麻痺が残った場合に認められる後遺障害②


 麻痺が残った場合に認定される可能性のある後遺障害等級は7つあります。

 1つ目は、自賠法施行令別表第一・第1級1号です。これは「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要する」場合に認定されます。具体的には、①高度の四肢麻痺が認められるもの、②高度の対麻痺が認められるもの、③中程度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの、④中程度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するものがこれに該当します。

 2つ目は、自賠法施行令別表第一・第2級1号です。これは「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,随時介護を要する」場合に認定されます。具体的には、①中等度の四肢麻痺が認められるもの、②軽度の四肢麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの、③中等度の対麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するものがこれに該当します。

 3つ目は、自賠法施行令別表第2・第3級3号です。これは「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができない」場合に認定されます。具体的には、①軽度の四肢麻痺が認められるものであって,食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないもの、②中等度の対麻痺であって,食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要しないものがこれに該当します。

 4つ目は、自賠法施行令別表第二・第5級2号です。これは「神経系統の機能または精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができない」場合に認定されます。具体的には、①軽度の対麻痺、②一下肢の高度の単麻痺がこれに該当します。

 5つ目は、自賠法施行令別表第2・第7級4号です。これは「神経系統の機能または精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの。一応労働することはできるが,労働能力に支障が生じ,軽易な労務にしか服することができない」場合に認定されます。具体的には、一下肢の中等度の単麻痺がこれに該当します。

 6つ目は、自賠法施行令別表第二・第9級10号です。これは「神経系統の機能または精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの。通常の労働を行うことはできるが,就労可能な職種が相当程度に制限される」場合に認定されます。 具体的には、一下肢の軽度の単麻痺がこれに該当します。

 7つ目は、自賠法施行令別表第二・第12級13号です。これは「局部に頑固な神経症状を残す」場合に認定されます。具体的には、①運動性,支持性,巧緻性および速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの、②運動障害は認められないものの,広範囲にわたる感覚障害が認められるものがこれに該当します。

 このように、麻痺が残った場合に認定され得る後遺障害等級には幅があります。後遺障害等級によって賠償金は大きく変わりますので、早いタイミングで弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

体に麻痺が残った場合に認められる後遺障害①


1 麻痺の原因
 交通事故によって外傷を負った場合、筋肉が硬直する、筋肉が弛緩する、知覚が鈍くなるといった麻痺が残ることがあります。麻痺が残る原因は、大きく分けて2つあります。

 1つ目は、外傷性脳損傷です。外傷性脳損傷を原因とする麻痺は、主に随意運動を制御している前頭葉の後部が損傷を受けることで生じます。右の前頭葉後部を損傷すると体の左側に麻痺が生じ、左の前頭葉後部を損傷すると体の右側に麻痺が生じます。両方を損傷すると体の両側に麻痺が生じます。

 2つ目は、脊髄損傷です。脊髄損傷を原因とする麻痺は、脳と末梢神経管の信号を伝達する中枢神経が傷つき、信号が途中で阻害されることで生じます。外傷性脳損傷や脊髄損傷によって麻痺が残ってしまった場合、麻痺の種類、麻痺の程度に応じて認定される後遺障害が決まります。


2 麻痺の種類
 麻痺には、四肢麻痺、片麻痺、単麻痺、対麻痺の4種類があります。四肢麻痺とは、両方の上肢と下肢が麻痺することです。片麻痺とは、片方の上肢と下肢が麻痺することです。単麻痺とは、上肢または下肢の一肢が麻痺することです。対麻痺とは、両方の上肢または両方の下肢が麻痺することです。


3 麻痺の程度
 麻痺の程度については、高度、中程度、軽度の3つに分けられます。

 高度の麻痺とは、障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作(上肢においては物を持ち上げて移動させること、下肢においては歩行や立位をとること)ができない程度の麻痺をいいます。

 中程度の麻痺とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本運動にかなりの制限があるものをいいます。

 軽度の麻痺とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度失われているものをいいます。

 このように、麻痺の原因、種類、程度には様々な種類があり、認定される後遺障害等級も様々あります。後遺障害等級によって賠償金は大きく変わるため、麻痺による後遺障害については、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。


