外貌醜状について②

外貌醜状による後遺障害が認定されたときに争点となることが多いのが、逸失利益です。

逸失利益とは、将来失われる収入を補償するものです。

顔、首、頭に傷が残った場合、それが直接の原因となって収入減になることは少ないため、相手方保険会社は逸失利益はないと主張してくることが多いです。

裁判例の傾向としては、外貌醜状によって業務にどれだけの影響が生じたかどうかを重視しています。

裁判例の中には、宿泊施設の仲居(女性、21歳)の口唇下部に線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、線状痕が一見して分かるもので、化粧や髪型等によって目立たなくすることが容易ではないこと、接客業を継続することが困難になったこと等を理由に、逸失利益を認めたものがあります(京都地判令3・5・14自保ジャーナル2101・55)。

また、介護従事者(女性、45歳)の眉間に人目につく3cm以上の線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、介護の仕事は日常的に他人と接し、円満な人間関係の形成等が必要とされること、年齢等に照らし今後転職する可能性も否定できないこと等を理由に、逸失利益を認めたものもあります(横浜地判平26・1・30交民47・1・195)。

外貌醜状による逸失利益については、業務への支障を適切に主張、立証しないと認められないので、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。