任意整理ができるかどうかの分岐点

債務整理手続をとるとなったときに,まず第一に検討するのは任意整理手続が可能かどうかということだと思います。

任意整理手続は,債権者各社との間で,支払っていくことができる金額での分割払いを交渉する手続です。

将来利息はカットしてくれることが多いので,それだけでもかなりトータルの支払額が減ることになりますが,

現在抱えている債務については基本的に減額されないということになります。

 

分割払いといってもやはりある程度の限度があります。

一般的に3年(36回)から5年(60回)程度の分割なら,ということで債権者が応じてくれることが多いです。

したがって,まずは現状抱えている債務総額を60で割ったときに,月々支払っていける金額の範囲内に収まっているかどうかが任意整理を行えるかどうかの目安になります。

 

月々の支払い可能額の範囲に収まっていないという場合,個人再生や破産といった手続を検討していくことになるわけですが,

どうしても任意整理以外の手続をとれない事情があるという場合もあります。

そうした場合には,どうにかして6年(72回)あるいは7年(84回)での分割を債権者に認めてもらわなければならないことになります。

債権者によっては,月々の収入額,支出の内訳等を具体的に伝えることで,その金額が月々に支払える限度であることを納得してもらい,

こうした長期分割に応じてくれることがあります。

他方で,会社として60回払いにしか応じないと決めている会社,あるいは36回払いにしか応じないと決めている会社もあります。

そうした会社が債権者となっている場合には,一般的な範囲を超えた長期での分割は難しくなってくるでしょう。

 

また,それまでの債権者との信頼関係も影響してくることがあります。

すでに滞納が相当程度長期になっている場合や,借入からの期間が浅く,信頼関係が構築されていない場合などは,

長期の分割に難色を示されることが多いです。

 

これらの様々な事情を踏まえ,弁護士はどの債務整理手続をすべきかの判断を行うことになります。

債務整理手続の種類と概略 その3

今年もいよいよ残りわずかとなり,すっかり冬らしくなりました。

弁護士という仕事柄,遠方の裁判所等に行くこともしばしばあるのですが,

この時期に北国へ行くと東京都の温度差に驚かされます。

北国の人たちにとってみればまだまだ寒くなるのはこれからということで,全然これぐらいの寒さはへっちゃらなのかなと思いきや

むしろ比較的早い時期からしっかり防寒具を着用しているなという印象もあるので,

北国の人たちは寒さに強いというよりは,寒さ対策がきっちりできているんだなぁなどと感じています。

さて,債務整理手続についてこれまで任意整理,個人再生とお話ししてきましたが,残る手続が破産手続となります。

破産という言葉は皆さん聞いたことがあるかと思いますが,任意整理,個人再生と違い,

借金を分割して支払うというのではなく,抱えている借金をすべてなくす手続になります。

このような強力な手続ですので,当然無制限に認められるというわけではありません。

破産手続のメリット・デメリットをそれぞれ挙げると,

まずメリットは当然債務から解放されることということになります。

他方,デメリットは,まず原則としてギャンブルや浪費によってできた借金については免責不許可事由となるので破産手続を選択しづらいということがあります。

また,破産をすると一定の職業に就けないことになりますので,例えば保険の外交員などを職業とされている場合はやはり選択しづらい手続となります。

加えて,破産手続は一部の借金に対してのみ行うなどはできないので,保証人がついている借金がある場合には破産手続によりその保証人に請求がいくこととなります。

ですので,保証人がついている借金がある場合にはその辺りの点についても十分考慮したうえで手続しなければなりません。

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債務整理手続の種類と概略 その2

11月に入り東京もすっかり秋めいてきました。

私は過ごしやすい気温の時期は少し離れた駅から歩いて通勤しているのですが,

それももうしばらくしたら終わってしまいそうです。

 

さて,前回は任意整理について簡単にご説明させていただきましたが,

今回は民事(個人)再生手続についてお話しさせていただきます。

 

再生手続は任意整理と違い,裁判所を用いた手続になります。

また,破産手続と違い,債務(借金)がゼロになるというわけではありません。

債務を圧縮(減額)し,その圧縮された借金を分割払いしていくという手続になります。

まさに任意整理と破産の間にあるような手続ですが,あえて破産ではなく再生手続を選ぶメリットとは何なのでしょうか。

 