交通事故での民事裁判について②

1 民事裁判の進行方法

民事裁判を始めるには、まず「訴状」という書類を作成し、裁判所に提出する必要があります。提出後、約1ヶ月で第一回目の口頭弁論が開催されます。この期間に加害者側からは反論の書面が提出されます。その後、双方が準備書面や証拠を提出し、和解案が示されることがあります。和解案に合意すれば裁判は終了しますが、一方が応じない場合は尋問などを経て、最終的に判決が下されます。

2 裁判にかかる費用と期間

民事裁判には、収入印紙代、郵券代、謄写料などの費用が発生します。収入印紙代は請求金額により異なり、郵券代は裁判所が郵送物を送る際に必要です。訴訟解決までには最短で6ヶ月から1年、複雑な場合は数年かかることもあります。

3 和解について

準備書面による主張や証拠の提出が尽くされた後は、裁判所から和解案が示されることが多いです。この和解案は、両当事者の主張、証拠を踏まえて提示されるため、判決に近い内容になることが多いです。和解案に応じない場合、判決は和解案に近い内容になる可能性が高いため、多くの裁判が和解で終了します。

4 弁護士に相談

弁護士に依頼せず、個人で裁判を進めることは極めて困難です。裁判の途中で弁護士に依頼しようとしても、軌道修正することは難しいです。そのため、裁判を希望するのであれば、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

交通事故での民事裁判について①

1 示談交渉が決裂した際の解決策

交通事故に遭ったときには、多くの場合、被害者は加害者の保険会社と示談を目指します。しかし、賠償金額を巡って意見が合わず、示談交渉が決裂することもあります。このような状況では、被害者は加害者に対して民事裁判を起こすことを選択できます。

裁判を起こすメリットは主に2つあります。

まず、示談交渉がうまくいかなくても、裁判所が判決を下して、賠償金額を定めます。裁判所の判決が出ると、通常は加害者側の保険会社が判決に従い、賠償金を支払うことになるため、紛争が解決となります。

次に、遅延損害金と弁護士費用の獲得が可能です。加害者は、事故から賠償金支払いまで、年3%の遅延損害金を支払う義務があります(令和2年4月1日より前に発生した事故の場合は5%)。また、被害者が弁護士に依頼した場合、その費用の一部も負担する義務があります。示談交渉ではこれらの費用を加害者側が支払うことは少ないため、裁判を通じてこれらを獲得する道が開けます。

2 民事裁判以外の選択肢

加害者側の保険会社との交渉が決裂した場合、民事裁判を起こす以外にも、紛争処理センターへの申し立て、民事調停といった選択肢があります。

民事調停は、裁判所で話し合う手続きなので、金額の合意ができなければ、結局は調停不成立となってしまいます。

紛争処理センターに申し立てる場合、最終的には審査会が金額を決め、その判断に保険会社は従わなくてはならないため、民事調停よりも強制力があります。

過失割合について②

1 過失割合の重要性とその影響

過失割合は、ご自身が受け取る賠償金に大きく影響します。例えば、過失割合が1:9、ご自身の車両修理費50万円、相手方車両修理費30万円の場合、ご自身が受け取る車両修理費は45万円(50万円×0.9)、相手方に支払う車両修理費は3万円(30万円×0.1)となります。

さらに、過失割合は物損だけでなく、人損にも大きく影響します。治療費や慰謝料などの総損害額から、過失割合に応じた金額が算出されます。例えば、過失割合2:8、治療費60万円、人損の総損害額が200万円、既に相手方保険会社が治療費60万円を病院に支払っている場合、実際に受け取れる賠償金は100万円となります(200万円×0.8=160万円、160万円ー60万円)。

2 過失割合に納得がいかない場合の対応策

相手方保険会社の提案した過失割合に納得できない場合、証拠収集が重要になります。実況見分調書、目撃者の証言、ドライブレコーダーの映像などが有効です。しかし、これらの証拠をご自身で入手することは大変ですし、これらをどう活用するかは専門知識が必要です。このような状況では、弁護士などの専門家に相談することも一つの手です。

