交通事故によって重度の後遺症を負った場合、事故前の生活環境では日常生活を送るのに支障が生じることがあります。例えば、段差を自力で乗り越えることができない、手すりなしでは歩くことができない、といった支障が生じることがあります。このような支障をなくすために、家屋を改造した場合、その改造費用は賠償されるのでしょうか。
裁判所の考え方では、「被害者の受傷内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討し、必要性が認められれば相当額を認める。」とされています。
実務上、介護を要する後遺障害等級(1級~3級)では、家屋改造の必要性が認められることは少なくないですが、それ以下の後遺障害等級では、なかなか認められません。認められたとしても、金額が限定されることが多いです。
裁判例では、遷延性意識障害(1級3号)の7歳男児につき、エレベーター設置費用、保守管理費用の8割を認めたものがあります(大阪高判平成14年5月23日)。
家屋の改造費用は高額になることが多いため、相手方保険会社がその必用性を強く争ってくることが少なくないです。
ご自身で家屋改造の必要性を立証することは難易度が高いため、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。