新型コロナウイルス感染拡大に伴う法的問題

弁護士法人心では,定期的に所属弁護士全員が参加する法律研修を行っています。
前回の研修では,新型コロナウイルス感染拡大に伴い発生し得るさまざまな法的問題を扱いました。
①営業自粛等の根拠とされる新型インフルエンザ等対策措置法改正法の仕組み,②小規模事業者が経営計画を策定して取り組む販路開拓等を支援する持続化補助金等,経済産業省関係の令和2年度補正予算のポイント,③雇用調整助成金の特例措置の拡大,④感染者と濃厚接触した可能性を通知するアプリ等,ビッグデータによる行動履歴の活用とプライバシーの関係等,多岐にわたりました。
研修の中で取り上げた事例をご紹介します。
法務省は,東京都,神奈川県等,緊急事態宣言の対象地域に所在する刑事施設において,新型コロナウイルス感染防止のため,収容者との面会を弁護人又は弁護人となろうとする者以外との面会を原則として実施しないとする方針をとっています。
これに対し,感染拡大防止のために家族との面会を制限したのは不当だとして,東京拘置所に収容中の被告が国を相手に上記方針に基づく措置の停止を求めたところ,東京地裁は,5月1日,申立てを却下する決定をしました。
新聞記事によると,その後,被告の家族が面会を求める文書を拘置所に郵送し,互いの安否などを確認する必要があると説明したところ,5月11日に面会が実現したとのことです。