過失割合について①

1 交通事故における過失割合の決め方

交通事故に巻き込まれた際、相手方保険会社から「過失割合は3:7です」といった説明を受け、自分にもこんなに過失があるのかと戸惑うことがあるかもしれません。

過失割合とは、事故の責任をどのように分担するかを示す割合です。過失割合は、示談交渉の段階では話し合いで決定されます。両者が任意保険に加入している場合は、各々の保険会社がこの交渉を行います。もし話し合いで決まらない場合、最終的には、訴訟上で裁判所が過失割合を定めます。

過失割合を決定する際には、事故の種類に応じて類型的に判断されます。例えば、「別冊判例タイムズ第38号」には様々な事故状況図が掲載されており、これらを参考に基本的な過失割合が設定されます。さらに、具体的な事情(例:ウインカーを出さなかった、明らかな過失があった等)に応じて、この基本割合を修正します。たとえば、ウインカーなしで進路変更した車は、その過失が増加し、最終的な過失割合が変わります。

2 弁護士などの専門家への相談

保険会社から過失割合を言われたとしても、必ずしもその割合で示談しなければいけないわけではありません。過失割合に納得がいかなければ、弁護士などの専門家に見解を聞いてみることも一つの方法です。

交通事故に多いケガ

①むち打ち
交通事故で一番多いケガがむち打ちです。

交通事故で追突等されることにより、首や腰が前後に振れ、その結果、むちのようにしなることがあります。これが、一般的に「むち打ち」と呼ばれるものです。ただし、むちうちは医学的な診断名ではないため、診断書には「むち打ち」とは書かれません。代わりに、頚椎捻挫、頚部挫傷、腰椎捻挫、腰部挫傷、外傷性頚部症候群など、異なる診断名が使われることが多いです。

むちうちの症状には、首や腰の痛み、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りなどがあります。これらの症状は、事故の数日後に現れることもあります。重度の場合では、上半身の痺れ、全身の疲労感、視力障害などが発生することもあります。

むちうちの治療法には、痛み止め、頚椎カラー装具の着用、電気治療、マッサージ、運動療法などが一般的に用いられます。治療期間は通常、3か月から6か月程度かかるとされています。ただし、事故の重大さや治療内容によっては、6か月以上かかる場合もありますし、逆に1か月で回復する場合もあるため、3か月から6か月という期間はあくまで目安です。

むちうちの原因は目に見えないため、相手方保険会社と治療期間の妥当性で揉めて、弁護士を入れなければ解決しないことも少なからずあります。

②骨折
歩行中やバイクや自転車の事故に巻き込まれた場合、骨折のケガを負うことが比較的よくあります。車同士の衝突事故でも、大きな衝撃があれば肋骨などが骨折することは珍しくありません。

骨折した場合、骨が癒合するまでギプスなどで固定し、その後リハビリ治療が行われることが一般的です。治療期間は、骨折の程度により異なります。軽度の場合、半年以内に回復することが多いです。たとえば、指の骨1本だけを骨折した場合、通常は1から3か月程度で完治します。しかし、骨盤などの大きな骨が複数箇所折れた場合、症状の固定に半年以上かかることもあります。

子どもがむち打ちになった場合

1 2つの注意点

①早く整形外科を受診する
子供の中には、本当は痛いけれども、我慢して「痛くない」と言ってしまう子が少なからずいます。
また、むちうちの場合、事故後しばらくしてから、痛み、痺れなどの症状が現れることがあります。
事故に遭ったら、可能な限り早く整形外科を受診しましょう。

②親が診察に同席する
子供が診察を受けるときは、可能な限り親が同席し、子供の体調の変化を詳しく伝えるよう努めましょう。
子供は痛みや不調をうまく表現できないことがありますし、通院を面倒だと感じて、痛くないと言ってしまうこともあります。
子供が症状を伝えられないと、医師は回復したと誤解し、実際には痛みが残っている状態でも治療を終了させてしまう可能性があります。

