症状固定後の治療費は認められるのか

もうこれ以上通院をしても治療の効果がない状態のことを,症状固定といいます。

頚椎捻挫や腰椎捻挫といった,いわゆるむちうちの場合には,事故から約3か月~6か月通院しても完治しないと,医師に症状固定と判断されることが多いです。

症状固定後に通院治療したとしても,その治療費は,損害賠償の対象にならないのが原則です。

 

 

しかし,症状の悪化防止のため等,現在の症状を維持するために必要かつ相当な治療費については,症状固定後であっても,例外的に損害賠償の対象になるとされています。

 

例えば,第5腰椎圧迫骨折変形治癒,排尿障害等で併合7級の後遺障害を負った主婦について,症状固定後も生存期間にわたって通院治療が必要であるとして,平均余命まで1か月当たり3万円の治療費及び交通費を認めた裁判例があります(大阪地判平12・8・29)。

 

また,てんかん症状等で9級の後遺障害を負った被害者について,てんかんの予防等のためには脳波測定やMRI検査が必要であるとして,平均余命まで24年間の治療費として289万円を認めた裁判例もあります(東京地判平7・10・31)。

 

もっとも,症状固定後の治療費については,あくまで例外的に損害賠償の対象とされるので,裁判でも認められにくいというのが現状です。

 

症状固定後の治療費についてお困りごとがございましたら,お気軽に弁護士にご相談ください。

http://www.kokoro-tokyo.com/koutsujiko/