養育費の算定表(その2)

養育費の分担を請求できる権利者と,分担を求められる義務者の年収を確定するにあたって,よくあるご相談について,ご紹介します。

 

例えば,給与取得者であっても,今年の年収は前年度の年収とは異なるというケースがあります。

調停手続き等において,前年度の源泉徴収票の「支払金額」が基礎とされる理由は,給与取得者の場合,通常,養育費支払義務発生時の収入は前年度と同程度の収入であると推定されるからです。

そこで,今の年収が前年度の年収と異なる場合,直近の給与明細書等によって,支払義務発生時点における収入額を証明していきます。

 

近く,リストラの可能性があるとか,減収となる予定である等の理由から,これまでの収入を維持することができないというケースもあります。

これらの場合,義務者が近くリストラされること,減収予定であること等を裏付ける資料を収集して,調停委員会等に提出する必要があります。

 

また,権利者は,今,働いていないので収入がゼロですが,働こうと思えば働けるというケースがあります。

この場合,子どもの年齢等を考慮しつつ,客観的に働くことができる状態であるならば,潜在的稼働能力があると主張して,権利者の収入を推計して養育費を決めることになります。

 

その他,権利者や義務者に給与所得と事業所得の双方がある場合の算定表の見方や,自営業者である義務者が,養育費の分担を低額にする意図で,自分の給与所得を低く抑えていると疑われるケース等,さまざまなご相談が寄せられます。

 

算定表は,東京家庭裁判所のウェブサイトから入手できるので,広く知られて参考にされていますが,養育費の増減について,当事者間で合意に至らなければ,裁判所に対して特別の事情を主張立証していく必要があります。

裁判所は,権利者と義務者の学歴や収入,習い事等の状況,子どもの実績や意向等,事件ごとに様々な要素を総合考慮して,具体的な金額を判断します。

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