2 付添看護費、付添人交通費
子どもの年齢やケガの内容にもよりますが、子どもが一人では通院できない場合、相手方保険会社から、付添看護費と付添人交通費が支払われます。

付添看護費は、裁判所基準では日額3300円、自賠責基準では日額2100円(令和2年4月1日以前に発生した交通事故は、日額2050円)となります。
示談する際には、付添看護費と付添人交通費が含まれているか、確認する必要があります。示談前に弁護士にチェックしてもらうことでも良いと思います。

通院交通費はどこまで認められるのか

1 交通事故の被害者が通院するために掛かる交通費については、原則として、実費が損害として認められます。金額は交通手段によって異なります。

①自家用車での通院
自家用車で通院する場合、合理的な経路での実費相当のガソリン代が1キロあたり15円で認められます。また、駐車場料金などが必要な場合も、具体的な証拠に基づいて請求できます。

②公共交通機関での通院
公共交通機関を利用する場合、その運賃が認められます。通常の場合、領収書等は必要ありませんが、自動車を利用できるのに公共交通機関を利用した場合、証拠が求められることがあります。交通系ICカードなどを利用して利用履歴を残しておくことがおすすめです。

③タクシーでの通院
タクシー代については、自家用車や公共交通機関では通院できない場合に限って、認められます。タクシーの使用は、必要最小限にしておくことが賢明です。

2 定期券を持っていて通院のために途中下車する場合など、金銭的な損害が発生していない場合は請求できません。ただし、通院にあたり経路を一部外れて余分な費用がかかっている場合にはその部分に限って請求可能です。


また、遠隔地の病院への通院費用は、必要性がない限り認められません。遠方の病院に通院する場合でも、合理的な理由がない場合は通院交通費として認められません。必要な治療ができる近くの病院で通院できる場合、遠隔地の通院費用は認められません。

通院交通費でお困りの方は、弁護士に相談してみることもお勧めします。

交通事故で裁判すると期間はどれくらい掛かるか

交通事故での通院治療が終わった後、相手方保険会社との示談交渉に入りますが、金額に折り合いがつかなければ、最終的には訴訟提起をすることになります。

事案の内容にもよりますが、訴訟提起すると、解決まで少なくとも半年から1年は掛かります。

訴訟提起すると、通常、被告側は文書送付嘱託という手続きによって、原告が通院していた各医療機関からカルテを取り付ける手続きをします。

文書送付嘱託の申立てをしてからカルテが裁判所に届くまで、通常1、2か月は掛かります。

裁判所にカルテが届いたら、謄写の手続きをして、被告側がカルテの翻訳をします。

その後、被告側がカルテに基づく準備書面を提出することとなります。

何か所も病院に通っていると、カルテを翻訳、分析するだけで相当時間が掛かるため、準備書面の提出まで数か月掛かることもあります。

被告側がカルテに基づく準備書面を提出したら、その後は原告側が反論の準備書面を提出することになります。

このように、準備書面による主張、反論を繰り返すこととなるため、訴訟提起すると、解決までの期間が相当掛かります。

交通事故の案件の大半は示談で終了となりますが、一部、どうしても訴訟提起せざるを得ない案件もあります。

交通事故でトラブルになりそうであれば、早いタイミングで弁護士に相談することをお勧めします。

外貌醜状について②

外貌醜状による後遺障害が認定されたときに争点となることが多いのが、逸失利益です。

逸失利益とは、将来失われる収入を補償するものです。

顔、首、頭に傷が残った場合、それが直接の原因となって収入減になることは少ないため、相手方保険会社は逸失利益はないと主張してくることが多いです。

裁判例の傾向としては、外貌醜状によって業務にどれだけの影響が生じたかどうかを重視しています。

裁判例の中には、宿泊施設の仲居(女性、21歳)の口唇下部に線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、線状痕が一見して分かるもので、化粧や髪型等によって目立たなくすることが容易ではないこと、接客業を継続することが困難になったこと等を理由に、逸失利益を認めたものがあります(京都地判令3・5・14自保ジャーナル2101・55)。

