後遺障害の認定は誰がするのですか?

交通事故で怪我をして後遺症が残ってしまった場合、まずは、加害者の加入する自賠責保険が後遺障害の認定をします。

実際には、損害保険料率算出機構が後遺障害の有無を調査して、その調査結果に基づいて、自賠責保険が後遺障害の認定をすることになります。

自賠責保険の判断に不服がある場合、自賠責保険に対して異議申し立てをすることができます。

異議申立てをすると、自賠責保険がもう一度審査をすることになります。

紛争処理機構という調停機関に申し立てをすることもできます。

紛争処理機構では、自賠責保険の判断に誤りがあったかどうか、自賠責保険が用いた資料によって判断することになります。

最終的には、加害者に対して裁判を起こして、裁判所に後遺障害の認定をしてもらうことになります。

もっとも、裁判所は自賠責保険の判断を尊重する傾向にあるため、裁判所で自賠責保険の判断を覆すことは、なかなか難しいです。

そのため、自賠責保険で適切な後遺障害認定を受けておくのが大切です。

当法人には、損害保険料率算出機構の元職員などの後遺障害認定に精通したスタッフや、交通事故に精通した弁護士が多数在籍しております。

後遺障害についてお困りの方は、一度、当法人にお問合せいただければと思います。

痛みが消えないのですが、どのような補償がされますか?

ご相談者様から「事故後6か月通院したけれども、痛みが消えません。どのような補償がされますか?」という質問をよくいただきます。

怪我の程度にもよりますが、一般的に、事故から6か月程度通院治療をしたけれども、痛みが治らないときには、症状固定と判断されます。

そのうえで、自賠責保険に後遺障害申請をすることになります。

認定される可能性のある後遺障害等級は、14級9号、12級13号です。

「局部に神経症状を残すもの」に該当するときは14級9号、「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するときは12級13号が認定されます。

痛みの原因がレントゲン、MRI、CT画像などで証明できなければ、12級13号には該当しません。

画像からは痛みの原因は証明できないけれども、事故態様や治療経過などから、痛みが残存することが医学的に説明できる場合には、14級9号に該当します。

14級9号に該当しないとなると、後遺障害は非該当となります。

事故当初から適切な治療、検査を受けていないと、本当は一生残るような痛みがあるとしても、14級9号にすら該当しないと判断されてしまうことも多いです。

そのため、交通事故に遭ってしまった場合には、早いタイミングで弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

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保険会社から症状固定と言われましたが、どういうことですか?

ご相談者様から「相手方保険会社から、もう症状固定だから治療費の支払いを打ち切ると言われた。どうしたら良いのか?」という質問をいただくことがあります。

症状固定とは、これ以上治療をしても、改善が望めないような状態のことをいいます。

相手方保険会社は、基本的には、症状固定日までの治療費を支払う義務があるとされています。

症状固定以降の治療費は支払わなくてもよいとされています。

症状固定日は誰が決めるかというと、最終的には裁判所が決めることになりますが、基本的には主治医の判断が重視されます。

相手方保険会社が症状固定日を決めるわけではありません。

そのため、保険会社からもう症状固定と言われた場合には、主治医の意見を聞いたうえで、今後の対応方法を決めた方が良いです。

医師がまだ症状固定ではないと言ったとしても、相手方保険会社が一方的に治療費の支払いを打ち切ることもあります。

そのようなときに、通院を止めてしまうと、「治ったから通院を止めたのだ」と判断されてしまう可能性があるため、痛みがある間は自己負担にはなりますが、通院を続けた方が良いです。

症状固定についてお困りの方は、一度、弁護士に相談することをお勧めします。

保険会社が休業損害を支払ってくれませんが、どうしたら良いでしょうか?