破産は借金をゼロにする最後の手段ですが,破産することが許されないケースという類型が存在します。

例えば借金の原因がギャンブルだったり浪費だったりという場合には,免責不許可事由に該当します(裁量免責により破産できる場合もあります。)。

ですので,借金の原因次第では破産手続をとりにくいということがあります。

 

また,破産をしてしまうと一定の職種に就けないこととなるため,仕事を今後も継続するために破産手続をとり得ない方もいらっしゃいます。

 

さらに,再生手続は住宅を手放さずに住宅ローン以外の債務を対象に行える手続なので,

住宅を残したいという方にとって有用な手続となります。

 

以上が再生手続を選ぶメリットとなります。

いずれにしても,どの手段をとるべきかは弁護士に確認するのが確実でしょう。

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債務整理手続の種類と概略 その1

借金がかさんでしまい,もう家計が回らない…といったときに

弁護士へ相談してとり得る手続は,一般的に3つあるとされます。

1つは任意整理手続と呼ばれるもので,2つ目は民事再生手続,3つ目が破産手続です。

 

今回は任意整理手続とは何かについて少し書かせていただきます。

任意整理手続とは,その名のとおり各債権者と任意の交渉を行い,支払継続が可能な計画を立て,

以後それに従って返済を行っていくというものです。

 

任意整理手続のメリットとして挙げられるのは,あくまで「任意」の手続なので自由度が高く,

それぞれの債権者に対しどのような条件を提示して交渉するかも自由に決められるということがあります。

そもそも,一部の債権者は手続の対象に含まないなども可能です。

 

他方デメリットとして挙げられるのは,他の2つの手続と違い裁判所をとおすものではないので

強制力がないということがあります。

あくまで個々の債権者との「任意」の交渉なので,こちらの提案に債権者が同意するかどうかは債権者次第であり

返済計画がうまく成立しないということはあり得ます。

また,任意整理は原則として返済額を減らすものではないので,

ご収入(月々の返済可能額)や総債務額の関係で,任意整理手続をとることが難しい(返済計画が成り立たない)ということもあります。

 

民事再生,破産といった手続はどうしても抵抗があるという人も多く,

債務整理手続の中でまず最初に検討するのが任意整理ということが多いかと思います。

 

次回は民事再生について記載させていただく予定です。

むちうちの後遺障害 その2

前回,むちうちの後遺障害の有無は,事故に関連する各種事情により判断されることになるとお話しさせていただきました。

今回は,その各種事情とはたとえばどのようなものがあるのか,ということについて書かせていただきます。

 

まず,よく言われるのが通院の期間や回数です。

これは,長期間・多数回通院している以上,当然症状の程度が重いだろうと考えられることから,重要になってくるものです。

 

次に,事故の態様も大切になります。

これは,大きい事故であればあるほど,それによる怪我も大きいだろうと考えられることから,

後遺障害の有無を分ける要素になってくるものです。

例えば,歩行者や自転車対自動車の事故である場合,事故の衝撃が直接身体に加わっていることになりますので,

怪我の程度も大きいものと考えられやすいです。

また,自動車同士の事故である場合も,事故後の車両の損傷具合(一目で損傷していることが明らかな場合などは衝撃が強いと考えられやすいです。)などの事情が

後遺障害の判断に影響を与えます。

 

また,年齢も事実上影響することがあります。

これはどういうことかというと,「後遺障害」というからには,その後も基本的には症状が治らないことが認定の前提となるのですが,

若い方とご高齢の方を比較すると,ご高齢の方の方がその後の改善の見込みが低いと一般的に考えられるため,

若い方よりもご高齢の方の方が,後遺障害が認定される方向に傾きやすいということです。

特にはっきりと明言されているわけではないのですが,実務を取り扱っているとたしかにその傾向はあるように思います。

 

