交通事故での民事裁判について①

1 示談交渉が決裂した際の解決策

交通事故に遭ったときには、多くの場合、被害者は加害者の保険会社と示談を目指します。しかし、賠償金額を巡って意見が合わず、示談交渉が決裂することもあります。このような状況では、被害者は加害者に対して民事裁判を起こすことを選択できます。

裁判を起こすメリットは主に2つあります。

まず、示談交渉がうまくいかなくても、裁判所が判決を下して、賠償金額を定めます。裁判所の判決が出ると、通常は加害者側の保険会社が判決に従い、賠償金を支払うことになるため、紛争が解決となります。

次に、遅延損害金と弁護士費用の獲得が可能です。加害者は、事故から賠償金支払いまで、年3%の遅延損害金を支払う義務があります(令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は5%)。また、被害者が弁護士に依頼した場合、その費用の一部も負担する義務があります。示談交渉ではこれらの費用を加害者側が支払うことは少ないため、裁判を通じてこれらを獲得する道が開けます。

2 民事裁判以外の選択肢

加害者側の保険会社との交渉が決裂した場合、民事裁判を起こす以外にも、紛争処理センターへの申し立て、民事調停といった選択肢があります。

民事調停は、裁判所で話し合う手続きなので、金額の合意ができなければ、結局は調停不成立となってしまいます。

紛争処理センターに申し立てる場合、最終的には審査会が金額を決め、その判断に保険会社は従わなくてはならないため、民事調停よりも強制力があります。