ご相談者様から「事故で3か月仕事を休んだけれども、相手方保険会社からは2か月分しか支払えないと言われた。どうしたら良いか?」という質問をいただくことがあります。

事故後、仕事を休んだからといって、必ずしも休業損害が支払われるわけではありません。

休業する必要があった場合に限って、休業損害は支払われます。

例えば、トラック運転手の仕事をしていたけれども、事故で足を骨折して、骨が付くまで3か月仕事を休んだというケースでは、その期間中、休業する必要があったと判断される可能性は高いです。

ただ、打撲・捻挫といった他覚的所見のない怪我の場合、痛みの原因が第三者からは分からないため、どれだけ休業が必要であったかどうかについて、相手方保険会社と争いになることが多いです。

このような怪我の場合、事故状況、車両の損傷の程度、通院状況などを総合的に考慮して、どこまで休業が必要であったか判断します。

例えば、車両が大破した、生身で車両にぶつけられて転倒した、主治医が休業が必要と述べている、といったような場合には、休業が必要と認められやすい傾向にあります。

そのため、休業の必要性を巡って相手方保険会社と争いになったときには、事故状況に関する資料、医師の意見などを踏まえて、相手方保険会社と交渉することが多いです。

ご自身では対応しきれないような場合には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

過失割合はどのように決まるのか?

ご相談者様から「交通事故の過失割合は警察が決めるのですか?」とか「過失割合は保険会社が決めるのですか?」という質問をよくいただきます。

示談交渉の段階では、過失割合は被害者側と加害者側との話し合いで決めることになります。

例えば、被害者と相手方保険会社の双方が、2:8で良いと合意すれば、この過失割合で示談が成立することになります。

過失割合は、警察や保険会社が一方的に決めるわけではありません。

あくまでも、話し合いで決めることになります。

もっとも、何の基準もなく話し合いをしても、なかなか話がまとまらないため、通常は、裁判所の考え方を基に話し合いをします。

裁判所は、事故状況に応じて類型的に基本的過失割合を決めます。

そのうえで、個々の事情に応じて、基本的過失割合を修正します。

例えば、車で道路を直進中に、進路変更してきた車にぶつけられたという類型の事故では、基本的過失割合は30:70とされています。

ただ、進路変更車が合図を出していなかった場合、進路変更車の過失は20%増加するとされているので、過失割合は10:90と修正されます。

示談交渉の段階でも、このような裁判所の考え方を基に、被害者側と加害者側とで話し合いをしていきます。

裁判所がどのように過失割合を決めているかどうかは、個人で調べてもなかなか分からないと思います。

過失割合で困ったときには、交通事故に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

仕事に復帰すると治療を受けられなくなるのですか?

交通事故の被害者の方から「そろそろ仕事に復帰しようと考えているのですが、復帰すると治療を終えなければならないのですか?」とご相談いただくことがあります。

結論として、通常そのようなことはございません。

休業の必要性の認められる期間と、治療の認められる期間は異なります。

治療の必要性の認められる期間の方が、休業の必要性の認められる期間より長いのが通常です。

仕事に復帰できる程回復したとしても、まだまだ痛みが続き、治療が必要になることは多いです。

例えば、事故で骨折をして2か月間仕事を休んだけれども、仕事に復帰してから4か月間は、仕事をしながら通院をする

、というようなことがあります。

そのため、仕事に復帰したとしても、治療を終えなければならないということは、通常ございません。

仕事に復帰すると治療費が支払われなくなると誤解して、休業期間が長くなり、相手方保険会社と休業の必要性を巡ってトラブルになったというケースがあります。

そのようなトラブルにならないためにも、事故から早いタイミングで弁護士などの専門家に相談し、正確な知識を身につけておくことをお勧めします。

当法人では、交通事故のご相談については、無料で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

加害者が飲酒運転でしたが、何か影響はありますか?

最近は飲酒運転による罰則が強化され、現在では飲酒運転は悪質な犯罪行為であると世間では認知されているように思います。

ただ、それでも飲酒運転は後を絶たず、被害者の方から「飲酒運転の自動車に当てられた」というご相談をいただくことは一定数あります。

 

その際にご相談者様が気にすることが多いのが、飲酒運転でも加害者の任意保険は使用できるのか、という点です。

この点については、加害者が飲酒運転であっても、被害者保護の観点から、通常、対人賠償保険や対物賠償保険は使用できるとされています。

そのため、被害者の補償については、加害者の加入する対人賠償保険と対物賠償保険からされることになります。

 

加害者の加入する対人賠償保険からは、入通院慰謝料が支払われることになるのですが、加害者が飲酒運転の場合、慰謝料の金額が増額になることがあります。

裁判例の中には、裁判所基準で計算した慰謝料から20%増加させたものや、30%増加させたものもあります。

裁判所は、加害者が飲酒運転をしていた、無免許であった、ひき逃げをした等の著しく不誠実な態度があるような場合には、慰謝料の増額を認める傾向にあります。

 

加害者が飲酒運転をしていた等、事故態様が酷い場合には、特にしっかりとした賠償をさせる必要があるかと思いますので、早いタイミングで弁護士にご相談いただくことをお勧めします。

警察提出用の診断書に全治1週間と書いてますが、それ以降は治療できますか?

