夫婦や親子で破産手続を行うケース

夫婦や親子など近親者が同時に破産手続を行うケースはそこまで珍しいものではありません。

夫が借入れを行っていて妻が保証人になっているケースや、生活費のために夫婦ともども借入れを行っているケースなど、片方が崩れると他方も自動的に崩れてしまうようなケースが典型的な例です。

一方のみが収入を得ていて、その人が破産する以上他方も破産せざるを得ない場合は方針に迷うことは少ないと思いますが、双方とも収入があり、一方は破産を決意しているけれども他方はどうにか払っていきたいと考えている場合は方針をどうするかが問題となります。

東京地裁では関係者が同時に破産申立てを行う場合、原則として管財手続となりますが、引継予納金(管財費用)は合わせて20万円から対応してもらうことができますので、1人で申し立てる場合と予納金は同額になります。

また、同一の管財人が選任されることになるため、それぞれが別個に対応する必要はなく、説明の二度手間も避けることができます。

1人が破産手続を先行して行い他方は引き続き返済を続けていたものの、その人も後になってやはり破産する、となった場合は、(管財手続になるのであれば)新たに引継予納金20万円が必要となりますし、管財人にも一から事情を説明する必要が出てきますので、結果的には当初から揃って破産していればよかった、ということになります。

もちろん破産するかどうかはそうした観点からだけで決まるものではないですし、重要な選択ですので、返済を継続したいということであればそれは尊重されるべきものです。
一方で、このようなリスクがあることについても頭の片隅に入れておくことは大事になると思います。

個人再生と任意売却で迷うケース

住宅を所有している人が債務整理を行う場合、個人再生を検討することが多いかと思いますが、住宅ローンの残高がすでに少なくなっているケースや不動産価値が高いケース(東京都内の不動産だとこれに当てはまることが多いです)だと、任意売却で解決できることがあります。

任意売却というのは、要するに住宅を売却し、その売却金で住宅ローンの残りやその他の債務も返済してしまうという方法です。
任意売却のメリットは、高値で売却することができればローンを返済してもなお手元に資金が残る可能性があり、生活の再建を行いやすいということが挙げられます。
また、心理的な面では「債務整理をしなくて済む」ということもメリットになるかもしれません。

個人再生を行うと基本的には住宅を残しつつ、その他の借金を減額することができます。
しかし、不動産価値>住宅ローンの残額となっている場合は、清算価値の問題でその他の借金があまり減らないということもありえます。
住宅を残すことができるというのが最大のメリットになるでしょうが、3~5年間きちんと返済していくことができるのかという問題が残ります。

一生に一度の買い物であることも多い住宅ですから、経済的な点だけで割り切れないことも多いと思います。
ただ、任意売却に対して必要以上に悪印象を持っている方も多いようなので、今一度冷静に検討してみてもよいかと思います。

諸費用ローンを組んでいる場合の個人再生

住宅ローンを払い続けながら、それ以外の債務を大幅に減額させることができる手続きとして個人再生手続があります。

いわば住宅ローンだけを特別扱いすることができるという債務者にとって非常に都合のいい手続きなのですが、以前も述べたことがあるかもしれませんがその分利用にあたっては制約もあります。

特別扱いが認められる「住宅ローン(住宅資金貸付債権)」とは、住宅の建設若しくは購入に必要な資金、または住宅の改良に必要な資金の貸付けである必要があります。
今回タイトルに挙げた諸費用ローンというのは、住宅購入時にかかるその他の費用(仲介業者への手数料や登記手続費用、各種税金、保険料等)の支払いのためのローンです。

どちらも“住宅を購入するための資金”という意味では同じように思えますが、諸費用ローンは住宅ローンより金利が高く、住宅ローン減税の対象になっていないこと、住宅金融支援機構の融資対象になっていない等の理由から、金融実務上住宅ローンと諸費用ローンは別物と扱われています。
そのため、個人再生を行う上でも諸費用ローンがある場合はこれを住宅ローンと同じような特別扱いにすることはできないのが原則です。

すると、住宅資金貸付債権と諸費用ローンが一体となって一つの契約になっている場合、諸費用ローン部分を消滅させる投資ない限り、その貸付全体が住宅資金貸付債権に該当しない(特別扱いの対象外になってしまう)ということになります。