その他にもいろいろな事情が考慮されて,後遺障害の判断はなされることになりますが,

最終的にはそれらの事情を鑑みて,認定する側がどのように感じたかということになってきますので,

弁護士として日々取り扱っていても,やはりむちうちの後遺障害は複雑だなと感じます。

むちうちの後遺障害の認定 その1

交通事故で最も多いけがといっても過言ではないのが,いわゆる「むちうち」です。

むちうちと一言にいっても,その程度には差があり,ひどい場合には後遺障害に該当しうるということは,

インターネット上でも多くの弁護士事務所が書いていることかと思います。

 

しかし,基本的にむちうちという症状は,レントゲンやMRIといった,画像診断によって何かわかるというものではなく,

究極的には,痛みの有無・程度は本人にしかわからないものです。

そのため,後遺障害の認定を受けられるかどうかの境界線もどうしてもあいまいな部分が出てきます。

 

では,実際のところどのように認定を行っているのでしょう。

もし可能であるならば,痛みの程度を数値化して,いくつ以上を後遺障害に認定する,というようなことができればいいのでしょうが,

現実的にはそれができないため,結局その他の事情から症状の程度を推し量ることにより後遺障害の有無を判断することになるのです。

 

具体的にどのような事情が後遺障害認定の判断を左右することになるのかという点については,次回のブログにて綴らせていただきますが,

むちうちの後遺障害認定の特色は上記のとおりです。

 

つまり,例えば関節が曲がりにくくなったというのであれば,どの程度動かなくなったのかを角度で測ることができますし,

目が見えにくくなったというのであれば視力を測ることができます。

身体に傷が残ったという場合には,傷の大きさ・長さを測ることができます。

そのため,ある程度はっきりとした根拠に基づいて後遺障害の有無を考えられるのですが,

むちうちは症状を直接測ることができないので,各種事情により基本的に判断されることになるのです。

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主婦休損2

前回の続きで主婦の休業損害について書いていきます。

 

主婦休損に関する誤解で多いのが,主婦休損が専業主婦しかもらえないものだと考えているというものです。

昨今の社会事情では,主婦の方も何らかのお仕事をもたれている方が多数派だと思います。

そして,よく相談者の方からお聞きするのが,“パートを休まなかったから休業損害はもらえない”という言葉です。

 

一般的に,全女性の平均収入以下,1週間の労働時間が30時間以下といった基準で,主婦休損の対象となるかどうか判断されることが多いです。

パートの方で全女性の平均収入を超えることはあまりないかと思いますし,1週間で30時間というと平日毎日6時間勤務でやっと届く数字ですから,

これを上回るパート勤務の方というのも多くはないのではないかと思います。

ですので,主婦休損がもらえることになる兼業主婦の方はかなりの人数がいらっしゃるはずです。

 

前回のブログで書かせていただいたように,主婦休損は一般的な休業損害と比べて,事実上かなり有利に取り扱われることがあります。

配偶者やお子さんなど,誰かのために家事業を日常行っているという方で,怪我を負わされたために家事業に支障が出たという方は,

主婦休損を請求する余地がないかどうか一度ご検討されるといいかもしれません。

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主婦休損

主婦の方にも休業損害が認められるということについて,意外と情報が正確に行き渡っていないなと感じることがあります。

 

主婦休損とは,交通事故などで負傷したときに,通院を余儀なくされて家事の時間を奪われること,また傷病によって家事労働が制限されてしまうことについての損害です。

仕事をして収入を得ている方が負傷したときに,仕事を休むことを余儀なくされ,それにより収入が減った時に認められる休業損害の主婦バージョンといえるものになります。

 

ここまでの情報は知っていても,”主婦休損なんて大した金額にならないんでしょ?”と思っている方も少なくありません。

たしかに,保険会社は主婦休損として,1日当たり5700円という最低限の基準で計算してくることがほとんどです。

しかし,弁護士は,主婦の年収は全女性の平均年収で計算すべきだと主張します。

これが認められると1日あたりの金額が1万円を超えるので,主婦休損はかなり高額となってきます。

 

また,実務上,ほかの休業損害と比較して,主婦休損は長期間認められやすいという事実があります。

もちろんお怪我の程度によって,休業損害が認められる期間は変わってきますが,普通なら1,2か月くらいしか休業損害は認められないだろうというお怪我の場合であっても,

主婦休損であれば3,4か月認めてもらえるということが多いです。

 