交通事故に遭って病院に行くと、病院から「警察に提出してください」と言われて診断書をもらうのが通常です。

この診断書を警察に提出することによって、人身事故への切り替えをすることができます。

ただ、この診断書には、「全治1週間」とか「全治10日」などと短い期間が書かれていることが通常です。

この記載だけ見ると、その期間を過ぎたら治療は受けられないようにも思えます。

しかし、実際には、必ずしもそのようなことはありません。

打撲、捻挫であっても事故から3か月程度の治療が必要になることもありますし、症状によっては6か月の治療が必要となることもあります。

治療の必要性、相当性が認められれば、相手方保険会社は、警察提出用診断書に記載された「全治1週間」「全治10日」などの期間に限らず、治療費の支払いに応じてきます。

そのため、警察提出用の診断書に記載された全治までの期間は、あまり気にせずにご通院いただくのが良いかと思います。

治療費の支払いを巡っては、よく相手方保険会社と揉めてしまうことがあります。

出来れば揉める前に弁護士などの専門家に相談し、揉めてしまわないよう、適切なアドバイスを受けることが大事です。

交通事故に遭ってしまったからは、早いタイミングで相談することをお勧めします。

後遺障害診断書の内容に誤りがある場合,どうすればよいか?

後遺障害申請をする際には,後遺障害診断書を添付資料として自賠責保険に提出する必要があります。

後遺障害診断書は,通常,症状固定のタイミングで主治医に書いてもらうことになります。

 

ただ,主治医に後遺障害診断書を書いてもらったけれども,その中身をチェックすると,明らかな誤記があったり,被害者の自覚症状が正確に記載されていないこともあります。

 

そのような場合には,主治医に後遺障害診断書の訂正を依頼することが多いです。

弁護士が主治医に書面や電話で訂正の依頼をすることもありますし,依頼者を通して訂正を依頼することもあります。

 

明らかな誤りであれば,訂正に応じていただけることが多いです。

例えば,事故日の誤り,通院日数,通院期間の誤り等については,比較的訂正に応じていただけることが多いです。

 

しかし,それ以外の事項(症状固定日,検査結果,今後症状が残存するか否かの見通し等)については,訂正に応じていただけないことも多いです。

 

後遺障害診断書を添付しないと自賠責保険は後遺障害の審査を開始しないので,どうしても訂正に応じていただけない場合には,新たに後遺障害診断書を作成していただける医師を探すか,そのまま提出するしか方法がありません。

もっとも,主治医でないにもかかわらず,後遺障害診断書の作成に応じていただける医師は少ないというのが現状です。

 

そのため,主治医とはしっかりとコミュニケーションを取り,最初からしっかりした後遺障害診断書を書いていただけるようにすることが大切です。

後遺障害の申請でお困りの方は,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、物損はどうなるのか?

加害者が任意保険に加入しておらず、自賠責保険にしか加入していない場合、自動車の修理費、代車費用、レッカー代などの物損はどのように賠償されるのでしょうか。

 

このような場合には、①ご自身の加入する車両保険、代車費用特約、ロードサービス費用特約を使用する、②加害者本人に請求する、という方法を取るのが通常です。

自賠責保険は人損を補償するための保険であり、物損については支払いの対象外となるので、使用できません。

 

①のメリットは、ご自身の任意保険会社から修理費、代車費用、レッカー費用が支払われるため、加害者と交渉することなく、支払いが得られることにあります。

ただし、車両保険を使用すると、通常、等級がダウンしてしまうため、翌年以降の保険料が上がってしまうというデメリットがあります。

 

②のメリットは、ご自身の車両保険は使用しないため、翌年以降の保険料には影響がないことにあります。

ただし、加害者と直接交渉して、修理費などの支払いを求めなければならないので、被害者の方の負担は大きいです。

また、加害者が無資力であったり、行方不明となったような場合には、結局支払いが得られず、泣き寝入りになってしまうこともあります。

そのような場合には、弁護士に依頼しても、なかかな結果が出ないこともあります。

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、治療はどうすれば良いのか?

