不動産相続の豆知識②生産緑地制度1

今回と次回は,生産緑地制度についてお話します。

生産緑地制度は,1992年に始まった制度で,要するに都市部の農地につき,生産緑地として指定を受け,農業を継続的に行うことで,本来は宅地並みの税金がかかるところを,農地並みの税金に下げることができる制度です。

30年間の期間を定めての立法であり,また,1万3000ヘクタールもの都市農地が指定されていることから,30年が経過する2022年を期に,一気に宅地化が進むのではないか という問題が2022年問題です。2022年を前に,現在都市農家の方々は,再度生産緑地制度の指定を受けるか(10年間の更新),買い取り請求をするか(生産緑地としての指定を解除し,市区町村に買い取ってもらいたいという請求。市区町村は自ら買い取るか,別の農家に渡すか,宅地化を認めることになる)の選択をしなければなりません。

2018年になり,2つの改正が行われ,農地としての維持はしやすくなっています。

1つは,生産緑地法の改正により,最低面積が500から300平方メートルに変更されたほか。農地レストラン等,一部の建築物についても建築ができるようになりました。

2つ目は,都市農地の賃借の円滑化に関する法律により,自動更新なしの賃貸が可能,かつ,貸していても相続税納税猶予が受けられるという制度が始まり,農地として利用できない際に,貸すことがしやすくなりました。

このような状況のもとで,はたして生産緑地の解除はどれほど進むのか,が次回のテーマです。