将来の治療費についても賠償を受けることができるのか

交通事故に遭ってしまった場合,病院でかかった治療費は相手方保険会社に請求することができます。

損害賠償の対象となる治療費は,症状固定日までの治療費が原則です。

しかし,例外的に症状固定日以降に支出する将来の治療費も,損害賠償の対象となる場合があります。

 

例えば,第5腰椎圧迫骨折変形治癒,排尿障害等で併合7級の後遺障害を負った主婦について,症状固定後も生存期間にわたって通院治療が必要であるとして,平均余命まで1か月当たり3万円の治療費及び交通費を認めた裁判例があります(大阪地判平12・8・29)。

 

また,てんかん症状等で9級の後遺障害を負った被害者について,てんかんの予防等のためには脳波測定やMRI検査が必要であるとして,平均余命まで24年間の治療費として289万円を認めた裁判例もあります(東京地判平7・10・31)。

 

このように,将来の治療費を認める裁判例はありますが,損害賠償の対象となる治療費は症状固定前までというのが原則ですので,将来の治療費については裁判でも認められにくいというのが現状です。

保険会社も示談交渉の段階では支払いに応じないことが多いです。

 

将来の治療費についてお困りごとがございましたら,お気軽に弁護士にご相談ください。

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