もっとも、住宅購入時の諸費用は高額になることから、諸費用ローンを組んで住宅を購入することも珍しくありません。
諸費用ローンがあるために一律に特別扱いが不可能になってしまうと、この制度の意味がなくなってしまうことになりかねません。

そこで、諸費用ローンが住宅ローン本体に対してどの程度の割合なのか(割合が小さいほど諸費用ローンとしての性質は弱いということになります。)、諸費用ローンの使途が住宅の建築・購入に密接に関連しているかといった事情を考慮した上で、諸費用ローンがある場合であっても住宅資金貸付債権として取り扱うことを認めるケースもあります。

この辺りは非常に複雑な話になってきますので、自身で調べるだけでなく直接弁護士に問い合わせることをお勧めします。

会社破産と税金の問題

個人が破産した場合でも税金等の公租公課の支払義務は消えませんが、会社が破産した場合は会社が滞納していた税金等の支払義務はなくなります。
税金を支払うべき会社自体が消滅してしまうため、負担すべき人(会社)がいなくなるというイメージです。

会社の代表者だった人が代わりに支払わなければいけないかというと、そんなこともありません。
原則として会社に課されていた税金等を代表者が負担する義務はありません。

例外的に、合名会社や合資会社で無限責任社員となっている場合は、会社が消滅しても無限責任社員に納税義務が残ります。

また、注意が必要なのが納税保証書を提出している場合です。
申告漏れや追徴課税を受けた際に、納税保証書を提出することを求められることがあります。
これは要するに会社が負担する税金を個人が保証するというものですので、会社が破産しても個人として会社の税金を支払う義務が残ってしまうのです。
この場合、個人が破産したとしても支払義務が残るという点は他の税金と同様です。

会社の負担する税金は個人に課される税金と比べて非常に高額になることも多いです。
弁護士へ相談することを検討する段階に入っている状況で納税保証書の提出を求められたのであれば、一歩立ち止まってよく検討することが大事になってきます。
安易に保証書を提出してしまい、個人として多額の税金を負担する状況になってしまうと、自己破産手続をとったとしても多額の負債から解放されないという状況になりかねません。

法人の破産手続の難点

法人破産は個人破産よりも手続が複雑になる傾向があります。

従業員が多かったり取引先が多かったりすれば複雑になることは想像しやすいと思いますが、弁護士としてまず気になる点は賃貸物件があるかどうかという部分です。

賃貸物件があると、明渡しの問題、原状回復義務の問題がでてきます。
賃貸物件があっても容易に明渡しができるケースは別ですが、すでに経済的に窮状に陥っており、原状回復が困難になっていることも多いです。

原則としては、早期に破産申立てを行って明渡しや原状回復業務を破産管財人に委ねることになるのですが、明渡し未了の物件がある場合は破産自体にかかる費用(破産管財人に支払う費用)が高額になってきます。

そのため、賃貸物件がある法人の破産手続は、ある程度の資金が残存している、あるいは売掛金等の入金予定があるという状態でないと、事実上手続を進めていくことが難しくなることがあるのです。

逆に言えば、すでに賃借物件の明渡しが進んでいる状態であったり、自宅を事務所代わりにしている場合、また、そもそも事業所がない形で営業していたりするケースは、法人破産であっても比較的費用を抑えられて手続の複雑さも減少するといえます。

借金が時効になるケースとならないケースの違い

長期間にわたって返済していない状態が続くと、時効の援用によって返済義務がなくなることがあります。
ただ、時効期間が経過する前に訴訟を起こされている場合などは、時効は成立しません。

普通に考えれば、貸金業者は時効になってしまうことがないように、時効が迫っているものに関して訴訟を提起するよう管理していそうなものです。
しかし、実際には借入先が大手金融業者だったとしても時効が成立するケースはあります。

では、これは貸金業者側の管理ミスなのかというとそうではないでしょう。
訴訟を起こすこと自体手間暇がかかりますし費用もかかります。
貸付債権を抱え続ける(管理する)ことについてもコストが0というわけではありません。
その一方で、督促を続けたり裁判を起こしたりすることで借金を回収できる見込みがどの程度あるのかは、ケースバイケースです。

大手企業に勤めていたり、公務員だったりすれば、一般的に信用が高く貸付金の回収見込も高そうです。
一方で、今の勤め先がわからず、現在住んでいる場所すらわからない状態になっているのであれば、回収可能性に大きく疑問が残るでしょう。

