り,精神的にプラスになったように思います。

 

これからも身体には気を付けてお仕事をしていきたいものです。

内定者の研修

当法人では,近い将来弁護士として一緒にお仕事をすることとなる司法修習生の方々に対して,

内定者の段階から研修を行っています。

入所前から研修を行うことで,いざ実務が始まった時に最初から第一線で活躍できるように,という目的があるのはもちろんのこと,

内部の人間とこの時から交流をもつことで,双方にとって溶け込みやすい環境を作ることができていると思っています。

 

私もしばしばこの研修に内部の人間として参加する機会があり,先日も参加してきました。

いずれも明るく話好きな方々という感じで,私自身も楽しませていただいたと同時に,

彼ら彼女らがもつ将来に向けての期待・目標・ちょっとばかりの不安をひしひしと感じました。

 

司法試験という試験は,ほかの資格試験もそうだと思いますが,これに合格しただけでは,基本的に実際の仕事に対応することは難しいです。

そのために司法修習という期間があり,実務を目の前で見て,体感して,吸収するということになるのですが,

実際に働くことになる事務所で司法修習を行うわけではないので,やはり自分の行うことになる仕事については不明点も多く,

司法修習生は期待や不安の入り混じった気持ちになるのです。

 

彼ら彼女らが入所するときに頼れる先輩だと思ってもらえるよう,より一層経験を積んで知見を増やしていかねば,

と改めて思った次第です。

緩衝材としての弁護士

東京も最近はすっかり暖かくなり,ようやく花粉も落ち着いたかなぁということで,毎日とても過ごしやすいですね。

私は諸々のアレルギーを持ってるので,スギ花粉の時期はやはりつらいのですが,この時期だとだいぶ落ち着きます。

この頃はもうすぐゴールデンウイークなので,ここを目指してせっせと働いています。

 

最近お仕事で思うのは,当事者同士の間に入り,連絡役となるだけであってもとても大きな意味があるということです。

トラブルの相手方との間では,感情的な対立が激しいということはしばしばあります。

当事者の関係が,長年の友人,夫婦だというような場合,積み重ねてきたものが非常に複雑なため,

関係性を改善するのは,一筋縄ではいかないでしょう。

 

このようなトラブルを抱えた依頼者から相談を受け,相手方の情報を聞くと,たいていの場合は「“ものすごい人”が相手方になっている…厄介そうだ」という印象を受けてしまいます。

しかし,いざ相手方とコンタクトをとってみると,意外や意外,ごく普通に,冷静に,常識的な対応をしてくれるということが少なくありません。

言いたいことを感情的にならない表現できちんと伝えれば,相手方も同じように応じてくれることがあるのです。

 

そんなことを度々経験することで,弁護士には当事者の間で緩衝材となる役目も大きいのだなぁと感じる次第です。

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