後遺症と後遺障害はどう違うのか

一般的に,後遺症と後遺障害は同じような意味だと思われています。

しかし,後遺症と後遺障害には大きな違いがあります。

 

後遺症とは,入通院治療を続けたけれども,一定の症状が残ってしまうことを意味します。

医師が「首に後遺症が残ってしまいます」と言うときには,通常,この意味で用いられます。

 

これに対して,後遺障害とは,事故によって生じた後遺症のうち,自賠責保険制度や労災保険制度において保険金の支払対象として法令で定められてるものを意味します。

後遺障害の方が後遺症よりも狭い意味なので,後遺症が残ってしまったけれども,後遺障害には該当しないと判断されることがあります。

例えば,後遺障害等級14級9号が認定されるためには,常に痛みや痺れが残っていることが要件とされているので,「常に痛いというわけではないが,寒くなると首が痛む」という場合には,後遺障害等級14級9号には該当しません。

 

後遺症と後遺障害は別物だと認識していないと,後遺障害の申請書類に不備があっても,それに気付けない危険があります。

例えば,本当は膝が常に痛いにもかかわらず,後遺障害診断書の自覚症状の欄に「膝を曲げると痛い」と書いていると,それだけで常時痛ではないと判断され,膝の痛みが後遺障害に該当しないとされてしまいます。

 

そのため,後遺障害の申請については,弁護士に依頼することをお勧めします。