貸金業者は営利企業ですので、回収可能性が見込めないのであれば、コストをかけてまでして時効期間の経過を防ぐ選択をしないということはあり得るのです。

もちろん、これ以外にも様々な理由があっての判断になるのでしょうが、同じ借入先から借りたお金であっても、最終的に時効により解決できる人もいればそうならない人もいる理由はこうした点にあります。

詳しくは債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

破産手続における有価証券の問題(東京地裁)

東京地裁で破産手続を行った場合に、99万円までの現金は手元に残しておくことができます。

現金以外の財産が破産管財人によって処分されるかどうか(手元に残せるかどうか)は、基本的にその財産が20万円を超えるかどうかで判断されます。

20万円以下であれば、生命保険を残すこともできますし、自動車を残すこともできるということになります。

しかし、有価証券については、“原則として換価等をしない財産”として列挙されておらず、金額にかかわらず破産管財人によって処分されるのが基本ということになります。

申立前に有価証券を換価しておき、それを破産手続費用や弁護士費用に充てればさほど実際上の影響はあまりない話なのですが、中には換価することが難しい有価証券もある(例えば勤務先の持株会に加入しており、自由に売買できないなど)ので、その場合は注意が必要です。

なお、同時廃止と管財手続の振分けの基準の点においては、有価証券についても20万円以内か否かが基準になりますので、例えば数万円程度の有価証券がある場合でも同時廃止になることはあります。
そして、同時廃止になればその有価証券は換価されないで手元に残るということになります。

管財手続になった場合で少額の有価証券を保有しているという場合は、管財人によってその有価証券が処分されることになるか、その有価証券の金額分の金銭を財団に組み入れる(破産管財人に支払う)ことになるのが基本です。
後者を選ぶ予定の場合は、引継予納金20万円のほかに有価証券分の金額を管財人に支払うことになるということを念頭に置いておくとよいでしょう。

家庭内で借金している人が複数人いる場合

理由は様々ですが、家庭内で複数人が借金を抱えているということがあります。

ある人が債務整理手続をとる場合に、債務整理の対象となるのは基本的にその人名義で借り入れた借金です。
ですので、例えば家族(Aさん)名義で借り入れたけれども実質的には自分(Bさん)が使っていた、という場合であってもその借金はAさんの借金であり、Bさんの行う債務整理の対象になりません。

このようなケースでAさんの借金問題も一挙に解決したいのであれば、Aさん自身も債務整理手続をとるほかないでしょう。

逆に、Aさんは実質的に何も関係ないので、Aさんを債務整理手続に巻き込みたくないと弁護士に相談に来られるケースもあります。
Bさんが債務整理を行ってAさんがこれまでどおり返済を続ける、ということであれば特に問題はないですが、こうしたケースは元々BさんがAさん名義で借りた借金の返済をしてきていることが多いです。
Bさんが自己破産や個人再生を行うのであれば、Bさん自身がAさんの借金を返済することは許されません。
Aさんに事情を伝えてAさん自身の収入で以後返済してもらうか、Aさんにも債務整理手続をとってもらうかすることになるでしょう。

また、以後Aさんに返済してもらう場合であっても、Aさんの収入が返済額を下回っているようであれば、実質的にBさんが返済していると考えざるを得ないことになります。
家庭内で借金をしている人が複数人いる場合は、ある程度家庭全体で方針を決めることも必要になってきます。

破産手続における裁判所への出頭

破産手続を行った場合の裁判所への出頭の要否について述べたいと思います。

なお、「出頭」と言うとネガティブなイメージをもたれるかもしれませんが、要は裁判所での期日に出席するという意味であり、特に否定的な意味合いはないです。

破産手続は同時廃止と管財手続の2種類ありますが、東京地方裁判所本庁ではいずれの場合であっても少なくとも1度は裁判所へ出頭する必要があります(同時廃止の場合は免責審尋期日への出席、管財手続の場合は債権者集会期日への出席)。

東京地方裁判所本庁以外の裁判所では、同時廃止の場合に裁判所への出頭が不要なことが多いです。
また、管財手続の場合でも、近年では非招集型手続がとられることによって裁判所への出頭が不要となることがあります。

コロナ禍での数年間は、むしろ東京地裁本庁が他の裁判所よりも率先して出頭不要の対応をとっていた印象ですが、コロナ明け以降は逆転している状況です。

正直なところ、一個人の消費者破産であれば免責審尋も債権者集会もほとんど出席するだけの手続になっており(出席することに意義がある、と言われればそうかもしれませんが)、現に他の裁判所で出頭不要の対応がとられることも多い以上、東京地方裁判所本庁もその傾向に進んでくれるとありがたいな、という気持ちはあります。

