自由財産として認められる現金

自己破産についてネットで調べると、「自由財産」という言葉が目に入ると思います。

自由財産は、破産手続を行った後でも破産者の手元に残しておくことができる

つまり破産手続の中で処分されずに、その後の生活に利用することができる財産になります。

 

なぜ自由財産が認められるかというと、簡潔に言ってしまえば

破産したからといってもちろんその後の生活がなくなるわけではなく、

生活をしていくため、立て直していくために一定のお金がかかりますので、

一定の範囲で破産者の手元に残すことを認めているわけです。

 

自由財産というワードとともに書かれることが多いのが、「99万円までの現金は自由財産になる」というものです。

99万円という数字の根拠についてはここでは詳述しませんが、基本的に99万円までの現金であれば手元に残すことができるということになります。

ただ、ここでいう「現金」には注意が必要です。

 

日常生活の中で、現金と銀行等への預金を区別することはあまりないかと思います。

どちらも使おうと思えばすぐに使うことができるお金という意味では同じという認識が根底にあるからでしょう。

しかし、東京地裁における運用では、99万円までの現金とは文字通り「現金」である必要があります。

預金に99万円預け入れた状態で破産の申立てを行った場合、それは現金が99万円あることにはならないのです。

 

手元に現金として99万円を保持している人は普通いないと思いますので、

このような運用は実社会の常識とは離れているようにも感じられますが(東京以外の裁判所で、預金も現金と同等に評価する運用がされている裁判所もあります。)、

現時点での運用は上記のとおりなので注意が必要です。