不動産の価値についての問題

東京オリンピックが来年に迫っていますが,

東京都内にお住まいの方は,「オリンピックが終わるまで不動産を買うのは待った方がいい」

なんて言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

オリンピック後に本当に不動産価格が下がるのかどうかはわかりませんが,

東京の不動産価格は地方と比べ物にならない高さです(もちろん場所にもよりますが。)。

例えば,10年前に買った住宅が,むしろ現在の方が値上がりしている,なんていうことも少なくないですよね。

今高騰している住宅を昔買っていた人がうらやましいなあと思ってしまいますが,

実はこの話,弁護士にとっては債務整理手続,特に個人再生手続との関係で,大きなポイントになることがあります。

 

個人再生とは,簡単に言うと,現在の債務額を圧縮し(減額し),その圧縮された金額を分割払いで支払っていく…というのが基本的な流れです。

ただし,清算価値保障の原則があり,破産した場合よりも債権者に弁済する額(配当額)が少ないというのは認められません。

これは結局,住宅ローンが残っていても,実はその住宅の現在価値が住宅ローン残額を超えている場合,

超えた分については弁済を行わなければならないということになります(破産したらその住宅は売却され,残ローンを上回る部分については債権者に対して弁済されることになるため)。

 

先ほど述べたように,東京では買った時より今の方が価値が上がっているということが少なくないですし,

上がっていないにしても下がっていないということがしばしばあります。

たとえば,4000万円で買った家のローンが3000万円残っていたとしても,住宅の現在価値が5000万円になっていたら,

個人再生をしても,差額の2000万円は払わないといけないということになってしまいます。

多くの場合,これでは個人再生をする意味がないという結論になってしまうため,別の方策を探るということになるでしょう。

 

このように,東京都内でマイホームをもっている方の個人再生は,不動産価値の問題が重要になってきます。