小規模個人再生が不認可となった場合

個人再生の大部分は小規模個人再生です。

そして、小規模個人再生は債権者の過半数および債権額の2分の1以上の同意がなければ不成立となります。

一般的なクレジットカード会社や貸金業者の多くは反対してこないので、多くの場合は問題なく再生計画が認可されることになります。

しかし、例えば個人からの借入れが大部分を占める場合は、その相手の人の意向次第で成立不成立が左右されることになってしまいます。

また、借入先が2,3社しかない場合、大口の借入先が1社で過半数を占めることもあると思います。
そうすると、やはりその会社の意向次第で成否が決まってしまうということになります。

このように、借入先の状況によっては小規模個人再生の認可を受けられるか微妙なケースというものもあるのです。

こうしたケースの場合、「個人再生が認可されなかったらどうなるんですか?」という質問をいただくことが多いです。

小規模個人再生が不認可となった場合、給与所得者等再生が利用できるならそちらを利用することが多いです。
利用できるなら、という条件を付けたのは、小規模個人再生と比べて給与所得者等再生の方が利用要件が厳しいためです。
また、利用できたとしても、返済額が大きくなりすぎて事実上利用できないということもあります。

給与所得者等再生を利用できない場合、任意整理か自己破産に移行することになるでしょう。
もっとも、任意整理が難しいからこそ個人再生を選んでいたケースも多いので、現実的には自己破産せざるを得ないパターンが少なくないです。

詳しくは債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

個人間の貸し借りがある場合の債務整理

親戚や友人からも借入れを行っている場合の債務整理は悩ましい問題があります。

債務整理を行うことをその親戚や友人に対して打ち明けて了承を得ている場合であれば特段問題になりませんが、知られずに債務整理を行いたい場合にはどういった方法をとるべきかよく考える必要があります。

業者からの借り入れ分だけ任意整理することで解決できるのであれば、それが一番スマートな解決です。

しかし、任意整理は借金の元金自体を減らせるわけではないため、元金だけの支払いになれば3年~5年程度で完済できるだけの収支状況がなければ難しいです。

個人再生、自己破産になると債権者を一律平等に扱わなければいけないため、基本的に親戚や友人だけを特別扱いすることはできません。

もし手続前に親戚や友人に対する借金だけを完済し、その後破産手続をとったとしても、破産管財人により否認権を行使され、破産管財人から当該親戚や友人に直接請求がされることが考えられます。

個人再生の場合も、手続前に親戚や友人にだけ返済した場合はその金額分が清算価値に加算され、返済する額が増えてしまうということになり得ます。
ただ、破産の場合のように否認権行使が現実に行われるわけではないため、結果的に親戚や友人に知られずに済む可能性はあるかもしれません。

もっとも、否認権行使を避ける目的で再生手続開始の申立てをした場合は、民事再生法25条4号により再生手続開始の申立てが棄却されることもあり得ます。
ですので、明確に否認権行使の回避目的で個人再生を選択するということは控えるべきです。

このように、個人間で借入れがある場合の債務整理の相談は弁護士としても悩ましい部分が多いです。
どのような形が最善かは借入れ相手との関係性など個人的な事情によるところが大きいと思いますので、弁護士との間でよく相談するべきでしょう。

管財人や再生委員は誰が選ばれるのか

管財人や再生委員が選任されることが見込まれる事案ですと、多くの方が「それは誰が選ばれるのか」という疑問を持たれます。

一言で言ってしまえば申立先の裁判所を管轄するエリア内の弁護士が選ばれる、という回答となります。

ですので、東京地裁本庁に申し立てた場合は23区内の弁護士が選ばれるということになります。

もっとも、事実上ある程度場所は配慮されているように感じることがあります。

私は元々弁護士法人心の東京法律事務所に所属しており、今は銀座法律事務所に所属しているため、いずれも中央区に事務所があるのですが、過去のほとんどのケースで中央区、千代田区、港区の管財人や再生委員が選任されています。

