体に麻痺が残った場合に認められる後遺障害①


1 麻痺の原因
 交通事故によって外傷を負った場合、筋肉が硬直する、筋肉が弛緩する、知覚が鈍くなるといった麻痺が残ることがあります。麻痺が残る原因は、大きく分けて2つあります。

 1つ目は、外傷性脳損傷です。外傷性脳損傷を原因とする麻痺は、主に随意運動を制御している前頭葉の後部が損傷を受けることで生じます。右の前頭葉後部を損傷すると体の左側に麻痺が生じ、左の前頭葉後部を損傷すると体の右側に麻痺が生じます。両方を損傷すると体の両側に麻痺が生じます。

 2つ目は、脊髄損傷です。脊髄損傷を原因とする麻痺は、脳と末梢神経管の信号を伝達する中枢神経が傷つき、信号が途中で阻害されることで生じます。外傷性脳損傷や脊髄損傷によって麻痺が残ってしまった場合、麻痺の種類、麻痺の程度に応じて認定される後遺障害が決まります。


2 麻痺の種類
 麻痺には、四肢麻痺、片麻痺、単麻痺、対麻痺の4種類があります。四肢麻痺とは、両方の上肢と下肢が麻痺することです。片麻痺とは、片方の上肢と下肢が麻痺することです。単麻痺とは、上肢または下肢の一肢が麻痺することです。対麻痺とは、両方の上肢または両方の下肢が麻痺することです。


3 麻痺の程度
 麻痺の程度については、高度、中程度、軽度の3つに分けられます。

 高度の麻痺とは、障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作(上肢においては物を持ち上げて移動させること、下肢においては歩行や立位をとること)ができない程度の麻痺をいいます。

 中程度の麻痺とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本運動にかなりの制限があるものをいいます。

 軽度の麻痺とは、障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度失われているものをいいます。

 このように、麻痺の原因、種類、程度には様々な種類があり、認定される後遺障害等級も様々あります。後遺障害等級によって賠償金は大きく変わるため、麻痺による後遺障害については、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。