時効の援用

2月も後半になり,東京では季節外れの暖かい日もしばしば出てくるなど,

もう寒さの峠は越えたという印象ですね。

私は非常に寒がりなので,早く暖かくなってくれると気分も晴れやかになります。

けど,もれなく花粉症も酷いタイプなので,そこは身構えないといけません。笑

 

今回書かせていただくのは,タイトルにありますように「時効の援用」です。

「時効」という言葉は誰もが一度は聞いたことがあるかと思います。

例えば,“消費者金融でお金を借りて,その後その消費者金融に返済を行っていたが,

まだ借金が残っているにもかかわらず,返済をストップしてしまった”というときに

そこから一定の期間(多くの場合は5年)が経過すると,「時効」を主張できる可能性があります。

時効は主張しないと効果が発生しません。

そして,時効を主張することを「時効の援用」といいます。

 

私は,実際に弁護士として仕事をするまで,

“時効を主張できるほど案件が放置されることなんて普通はないだろう”と思っていました。

せいぜい,個人間のやり取りでたまに存在するという程度で,いわゆる大手の消費者金融からの借金でそうしたことは起きないだろうと考えていました。

しかし,実際にはそうした大手消費者金融から借りたお金について,何年も取引がない状態が続いているということで,

時効を援用して解決するというケースがしばしばあります。

 

大会社に対するある種の思い込みみたいなものが私にあったのだと思いますが,

このような思考は一般的にも割とあるのではないかと思います。

ですので,この件に限らず,自分で結論を決めつけないことが大切だなと改めて感じています。

任意整理ができるかどうかの分岐点

債務整理手続をとるとなったときに,まず第一に検討するのは任意整理手続が可能かどうかということだと思います。

任意整理手続は,債権者各社との間で,支払っていくことができる金額での分割払いを交渉する手続です。

将来利息はカットしてくれることが多いので,それだけでもかなりトータルの支払額が減ることになりますが,

現在抱えている債務については基本的に減額されないということになります。

 

分割払いといってもやはりある程度の限度があります。

一般的に3年(36回)から5年(60回)程度の分割なら,ということで債権者が応じてくれることが多いです。

したがって,まずは現状抱えている債務総額を60で割ったときに,月々支払っていける金額の範囲内に収まっているかどうかが任意整理を行えるかどうかの目安になります。

 

月々の支払い可能額の範囲に収まっていないという場合,個人再生や破産といった手続を検討していくことになるわけですが,

どうしても任意整理以外の手続をとれない事情があるという場合もあります。

そうした場合には,どうにかして6年(72回)あるいは7年(84回)での分割を債権者に認めてもらわなければならないことになります。

債権者によっては,月々の収入額,支出の内訳等を具体的に伝えることで,その金額が月々に支払える限度であることを納得してもらい,

こうした長期分割に応じてくれることがあります。

他方で,会社として60回払いにしか応じないと決めている会社,あるいは36回払いにしか応じないと決めている会社もあります。

そうした会社が債権者となっている場合には,一般的な範囲を超えた長期での分割は難しくなってくるでしょう。

 

また,それまでの債権者との信頼関係も影響してくることがあります。

すでに滞納が相当程度長期になっている場合や,借入からの期間が浅く,信頼関係が構築されていない場合などは,

長期の分割に難色を示されることが多いです。

 

これらの様々な事情を踏まえ,弁護士はどの債務整理手続をすべきかの判断を行うことになります。

債務整理手続の種類と概略 その3

今年もいよいよ残りわずかとなり,すっかり冬らしくなりました。

弁護士という仕事柄,遠方の裁判所等に行くこともしばしばあるのですが,

この時期に北国へ行くと東京都の温度差に驚かされます。

北国の人たちにとってみればまだまだ寒くなるのはこれからということで,全然これぐらいの寒さはへっちゃらなのかなと思いきや

むしろ比較的早い時期からしっかり防寒具を着用しているなという印象もあるので,

北国の人たちは寒さに強いというよりは,寒さ対策がきっちりできているんだなぁなどと感じています。

さて,債務整理手続についてこれまで任意整理,個人再生とお話ししてきましたが,残る手続が破産手続となります。

破産という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思いますが,任意整理,個人再生と違い,

借金を分割して支払うというのではなく,抱えている借金をすべてなくす手続になります。

このような強力な手続ですので,当然無制限に認められるというわけではありません。

破産手続のメリット・デメリットをそれぞれ挙げると,

まずメリットは当然債務から解放されることということになります。

他方,デメリットは,まず原則としてギャンブルや浪費によってできた借金については免責不許可事由となるので破産手続を選択しづらいということがあります。

また,破産をすると一定の職業に就けないことになりますので,例えば保険の外交員などを職業とされている場合はやはり選択しづらい手続となります。

加えて,破産手続は一部の借金に対してのみ行うなどはできないので,保証人がついている借金がある場合には破産手続によりその保証人に請求がいくこととなります。

ですので,保証人がついている借金がある場合にはその辺りの点についても十分考慮したうえで手続しなければなりません。

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債務整理手続の種類と概略 その2

11月に入り東京もすっかり秋めいてきました。

私は過ごしやすい気温の時期は少し離れた駅から歩いて通勤しているのですが,

それももうしばらくしたら終わってしまいそうです。

 