もちろん、この3区に弁護士が集中しているという事情もあるのですが、練馬区や杉並区などの遠方の事務所の弁護士が選任される可能性はおそらくかなり低いです。

一方で、例えば当法人の町田法律事務所で申立てを行うと、逆に比較的近隣である練馬区や杉並区の事務所の弁護士が選任されるケースが散見されます。

つまり、申立てを行う弁護士の事務所と管財人や再生委員の事務所が遠いよりは近い方が色々と不便がないだろう、という裁判所の考慮が事実上はたらいていると考えられます。

管財人や再生委員が選任される見込みの申立てを行う方は、参考にしていただければと思います。

相続と破産の問題

破産手続をとると一定以上の価値がある財産については原則として処分されることになります。

破産を検討している人の多くは、そうした財産はすでに手放した後ということが多いですし、まだ残っている場合も手放すことを覚悟しているのが普通かと思います。

ところで、ここでいう財産というのは破産手続開始決定時点での財産となります。
破産手続開始決定は、申立後の早い段階で出されるものではありますが(特に東京地裁では1,2週間以内に出されます。)、破産手続の依頼から申立てまでには費用の準備や資料の準備で、ある程度時間がかかるのが通常です。

そうすると、しばしば生じる問題が、破産の準備中に両親等が亡くなってしまい、自身が相続人になるというケースです。

特段相続する財産がないような場合は問題ありませんが、自宅を所有していた場合などは悩ましいところです。
そのまま相続した場合に、財産>負債となるのであれば、そもそも破産する必要はなくなるでしょう。
財産<負債であっても、破産までしなくてよくなるという状況もあると思います。

相続したとしてもどのみち破産を進めるという場合、“どのみち処分されてしまうのであれば他の相続人に財産を譲りたい”という発想もあるかと思います。
しかし、自分は受け取らないという形で遺産分割協議をしてしまうと、自らの財産をみすみす減らしたということで後々否認権行使の対象となり、大きな問題となります。

一方、相続放棄をする場合は否認権講師の対象とならないとされています。
理屈としては、相続放棄は“身分に関する行為”であり、財産権を目的とする行為ではないから、ということになります。

破産準備中に自信が相続人となる事態が生じた場合には、以上を踏まえて検討することが必要です。
相続放棄は期限もありますので、速やかに弁護士に相談するようにしましょう。

破産管財人との面談日程

自己破産の申立後、管財事件となる場合は裁判所から破産管財人候補者が選任されます。

その破産管財人(候補者)と面談を行うことになるのは、おそらくどの裁判所であっても共通ですが、申立てから面談を行うまでの期間については、裁判所ごとに違いがあります。

東京地方裁判所では、申立後数日以内に代理人弁護士が裁判官と電話で面接を行います(即日面接)。
そして、面接を行った翌週の水曜日が破産手続開始決定日となるのが通常です。
破産手続が開始されると、破産管財人はその名のとおり、破産者の財産を管理する権限をもち、他方で責任も負うことになります。

事案を正確に把握していない状況でこうした権限・責任をもつという状況は望ましくないということで、東京地方裁判所では”開始決定までに”管財人と面談を行うことが求められています。

先述のとおり、開始決定は即日面接の翌週水曜日になりますので、もし即日面接を金曜日に行った場合は、翌週の月曜から水曜の3日間しか平日はないことになり、管財人面談のスケジュールはかなりタイトなものになります。

他方で、東京以外の裁判所だと、特に問題がなければ開始決定が先行されて、数週間後に管財人面談を行うということも珍しくありません。
東京では”開始決定までに”面談ということがかなり強調して言われるため、この点の地域差はかなり驚くものがあります。

東京地方裁判所での申立ては、このように申立て直後がかなり慌ただしくなるため、申立てをする本人もその前提で予定を調整する必要があります。

自由財産として残せる金額

個人が自己破産手続を行うと、原則として保有している財産はすべて手放さなければなりませんが、自由財産として認められたものについては、手続後もそのまま保持することができます。

「自由財産として残すことができる金額は99万円まで」とされていますが、細かく見ていくと裁判所ごとにやや運用が異なってきます。

東京地方裁判所の運用だと、99万円までの「現金」を自由財産として残すことができます。
預金は現金と異なるため、あくまで現金になっていることが求められます。
また、東京地方裁判所では基本的に20万円を超える価値があるものを、処分(手放さなければいけない)対象の財産として考えることになるため、20万円以下のものは財産として取り扱われません。
そのため、例えば15万円の預金と99万円の現金があるという場合、前者は財産として扱われないため、いずれについても残すことができる可能性があります。