どのような方が「主婦」にあたるのかは次回のブログに譲りますが,このように主婦休損は弁護士に依頼することでかなり増額が望める損害項目です。

共同不法行為

交通事故の被害にあわれた方が,数か月後にまた事故に遭遇してしまう…というような事態が意外と存在します。

私も弁護士となってから大変驚いたのですが,おそらく,皆様がイメージしているよりもはるかにこういったケースは多いのではないかと思います。

被害者の方は,まさに踏んだり蹴ったりということで非常に辛いと思います。

怪我の治りが遅れるといった問題もさることながら,実は賠償の観点からも複数の事故が立て続けに起きると,非常に複雑な問題が生じることがあります。

共同不法行為と呼ばれるのですが,立て続けに事故が起きて,怪我を負った場合,それぞれの加害者の行為が合わさって,現在の被害者の怪我を生じさせていると考えられます。

すると,それぞれの加害者が全体のうちどれだけの部分を賠償しなければならないのかといった問題が生じ,時として両加害者の保険会社同士で話がまとまらず,被害者に対する賠償が置いてけぼりというような事態も生じます。

このような状態となってしまい,ご自身で解決するのが難しそうだということで弁護士に相談に来る方も多いです。

すでに交通事故の問題でご依頼していただいている方が再度事故にあってしまった,ということもしばしばあります。

そのようなときには,上述のような問題がありますので,どのような対応をするのがベストなのか,いつも以上に慎重になって対応させていただいています。

緩衝材としての弁護士

東京も最近はすっかり暖かくなり,ようやく花粉も落ち着いたかなぁということで,毎日とても過ごしやすいですね。

私は諸々のアレルギーを持ってるので,スギ花粉の時期はやはりつらいのですが,この時期だとだいぶ落ち着きます。

この頃はもうすぐゴールデンウイークなので,ここを目指してせっせと働いています。

 

最近お仕事で思うのは,当事者同士の間に入り,連絡役となるだけであってもとても大きな意味があるということです。

トラブルの相手方との間では,感情的な対立が激しいということはしばしばあります。

当事者の関係が,長年の友人,夫婦だというような場合,積み重ねてきたものが非常に複雑なため,

関係性を改善するのは,一筋縄ではいかないでしょう。

 

このようなトラブルを抱えた依頼者から相談を受け,相手方の情報を聞くと,たいていの場合は「“ものすごい人”が相手方になっている…厄介そうだ」という印象を受けてしまいます。

しかし,いざ相手方とコンタクトをとってみると,意外や意外,ごく普通に,冷静に,常識的な対応をしてくれるということが少なくありません。

言いたいことを感情的にならない表現できちんと伝えれば,相手方も同じように応じてくれることがあるのです。

 

そんなことを度々経験することで,弁護士には当事者の間で緩衝材となる役目も大きいのだなぁと感じる次第です。

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裁判所ごとの違い

地方裁判所や簡易裁判所は,全国の都道府県に存在しています。

昔と比べて日本国内の移動は非常に便利になり,短時間で都道府県間の移動もできるようになった現代ですから,

それぞれの地域の裁判所の違いなどはあまりないようにも思います。

 

ましてや,裁判官は数年ごとに全国転勤することになりますので,

長年その裁判所に勤めているということは,基本的にありません。

ですので,地域差などは存在しないだろうと考えるのが普通かと思います。

 

しかし,いざ遠方の裁判所に出廷したりすると,一種のローカルルールのようなものがあったりします。

同じ事柄を行おうとしても,手続の方法が微妙に違ったりするので,きちんとその裁判所のやり方を確認する必要があります。

もっとも,“この弁護士は何も知らないのか”と思われてはだめなので,その辺は加減していかなければならないですが。

 

また,各裁判所によって,事件の数などは変わってきますので,裁判官の忙しさはどうしても変わってきます。

そして,忙しい裁判所の方が,裁判官による和解あっせんが積極的に行われる面があるとされます。

それというのも,裁判官にとって判決を書くことは,和解と比べて非常に多くの労力と時間を要するものだからです。

 