また、介護従事者(女性、45歳)の眉間に人目につく3cm以上の線状痕(12級14号)等の後遺障害が残った事案について、介護の仕事は日常的に他人と接し、円満な人間関係の形成等が必要とされること、年齢等に照らし今後転職する可能性も否定できないこと等を理由に、逸失利益を認めたものもあります(横浜地判平26・1・30交民47・1・195)。

外貌醜状による逸失利益については、業務への支障を適切に主張、立証しないと認められないので、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

外貌醜状について①

交通事故によって顔に怪我を負うと、傷が残ってしまうことがあります。

顔などの目立つ箇所に傷跡が残ると、強い精神的苦痛を負うため、後遺障害が認定される可能性があります。

顔、頭、首などの外貌に傷跡が残ってしまうことを外貌醜状といい、傷跡の大きさによって、認定される後遺障害等級が変わります。

自賠責保険では、傷跡が大きい順に、7級12号、9級16号、12級14号が設けられています。

7級12号「外貌に著しい醜状を残すもの」は、頭部に手のひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕または頭蓋骨の手のひら大以上の欠損、顔面部に鶏卵大面以上の瘢痕または10円銅貨大以上の組織陥没、頚部に手のひら大以上の瘢痕が残った場合に認定されます。


9級16号「外貌に相当程度の醜状を残すもの」は、顔面部に5センチメートル以上の線状痕が残った場合に認定されます。


12級14号「外貌に醜状を残すもの」は、頭部に鶏卵大以上の瘢痕または頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損、顔面部に10円硬貨以上の瘢痕または長さ3センチメートル以上の線状痕、頚部に鶏卵大以上の瘢痕が残った場合に認定されます。

顔、頭、首に傷跡が残りそうな方は、一度、弁護士に後遺障害等級が認定されそうか相談してみるのも良いかもしれません。

交通事故紛争処理センターとは何ですか?

相手方保険会社との示談交渉をしたけれども、どうしても納得のいく金額とならない場合、交通事故紛争処理センターに申立てを行うことがあります。

申立てをすると、紛争処理センターから嘱託された相談担当弁護士が、被害者側と加害者側の保険会社双方から話を聞いて「和解のあっ旋」をします。

被害者側または保険会社があっせん案に同意しない場合、センター内に設置された審査会が「審査」をします。

紛争処理センターに申し立てるメリットの一つとして、加害者側の保険会社は、審査会の出した決定には従わなければならないけれども、被害者側は従わなくても良い、ということがあります。

審査会の出した金額に被害者側が応じれば、加害者側の保険会社はその金額を支払わなければなりません。

その他のメリットとしては、訴訟する場合と比べて早く解決することが挙げられます。

訴訟提起をすると、解決まで少なくとも半年から1年は掛かりますが、紛争処理センターに申し立てると、3、4か月で解決になることも少なくないです。

審査会まで行くとそれ以上掛かりますが、多くのケースでは「和解のあっ旋」の段階で解決となります。

示談交渉の結果に納得いかないときには、紛争処理センターへの申立ても検討することをお勧めします。

鎖骨骨折の後遺障害③

鎖骨骨折後に残存した後遺障害について、前回からの続きを説明いたします。

認定され得る後遺障害の3つ目は、疼痛や痺れを原因とするものです。

鎖骨に疼痛や痺れが残存した場合には、後遺障害等級14級9号、12級13号が認定される可能性があります。

疼痛や痺れは鎖骨の変形に派生して生じると考えられるため、鎖骨の変形を原因とした後遺障害が認定されたときには、疼痛や痺れを原因とした後遺障害は単独では認定されません。

