人身傷害保険の慰謝料

交通事故に遭って怪我をしたけれども,ご自身の過失が大きかったり,相手方が任意保険に加入していない等の場合には,ご自身の加入する人身傷害保険から慰謝料等をもらうことが多いです。

人身傷害保険の大きな特徴は,過失割合に関係なく,保険金が支払われることです。

例えば,交通事故に遭って100万円の損害が出てしまったけれども,ご自身の過失割合が6割あるという場合,損害のうち6割が過失相殺され,相手方の対人賠償保険からは40万円しか支払われないことになります。

しかし,人身傷害保険は過失割合に関係なく支払われるので,ご自身に過失があっても,過失相殺されることはありません。

人身傷害保険から支払われる慰謝料はどのように決まるのかというと,計算基準がご自身の保険会社の約款で決められているので,その基準に従って支払われることになります。

その基準は,いわゆる裁判基準よりも低く定められているため,人身傷害保険からもらえる慰謝料は,裁判基準よりも低額になります。

約款で支払い基準が定められている以上,ご自身の保険会社と交渉したとしても,その基準より多くの慰謝料をもらうことはできません。

もっとも,人身傷害保険はご自身の過失分から充当されるため,人身傷害保険から慰謝料等をもらった後に,事故の相手方に対して不足分の賠償金を請求できる可能性があります。

例えば,交通事故でご自身が被った損害が100万円あり,ご自身の過失が6割あるけれども,人身傷害保険から80万円もらったという場合,この80万円は6割の過失分から充当されるため,相手方には20万円を請求できることになります。

このように,ご自身の過失が大きい場合であっても,人身傷害保険を使用することによって損害のすべてが補償されることもあります。

人身傷害保険は分かりにくい保険なので,お困りごとがございましたら,弁護士に相談するのが良いと思います。