裁判を行う場合には,裁判所がどこになるのかということも注意を払いたいポイントです。

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簡易裁判所

裁判所には,最高裁判所,高等裁判所,地方裁判所,簡易裁判所,家庭裁判所…というように,いくつか種類があります。

交通事故をはじめとした損害賠償請求事件などの一般的な裁判の場合,まずは地方裁判所ないし簡易裁判所に訴えを提起することになります。

地方裁判所に訴えを起こすのか,簡易裁判所に訴えを起こすのかは,基本的に請求する金額によって決まってきます。

具体的には,訴訟価額が140万円以下である場合には,一般的に簡易裁判所に訴えを提起することになります。

ですので,交通事故の場合だと,物損のみのトラブルの場合だと簡易裁判所に訴えを提起するということも少なくありません。

逆に,お怪我もあるという場合だと,金額的に地方裁判所に訴えを提起することが多いです。

 

では,簡易裁判所と地方裁判所で何か違いはあるのかということですが,大きな違いが2つあります。

まず1つ目が,簡易裁判所の裁判官は地方裁判所の裁判官(判事)ではなく,簡易裁判所判事という立場であり,他の裁判官とは裁判官になるまでの過程が異なります。

もう1つが,司法委員の存在です。

司法委員は,市民感覚を司法に反映させるために民間人の中から選ばれた者であり,和解を行う際などに意見を述べたりします。

この2つの特徴により,簡易裁判所は他の裁判所よりも,ある意味柔軟な,逆に言えば結果の予測を立てにくい判断をする印象があります。

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任意整理できるかどうかの見極め

以前も少し書かせていただきましたが,任意整理手続は基本的に債務整理手続の中で最もライトな手続です。

心理的にも,裁判所を使うことになる自己破産・個人再生の手続をとるのは抵抗があるという方が少なくないです。

 

そのため,債務整理を考えたときにまず任意整理が可能かどうかを検討することが多いのですが,

任意整理は基本的に借金を減らすものではなく,返済が可能になる形での分割払いを求めて各社と交渉するというものです。

分割回数もやはり限度があるので,一般的には3年から5年,つまり36回から60回程度に分割して返済が完了するかどうかが

弁護士が任意整理を行えるかどうか判断する一つの目安になります。

 

もちろん,債権会社によってそれぞれ対応は異なります。

経営状況などがかかわっているのかと思いますが,会社として分割回数を決めていてまったく交渉の余地がないという会社もあります。

また,今後数年間かけて返済していくにあたり,その数年返済にかかる分についての利息(将来利息)を支払うことを強く求めてくる会社もあります。

あるいは,債務者の方の収入,月々の支払内訳を細かく確認し,本当にどうにもならないと債権者が認めてくれたときに限り

分割回数を増やすことに同意してくれる会社もあります。

 

こうしたことを踏まえての交渉は,法的な交渉というよりも事実上“お願い”に近い面もあり,

法的知識よりも経験・場数の問題という印象があります。

自転車が相手となる事故の後遺障害について

交通事故は,自動車が相手になっているものだけではありません。

自転車対歩行者,自転車対自転車といった事故も交通事故の一種です。

自動車が相手となっているケースと比べて,重傷に至るケースは少ないのではと思われるかもしれませんが,

こちらも歩行者であったりあるいは自転車である場合は,自動車に乗っている場合のように身体を守ってくれるものがないので,重傷に至るケースも少なくありません。

 

相手方が自動車である場合と比べて,まず大きく違うのが,自賠責保険が存在しないということです。

自賠責保険があることにより,自動車によってけがを負わされた被害者は,少なくとも一定程度の補償を受けることができます。

後遺障害が残った場合についても,それが賠償の対象となる後遺障害といえるかどうかを自賠責が認定してくれます。

自転車事故の場合には,こうした役目を負ってくれる機関が基本的に存在しないのです。

 

そのため,対自転車の事故で後遺障害にあたり得る怪我を負った方が適切な賠償を受けるには,裁判を起こすということも少なくありません。

裁判官に後遺障害の存在を認めさせるというのは,難しい作業ではありますが,

裁判官からしても“自賠責保険がどのような認定をしているのか”を参照することなく判断することになります。

 

