盗難車による交通事故②

前回は,加害車両が盗難車である場合,その自賠責保険や任意保険は使えないことをご説明しました。

 

それでは,被害者はどのように対処すればよいのでしょうか。

 

その方法としては,①人身傷害保険を使う,②車両保険を使う,③加害者本人に賠償請求する,④政府補償事業を利用する,ことが考えられます。

 

①治療費や休業損害などの人的損害については,被害者ご自身の加入する人身傷害保険をによって一定程度補償されます。

この保険を使っても,等級は下がらないので,翌年の保険料は上がりません。

しかし,補償は契約の範囲内に限られるので,十分な補償が得られない場合もあります。

 

②被害車両の修理費などの物的損害については,被害者ご自身の加入する車両保険によって補償されます。

しかし,この保険を使用すると等級が下がり,翌年の保険料が上がってしまうので,使用するかどうかは慎重に検討した方が良いでしょう。

 

③加害者には当然ながら賠償金の支払義務があります。

しかし,加害者は無資力であることが多く,被害者に賠償金を全額支払えないことが多いです。

 

④政府保障事業は,自賠責保険の支払対象でない事故によって怪我を負った被害者を救済するための制度です。

この制度を利用することで,人的損害が一定程度補償されます。しかし,補償額には上限がありますし,物的損害は補償されません。

 

①から④のどの方法が良いかはケースバイケースなので,お困りの方は弁護士などの専門家に相談した方が良いでしょう。