他方で、裁判所によっては、すべての財産を合計して99万円までであれば残せる、という運用をとっていることがあります。
この場合、先の例だと15万円の預金と99万円の現金を合わせると114万円になってしまうため、99万円を超える15万円分については原則として残すことができないということになります。

ここまでの内容だと、東京地方裁判所の運用が有利だという印象をもたれるかと思います。
ただ、例えば保険の解約返戻金が50万円あり、現金が40万円あるというケースの場合、東京地方裁判所だと20万円を超える財産を自由財産として残すことは事実上難しく、保険は管財人によって処分される可能性が高いです。
しかし、すべての財産を合計して99万円までであれば残せる、という運用をとっている裁判所においては、合計が90万円ということで保険も現金も残せる可能性が高そうです。

このように、裁判所ごとに微妙に、しかし人によっては小さくない違いが出てきますので、事前によく確認することが大事になります。

債権者集会は1回で終わる?

破産手続が長引いてうれしい人はいません。
早く手続きが終わってほしいと思うのが普通であり、手続が終わるタイミングを一区切りとして、心機一転何か始めてみようと考える人も多いです。

破産手続きが開始されると同時に債権者集会の日程も決まります。
債権者集会が1回で終わる場合は、この債権者集会の期日が終わると破産者が行うべきことは事実上すべて終了します。
しかし、1回で終わらず続行となる場合は、数か月後にまた債権者集会が開かれることになり、手続は終了しません。

どういうときに債権者集会が続行になるかというと、破産管財人弁護士の業務が完了していない場合が典型例です。
不動産の売却業務がある場合や、第三者に対する請求権を行使する場合などは、1回目の債権者集会までに間に合わないことも多いです。
また、法人の破産はどうしても管財人の業務量が増えるため、債権者集会が複数回開かれることが多いです。
特に従業員への未払い給与が残っている場合などは、未払賃金立替制度の利用にあたり相当程度時間がかかる傾向にあります。

債権者集会が続行になるかどうかは、債権者集会の期日ぎりぎりまでわからないケースも多いです。
これについては基本的に申し立てる側がどうこうできるものではないため、そういうものだと考えるしかありません。
1回で終わると決めつけて、債権者集会後に諸々予定を組んでしまうと、直前になって予定が狂ってしまうこともありますので注意が必要でしょう。

法人破産の相談のタイミング

株式会社などの法人の破産について弁護士に相談するタイミングは、個人の破産以上に難しいかもしれません。

経営者は破産という事態にならないようあらゆる手を講じることが多いでしょうし、万策尽きた後に破産の相談を行うという方も少なくありません。

ただ、万策尽きて会社の財産も完全になくなってからの相談となってしまうと、破産手続自体が費用面で難しくなってしまうことがあります。

個人の場合は、破産を決意した後に借入先への返済を止めて、それまで返済に充てていた金銭を破産手続の費用に毎月充てていく、といったことも可能ですが、法人の場合は破産と決まれば事業自体がそこで止まるのが通常です。
すると、破産手続を行うと決めた後に法人財産が増えることは見込めないため、そのときに残っている法人財産をもって法人破産の手続費用を賄わなければならないのです。

法人代表者個人の財産で法人破産の費用を賄うという方法も考えられなくはないですが、法人の破産分は法人の財産で、代表者個人分の破産は代表者個人の財産で手続きを行うのが原則であり、法人から個人、あるいは個人から法人へ資金を融通するのは様々な問題が生じ得ます。

経営を立て直すために最後まで力を尽くすという気持ちはよくわかるところであり、それは決して責められるものではありません。
しかし、他方において、最終的に破産となってしまう場合には一定の資産が残っていないと手続そのものが難しいという事実もあるため、この点は非常に悩ましい問題です。

相続放棄が「できる」とは

被相続人と疎遠であったり、被相続人に借金があったりする場合、相続放棄を検討することがあります。

弁護士として相続放棄の相談をすると「相続放棄できますか?」という質問をよく受けるのですが、この回答は少し悩ましいところがあります。
それというのも、相続放棄はなにをもって「相続放棄できた」と評価すべきか少しわかりにくい問題があるためです。

相続放棄の手続は、期限内に裁判所に対して相続放棄の申述をすることで行います。
申述を裁判所が受理すると受理書が発行され、必要があれば受理証明書を発行してもらうこともできます。
しかし、受理書というのは文字通り「受理」したことを示す書類であり、これをもって相続放棄の効力が確定するわけではありません。