「加害者が自賠責保険にしか入っていないようなのですが、治療はどうすれば良いですか?」というご相談をいただくことがあります。

 

損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2019年度版」によれば、対人賠償の加入率は、自動車保険と自動車共済を合計すると88.2%です。

約10台に1台は対人賠償に加入していないというのは、結構高い割合だと思います。

 

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合には、①ご自身の加入する人身傷害保険を使用する、②加害者の加入する自賠責保険に被害者請求をする、という方法を取るのが一般的です。

 

①を使用するメリットは、ご自身の加入する任意保険会社が直接医療機関に治療費の支払いをしてくれることが多いため、医療機関の窓口での負担なく通院できることです。

ただし、人身傷害保険を使用すると、任意保険会社からは健康保険を使ってほしいと言われることもあり、健康保険を使用する場合には、窓口負担が出るのが通常です。

②自賠責保険に被害者請求をするメリットは、通院期間が長期となりそうな場合であっても、保険会社から治療費の支払いの打ち切りを打診されないことにあります。

人身傷害保険を使用して、任意保険会社から直接医療機関に治療費を支払ってもらう場合には、任意保険会社から治療費の支払いの打ち切りを打診されることがありますが、②の方法では、自賠責保険からそのような打診をされることは通常ありません。

 

加害者が自賠責保険にしか加入していない場合には、今後どのように進めていけばよいのか分からないことも多いかと思いますので、そのような場合には、弁護士などの専門家にご相談いただくのが良いでしょう。

公務員の休業損害

休業損害は、通常、交通事故によって休業を余儀なくされ、それによって減給が生じた場合に認められます。

有給休暇を使用した場合にも認められます。

公務員の場合には、病気休暇制度や休職制度を利用することにより、減給が生じなかったり、有給を使用しなくても休業ができることがあります。

そのため、病気休暇制度を使用した場合には、基本的には休業損害は発生しないようにも思えます。

ただし、病気休暇中は、基本給と一定の諸手当は支払われますが、付加給は支払われないのが通常なので、付加給分の休業損害を請求できる可能性があります。

また、休職制度を利用した場合には、通常、給与の80%しか支払われないため、差額を休業損害として請求できる可能性があります。

さらに、休業が長期にわたると賞与が減少することもあり、減少した賞与相当額についても、必要性・相当性が認められれば休業損害として請求できる余地があります。

このように、公務員の休業損害については、一般の会社員では生じない問題が生じることがあります。

制度をよく理解していない保険会社の担当に当たると、本来は支払われるはずの休業損害が支払われないまま示談になってしまうことも少なくありません。

そうならないように、休業損害で気になることがあれば、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

保険会社から送られてきた同意書にサインする必要はあるのか?

交通事故の被害に遭い、病院に通うことになると、通常、相手方保険会社から同意書という書類が送られてきます。

この同意書にサインしても良いのかどうか、質問をいただくことがよくあります。

この同意書は、病院が相手方保険会社に被害者の診断書、診療報酬明細書などの個人情報を提供するために必要となります。

相手方保険会社が病院に治療費を支払う際には、どのような怪我により、どのような治療を受けているのか、いつ治療を受けたのか確認をします。

通常、保険会社はその確認ができなければ、必要かつ相当な治療であったのか確認が取れないため、病院に治療費を支払いません。

そのため、相手方保険会社から病院に直接治療費を支払ってもらいたいということであれば、同意書にサインするのが良いでしょう。

どうしても同意書にサインしたくないということであれば、被害者の方が直接病院の窓口で治療費を支払うことにより、通院することはできます。

もっとも、被害者の方が病院の窓口で治療費を支払った後、その費用の支払いを相手方保険会社に求めたとしても、通常、相手方保険会社は治療内容が分からず、治療の必要性・相当性を判断できないことを理由に支払いには応じてきません。

結局、相手方保険会社から治療費等の支払いを得るためには、相手方保険会社に診療情報を提供する必要が出てきます。

治療費を巡っては、保険会社とトラブルになることが多いので、何か困ったことがあれば弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。

症状固定となった後は病院に通っていいのか?