自賠責保険が後遺障害について一定の判断をしている場合,裁判官はどうしてもその判断にある程度影響されることになります。

自転車事故の場合,自賠責保険がないため,そうした先入観を持たずに後遺障害の判断がされるのです。

ですので,よりいっそう弁護士がきちんと立証することが大事になってくるといえるでしょう。

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2018年のご挨拶

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年ももちろん一生懸命に日々仕事に励んではいたわけですが,

今年はより素早く最適な手段を選択していけるよう磨きをかけていきたいなと感じているところです。

それによって,これまで以上に多くの方の依頼を受け,手助けを行えればなと思います。

 

今年の年末年始は実家で比較的ゆっくりと過ごすことができました。

年末は家でゆっくりとテレビを見ながらくつろいで,疲れを癒すことができました。

また,実家には犬が2匹いるので,その犬たちとも久々の再会。

1匹はもうかなりの高齢で,後ろ足がだいぶ不自由になっているのですが,イヌ用車いすを使ってせっせと歩いていました。

イヌにあうためにももう少し実家に帰る頻度を増やしてもいいかなぁなんてことも思ったり。

 

また,新年の初売りとかにはあまり興味がない方ですが,親の買い物に付き合ったりしていました。

ウインドウショッピングでも結構楽しいですよね。

あと,うちはお正月にお墓参りに行く習慣があるので,例年どおりお参りもしてきました。

お墓参りなんかはその家ごとにかなり習慣が違うので不思議ですよね。

 

そんなこんなな年末年始で,しっかりとエネルギーを充電できましたので,

年明けから切り替えてお仕事をしていきたいと思います。

過失割合に争いのある場合の対応(交通事故)

弁護士に相談に来る交通事故のトラブルで,過失割合を巡る争いがあるというケースは,当然ながら数多く存在します。

その場合に,どのようにして自分の正しさを主張していくのかというのは,非常に難しい問題です。

 

事故が起きた時のそれぞれの位置,速度などに争いがない場合には,

たいてい大まかな過失割合には争いがなく,細かな事情による過失割合の修正の有無が争いとなります。

他方,事故状況そのものに争いがある場合には,そもそもどちらが被害者でどちらが加害者かというレベルの問題にもなりえます。

 

いずれにしても,双方がそれぞれの主張を繰り返しているだけでは話が前に進みませんので,

信頼できる第三者の客観的な観察状況がある場合には,まずそれが大事となってきます。

具体的には,警察官による実況見分が行われている場合には,実況見分調書の内容が重要な資料となります。

実況見分は,人身事故への切り替えを行うととり行われるので,

過失に争いがあり,怪我もしているという場合には,まず人身事故への切り替えを行うべきでしょう。

 

実況見分調書は,弁護士であれば手続をとって開示を求めることができます。

ですので,過失割合に争いがある場合には,弁護士としてはまず実況見分調書の内容を把握することになるでしょう。

 

また,調査会社に調査を依頼するということが考えられます。

これはある程度の費用がかかってしまうものではありますが,例えば車両の傷の状況や事故現場の状況などを踏まえ,

専門家が過失割合を分析するというものになります。

こちらもやはり専門家の意見ということになるので,ある程度尊重されるものになるでしょう。

 

人それぞれ解決にかけられる費用等に違いがありますので,一概にどの方法が良いとは言えないですが,

やはり第三者の意見が大事であるということは間違いないところです。

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忘年会シーズン

早いもので今年もすでに残り1か月を切り,いわゆる忘年会シーズンとなりました。

1,2年に一度集まるようなグループの人たちと,久しぶりに会い,お酒を飲みながら近況を語らうというのはとても楽しいですが,

最近個人的にとても困っているのが,妙に酔いがまわるのが早いということです。

 

元々お酒に強いというわけでもないのですが,いつもの調子で飲んでいるとすぐ眠くなってしまったりして,

せっかくの貴重な時間を損することにもなりかねないなと思っています。

疲れによるものか,体調の問題なのか,年齢か…,きちんと自分に向き合わないといけませんね。

 

