事業譲渡による債務整理

会社経営をしている方の債務整理の手段として、事業譲渡があります。

事業譲渡することによって会社を破産させずに済むという面があったり、会社の破産になると費用が高額になってしまうため、会社は事業譲渡して個人だけ破産する、といった形で事業譲渡を検討されることが多いようです。

事業譲渡したうえで個人だけが破産するという場合、適切な対価で譲渡しているかどうかは注意が必要な点です。

もっと高額で譲渡できたにもかかわらず安い値段で引き渡してしまった、と見られてしまうと、裁判所からその差額分を補填するように求められないとも限りません。

しかし、適切な対価がいくらなのかを判断するのはなかなか悩ましい問題です。

決算書上負債が資産を上回っているからといってお金を出して買う人がいないかというとそうとも限りませんし、逆にある程度資産がある状態でも買い手がつかないこともあるかもしれません。

この辺りはその業界の事情、例えば新規で事業を起こすことの難易度がどの程度高いのか等にもよってきます。

新たに事業所を開く場合に高額なコストがかかる場合、多少負債を抱えている会社であっても、買収する方が新たに事業所を開くより低廉であれば、お金を出す価値がある(その事業に価値がある)といったことですね。

こうした業界事情については裁判所も弁護士も必ずしも詳しいわけではないので、最も手堅いやり方は相見積もりをとって一番高い金額をつけてくれたところに売るというやり方です。

これであれば、ある程度その事業の客観的な評価が担保されることになりますので、裁判所としても譲渡金額が妥当なものだととらえやすいでしょう。