痛みや痺れが残存したまま症状固定となった場合、その後も病院に通うことはできます。

ただし、原則として症状固定日までに掛かった治療費が損害賠償の対象となるため、症状固定以降に病院に通ったとしても、その費用は賠償の対象とはなりません。

健康保険を使用すれば費用を抑えることができるため、一般的には、症状固定後は健康保険を使用して病院に通う方が多いです。

整骨院や接骨院については、症状固定後は交通事故としての治療を健康保険を使って受けることはできないため、自由診療となります。

後遺障害の申請をする場合には、症状固定後にも自己負担で医療機関に通っていることが、痛みや痺れが残存していることを立証するための一つの要素となります。

自己負担で医療機関に通っている場合には、その領収書はしっかり保管していただくことをお勧めします。

特に、打撲や捻挫といった他覚的所見のない怪我については、レントゲンやMRI画像に異常が写らないことがほとんどなので、症状固定後の医療機関の領収書はより大事となります。

適切な後遺障害の認定を受けるためには、事故に遭ってから早いタイミングで、弁護士などの専門家から通院するうえでの注意点を聞くことが大切です。

自賠責と労災の後遺障害認定基準は同じですか?

会社員が業務中、通勤中に交通事故に遭ってしまった場合には、加害者の加入する自賠責保険と労災保険のいずれにも後遺障害申請ができます。

自賠責保険の後遺障害等級は1から14級までありますが、これは労災の障害補償の後遺障害等級表に準じた内容となっているため、自賠責保険と労災保険の後遺障害の認定基準は、基本的には同じです。

 

しかし、実際に自賠責保険と労災保険のいずれにも後遺障害申請をすると、認定される等級が一致しないことや、一方が認定されたけれども他方が非該当になった、というケースがあります。

その理由はいくつかありますが、大きな理由として審査方法の違いがあります。

自賠責保険が基本的に書面審査なのに対して、労災保険は医師が面談して審査することになります。

このような審査方法の違いにより、認定結果に違いが出てくることも多いと考えられます。

業務中や通勤中の交通事故については、自賠責保険と労災保険が絡んでくるため、どちらを使用した方がより有利に進めることができるのか、判断に悩まれる方も多いかと思います。

このようなことでお困りの方は、早いタイミングで一度、弁護士などの専門家にご相談いただいた方が良いかもしれません。

被害者請求と加害者請求って何ですか?

自賠責保険に保険金の支払いを求める方法については、被害者請求と加害者請求の2つがあります。

被害者請求とは、交通事故の被害者が直接自賠責保険に支払いを求める方法です。

これに対して、加害者請求とは、交通事故の加害者側が自賠責保険に支払いを求める方法です。

加害者請求をするためには、加害者側は、被害者に治療費などの賠償金を支払う必要があります。

被害者に支払った後でないと、自賠責保険に支払いを求めることができないとされています。

加害者請求の具体例を挙げると、交通事故に遭った場合、通常、加害者の加入する任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払ったり、被害者に休業損害を支払ったりしています。

その後、任意保険会社は、加害者の加入する自賠責保険に対し、治療費や休業損害などの支払いを求めます。

このように、加害者側が治療費等の支払いをした後に、自賠責保険にその分の支払いを求めることを、加害者請求といいます。

被害者請求と加害者請求のどちらが良いかどうかは、事案によって異なります。

被害者の過失割合がある程度大きいために、加害者側の任意保険会社が治療費の支払い等に応じないこともあります。

自賠責保険の仕組みについて、詳しく理解している方は少ないかと思いますので、何かお困りごとがございましたら、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

自分の入っている自賠責保険は使えるのか?

「自分が所有している車を友人が運転して、自分は助手席に座っているときに、友人が事故を起こしました。友人にも過失があるので、自分の自賠責保険に後遺障害申請はできますか?」という質問をいただくことがあります。

この場合、友人に過失があったとしても、ご自身の自賠責保険に後遺障害申請をすることができない可能性が高いです。

自賠責保険を使用するためには、申請する人が「他人」に該当する必要があります(自賠法3条)。

裁判所は、友人が自動車を運転し、所有者が同乗中に事故が起きたという事案において、特段の事情がない限り、所有者は友人との関係で他人性を主張できないと判断しました(最判昭和57年11月26日民集36巻11号2318頁)

そのため、上記質問のような場合、判例によれば他人性の要件を満たさないため、自賠責保険に後遺障害申請ができない可能性が高いです。

他人性の要件を満たすかどうか、明確には判断が付かないケースも多々あります。

自賠責保険が使えると思っていたけれども、後遺障害を申請するときに弁護士に相談したら、実は使えない可能性が高いと分かったとなると、適切な賠償がされないこともあります。

そのようなことがないよう、交通事故に遭ってしまったら、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

入院したのですが、個室使用料は請求できますか?