私はかつて就職活動をしたときなどにも書いていたのですが,あまり知らない分野の世界で生きている人と話すのが好きなので,

今のシーズンに旧友と会えるのはとてもうれしいです。

私は,大学の学部が法学部ではでなかったということもあって,

比較的,法律関係以外のジャンルの仕事に就いている友人が多く,

それほど苦も無く他分野で生きている人と接することのできる環境に恵まれています。

 

もちろん,事務所内部でも同期らとしばしば夕食を共にしており,これも非常に貴重な意見交換の時間です。

こちらは特に忘年会と銘打つほどのものでもないですが(笑)

損保会社の事情

交通事故の被害者が加害者の損保会社に不満を覚えることは,当然ながら多いです。

ただ、この間は良い意味で少し驚くことがありました。

いわゆるむち打ちの症状で後遺障害の14級が認められた場合、弁護士がついていると、労働能力喪失率5%、5年間の労働能力喪失期間が認められることが多いです。

しかし、この被害者の方は、身体の複数の箇所に14級が認められていたため、当方としては,それに応じて喪失率と喪失期間を長めにして、損保会社に主張を行いました。

通常、複数箇所に後遺障害が認められていても、労働能力喪失率や喪失期間が長くなるとはいえないとして損保会社が反論してくることが多いのですが、今回の損保会社は、労働能力喪失率こそ5%であるものの、労働能力喪失期間はこちらの主張よりもかなり長い期間を認め、結果としてほぼこちらの主張どおりの賠償額が存在することを認めました。

おそらく、損保会社の内部の問題で、喪失率は変えられなかったものの、どうにかこちらの請求に応じるために喪失期間を調整することにしたのだと思います。

損保会社の誠実な対応があったといえるのではないかなと思いました。

損保会社は営利企業なので,どうにかして賠償額を減らそうとしてくる,というのも事実かもしれませんが,

損保会社で働いている人たちも人間ですので,こうした取り扱いをしてくれることはありうるようです。

交通事故と労災

交通事故と労災が関係のあるものだということは,意外と知られていないかもしれません。

労災は,業務上の事故はもちろんですが,通勤中の事故も対象となるので,

業務中会社の車を運転していた際に起きた事故はもちろんですが,朝晩の会社への行き帰りで生じた事故についても

労災の対象となるのです。

 

交通事故の加害者と労災の両方から受け取れるからといって,受け取る金額が増えるわけではありませんが,

支払口が増えることになるので,事実上,より賠償を受けやすくなるといえます。

 

これはどういうことかというと,例えば加害者側保険会社に対して賠償を求めていたところ,

請求どおりには認めてもらえず,一部のみ認定されるというようなことがあります。

このとき,労災に請求してみたところ,請求どおりの金額が認められ,

結果的に請求先が複数あったことにより満足な賠償を受けられる,ということがあり得るのです。

 

また,加害者が任意保険会社に加入しておらず,支払いが滞るような場合にも

労災に請求を行うことで現実に賠償を受けられた,ということもあり得ます。

 

交通事故にあってしまった際には,事故の加害者に賠償を求めていくのは当然ですが,

業務中ないし通勤途中の事故ではないかということについても

一度確認してみることをお勧めします。

後遺障害のある場合の賠償額

様々なサイトで、弁護士が入る前と後とでは交通事故被害者の受けとる賠償額が変わるということは言われていますが、後遺障害が残ってしまった場合には特に顕著です。

保険会社が賠償額を提示する際、弁護士がついていることがわかっていると、はじめから比較的高額の提示をしてきます。

しかし、先日相談を受けた方は、弁護士がつく前に後遺障害の認定を受け、保険会社から示談案を提示された方でした。

すると、後遺障害慰謝料の項目が、弁護士基準の3分の1強という非常に低い金額提示がなされていました。

後遺障害が残っていない方も、弁護士がつくことで慰謝料増額の余地があることが多いですが、より重症である後遺障害の残った方は、弁護士を頼むか頼まないかで、その後の治療や生活に非常に大きな影響が出てしまうという怖さを改めて感じました。