疼痛や痺れを裏付けるだけの画像所見がある場合には12級13号、そのような画像所見がない場合には14級9号が認定される可能性があります。

画像所見の有無によって等級が変わるため、適切なタイミングでレントゲン、MRIを撮影することが大切です。

遅くとも後遺障害申請をする前には、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

疼痛や痺れを原因とする後遺障害が認定されたときに問題になり易いのが、逸失利益です。

一般的に、疼痛や痺れは期間の経過によって慣れたり、緩和が期待できるとされているため、労働能力喪失期間は制限されることが多いです。

裁判例では、14級9号の場合には5年程度、12級13号の場合には10年程度とされる傾向にあります。

逸失利益が争点となったときには、事故後の源泉徴収票、確定申告書等によって収入が減少したと主張することや、仮に収入が減少していなくても、陳述書等によって特段の努力で収入を維持していると主張することが大切です。

鎖骨骨折の後遺障害②

鎖骨骨折後に残存した後遺障害について、前回からの続きをご説明いたします。

認定され得る後遺障害の2つ目は、肩関節の可動域制限です。

鎖骨が完全には付かないことによって、肩関節の可動域が制限されることがあります。

そのような制限がされたときには、制限が軽い順に、後遺障害等級12級6号、10級10号、8級6号が認定される可能性があります。

12級6号は、肩関節の可動域が健側の可動域角度の4分の3以下に制限されたとき、10級10号は、2分の1以下に制限されたとき、8級6号は、肩関節がまったく可動しないか、これに近い状態のときに認定されます。

また、可動域制限を理由とする後遺障害が認定されるためには、実際に可動域が制限されているだけでなく、それを裏付けるだけの画像所見も必要とされています。

そのため、たとえ可動域が制限されていたとしても、レントゲンやMRI画像上、異常が見当たらないときには、後遺障害は認定されないことになります。

ご不安なときには、弁護士に依頼して後遺障害申請することもお勧めです。

可動域制限が残ったときには、画像所見の有無が問題となることが多いため、レントゲン画像、MRI画像はしっかり撮っておく必要があります。

3つ目の後遺障害については、次回ご説明いたします。

鎖骨骨折の後遺障害①

交通事故によって鎖骨を骨折した場合、通院治療を続けたけれども、骨が元通りには付かずに症状固定となってしまうことがあります。

鎖骨が変形したり、肩が動きにくくなったり、痛みが取れない等の症状が残ることがあります。

残存した後遺症については、加害者の加入する自賠責保険に後遺障害認定申請をすることになります。

認定され得る後遺障害は、大きく分けて3つあります。

一つ目は、「鎖骨に著しい変形を残す」場合に認定される12級5号です。

12級5号は、裸体になったときに、変形や欠損が明らかに分かる場合に認定されます。

変形や欠損が明らかかどうかは、原則は自賠責調査事務所での面接調査によって判断されますが、写真によって判断されることもあります。

鎖骨の変形障害が認定されたときに問題になり易いのが、逸失利益です。

一般的に、鎖骨が変形しただけでは、労働能力は減少しにくいとされているため、逸失利益は支払えないと主張してくる保険会社は少なくないです。

そのため、逸失利益が争点となったときには、弁護士に依頼するなどして、事故後の源泉徴収票や確定申告書や陳述書等によって、労働能力が減少していることを証明することが大切です。

2つ目以降は次回説明いたします。

交通事故の治療と健康保険

交通事故に遭って通院治療を受ける際に、保険会社から健康保険を使ってほしいと言われることがあります。

ただ、病院に健康保険を使いたいと言っても、「交通事故で健康保険は使えません」と言われることは少なくありません。

このような場合、どうしたら良いのでしょうか。

基本的には、交通事故の治療であっても健康保険は使えるため、病院側と良く相談した方がよいです。

もっとも、健康保険を使うと、保険の対象となる治療しか受けられないというデメリットがあるため、それも踏まえて、健康保険を使うかどうかを検討すべきです。

また、ご自身の過失が大きく、かつ治療費が高額になるときには、健康保険を使うことを検討した方が良いです。

例えば、過失割合が4:6、健康保険を使用しない治療費が200万円、健康保険を使用した治療費が60万円の場合で考えてみましょう。

健康保険を使用しない場合、加害者に請求できる治療費は120万円となり(200万円×0.6)、被害者が負担する治療費は80万円となります(200万円×0.4)。

これに対して、健康保険を使用する場合、加害者に請求できる治療費は36万円(60万円×0.6)、被害者が負担する治療費は24万円となります(60万円×0.4)。

健康保険を使った方が良いかどうかは、様々な要素を考慮しなければ判断が難しいため、弁護士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