「交通事故によって入院を余儀なくされたのですが、個室使用料は請求できますか?」というご質問をいただくことがあります。

特に最近は、大部屋に入院すると新型コロナウイルスに感染するのが怖いので、個室に入院したい、というご相談をいただくことがあります。

 

裁判所は、個室を使用することの必要性がある場合には、個室使用料を賠償の対象と認めています。

大部屋に入院するのと個室に入院するのとで、治療効果に差がない場合には、あえて個室を使用する必要はないと判断する傾向にあります。

個室を使用した方が良い治療効果が期待できる場合や、個室を使用しないと症状が悪化するような場合には、個室使用料は賠償の対象となることが多いです。

入院した病院に空きのベッドがなく、個室にしか入院できなかったという場合にも、個室使用料は賠償の対象とされる傾向にあります。

また、新型コロナウイルスへの感染リスクを理由とした個室使用料の支払いが認められるかどうかについては、まだ裁判例が見当たらないので何とも言えないですが、おそらく単に怖いという理由だけでは認められず、大部屋に入院することで個室に入院するよりも感染リスクが増加することを具体的に立証できなければ、賠償の対象とはならないと思います。

 

個室使用料を巡っては保険会社とトラブルになることも多いため、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

 

一度後遺障害と認定されると,今後は後遺障害と認定されないのか?

交通事故の法律相談をしていると,たまに「以前,交通事故に遭って後遺障害が認定されているのですが,今回の事故では認定されないのですか?」という質問をいただくことがあります。

 

今回の事故で後遺障害が認定されるかどうかは,前回認定された部位と今回の部位が同一かどうか,によって変わります。

 

前回認定された部位と同一部位に症状が出た場合には,前回認定された障害を上回る障害が残存しなければ,後遺障害は認定されません。

例えば,前回の事故で腰部に後遺障害等級14級9号が認定された場合,今回の事故で腰部を痛めたとしても,14級9号は認定されません。

腰部を骨折するなどして,腰部に他覚的所見がある場合には,12級が認定される可能性はあります。

 

前回認定された部位と異なる部位に症状が出た場合には,通常どおり,後遺障害の認定がされることになります。

例えば,前回の事故で頚部を痛めて14級9号が認定され,今回の事故で腰部を痛めた場合には,腰部が14級9号と認定される可能性はあります。

 

後遺障害の認定においては,様々なルールがあるため,ルールを知らないまま認定を受けると,思わぬ落とし穴にはまる可能性があります。

後遺障害認定申請をお考えの方は,一度,弁護士に相談することをおすすめします。

後遺障害の認定は誰がするのか?

交通事故に遭って通院治療を続けたけれども,痛み,痺れ,関節の可動域制限,変形などの症状が残ってしまう場合があります。

そのような症状が残存してしまった場合には,後遺障害と認定されて,より多くの賠償金が支払われることになります。

 

残存した症状が後遺障害に該当するかどうかは,まず自賠責保険が判断することになります。

正確には,損害保険料率算出機構という組織が調査をして,その調査結果に基づいて自賠責保険が等級の認定をします。

 

自賠責保険の認定した等級に不服がある場合には,自賠責保険に対して異議申立てという不服申立手続きをすることができます。

異議申し立ては,制度上,何回でも行うことができるとされています。

ただ,異議申立をしても時効は中断しないので,等級に納得がいかない場合でも,どこかのタイミングで訴訟提起をせざるを得なくなります。

 

異議申立てでも納得のいく等級が認定されなかった場合には,紛争処理機構に判断を委ねることもできます。

ただ,紛争処理機構への申し立ては1回しかできないので,その点には注意が必要です。

 

自賠責保険と紛争処理機構での判断に納得がいかない場合には,訴訟提起をして裁判所に判断を委ねることになります。

裁判所は,自賠責保険や紛争処理機構の判断には拘束されないため,独自に等級を認定することができます。

もっとも,実務上,裁判所は自賠責保険や紛争処理機構の判断を尊重する傾向にあります。

そのため,自賠責保険への後遺障害申請の段階から,弁護士に相談するなどして,しっかりと対策を立てることが大事です。