さて,前回は任意整理について簡単にご説明させていただきましたが,

今回は民事(個人)再生手続についてお話しさせていただきます。

 

再生手続は任意整理と違い,裁判所を用いた手続になります。

また,破産手続と違い,債務(借金)がゼロになるというわけではありません。

債務を圧縮(減額)し,その圧縮された借金を分割払いしていくという手続になります。

まさに任意整理と破産の間にあるような手続ですが,あえて破産ではなく再生手続を選ぶメリットとは何なのでしょうか。

 

破産は借金をゼロにする最後の手段ですが,破産することが許されないケースという類型が存在します。

例えば借金の原因がギャンブルだったり浪費だったりという場合には,免責不許可事由に該当します(裁量免責により破産できる場合もあります。)。

ですので,借金の原因次第では破産手続をとりにくいということがあります。

 

また,破産をしてしまうと一定の職種に就けないこととなるため,仕事を今後も継続するために破産手続をとり得ない方もいらっしゃいます。

 

さらに,再生手続は住宅を手放さずに住宅ローン以外の債務を対象に行える手続なので,

住宅を残したいという方にとって有用な手続となります。

 

以上が再生手続を選ぶメリットとなります。

いずれにしても,どの手段をとるべきかは弁護士に確認するのが確実でしょう。

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債務整理手続の種類と概略 その1

借金がかさんでしまい,もう家計が回らない…といったときに

弁護士へ相談してとり得る手続は,一般的に3つあるとされます。

1つは任意整理手続と呼ばれるもので,2つ目は民事再生手続,3つ目が破産手続です。

 

今回は任意整理手続とは何かについて少し書かせていただきます。

任意整理手続とは,その名のとおり各債権者と任意の交渉を行い,支払継続が可能な計画を立て,

以後それに従って返済を行っていくというものです。

 

任意整理手続のメリットとして挙げられるのは,あくまで「任意」の手続なので自由度が高く,

それぞれの債権者に対しどのような条件を提示して交渉するかも自由に決められるということがあります。

そもそも,一部の債権者は手続の対象に含まないなども可能です。

 

他方デメリットとして挙げられるのは,他の2つの手続と違い裁判所をとおすものではないので

強制力がないということがあります。

あくまで個々の債権者との「任意」の交渉なので,こちらの提案に債権者が同意するかどうかは債権者次第であり

返済計画がうまく成立しないということはあり得ます。

また,任意整理は原則として返済額を減らすものではないので,

ご収入(月々の返済可能額)や総債務額の関係で,任意整理手続をとることが難しい(返済計画が成り立たない)ということもあります。

 

民事再生,破産といった手続はどうしても抵抗があるという人も多く,

債務整理手続の中でまず最初に検討するのが任意整理ということが多いかと思います。

 

次回は民事再生について記載させていただく予定です。

任意整理できるかどうかの見極め

以前も少し書かせていただきましたが,任意整理手続は基本的に債務整理手続の中で最もライトな手続です。

心理的にも,裁判所を使うことになる自己破産・個人再生の手続をとるのは抵抗があるという方が少なくないです。

 

そのため,債務整理を考えたときにまず任意整理が可能かどうかを検討することが多いのですが,

任意整理は基本的に借金を減らすものではなく,返済が可能になる形での分割払いを求めて各社と交渉するというものです。

分割回数もやはり限度があるので,一般的には3年から5年,つまり36回から60回程度に分割して返済が完了するかどうかが

弁護士が任意整理を行えるかどうか判断する一つの目安になります。

 

もちろん,債権会社によってそれぞれ対応は異なります。

経営状況などがかかわっているのかと思いますが,会社として分割回数を決めていてまったく交渉の余地がないという会社もあります。

また,今後数年間かけて返済していくにあたり,その数年返済にかかる分についての利息(将来利息)を支払うことを強く求めてくる会社もあります。

あるいは,債務者の方の収入,月々の支払内訳を細かく確認し,本当にどうにもならないと債権者が認めてくれたときに限り

分割回数を増やすことに同意してくれる会社もあります。

 

こうしたことを踏まえての交渉は,法的な交渉というよりも事実上“お願い”に近い面もあり,

法的知識よりも経験・場数の問題という印象があります。