債務整理手続の種類と概略 その2

11月に入り東京もすっかり秋めいてきました。

私は過ごしやすい気温の時期は少し離れた駅から歩いて通勤しているのですが,

それももうしばらくしたら終わってしまいそうです。

 

さて,前回は任意整理について簡単にご説明させていただきましたが,

今回は民事(個人)再生手続についてお話しさせていただきます。

 

再生手続は任意整理と違い,裁判所を用いた手続になります。

また,破産手続と違い,債務(借金)がゼロになるというわけではありません。

債務を圧縮(減額)し,その圧縮された借金を分割払いしていくという手続になります。

まさに任意整理と破産の間にあるような手続ですが,あえて破産ではなく再生手続を選ぶメリットとは何なのでしょうか。

 

破産は借金をゼロにする最後の手段ですが,破産することが許されないケースという類型が存在します。

例えば借金の原因がギャンブルだったり浪費だったりという場合には,免責不許可事由に該当します(裁量免責により破産できる場合もあります。)。

ですので,借金の原因次第では破産手続をとりにくいということがあります。

 

また,破産をしてしまうと一定の職種に就けないこととなるため,仕事を今後も継続するために破産手続をとり得ない方もいらっしゃいます。

 

さらに,再生手続は住宅を手放さずに住宅ローン以外の債務を対象に行える手続なので,

住宅を残したいという方にとって有用な手続となります。

 

以上が再生手続を選ぶメリットとなります。

いずれにしても,どの手段をとるべきかは弁護士に確認するのが確実でしょう。

個人再生を東京でお考えの方はこちら

債務整理手続の種類と概略 その1

借金がかさんでしまい,もう家計が回らない…といったときに

弁護士へ相談してとり得る手続は,一般的に3つあるとされます。

1つは任意整理手続と呼ばれるもので,2つ目は民事再生手続,3つ目が破産手続です。

 

今回は任意整理手続とは何かについて少し書かせていただきます。

任意整理手続とは,その名のとおり各債権者と任意の交渉を行い,支払継続が可能な計画を立て,

以後それに従って返済を行っていくというものです。

 

任意整理手続のメリットとして挙げられるのは,あくまで「任意」の手続なので自由度が高く,

それぞれの債権者に対しどのような条件を提示して交渉するかも自由に決められるということがあります。

そもそも,一部の債権者は手続の対象に含まないなども可能です。

 

他方デメリットとして挙げられるのは,他の2つの手続と違い裁判所をとおすものではないので

強制力がないということがあります。

あくまで個々の債権者との「任意」の交渉なので,こちらの提案に債権者が同意するかどうかは債権者次第であり

返済計画がうまく成立しないということはあり得ます。

また,任意整理は原則として返済額を減らすものではないので,

ご収入(月々の返済可能額)や総債務額の関係で,任意整理手続をとることが難しい(返済計画が成り立たない)ということもあります。

 

民事再生,破産といった手続はどうしても抵抗があるという人も多く,

債務整理手続の中でまず最初に検討するのが任意整理ということが多いかと思います。

 

次回は民事再生について記載させていただく予定です。

任意整理できるかどうかの見極め

以前も少し書かせていただきましたが,任意整理手続は基本的に債務整理手続の中で最もライトな手続です。

心理的にも,裁判所を使うことになる自己破産・個人再生の手続をとるのは抵抗があるという方が少なくないです。

 

そのため,債務整理を考えたときにまず任意整理が可能かどうかを検討することが多いのですが,

任意整理は基本的に借金を減らすものではなく,返済が可能になる形での分割払いを求めて各社と交渉するというものです。

分割回数もやはり限度があるので,一般的には3年から5年,つまり36回から60回程度に分割して返済が完了するかどうかが

弁護士が任意整理を行えるかどうか判断する一つの目安になります。

 

もちろん,債権会社によってそれぞれ対応は異なります。

経営状況などがかかわっているのかと思いますが,会社として分割回数を決めていてまったく交渉の余地がないという会社もあります。

また,今後数年間かけて返済していくにあたり,その数年返済にかかる分についての利息(将来利息)を支払うことを強く求めてくる会社もあります。

あるいは,債務者の方の収入,月々の支払内訳を細かく確認し,本当にどうにもならないと債権者が認めてくれたときに限り

分割回数を増やすことに同意してくれる会社もあります。

 

こうしたことを踏まえての交渉は,法的な交渉というよりも事実上“お願い”に近い面もあり,

法的知識よりも経験・場数の問題という印象があります。