相続放棄は、被相続人の財産を処分するなど、相続人でなければできないような行為をしている場合には行えないわけですが、相続放棄の手続にあたって、裁判所がそうした行為がないかどうか等について詳細な調査を行うわけではありません。
そのため、あくまで「受理」したことだけしか証明してくれないのです。

もし相続放棄の効力を争う人がいる場合、相続放棄の申述をしていたとしても、(元)相続人に対して訴えを起こすということは可能であり、その裁判の中で相続放棄ができているかどうか判断されるということになります。

このように書いていくと、相続放棄の申述にはあまり意味がないのかという疑問が出てくるかもしれませんが、そうではありません。
期限内にきちんと裁判所に申述をしていなければ、相続人となってしまいます。
相続放棄するのであれば、相続放棄の申述をすることがマストであることには変わりないのです。

実際には、裁判所が発行する申述受理書を示すことで、相続放棄がされたものとして取り扱われるのがほとんどのため、基本的には“相続放棄の申述が受理される”=“相続放棄ができた”と考えて差し支えありません。
ただ、厳密にいうと少し違うということを頭の片隅に置いていただければと思います。

地元の弁護士に依頼すべきかどうか

弁護士を選ぶ際、地元の弁護士に依頼するか都市部等の遠方の弁護士に依頼するかは一つ悩みどころかもしれません。

どちらが正解と一概にいうことはできないですが、案件によって考え方も変わってきます。

例えば、裁判を行う前提の依頼で、訴訟を起こす裁判所が地元の裁判所になると見込まれる場合には、地元の弁護士に依頼した方が出廷費等を抑えられる可能性はあるでしょう。

自己破産の手続きを行う場合なども同様の考え方になります。
特に破産管財事件になることが見込まれる場合は、管財人面談に赴くこともあるでしょうから、遠方の弁護士に依頼すると出廷費・出張費がかさむ可能性があります。

他方で、個人再生の手続は裁判所で行うものの、裁判所に出向くことは稀ですので、遠方の弁護士に依頼した場合と地元の弁護士に依頼した場合とで費用の差は少ないかもしれません。
ただし個人再生委員が選任されるとやはり出張費が生じます。

なお、自己破産や個人再生などの債務整理の依頼は、弁護士と直接面談する必要がありますので、少なくとも一度はその法律事務所に行くことが必要となります。

一方、裁判にならずに解決できると見込まれる場合等は、法律事務所の所在はあまり関係ないこともあります。

交通事故の依頼などは、相談自体も電話で完結できることが多く、また、裁判外の交渉で解決できるケースが多いので、地元の弁護士に限定することなく弁護士を探してもよいでしょう。

個人事業主の個人再生

個人事業主であっても個人再生することができます。

しかし、給与収入を得ている方と比べると複雑な手続きになるケースが多いのも事実です。

複雑になる理由の1つ目は収入の問題です。

給与所得者は多少のばらつきはあれど、毎月一定の安定した収入がありますので、返済していく見込みがあるのかどうか、その判断は行いやすいです。

他方で、個人事業主の場合は収入にばらつきがあることも多いので返済の見込みが立つのかどうか、慎重に判断する必要があります。

また、税金の観点からできる限り経費を多くつけて、所得を抑えて申告している個人事業主の方は事実上多いと思います。

そうすると、確定申告書上はほとんど個人で自由に使えるお金がないということがあり、その場合に「本当はもっと自由に使えるお金がある」という主張をしても認められないおそれがあります。

2つ目の理由は清算価値の問題です。

事業形態によっては多くの備品、機材を使っていたり、多数の在庫商品を抱えているということがあり得ますが、これらは清算価値として財産に計上する必要があります。

事業を大きく行っていればいるほど、清算価値も大きくなる傾向がありますので、個人再生をしても返済額が大きくなる可能性があります。

3つ目の理由は買掛金の問題です。

買掛金も支払いを後払いにしているという点では借金と同じ扱いになります。

この点色々と悩ましい点があるのですが、買掛先への影響を最小限にするのであれば、少なくとも当面の間掛ではなくて現金払いにする等して、買掛金が生じないようにするのが望ましいです。

そうした対応が難しい場合には、買掛金をどうするかについて要検討が必要になります。

個人再生についての相談をご希望の方は、弁護士法人心へお気軽にご相談ください。