後遺症による逸失利益①(基礎収入)

後遺症による「逸失利益」とは,交通事故の被害者に後遺症が残った場合,将来得られるはずであった収入等の利益を失ったことによって発生する損害のことです。

 

後遺症による逸失利益は,次の計算式によって算出されます。

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(中間利息控除係数)

 

基礎収入とは,逸失利益の算出基準とされる,交通事故にあった時点における被害者の現実の年収です。

・給与所得者の基礎収入は,原則として事故当時の収入額とされ,事故の前年度の源泉徴収票等,客観的な資料によって判断されます。

・自営業者や農業従事者等,事業所得者の基礎収入は,原則として事故当時の所得額とされ,一般的には,事故の前年度の所得税確定申告書や課税証明書等,客観的な資料によって判断されます。

・主婦等,家事従事者の基礎収入は,原則として賃金センサスの女性労働者の平均賃金額となります。

・学生の基礎収入は,賃金センサスの全年齢平均賃金額となります。

・失業者や高齢者等,事故当時に就労していなかった方は,収入がないため,原則として逸失利益が認められません。

もっとも,事故当時,労働能力と労働意欲があって,就労の蓋然性が認められる場合は,それまでの職歴や収入等を考慮しつつ,賃金センサスの賃金額を参考にして基礎収入を定めることもあります。

 

計算式が決まっているとはいえ,例えば,申告額より多くの収入を得ていた個人事業主,兼業主婦,大学進学が予定されていた高校生等,基礎収入をいくらとみるべきかが争点となるケースは少なくありません。

逸失利益の妥当性について,交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。