休車損害(遊休車の存否)

バス、タクシー、トラック、ダンプカー等、緑ナンバーや黒ナンバーの営業車が事故によって損傷し、修理期間や買い替えに要する期間、その車を稼働することができず、売上が減少することがあります。

このような場合、事故に遭わなければ得られるはずであった利益相当額を損害とみて、加害者に休車損害を請求することができます。

もっとも、休車損害が認められる条件や損害額の算定方法については、明確とはいえず、休車損害を請求するための資料の収集にも苦労します。

休車損害が認められるための条件は、事故に遭った車を使用する必要があることです。

そのため、事業主が事故に遭った車の他にも遊休車(代替車)を保有している場合、これを稼働させることによって売上の減少を回避することができるため、休車損害は認められません。

例えば、平成10年11月25日東京地方裁判所判決は、「原告は、休車損害として、一日あたり一万円で修理相当期間である二日間分の二万円を主張する。しかし、原告は、タクシー会社であるから、代替車両が存在するのが通常と考えられ、本件においては、代替車両の存否を含めて休車損害の発生の根拠について、主張も立証もない」として、休車損害を認めませんでした。

他方で、平成13年6月5日大阪地方裁判所判決は、「証拠(略)及び弁論の全趣旨によれば、本件事故により、原告は(略)、原告車両の修理には平成一二年四月四日から同月六日までの三日間を要し、その間、原告が所有する原告車両と同型の二台の大型車両はいずれも長距離運行中であり、他に原告車両の代替車となりうる車両はなかったこと(略)が認められる」として休車損害を認めました。

このように、裁判実務では、遊休車の存否が争われることが多く、被害者は、緻密な主張立証を求められます。