交通事故で通院するタイミング

交通事故で打撲・捻挫といった怪我を負ったけれども、仕事が忙しくて、初診までの期間が空いてしまうという方が少なからずおられます。

病院での待ち時間を考えると、なかなか通院しにくいというのは、やむを得ないようにも思えます。

ただ、事故から初診までの期間が空くと、本当は痛みが強いにもかかわらず、相手方保険会社からは「病院に行くほどの痛みではなかったのだ」と判断され、軽症とみなされてしまう危険があります。

打撲・捻挫といった怪我は、レントゲンやMRI画像に異常の原因が写りにくいため、第三者から見て痛みの程度がわかりにくいです。

どれだけ痛いかどうかは、車の壊れ方、事故状況、事故から初診までの期間、通院頻度、治療内容などの周辺事情から推測せざるを得ません。

そうすると、事故から初診までの期間が空いてしまうと、本当は痛みが強かったとしても、そこまでの痛みではないと判断されてしまう可能性があります。

そのため、交通事故に遭って、痛みや痺れを少しでも感じたら、可能な限り早いタイミングで病院に行った方が良いです。

病院にはいつまで通ってよいのか、何回くらい通って良いのか、どのような検査を受けるべきか、分からないことは多くあるかと思います。

通院についてご不安な方は、早めに弁護士などの専門家に相談することもお勧めです。

公務員でも逸失利益は支払われますか?

ご相談者様から「後遺障害が認定されましたが、相手方保険会社から公務員であることを理由に逸失利益は支払えないと言われたが、どうにかならないか?」とご質問をいただくことがあります。

結論として、現時点で収入の減少がないとしても、将来の昇進、昇級、転職等につき不利益を受ける可能性があること等を立証できれば、逸失利益は認められます。

逸失利益とは、後遺障害によって将来失われるであろう収入を補償するものです。

公務員の場合、身分保障が手厚いため、後遺障害が残ったとしても収入に影響がないことが多いです。

そのため、相手方保険会社は、公務員である場合には逸失利益の支払いに応じないことがあります。

しかし、裁判例では、減収を防ぐために本人が特別の努力をしている場合、同僚が援助している場合、将来の昇進、昇級、転職等につき不利益を受ける可能性がある場合には、逸失利益を認める傾向にあります。

そのため、例えば、医療記録、本人の陳述書、同僚の陳述書などの証拠によって、本人が特別の努力をしていること、同僚が援助していること、将来不利益を受ける可能性があること等を立証できれば、逸失利益が認められる可能性があります。

交通事故でお困りの方は、一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

会社役員ですが、休業損害は支払われますか?

ご相談者様から「会社役員ですが、事故によって仕事を休んでいます。休業損害は支払われますか?」という質問をいただくことがあります。

結論として、会社役員の場合、休業損害が認められないことが多いですが、そうでないことも少なからずあります。

休業損害が認められるためには、事故によって収入が減少したことが必要です。

事業年度の途中で役員報酬を減額すると、税法上不利になる可能性があるため、なかなか減額できないことも多いです。

そうすると、収入が減少していないことを理由に、休業損害が認められません。

もっとも、会社としては、役員が仕事に出れない間も、役員報酬を支払わなければならないため、会社に損害が生じています。

小規模な会社であれば、役員の休業中、余計な外注費を支払わなければならないこともあります。

このような会社に生じた損害(間接損害といいます)については、原則、賠償の対象とはされていません。

ただし、判例によれば、①会社代表者に実権が集中しており、②代表者に代替性がなく、③代表者と会社が経済的に一体である場合には、会社に生じた損害も賠償の対象と認めています(最判43年11月15日・民集22巻12号2614頁)。

この判例によれば、かなり限定的にはなりますが、会社に生じた損害も賠償される余地があります。

交通事故でお困りの方は、一度、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。